特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『政経よもやま話とミニ読書感想:自民党ひとり良識派』と『BABYMETAL@東京ドーム』、それに『0923再稼働反対!首相官邸前抗議』

今週になって急に、季節の変わる足音が速まったかのように気温も下がり、長雨が続いています。もう9月も半ばを過ぎ、お節料理の案内が届きました、買ったことないけど(笑)。時の流れの速さにはびっくりですよ。

                                
今週21日の日銀の金融政策決定会合で行われた『総括検証』、経済界では多くの人が注目していました。内容は支離滅裂というか、ある意味 良かったというか(笑)。『日銀はガダルカナルとミッドウェイを一緒にやる、と言っている』と匿名でつぶやいている新聞記者が居ましたけど、ボクはそれが一番 腑に落ちました。
●今回の日銀の金融緩和総括と決定


日銀、緩和の長期化視野 誘導目標に長短金利 総括検証で新枠組み :日本経済新聞

日銀はまず、金融緩和について、こう総括しています。
『物価目標は外部環境悪化と消費増税で達成できなかった』、『金利低下は銀行や年金基金にマイナスをもたらした』、『インフレ期待を形成するには時間がかかる』。
つまり自分たちは悪くない。環境が悪かったし、まだこれからだ、ということです(笑)。
                     
で、決定内容は『金融緩和は続けるが量的なものから質的なものに変える』、『長期金利はマイナスにならないよう国債でコントロールする』、『マイナス金利は据え置き』、『物価上昇率が2%を安定的に超えるまで緩和を続ける。』
これを要約すると、『今までの金融緩和は続けられそうもないけど(もうすぐ買える国債が底をつくから)、金融緩和という看板は変えません(笑)』、『マイナス金利はやめないけど、金利は今より上げるようにします』

判りやすく言うと『これ以上 日銀に積極的にできることはありません』ってことです(笑)。

                                     
その通りです。だけど、急に金融緩和を止めるとかいうと株が下がったり、大騒ぎになりますから、適当なことを言って市場をごまかすしかない ってことでしょう。円安にするために日銀が外債を買うと言う話もあったようですが、それはさすがに思いとどまった(笑)。
金融緩和の面でもアベノミクスはどんどん手詰まりになってきています。言わんこっちゃないって感じなんですが。


この前 定期的に話を聞いている大臣の元政策秘書氏に会いました。色々話を聞いたのですが、官邸は今 衆議院選挙のタイミングを2パターン、考えているそうです。
1つは年末のプーチン来日で何か成果が出た時は年末〜年始に解散。今日 産経が報じた、菅官房長官北方領土二島返還を否定したニュースなんか、まさに観測気球ですよね(笑)。もちろん1島でも2島でも部分返還じゃなければ、ロシアと交渉なんて出来るわけありません。

ロシアのアジア・シベリア地区の医療改善というカードを交渉材料にしたのは外務省も頭を絞ったと思います。あとはアメリカ様が何というか(笑)。

もう一つの選挙のタイミングは尖閣など国境問題で何か問題が生じた時。その際は憲法改正を争点にして選挙に打って出るそうです。今の日本人の空気、また野党や反対運動のだらしない体たらくを考えると正面突破も成算がありそうですよね。


                                       
自民党は、『今 何が国民に興味があるか』、『どんなことを言うとウケて、どんなことを言うとネガティヴイメージになるか』、業者に調べさせたネットの分析結果を毎朝 党内でブリーフィングしているそうです。良くも悪くも国民の意向をすごく気にしていますよね。そういう意味で、現状のままでは野党はまったく勝負にならないと思いました。
政策秘書氏曰く、民進党は「原発」、「沖縄」、「(再分配を実行する為の)財源」について党内でコンセンサスが取れない、という致命的な弱点がある』そうです。確かに原発は連合(電力総連)の問題があるし、沖縄は辺野古移設容認。財源だけは井出慶大教授の『ユニバーサル・サービス=皆から所得に応じて取った税で皆に再分配する』が党内で影響力を持ってきたので何とかなるかもしれませんが。
                                      
それ以前に、重要ポストは野田幹事長など身内で固め、枝野氏や山尾氏が外れたり降格した今回の党内人事を見ていると党内がまとまるどころか、国民の意見を聞くことが出来そうな体制にも見えません。まして民進党が選挙のことを真剣に考えているようにはみえませんよね!
政治家の発言を聞いていると与野党とも大きな差はあまり感じられないのですが、党の体制や事務局の段階で与野党には大きな差がある、のが現実のようです。
市民連合の中野上智大教授のtweet


