特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

アベノミクス(笑)を考えながら、かわい子ちゃんを見る:映画『ルビー・スパークス』

ちょっと前まで不況突入の雰囲気が漂っていたのに、このところの円安株高でマスコミの論調には不自然な明るさを感じる。経済の実態は何も変わっていないのに、マスコミや株屋がはしゃいでいるのにはどうしても違和感がある。
選挙時には躁状態としか思えなかった安倍の発言が円安株高の原因がどうかは諸説あるけれど、それでも先週の金曜のように1日で300円近くも株価があがると億単位で含み益が出たりする企業もあるから、明るい雰囲気になるのはわからないでもない。財務省の言いなりとしか思えない民主党政権時代は財政再建という話はあっても、景気の話は殆どなかったから、そういう点だけはボクも評価する(笑)。

名目2%だか3%の経済成長を目指すという『アベノミクス』は金融緩和と財政出動で緩やかなインフレを目指そうというものらしい。 名目値で経済を考えようとする姿勢は正しい。給料も年金も企業の売上も名目値だからだ。
だが、大きな問題が2つある。ひとつはこれは夏までの選挙対策だってこと、もうひとつは安倍の言うとおり、本当にインフレになったら国民の生活はもっと酷くなる、ということだ。
まず財政出動自民党にとってはとにかく景気を良くする事が最大の選挙対策だから大盤振る舞いするだろう。財務省も今の景気では消費税を導入できないから、この半年は財政再建より、景気を押し上げることに全面協力するらしい。だが選挙後はどうするんだろう(笑)。

金融緩和は昨年2月も大規模なものを行い株高になったが、効果は1ヶ月しか持たなかった(笑)。今回 効果はどこまで続くかわからないが、今の日本では金融を緩和しても、お金を使おうとか、工場や設備に投資しようと言う人は少ない。これから日本の人口は減っていくわ、人件費は高いわで、企業はどんどん海外へ出て行くからだ。金融緩和をしても実態経済の改善には繋がらないのだ。
                                                                                        
仮に安倍の言うとおりインフレになったら、格差は更に広がる。 預金にしろ、株にしろ、資産を持っている人はインフレOKだ。だが資産を持っていない人は物価上昇のマイナスだけを蒙ることになる。昨今の世の中 物価上昇に見合った賃上げなんか、とても期待できないからだ。企業も原材料の上昇を製品価格の上昇に転嫁できるのは市場での地位が強い一部だけだから倒産は間違いなく増える
インフレになったら格差はさらに広がり、社会は不安定になる。そうなったらお金持ちだろうが、貧乏人だろうが、誰にとっても良いことない。 小泉改革の一番悪かったことは財政再建を重視するあまり、社会のセーフティーネットを無視したことだ。今回もまた同じことが起きるのではないか。
                                                                                                   
現実には人口減に逆らって名目2%や3%の持続的な成長なんかできっこない(笑)、金融緩和は何かのバブルを作って崩壊させるだけ、下手すりゃ過度な財政出動で国の財政破綻を早めるだけで終わり、だろう。だから政府は選挙間際まで財政出動して景気を押し上げて消費税を導入、あとは何もしないのではないか。

                             
いずれにしても、政府は一部の企業を良くする事は考えているが、一般国民の暮らしを良くすることは考えていないのは確かだろう。呑気にはしゃいでいるような場合じゃないと思うのだが。
じゃあ、お前だったらどうするって?この30年間ずっと減税してきたお金持ちの所得税相続税増税して社会福祉と教育に廻し、社会の機会均等と活性化を目指したほうが良いと思いますね(笑)。
                                                                                                    
                          
渋谷で映画『ルビー・スパークス映画『ルビー・スパークス』
スマッシュヒットした佳作『マイ・リトル・サンシャイン』の監督の6年ぶりの新作。

                                      
若くして天才とうたわれたものの、次作がかけなくてスランプに陥った孤独な作家のもとに突然 キュートな女の子が現れる。作家は彼女と恋に落ちるが、彼女の性格も行動も彼が書きかけの小説そのままで、しかも彼が文章を書きかえる度に、それにあわせて彼女も変わっていくのだった-。
作家役の男の子は『マイ・リトル・サンシャイン』でニーチェ狂いの長男を演じたポール・ダノ、恋人役のエリア・カザンの孫娘、ゾーイ・カザンは今作の脚本も手がけている。1昨年 草食系男子と風変わりな女の子の恋の一部始終を描いた傑作『(500)日のサマー』という作品があった。この映画は女性の眼から見た『(500)日のサマー』という感じだ。


ズーイー・デシャネルちゃんを見てにやける草食系ダメ男(ジョゼフ・ゴードン・レヴィット)((500)日のサマー

見に行く前はありふれたお話かなと思っていたが、案外いい感じの映画だった。最初は自分の理想像そのままの彼女に首っ丈になる男の子。飽きたりトラブルが発生したら、タイプライターに書き込めば彼女の性格だって変えられる。そんなことが続くうち、男の子は次第にそれに耐えられなくなる。
●こちらも優しいがエゴイスティックな草食系ダメ男

                                        
お話は皮肉たっぷりで面白いけど、過激な感じではない。友達も彼女もいない、ダメな男の子の何も起きない生活をのんべんだらりと描いていく。女の子も適度に可愛いが、『(500)日のサマー』のヒロインみたいに超絶の文科系男子殺し(笑)という感じでもない。現実にありそうでなさそうな、ぎりぎりなレベルでスタイリッシュなのだ。
ユダヤ人顔だな〜って思った。

やっぱり監督の演出が上手なんだと思う。お話のテンポも良いし、適度にコミカルで、お洒落で、見ていて凄く楽しい。かと言って孤独な男の子がエゴイスティックで性格が歪んでいるところもちゃんと描いている。特に男の子が彼女にネタばらしをするクライマックスのシーンなんかはホラーみたい迫力で凄くよく出来ていた。
あと、アントニオ・ヴァンデラスとアネット・ベニングが演じる男の子親夫婦、70年代後半のウェスト・コーストぽさが嫌味なくらい描かれているところがボクには面白かった。いまどきビッグ・サーにログハウスを建てて住んでいるのだ。思い切り笑ってしまった。
ハートウォーミングなラストも相まって、1時間40分夢を見させてくれる、なかなか楽しいロマンティックなコメディでした。