特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

言うこときかせる番だ、俺たちが。:2012年音楽ベスト5

明けまして、おめでとうございます。この、しょうもないブログに来てくださる皆様のご健勝とご多幸をお祈りしております。
さて、ボクはどこにも行かない、ずっと本を読んでいる静かなお正月を過ごしました。とにかく世俗がわずらわしくて、届いた年賀状なんか見もしない。送ってくれた人には悪いけど、束のままテーブルの上にほっぱらかし(笑)。
読書の合間にNHKの紅白の録画で『Perfume』、『ももいろクローバーZ』、『キャリーぱみゅぱみゅ』を見た(他は知らないので)。特に紅白に出るのが夢だったという、ももクロちゃんがブレイク前の曲『行くぜ!怪盗少女』を現状とは違う、一昨年脱退したメンバーの名前を入れたヴァージョンで歌ってたのにはちょっと感動した。脱退した早見あかりも含め全員一緒に出演した、ってことだろう。商業主義でも演出でもなく、自分たちの『想い』を優先させたってことなんだよね。愛情だったり政治的な意見だったり、個人の想いをいかに資本の体制のなかに紛れ込ませるか、が勝負なんだ。この娘たち、まだ若いのに良くわかってる(笑)。ももクロちゃんは一昨年 偶然ライブハウスで見て文字通り全力疾走のライブバンドぶりにびっくりしたのだが、曲がもうちょっと良ければなあ。あ、昨年のシングル『乙女戦争』は相対性理論やくしまるえつこが書いた作品で、これはなかなか良かったです。
他にも今回の紅白では昨年 反原発ソング『ずっと嘘だったんだぜ』をYoutubeで流した斉藤和彦が『NUKE IS OVER』(核はもう終わり)と大書したギターストラップを着けて演奏したらしい。
相手に飲み込まれた振りをしてでも、自分の意志を曲げない、自分の意志を表現する、それがロックンロールって言うもんなんだよ。明日から仕事初めでブルーだからって、こういうことを言ってるんじゃない、です(笑)
さて、そんなボクの2012年の音楽ベスト5はこんな感じです。

                                             
5位.WRECKING BALL(B.スプリングスティーン
このCDからの最初のシングル、またオバマ再選のキャンペーンソングとして使われた『We Take Care Of Own』のサビは『星条旗がどこで翻っていようとあてにしない。俺たちは自分たちで支えあう』(Wherever this flags flown,We take care or own)。同じ国旗をネタにしても安倍晋三橋下徹が言ってることと、どうしてこんなに違うんだろうか(笑)。オバマの勝利演説のすぐあと会場で流されたこの曲を聴いていると、安倍や橋下の言ってることなんか北朝鮮そっくりに感じる特に貧乏臭いところが(笑)。
このCDのハイライトはスタジオヴァージョンが始めて収められた『The Land Of Hope And Dreams』。経済的格差の面でも思想の面でも真っ二つに分断された今のアメリカで敢えて、『勝ち組も負け組も、犯罪者も売春婦も、愚か者も王様も、夢敗れた者も、みんな同じ汽車に乗ってる乗客だ』というヴィジョンを力強い演奏で提示している。この15年間でスプリングスティーンが作った最高の曲だろう。
●表題は解体工事用の鉄球のこと。意訳すると『ぶっ壊せ』か。

WRECKING BALL

WRECKING BALL


4位.Perfume 3rd Tour 『JPN』(1/29、さいたまスーパーアリーナ
勿論 Perfumeは大好き。だけど、このコンサートは行く前、ちょっとバカにしていた。所詮はアリーナでやる予定調和の大規模コンサートだろうって。
実際は全然違った。この日 見たのは二十歳そこそこの3人娘が4万人の大観衆と生身で戦っている姿だった。テクノロジーや演出の力を借りながら、広い会場中を目一杯走りまわり、ステージで高く跳び、激しく踊り、3.11のことを語り、大会場の観客一人ひとりといかにコミュニケートするかというファイティング・スピリットに溢れたショーだった。12月31日のNHKで彼女たちの海外進出のドキュメンタリーをやってたが、Perfumeは日本に残された数少ない希望だ。埼玉スーパーアリーナのPerfumeは昔 東京ドームで見たストーンズより凄かった。
●紅白でもやった昨年のシングル『SPRING OF LIFE』はPVの元ネタが麻薬中毒の宇宙飛行士をテーマにしたD.ボウイの『Ashes To Ashes』で、さすがにぶっ魂消た(格好良かった)。