                         
●ミニ読書感想:『自民党ひとり良識派
書名の通り、秘密保護法も安保法案も絶対反対、原発再稼働慎重派村上誠一郎参院議員は、今や自民党の良心にすら見えます。河本敏夫の秘書から政治家人生を始めた彼は小泉内閣の規制改革担当大臣でしたが、小泉の説得に負けて郵政選挙を阻止できなかった後悔が今の行動につながっているそうです。この本によると、彼と同じ考えの議員は自民党内に大勢いるけれど、それを阻害しているのは小選挙区制と派閥解消。かっては盛んだった党内での議論や切磋琢磨する姿勢を封じ込め、党中央の顔色を見ることに政治家が一生懸命になってしまっているそうです。派閥解消はともかく、小選挙区制は国民の側がもっと真剣に考え直さなくてはいけない問題だと思います。

                              

さてさて!今週の火曜日は大雨の中、東京ドームへ行ってきました。
BABYMETAL @東京ドーム、正式名は、BABYMETAL WORLD TOUR 2016 ''LEGEND''  METAL RESISTANCE @Tokyo Dome BLACK NIGHT
名前が長い(笑)。ま、ネットで感想がわーと出ていますのでボクは簡単に。自民党山本一太のバカまで便乗して騒いでいるようですが、参議院衆議院の違いも判らないようなバカはこういう高尚なことに首を突っ込まなくていいから!(笑)。お前は安倍晋三twitterの代筆だけやってろって(笑)。

4月から続けてきたワールドツアー、米英仏など8か国で22公演、45万人動員だそうです。観客が数万人単位のロックフェスがいくつも含まれているからでしょうけど、日本人の海外公演としてはかってない規模であることは間違いありません。ツアーファイナルの東京ドームは月、火2日間の公演で観客は併せて11万人。外人も結構見かけました。Perfumeだとアジア系が多いですが、こちらは白人が多い。初日には集まってきた外人目当てにテレビ東京の番組『Youは何しに日本へ』のロケも行われていたそうです。
                           
開演前にMCなし、アンコールなしと告知されます。いいですね。その後 中央から3方向に伸びた花道の端部に十字架に磔にされたSU-METAL、MOA-METAL、YUI-METALの3人が登場して、ステージは始まりました。『BABYMETAL DEATH』です(笑)。
●会場の様子

                        
数年前にBABYMETALを始めて聞いたときは冗談だと思ってました。まだ生バンドが入る前で12,3歳の子供がメタルで踊るキワモノと思ってたんです。ところが今年 NHKのスタジオライブの1時間番組を見て、認識が全く変わりました。イギリスのレディングフェスに出演したり、レディ・ガガに抜擢されてアメリカのライブで彼女の前座をやるなど海外で評価されていたのは知ってましたが、バンドと一緒のライブ演奏を見て、カッコ良いのでびっくりしたんです。


資本主義の限界を指摘した経済学者、シュンペーター先生は『イノベーションとは新たな要素の組み合わせである』(新結合)と定義しています。ボクが政治や経済などのネタに、必ずPerfumeやBABYMETALなどのネタをぶっこむのも新結合を狙ってやっているのです(笑)。
それはともかく(笑)、以前『Perfumeはテクノ+ダンス+当人たちの性格の良さを組み合わせた日本独自のイノベーション』と書いたことがありますが、BABYMETALは『メタルとJ-POPとダンスを組み合わせた、世界中誰もやっていないイノベーション』です。ボクはメタルなんか大嫌いですが(一部のマニア以外にとってはほぼ終わっている音楽)、この子たちはメタルに違う要素を組み合わせてまったく新しいものを作ってしまった。音楽的には様々な要素が入り混じっています。メタル/ハードロックだけでなく、スラッシュ、ジャングル、インダストリアル、ユーロビートなど比較的新しい要素、ジェームス・ブラウンなどのトラディショナルな要素、それに歌謡曲っぽい親しみやすいメロディ。音楽的には日本人は誰も知らないでしょうけど『ミート・ローフ』に近い(この話を始めると長くなるのでやめます)。『セイヤ』、『それ、それ、それ』と言った日本風の合いの手や『バンバン、ババン』と昔のドリフまで援用されます(笑)。
もう一回云いますけど、メタルなんてクラシックのオーケストラと同じで様式美だけで、もう終わった音楽、だと思います。マヌケな長髪のデブなんて要らないでしょ(笑)。メタルの早弾きなんてバカじゃないの?と思います。だけど、この子たちは自分たちのダンスをメタルの早弾きにシンクロさせることで新たな命を吹き込んでいるんです。ダンスと言うフィジカルな要素が早弾きにシンクロしたら、そりゃあ、感動しますよ。理屈抜きに凄いもん。
ちなみにダンスの振り付けはPerfumeと同じMIKIKO先生(笑)。この人はリオの閉会式の演出も担当しました。それでなくともPerfumeとBABYMETAL、事務所も同じだし、VOCALのSU-METALもPerfumeの3人と同じ広島アクターズスクール出身など、やたらと共通点があります。
●左からMOAMETAL、SUMETAL、YUIMETAL

