特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『高プロの実態』と読書『スマート・ジャパンへの提言』、それに『0525再稼働反対!首相官邸前抗議』+『#0525高プロ反対国会前連続抗議行動 』

寒かったり、暑かったり、極端なお天気が続いています。
これだけ変化が激しいと体調が思わしくない方もいらっしゃるかもしれません。これから梅雨もあるし、暑さも本番になるでしょうし、皆様、どうかご自愛ください。
●雨上がり、眩しい朝陽を浴びるアジサイ


相変らず、国会のほうも酷いですね。
高プロの問題も労働時間上限規制も同一労働同一賃金もまともな議論が行われていません。もちろん、森友や加計、文書改竄に国会での偽証言もまったく決着がついてない。ただ、安倍晋三や麻生が図々しく居座っているだけです。

モリカケの問題も公的文書改竄も防衛省の日報も、それに日大(笑)も、また現代のブラック企業東芝粉飾決算も、かっての旧日本軍の特攻やインパール作戦上層部が無謀な指示をして部下に犠牲を強要、いざとなったら知らんぷり、という点では全く共通しています。高校生を酷暑の中で大人たちの都合で酷使する甲子園もそうですよね。


全員とは言いませんが、多くの日本人はこういう無責任体質があるのだと思います。安倍晋三や麻生だけの問題ではないと思う。ブラック企業や甲子園や日大アメフトのようなブラック・スポーツが跡を絶たないのも、日本人はそういうのが好きからですよ。甲子園の中継を喜んでみているような日本人が大勢いる限り、日本には民主主義はありえない。普段から思っていたことがまた、改めて証明されてしまったなーと思っています。
●こういう考え方もない訳ではないとは思います。大事なのは日本は人権後進国っていう現実を認めること。



さて高プロの話です。確かに当面の対象は1075万以上、職種制限があるので、最初は実害は大きくないでしょう。

【図解・行政】「働き方」法案の主な内容(2018年5月):時事ドットコム


でも年収400万以上という経団連のもくろみ通り、将来 対象が広がる可能性は高い。派遣社員だってそうだったじゃないですか。ちなみに今週 社員の平均年収が1000万以上(笑)の某コンサル会社の人事部の人間とこの件を議論しましたが、彼も『これは体のいい人件費引き下げでしょう』という意見でした。ボクの勤務先とは違い(笑)、彼らのような高年収の会社だと給与に『みなし』の残業代が含まれていることが多いです。営業手当とかよくあるでしょう。残業代なしで働かせ放題の高プロはその分の手当てをカットすることが可能になります。
まして年収400万以上の人間まで広がったら労働者の半分近くが高プロの対象になる。高プロは残業代なし、労働時間ほぼフリーの働かせ放題。


しかも国会に出された労働時間のデータは精査後の今日も間違いが発見される始末です。これで委員会で強行採決をしようというのですから、空いた口がふさがりません。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180525-00000050-jij-pol


高プロアメリカの要請、という話もあります。ボクは一部の左巻きの皆さんの陰謀論みたいに何でもかんでもアメリカのせいにする発想は大嫌いです。でも、2006年12月に在日米国商工会議所(ACCJが日本政府にそのような制度を作るよう申し入れたのは事実のようです。


米国のいいなり 自国の働く人捨てる日本の愚行 (3ページ目):日経ビジネスオンライン


このことはボクも記事を読むまで知らなかったのですが、具体的にはACCJはこんな申し入れをしているそうです。彼らは安倍晋三のように理屈も通じないバカではありません。
・効率性・能力・生産性に優れた労働者が、能力の劣る者より高い報酬を得られる仕組みは、海外投資家にとって競争力のある魅力的な市場となる
・労働時間規制の適用除外労働者に対する深夜業の割増賃金の廃止を要請する
・深夜業の割増賃金制度は、現代のホワイトカラー労働者の働き方に適さず、労働コストの上昇を招くだけ


ホワイトカラー・エグゼンプション制度を批判する者は、過労死を助長しかねないと主張している。しかしながら、ACCJはむしろ、日本の現行制度に基づき労働時間規制の対象となっているホワイトカラー労働者から、より効果的に、より生産的に働く意欲を引き出すことができるのではないかと考えている。労働者の健康と安全については別に規制が行われており、日本の各企業の健康・労働安全保護のための制度に従って使用者による運用に委ねられるべきである。


翌月さっそく当時の首相の安倍晋三柳沢厚労相はその必要性を説き始めたそうです。現実にはアメリカの申し入れと言うだけでなく、かねてからホワイトカラー・エグゼンプションを要望していた経団連などがこれを利用したという面も大きい、とは思います。


アメリカのように職務がはっきり定義されている職務給で雇用も流動化されている国だったら、こういう制度も判らないでもありません。しかし、日本は職務すらはっきり定義されてない職能給制度ですから、成果に応じた働き方と言っても、その成果だって定義できないじゃありませんか。そうすると経営側がやりたい放題になるのは目に見えています。
しかも経営側だって人件費を削ればいいと思ってしまうから、肝心の経営戦略やビジネスモデルをどうするかを考えるのがおろそかになる経営者も増えるでしょう。労働者にとっても経営者にとっても良いことないんです。人件費を削って、競争に勝とうなんて時代遅れ、20世紀の考え方です。