Perfume 3rd Tour「JPN」(通常盤) [DVD]

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3位.ポリーニ・パースペクティヴ第4夜(11/13、サントリーホール)
第1夜の、肘打ちでもやってるように激しい『熱情』も忘れられないけど、ヴェートーベン後期のピアノソナタ30,31,32を演奏したこの夜が4日間のコンサートの中でもベストだった。
客席ではすすり泣いてる人も居たくらい、どの曲も最後の楽章が感動的だった。突き刺すような音色が徐々に淡々とした川の流れに変わっていくような演奏。人生の最後に心の平安に辿り着くってこういうことなのか、とつくづく思った。果たしてボクはこういう境地に辿り着けるだろうか?
●第1夜のポリーニ御大。もっと先を見せてください

                                                      
2位.『SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者 公開記念LIVE/VOL.2! さよなら、SHO-GUNG。』(5/15、新宿ロフト)
映画『サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者』に登場する架空のグループ、SHO-GUNGのライブ。と言うより、歌舞伎町の地下に集まって夜中まで好き勝手に騒ぐパーティ(笑)。写真も動画も撮り放題、騒ぎ放題。ただ一つだけ言えるのは出演者も観客も、映画と音楽が大好きってこと。『まだ 声だしてんぞ』という啓示をもらった感動の一夜。どうか、ボクにも言わせてくれ。:SRサイタマノラッパー『ロードサイドの逃亡者』公開記念LIVE@新宿ロフト - 特別な1日(Una Giornata Particolare)


                                                                             

1位.7.29脱原発国会大包囲
延べ20万人近く集まった抗議活動も終盤になった夜7時半頃 厳重な警備の網に穴が開いて、国会前の路上に見る見るうちに人々があふれ出した。その瞬間はまるで、川の流れが堤防を押し流すかのようだった。いったん動き出した何万人かの人の波は誰にも止めることができない。
いつの間にか人ごみの真ん中で『怒りのドラム隊(どこかの助教授がやってる抗議グループ)のドラムとトランペットの演奏が始まる。リズムにあわせて人々は踊ったり、拳をあげたり、ひまわりを振ったりしながら、原発反対の声を挙げていた。若い子も年配の人も壮年の人も、多くの人の表情が綻んでいる。これが本当のライブなんだよ!ほんの30分か1時間かもしれないが、法律も警察も関係ない、文字通りの解放区というものが世の中に出来てしまったこんな光景をこの眼で見るとは、ボクは夢にも思わなかった閉塞感に溢れた日本にも希望はある、その可能性を感じた瞬間だった。『特別な夜』のできごと:7.29脱原発国会大包囲 - 特別な1日(Una Giornata Particolare)
●ヘリから見た光景。路上に溢れる人、人。【(cc)Ryuichi HIROKAWA】

●下ではみんなで大騒ぎ(笑)。楽しかった〜。



                                                                              
番外編:STRAIGHT OUTTA 138 FEAT. ECD田我流
一昨年の傑作映画『サウダーヂ』で主演した、山梨県一宮町(つまり138)で活動するラッパー、田我流のCD『B級映画のように2』の中の一曲。

B級映画のように2

B級映画のように2

痛烈なライム(歌詞)が炸裂するこの曲は反原発デモでも使われた。これくらいのことが言えなけりゃ、ポピュラーミュージックなんか存在価値がないよ!

                              
黙ったまんまじゃ殺される、国が人の住めない土地に変えたんだ
無能なテメエラ好きにさせていた、昨日のてめえじゃ単なるHATER
人が死ぬのを判っててやめない、反対すると非国民扱い
なんかに似てる、とにかく狂ってる!
67年前のボロ負けで終わったはずのあの戦争を
続けたかったやつらの夢、それが原発だ、間違いねえ。
だからもう、とっくの時代遅れ
言うこときかせる番だ俺たちが。言うこと言うこと言うこと言うこときかせる番だ俺たちが。

                          
こういうのって年の初めにふさわしいフレーズじゃないですか(笑)。しかも韻を踏んでいる(笑)。
今年もよろしくお願いいたします。