生演奏になって3年くらい経つようですけど、この日初めて聞いたバンドの生演奏はマジでうまい。それも日本のバンドとは思えないくらい、ベースとドラムスがちゃんとしてる。音楽として普通に良いです。重低音が心地良くて、聞いている側は自然と体が動きます。
広い会場でボクの席からは彼女たちが背中を見せる機会が多かったのは残念だったんですが、ダンスも激しくて、尚且つキレがいいのが判る。スピードが速いだけでなく、DANCE&CHANT担当のYUIちゃん、MOAちゃんの動きがシンクロしています。初めて見た時、君たちは運慶・快慶の仁王様か、と思ったくらいですが(笑)、ツインテールの揺れ方まで一緒です。

                                       
この子たちはまだ17、18歳ですけど、パフォーマンスをしている姿を見ていると『ロックを判ってるなあ』と思います。やたらとキレのいいダンスや説得力のある歌声だけでなく、この子たちの表情を見ていると『良い音楽から自分が喜びを感じて、それを懸命に他に伝えようとしている』のが判るんです。良い演奏からグルーヴが生じて、パフォーマンスする側もそれを感じて歌やダンスに反映し、さらにバンドの側にもフィードバックされてグルーヴが更に増幅されていくまさに弁証法です(笑)。日本のバンドでそれをやっているというのは中々ない。ボクの好きな『相対性理論』や『ムーンライダーズ』は曲や演奏は勿論もっとカッコいいですが、歌やダンスではこの子たちに全くかないません(笑)。


SUMETALちゃんの声が途中からどんどん伸びてきました。メタルで良くある、喉を傷めるような発声はセーブしつつ(そこはかなり訓練されているようです)、たくましいアルトの声が響いてきます。会場の広さやバンドの重低音にも負けないどころか、この日の中盤以降は声の力が満ち溢れているかの様でした。しかも、あれだけ激しく踊りながらですよ! こんなに歌える子だったんだ。ロックバンドの女性歌手として普通に世界に通用するレベル、それもかなりいい線言ってるんじゃないでしょうか。昔のメタル/ハードロックで言えば『ハート』のアン・ウィルソンとかジョーン・ジェットなんか全くメじゃない。5万人の前でアカペラやピアノ伴奏の音だけで独りで歌って、全く臆することのない18歳、多くの人が言うように、この人にはカリスマすら感じます。確かにSU様と言いたくなります。中盤のロック・バラード、『NO RAIN NO RAINBOW』はマジで感動しました。腹筋をコントロールしながら歌っているのが、ボクの席からも判りましたからね。ロバート・パーマーかと思いましたよ(笑)。


最後の『イジメ、ダメ、ゼッタイ』の間奏時には入場時に観客に渡されたコルセットにLEDの赤い灯が灯りました。ドームに幻想的な風景が広がります。5万5千個の端末を無線でコントロールしているのです。今 世の中で話題のIoTInternet Of Thing)が早くも活用されています。

