特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『グロバリゼーションの中のアイドル論』と『情緒と言う名の暴力』:★0711 再稼働反対!首相官邸前抗議!

台風一過の東京は抜けるような青空。被害があった地域はお気の毒だが、今日の東京は驚くくらい何もなかった。空っぽの空にむせ返るような暑さが詰め込まれたような1日だった。


今日の午後 届いた日経ビジネスの最新号、表紙が『きゃりーぱみゅぱみゅ』で、さすがにびっくりした。デビュー当初から彼女は海外でバカ受けだが、最新アルバムは15か国同時発売。NYで一番有名な日本人は大人では田中という野球選手だそうだが、子供の間ではきゃりーちゃんだそうだ。ボクもきゃりーちゃんはデビューの時から好きだ。曲もダンスも面白いし、『かわいい』もん。
●きゃりーちゃんの新譜

ヘビメタ+ゴスロリ+アイドルと言うベイビーメタルレディ・ガガに呼ばれてアメリカで5公演の前座をやるという話もびっくりしたがBABYMETAL、レディー・ガガ米国ツアー参加&ワンマンも - 音楽ナタリー、ボクの愛する(笑)Perfumeも今秋から2回目のワールドツアーを回るそうだ。きゃりーちゃんもPerfumeも(どちらも音楽面での作者は中田ヤスタカ)、音楽もビジュアルも世界のどこにもない強烈な個性があるから海外進出は当然の話だろう。
●ベイビーメタル:コンセプトは素晴らしいが- - -

                              
昨年は一人でアベノミクス批判をやっていた感のある慶応ビジネススクールの准教授 小幡績が面白いことを言っていた。

Perfumeは愛を生み出し、AKB48は愛を刈り取り、きゃりーは愛を表現する。

あたかも、窯で焼きものを焼き、陶器の色を出すように、何が起こるか分からない状況の中で、生まれた偶然の産物がPerfumeの成功要因だ。イノベーションは、戦略では生まれず、組織マネジメントでも創れない。マーケティングでは革命は起きず、生産管理ではない。イノベーションは、自然と偶然からしか生まれず、窯の焼き物と同じ窯変のように生まれる。 http://ryutsuu.biz/topix/g070125.html


やっていることは今と本質的に変わっていないのに全然売れなかった下積みからイノヴェーションを生み出して成長していったPerfumeの物語は彼女たちとスタッフとファンの、まさに愛の物語だ。それにAKBの金儲けも、きゃりーちゃんのパフォーマーとしての完成度の高さも、この言葉はうまく表現していると思う。実際 小績はそれぞれのファンクラブに入り、ライブへも通ったそうだ。

日本企業はたとえていえば、Perfumeに近い、自社を愛し、儲ける気がなく、素晴らしい。しかし、持続可能なのか、競争に巻き込まれた時はどうなるのか。AKB48は、愛を利益に変えた。当然のことを堂々とした。利益最優先で日本企業に一番、足りないものを持っている。きゃりーは、PerfumeAKB48の融合系。日本企業でも実現可能性が高いモデルとなる。いい製品を作る点では、コンテンツがあり、コンテンツ、中身で勝負する。同時に移植可能性を考える。コンテンツ、中身をいかしつつ、売り方、魅せ方を考える点が学べるのではないか。


                            
Perfumeはそのイノヴェーティヴなところから言っても、明らかに大多数の日本企業とは違うと思うけど、AKBやきゃりーちゃんについてはその通りではないか。

             
                                                  
ボクは日本なんかどうでもいいと思っているが、Perfumeやきゃりーちゃんが活躍してくれるのは素直に嬉しい(ネタ切れが心配だが)。彼女たちが日本人だから、ではなく、日本人もやればできるということを二十歳そこそこの娘っこたちが示してくれているからだ。
                                                                                  
                                      
今や日本のどんな田舎でもグローバリゼーションの影響は隅々まで及んでいるように見える。家電だって洋服だって食べ物だって殆どが海外製品だ。勤労者の給与が段々と下がっていくのも、世の中の格差が広がっていくのも、競争がグローバル化していることの影響は無視できない。だが、そこでグローバリゼーションを止めろと言っても無理な話だ。日本は資源を輸入しなければ生きていけないし、そもそも日本人だけだと偏狭になってロクなことを考えない(笑)。

