特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

これもひとつの世界の終わり。:映画『エンド・オブ・ザ・ワールド』


この前ロシアに落ちた隕石にはびっくりした。光る隕石が空を横切って行く様は、まるで映画『ディープ・インパクト』で見たような光景だった。ちなみにロバート・デュバルティア・レオーニが出ているこの作品は見た後に余韻が残る、なかなかの名作だとボクは思っています。

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現在は地球に飛んでくる隕石の15%しか把握できてないそうだが、原発の近くにでも落ちた暁には人類滅亡だろうな。
                                                                                             
ちなみに昨日 日本TVのニュース番組『バンキシャ』で宋文州氏が『隕石が尖閣に落ちて、尖閣が消滅してしまえばよいのに』と発言して、アナウンサーがそれを『不適切な発言』と訂正したそうだ。どこが不適切なんだよ。ボクにはさっぱりわからない(笑)。 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130217-00000563-san-ent
                                        
日本も中国も台湾も、どこの国だって譲りようがないのだから、現状のままでは資源の開発も出来ず、尖閣なんて何の役にも立ちはしない。いや、あるのは戦争のリスクだけだから、尖閣なんて百害あって一利無しだ。石原慎太郎と一緒だな)(笑)。 そんなんだったら尖閣をダイナマイトででも爆破して両国の争いの種をなくして共同開発でもするのが、唯一の活用法だろう。
論理的な議論をしないまま、不適切とかレッテル貼りして議論を封殺する態度は、原発安全神話を助長して事故に繋がったのと瓜二つだ言論という意味では、太平洋戦争のときからこの国は、殆ど進歩していないのではないだろうか。
                        
                                      

つい最近 隕石で世界が終わる映画を見た。渋谷で映画『エンド・オブ・ザ・ワールド』。

人類の懸命の努力にも関わらず、地球に壊滅的な被害を与える小惑星の衝突が3週間後に迫った。そのニュースが流れた日 平凡な保険会社の社員である主人公(スティーヴ・カレル)は妻に逃げられてしまう。世界が終わる前に彼女は浮気相手のところへ逃げてしまったらしい。
茫然自失とした彼は見知らぬ誰かから犬を押し付けられたりしながらも、今までどおりの生活を送る。が、自宅近くで暴動が起こり、逃げようとした彼は同じアパートに住む女性(キーラ・ナイトレイ)と知り合う。自分の家族とはぐれてしまった彼女は、郵便ポストに間違って投函された主人公の昔の彼女が送ってきた手紙を持っていた。彼は高校時代の昔の彼女を、女性ははぐれてしまった家族を探して、二人と一匹は旅に出る。


                                      
ティーブ・カレルはコメディアンの顔を封印して、淡々と旅を続ける主人公になりきっている。3週間後に世界が終わることがわかっても会社へ出勤し、普段どおりの生活を続ける。昔の彼女を探すために旅には出るけれど、バカ騒ぎに溺れたり、シェルターを作って生き残ろうとしたりはしない。
世界の終わりの話なのに、のんびりとした時間が流れていく。周りの人たちは乱交パーティやマリファナに耽溺したり、暴動を起こしたりするけれど、主人公は淡々といつもどおりの暮らしを続けていく。
退屈だと思う人も居るかもしれないが、派手なアクションもラブロマンス(多少あるが)も暴力もない、こういうお話ってボクは好きだ。冷静に考えたらそんなにやりたいことがあるわけでもないし、欲しいものもそんなにあるわけでもない。できれば、ちょっと美味しいものを食べて、あとはただ、平穏に暮らしたい。
世界の終わりの中でそういう人生を全うすることができた主人公が少し羨ましかった。
●暴動と静寂


                                          
この1年くらいに見た映画を思い出すと、ゾンビが大都会を襲ってくる話にしろ(ロンドン・ゾンビ紀行)、月の裏側からナチが襲ってくる話にしろ(アイアン・スカイ)、核戦争後の世界を夢見る男にしろ(ベルフラワー)、そういう作品が多いように思える。改めてリストアップすると我ながらマヌケだ〜(笑)。
                               
日本の現状を見ていたって、政治家はどうしたって原発事故をもう一回起こしたいようにしか見えないし(政府が2発目の投下を防がなかった原爆と一緒)、それでなくても拡がる格差や不条理がはこびる社会を見ていると『こんな世界は滅びてしまえ』といいたくなってしまう人が多いのだろう。あくまで口で言っているだけ!と言うのがポイントなのだけど(笑)、
現実逃避と言われるかもしれないが昨今の社会情勢を考えれば、世界の終わりは案外 正夢になるかもしれない。現実にフクシマの事故ではあと一歩のところで日本の半分が壊滅するところまで行った。よほどのバカや楽観主義者でない限り、世界の終わりが共同幻想として成り立ってしまう、今はきっと、そういう時代なのだ。
                        
この映画を見ていて、ボクが一番強く感じたのは淡々とした『心地よさ』。ヒーローでもなければ、有能でもない、ただ実直なだけの主人公と一緒に、孤独だけど穏やかな旅をしていると、世界の終わりもそんなに悪いものではないように思える。少なくとも、ここでは死は誰にとっても平等に訪れる。そこでは暴力も搾取も差別も意味をなさない。世界の終わりによって心の平安を得られる、これも一つのユートピアの形なのかも。
時々、世界は皮肉で出来ているようにも思える。

●これで世界が滅びるとしても幸せかもしれない。