特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『日本の男を食い尽くすタガメ女の正体』

ちょっと前に安倍が女性活用と言い出したのにはおどろいたけれど、それ自体は正しい。労働力人口不足で日本経済が縮小していくことにやっと!気がついたこと自体は評価する。
だが安倍が言っている女性活用策は相変わらずだ。女性に生きかたを押し付けるのか、女性にだけ出産の負担を押し付けるのか、と顰蹙を買った女性手帳をはじめ、女性のキャリアを貶め搾取を強めようとしか思えない育休3年とか、(100万人は居るだろうといわれている)待機児童を40万人と決め付けて待機児童ゼロをめざす、など訳のわからないものばかりだ。

男も育休取れ&家事をやれ、とか自分が総理大臣辞めて女性に代わってもらう(ぱちぱち)、とかそういう発想はない。全て他人に負担を押し付けるばかりだ。安倍の言っていることは、要するに女性を安く使い倒そう、ついでに家事も介護も押し付けて国の予算を削減しようという発想としか思えない。
所詮 女性は家庭にいるもの、と決め付ける価値観がベースだから、こんなことばかり言い出すのだろう。もちろん居たい人は居たっていいけど、他人に特定な価値観を押し付けるのはふざけた話だ。そもそも『そもそも日本は戦前まで、夫婦ともに農業で共働き。「女性は家に入って育児に専念」なんて考えは、高度経済成長期以降にたった30年くらい続いただけの、非伝統的な家族のあり方。』というのが冷静な事実なんだけどね(笑)。
●なかなか良い記事でした
「3年育休は女性をダメにする」:日経ビジネスオンライン

本当に日本の少子化を防ごうと思ったら、OECD諸国の中でも指折りに少ない保育予算の拡充に加えて、婚外子の法的権利を平等にする(日本より出生率が遥かに高いフランス、アメリカでは婚外子が全体の3〜5割)、さらに男の働き方、暮らし方を変えることが必要だろう。、
男が早く家に帰って家事をやらない限り、日本経済は地盤沈下は進んでいく。まあ、日本が三流国になっていくのは他国への侵略行為ができなくなって良いことなのかもしれないけれど(笑)。



                                         

さいきん、ちょっと話題になっている本を読んだ。『日本の男を食い尽くすタガメ女の正体
「幸せな結婚」という偽装工作で男をハメる「タガメ女」とは:日経ビジネスオンライン

                                                  
内容は、今ではだいぶ減ってしまったかもしれないが(笑)『サラリーマンと専業主婦による幸せな結婚』という日本社会に存在する、あるタイプの夫婦・親子関係が、現代社会の様々な病理を生み出しているという指摘をした本。
タガメとはもちろん田んぼで蛙を捕まえて、血をすする昆虫。いわゆる男が稼いで幸せな家庭を守るという一般的な結婚生活というイメージをもとに女性をタガメに、男をカエルになぞらえ、タガメ女がカエル男の血をすする様を揶揄している。
一見センセーショナルなしつらえだが、この本は専業主婦を攻撃しているのでもなければ、サラリーマンをバカにしている本でもない。 社会に存在する脅迫観念とそれによってもたらされる自己嫌悪に関する本だ。

                                                 
皆 知っているとおり現代の日本は年間3万人以上が自殺する戦時なみの自殺大国だが、自殺者の9割が男だという。著者はその原因を日本の男性のカエル男化に求める。
端的に言うと『小遣いは月3万でよれよれのスーツ、住宅ローンを返すために会社に縛り付けられた』男たちは幸せな結婚生活という幻想を維持するために身も心も搾り取られている。それがたまにぶちきれると家庭内暴力に走ったり、自殺に走ったりする。一方 女性のほうも良き妻はかくあるべし、といったプレッシャーに圧迫され、自分の本当の感情をなくしていってしまう。 結局 タガメ女もカエル男も被害者なのだ、というストーリー。著者はそれを『魂の植民地化』と呼んでいる。

                               

著者(女性)はアジア、中国の農村地帯を研究している阪大の准教授だそうだ。原子力関連の御用学者の無責任な物言いを鋭く指摘した『原発事故と東大話法』の安富歩教授との共著もある。

原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語―

原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語―

タガメ女』は話としては面白くて1時間くらいでスルスル読める。ただ この本で挙げられたいくつかの例が全てかと言われるとそうではないし、説得力も論理性もやや欠けているのは残念。面白おかしく書いた一般向けの新書だからだろうけど。

だが、この本が言っていることはおおよそ正しいと思う。それが問題なのだ(笑)。この社会を考える上で、安倍みたいな他人に一方的な価値観を押し付けようとする保守派は単に頭が悪いだけで何の役にも立たないだろう(あんな連中、ボクは保守だと思ってないが)。一方 一部のフェミニストの言説だと男性社会が女性を抑圧している、みたいなことがよく言われるし、男のボクもそれは正しいと思う。でもそれだけじゃない。男も抑圧されているということが疎かにされているんじゃないか、とボクは思っている。この本は男も女も『呪縛にとらわれている』ことがしっかり指摘されていて、そこに価値があると思う。
著者はこのようなことを書いている。『アメリカに押し付けられた価値観、ローンで買った郊外の庭付き一戸建てで家電製品や自動車に囲まれて専業労働者と専業主婦がファミリーを作るのが当たり前といった価値観』、『そういう特異な価値観によって(無意識に)自由を奪われた男と女、そして、その家庭で生まれた子供たち。息苦しさの中で成長し、『タガ(箍)をはめる生き方』をしている。そのような呪縛の連鎖が日本の閉塞感を生んでいるのではないか。』 (*ただし、この人は中国の黄土地帯を研究してきたから『アメリカ的価値観を押し付けられた』と簡単に言ってしまえるのかもしれないが、その言い方はがさつだし、ミスリードだと思う。日本人はそれを『抱きしめた』のだ。)


                                                                              
ボク自身は元々 サラリーマンはこういうもの、男はこういうもの、女性はこういうもの、といった観念はどうせ奴ら(政治家、マスコミ、企業)の陰謀(笑)だと思っている。そういう点ではこの本の内容は目新しさはない。
だけど 自分にどういうタガ(箍)がはまっているのか、見つめなおしてみようという気にはなる。極力 企業とのかかわりを避けて夕食つくりに専念しているとは言え(笑)、やっぱりサラリーマン何年もやってるからなあ。社畜精神に汚染されているかも。そんなことじゃなくても自分が知らぬ間に何かの固定観念のタガにはめられているんじゃないか、それによって自己嫌悪に追い込まれているのではないか、と感じることは正直言って、ある。
                                                       

ここには多くの人が日常生活の中で目を背けて見ないようにしてきたことが、書いてあると思う。荒削りなこの本を読みながら、こんな本当のことを書いていいのかと感じたくらい(笑)。
早速 この人が書いたハードカバー『魂の脱植民地化』も読みはじめた。その本の前書きはやはり安富歩教授でした。

魂の脱植民地化とは何か (叢書 魂の脱植民地化 1)

魂の脱植民地化とは何か (叢書 魂の脱植民地化 1)

                          
               
                                                                                                               
                             

昨日 朝日に全面広告が出ていたが6月2日は反原発の大規模集会があります(明日の金曜 官邸前抗議はお休み)。明治公園、芝13号地(何で2つにわかれるのかね?)で集会&デモ、夕方から国会大包囲。たぶんボクは国会のほうへ行くつもり。
★0602 反原発☆国会大包囲 | 首都圏反原発連合