                                   
だが、きゃりーちゃんやPerfumeのように、視野を広く持って自分の頭で考えて個性を出していけば、なんとかなる他人との違いを戦略的に作っていくんだよ。それは凡人の生き方にも企業経営にも地方の過疎対策にも参考になる真実だと思う。ボクは彼女たちよりはるかに年上だけど、勉強させてもらってます(笑)。
●メジャーデビュー当時のPerfume。完成度は今と全く変わらない



さて、今週 号泣記者会見で大騒ぎになった兵庫県議の話は確かにひどかった(笑)。あれで集団的自衛権のニュースが吹き飛ばされたのも酷かったし、あのインパクトの強さはテレビに出てくるような芸人は真っ青だろ(笑)。だが、あの『志がぁ〜』、『改革がぁ〜』と泣きながら絶叫する会見自体は失敗したとは言え(笑)、日本でよくみられる『理屈より、情に訴える』典型的なパターンの一つのように思える。

                                     
安倍晋三集団的自衛権の記者会見を見て、意味が分かった人はあまりいないと思う(笑)。『我が国を守るため』をやたらと強調していたが、なんで外国まで自衛隊を派遣するのか、(物理的に不可能な)日本上空を通過する弾道ミサイルをどうやって撃ち落とすのか、なんで一内閣が勝手に憲法解釈を変えられるのか、年寄と子供の絵を大きく書いたプラカードを抱えた安倍晋三の会見を見て理解できるのは超能力者だけだろう(笑)。だいたい北朝鮮か中国がアメリカにミサイル撃ち込むんなら、同時に日本へ、特に原発を狙って撃ってくるに決まってるだろ他国のことを心配している場合かって(笑)。
                                              
記号論的に解釈すると、あの記者会見で安倍晋三は『日本を守りたい』と情緒的に述べただけで内容は無い(笑)。もっと簡単に言うと『私らしく』(笑)とか『愛』とか『奇跡』とか『桜』とか、よくわからない単語を羅列するだけのJ-POPの歌詞とさして変わるところがない(笑)。セクハラ・うそつきの鈴木章弘東京都議の弁明記者会見のほうが口だけでも『ごめんなさい』と言ってるだけ、まだマシに見えるくらいだ。
      
                                                     
もちろん情緒的なものは世の中を動かす非常に大きな要素ではある。だけど情緒は往々にして人間を視野偏狭にする。他国を貶めることばかりのナショナリズムヘイトスピーチは殆どが情緒で出来ているだろう。かってのイラク人質事件への醜いバッシングも情緒が引き起こしたものだ。論理が万能とは思わないが、狭い範囲でしか通じない情緒というものを乗り越え論理でより多くの人を説得しようとするからこそ、人間は人間でありえるのだ。要するに安倍晋三人間失格なんだよ(笑)。


これは安倍晋三に限ったことではない。シュプレヒコールくらいならいいけど、『平和を守れ』とか『命が大事』とか当たり前のこと、それだけをスピーチで連呼されるとボクはガックリくる。いつも言っているように安倍晋三だって自分から戦争をしようとは思ってないだろうし(たぶん)、電力会社の社員も原発立地の住人も命が大事じゃないと思ってる人はいないだろう(笑)。戦争だって原発事故だって愚かな行動の積み重ねでニッチもサッチもいかなくなって起きるのだ。つまり どうやって平和を守るのか、命は大事だけど雇用やお金はどうするのか、ということを考え、議論して、初めてそういうシュプレヒコールやスローガンが意味を持つ。チミたちは、電力会社の言ってることを真に受けて 原発安全神話を信じてたのを忘れたのかって(笑)。

                      
                                  
新宿で集団的自衛権に抗議してガソリンを被った人がいたようだけど、あれもボクは情緒的だし暴力的な行為でさえあると思う。自分の主張を広めるのには確かにインパクトもあるし、鮮烈な宣伝方法ではある。ガンジーの例を見るまでもなく宣伝は大事だ。だけど一応は言論の自由がある日本で行う行為としてはファナティックだし、暴力的であることは否めない。それこそ、命が大事!だろ(笑)。南ベトナム政府に抗議して焼身自殺した僧侶のことを引き合いに出す輩もいるが、言論の自由がない軍事政権下であれをやるのと、今の日本でやるのとは全く意味が異なる亡くなった僧侶に失礼だよ(怒)