*写真はBABYMETAL東京ドームライブ映像、全国5会場で上映会開催 - 音楽ナタリー
「BABYMETAL WORLD TOUR 2016 LEGEND -METAL RESISTANCE- BLACK NIGHT」の様子。(Photo by MIYAAKI Shingo) [画像ギャラリー 1/11] - 音楽ナタリー                                                                
説得力のあるヴォーカルとユーモラスなチャント(合いの手)、激しいダンス、上手い演奏、キツネ様に召喚されたというギミック、この組み合わせは素晴らしいイノヴェーションだと思います。尚且つ、演奏が終わった途端 強面のゴシックメイクの3人が素の笑顔を見せるのにも正直 やられてしまいました(笑)。歌っているときは神々しかったSU-METALちゃんが花道で転んでいたのも満場の笑いを誘いました。
曲は両日被らないようにしていたそうでこの日の演奏時間は1時間20分くらいでしょうか。ちょっと短いけど、演奏もパフォーマンスも良かったので納得です。
                                                                                 
ワールドツアーはこれでファイナルということですが、この後 レッド・ホット・チリペッパーズのイギリスツアーの前座を務めるのが決まっています。日本人で海外に通用している歌手はBABYMETALPerfumeきゃりーぱみゅぱみゅ、と女性ばかりです。どれも自分たちならではの独自性を発揮して、イノベーションを実現している人たちです。この人達を始めてみた時、多くの人が、これは冗談ではないか(笑)と思ったはずです。少しくらいの音楽では驚かないボクですら、最初はそう思いましたもん(笑)。でも世界に通用するのは結局そういう人たちです。なおかつ彼女らが素晴らしいのはマドンナやデボラ・ハリー(ブロンディ)のようにセックスシンボル的な売り方ではなく、自分たちの個性や独自性で勝負しているところ。フェミニズム的に言えば、セックスを売り物にしていない。ヒラリーの言葉を借りると、彼女たちはガラスの天井を簡単にぶち破っている、しかも意識しないで(笑)。

                                                    
結局 世界に通用するイノベーションを実践しているのは若い女の子たち(と周りの優秀なスタッフ)、この事実は閉塞感に覆われた今の日本を象徴しているし、日本の現状を打開する鍵の1つがそこにあると思います。



               
                                         
ということで、今週も官邸前へ

今日の東京も1日中 雨だったのですが、抗議が始まると雨は奇跡的に?止みました。今日の参加者は750人です。
                                                   
●抗議風景


                             
政府はもんじゅの継続は諦めたようですが(やりたきゃ敦賀市のカネでやれって)、経産省は福島の廃炉費用を電力料金に載せようとしているようです。http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201609/CK2016092102000113.html
廃炉や賠償の費用が膨らむ一方だから、ということですが、何とも理不尽な話です。原発の費用が安い、と言っていた連中はこれをどう言い訳するんでしょうか。
日本と言う社会、特に政治家や役人のやることは資本主義、自由主義の原則すら簡単に踏み越えます。金融緩和で日銀やGPIFが多くの企業で筆頭株主になってしまったのもそうです。今 一部上場企業の4分の1が公的マネーが筆頭株主だそうです4社に1社、公的マネーが筆頭株主 東証1部 :日本経済新聞これってマジで社会主義、中国みたいに国営企業をガバガバ作るのかって。
●抗議風景2

                                           
今回の件もまさにその典型です。以前 ベトナム共産党の役人が『我々は60年代の日本を目指している』と言っているのを聞いたことがあるんですが、政府や役人の都合が良いところだけ日本は社会主義共産主義なんですね(笑)。
経産省廃炉費用を上乗せしようとしている新電力に、仮にアメリカ資本の会社があったらどうでしょうか絶対通りませんよね(笑)。もしこれがTPPの対象だったら、まさにISDS条項で訴えられますよ(笑)。残念ながら日本はまだまだ資本主義や自由主義が根付いていない。90年代以降 土木工事の談合やわいろ、口利きなどの不透明な商取引はアメリカなどの外国企業が日本市場に参入してきたからこそ、改善してきました。外国資本がもっと入ってきた方が社会の透明性は改善するし、国民の利益が増える面も大きい、と思うんです。
要するに日本人だけで凝り固まるとロクなことをしない(笑)。日本は海外と広く交流し文化を取り入れることで栄えてきました。新しい物も作ってきました。BABYMETALやPerfumeが良い例です!(笑)。過去の歴史を振り返っても、これは真理だし、このことはTPPにヒステリックな反対をしている人たちの多くにとって盲点でもあります。
●BBCによる世界のリーダー比較(移民への寛容度):左側が国境はオープンに、右側は要塞国家。安倍晋三はトランプより閉鎖的(笑)。US election: Hillary Clinton and Donald Trump compared to world leaders - BBC News