●そのベトナムの僧侶の写真を使ったレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのデビューアルバム。彼らみたいに株取引中のウォール街へ突っ込んで轟音演奏する手法なら理解できる(笑)

レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン

レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン


新宿でガソリンを被った男はどんな人か知らないが、命は助かったようだし、それは良かったと思う。ボクは彼と同じように集団的自衛権は反対だ。だが彼の主張の仕方には全く賛成できない。彼の行為は集団的自衛権に反対する人たちのイメージダウンにもなるだろうし、それ以前に命の価値を考えない愚かな行為だ。ちなみにこうやって書くと彼を酷薄に批判していると取られるかもしれないが、そうではない。意見や行為を批判するのと個人を批判するのとは全くの別ものだ。子供じゃないんだから(笑)それくらいの区別はつけろって。そういう議論のやり方とか論理的な考え方とか外国では小学生のころから仕込まれている基本的なことを教えるのが、安倍がひっちゃきになってる教育制度見直しでやるべきことだ(笑)。安っぽい情緒を訴えることしかしない安倍晋三は小学校からやり直せ。

                                

                                    
あの事件を海外のマスコミが『いまだに野蛮な日本』として大きく報じるのはわかるけど、日本のマスコミがあまり報じなかったのは正解だと思う(実際の意図は知らないが)。情緒的な手法で強引に自分の主張を広めようというのはある種の暴力だし、ボクはそんなものには同調したくない。
                           
どうせ自分の意見を主張するなら、こういう風にスマートにいきたいものだ。
加賀まりこ NHKスタジオパーク出演で『戦争も原発もいらない』と発言

http://matome.naver.jp/odai/2140497039680084001

生放送でやられてNHKはさぞ、ビビっただろう(笑)。ま、筋金入りのこの人にしかできないことかもしれないが(笑)。さすが〜。そういえば、この人もアイドルだな(笑)。



ということで、台風明けの官邸前へ★1116再稼働反対!首相官邸前抗議 | 首都圏反原発連合

日中の晴れ渡った空はどこへやら、官邸前へ着くころには雨が降り出した。それもなかなか激しい夕立だ。今日の参加者は官邸前で1000人ちょっと、国会前は500人ちょっと、併せて1500人超くらいか(主催者発表1900人)。こんな天気なのによく大勢集まったと思うよ。
●抗議風景。







●雨除けを付けたスピーカー。来週に備えて、反原連の人たちはあとで機材を拭くだけでも大変らしい(2枚目。反原連のツイートより)。ありがとう。


                                  
抗議が始まって少ししたら、何やら演歌だか軍歌だかの音が聞こえてきた。罵声みたいなものも聞こえるから友好的な感じはしない(笑)。ボクのところからは見えないけれど、どうやら右翼らしきものが来たらしい。これは3年間で初めてだけど、今までよく来なかったと少し感心した。
『相手にしないでください』と反原連の人がマイクで知らせるが、当然 こちらの抗議の声はもっと大きくなる(笑)。ボクも珍しく大声出しちゃったよ。だけど雨が激しくなってくるとすぐ雑音は聞こえなくなった。とっとと居なくなったらしい。結局 誰かからカネ貰ってやってる連中と自分の意志でやってる人たちとの違いだな。こっちはカネをもらってんじゃなくて、毎週 自分からカネ(カンパ)を払ってやってるんだよ。根性が違うわ、ば〜か。
*あ、根性も所詮は情緒か(笑)                   
●『希望の牧場』の人たち。何時間かかるか知らないけど、彼らは福島から来ている。

●国会前。反原連のミサオ・レッドウルフ氏


                                                                                                    
久しぶりにミサオ氏のスピーチを聞いた。『当初夏に予定していた川内原発の再稼働はどんどん遅れている。原発なしの夏を過ごすということだけでも、今後につながる大きな実績だと思う。これからも諦めずに反対の声=ノイズを挙げていきましょう』という感じだった。確かにそのとおりだ。それだけでなく、なかなか有効な手が打てないという彼女の苦渋とそれでも希望を持ち続けようという気持ちが伝わってきた。
帰る頃には大雨も上がった。情緒に溺れるのはごめんだけど、事実を直視さえしていれば、物事を楽観的に考えることは悪くないよ。