ちなみに今まで何度も書いてますが、かの郵政民営化は日本政府が在日米国商工会議所の申し入れに応じたものです。ボクが出席した講演会で、満座の人たちを前に当時のACCJ代表(アフラックの会長)が『私たちが日本政府にお願いしました。皆さんもより良い保険に入れるようになります。』と言ってました。在日米国商工会議所はそれくらい力があります。


実態調査すらまともにせず、議論もまともにせず、日本政府はこんな制度を入れようというのです。これはアメリカが悪いんじゃないですよ。日本政府が悪いんです。それを多くの国民も黙っているうーん、ばかじゃないの(笑)。やっぱりバカは●なきゃ治らないか(笑)。ボクはたぶん、逃げ切れるからいいですけどね。





と、いうことで、読書の感想です。発売されたばかり、ジェレミー・リフキン氏の『スマート・ジャパンへの提言―日本は限界費用ゼロ社会へ備えよ

著者はEUメルケル首相のアドバイザーとして名高い学者・作家です。『限界費用ゼロ社会』などのベストセラ―があります。


個人的には今迄ノーマークだったんですが、昨年10月に来日した際の講演を聞いて、すごいことを言っている人だ、と思いました『#国難来たる』と『J・リフキン氏の講演(デジタル化で資本主義は終わる)』、それに『安倍政権NO!☆1005銀座大行進』&『1006再稼働反対!首相官邸前抗議』 - 特別な1日(Una Giornata Particolare)


この本はその来日時の講演、講演を企画した野村総研の此本社長との対談、元岩手県知事&元総務相増田寛也との対談、それに日本向けの提言などで構成されています。


内容は以前にも書きましたが、今後 デジタル化が進むと第3次産業革命が起きる、というものです。

リフキン氏の定義では、産業革命は『コミュニケーション』、『動力』、『移動手段』の3つが大幅に変わることとしています。
第1次産業革命(イギリス)では印刷、蒸気機関、鉄道第2次産業革命アメリカ)ではラジオ&テレビ、内燃機関、自動車、そして第3次産業革命ではインターネット、再生エネ、自動運転だというのです。これらはデジタル化がベースになっていますが、その特徴は限界費用がほとんどかからない変動費がかからない)という点です。
第3次産業革命では デジタル化によって、コミュニケーションの革新、自動運転、再生エネルギーの3つが柱になるが、従来の重厚長大型の産業は衰退していく、とリフキン氏は主張しています。そのかわりにサービス利用型のシェアリング・エコノミーが世界的に広がっていくそうです。つまりデジタル化による効率化で低コストと地球温暖化対策の両立ができる、と。


、日本はどうか。
講演でも言ってましたが、日本にはまだ、第3次産業革命をリードするだけの金も技術もある。しかし、日本の最大の弱点は『原発だそうです。日本にとって『原発負の遺産とリフキン氏は主張しています。


なぜなら、再生エネルギーの方が原発より遥かにコストが安くなるので、日本が原発固執する限り、他国の産業に勝てっこないからです。第3次産業革命では最初のインフラ投資さえ済ませてしまえば、追加のコスト(限界費用)はほぼゼロですから、再生エネを採用する国と原発を使い続ける国(日本)とのコスト差は時間が進むにつれてどんどん広がっていく
おまけに日本には火山や津波地震に台風と自然災害の問題もある。原発など中央集権型のエネルギーはもともと日本には向いていない一方、地熱や風力など再生エネを生かす余地は日本にはいくらでもある。これから少子高齢化が進むのだから、空いた土地は太陽光発電で活用すればよいのではないか、とリフキン氏は言っています。


地球温暖化対策の点でも原発は不利、とリフキン先生は言います。例えばフランスの電力の8割は原発だそうですが、真水の5割は原発の冷却に使われているそうです。そんなことが持続できるわけがありません。かねがね思っていたのですが、地球温暖化対策でCO2の問題が言われますけど、実にばかばかしい。最も大きな問題は建設〜運転〜廃炉までのサイクル全体の熱効率であって、部分的に運転中のCO2だけ取り上げても意味があるわけありません。リフキン先生はちゃんと判っています。ちなみに今やフランスも原発の削減の方向に動いています。アレバやEDFなどの原発企業が大赤字こいてますから。


日本が原発固執していると世界に取り残される単純にコストの問題ですから論理は明快。反論のしようもありません。


もうひとつ良いのは現実的な視点です。多くの反原発派はすぐ原発廃炉にしろと言いますけど、私有財産を廃止する費用の負担も問題だし、再生エネのインフラ整備の問題もある。どうやって止めるかの議論もなしに原発を即刻やめろと言っても無意味、だと思うんですよね。毎週 反原発デモに行っているボクがいうのもなんですけど(笑)。
リフキン氏は廃炉を進めながら、再生エネのインフラ整備を進めろと提言しています。そうすることでコスト負担も馴らせるし、雇用も生まれる。、当たり前のことですが、原発では当たり前のことが当たり前になっていない。


あと、もう一つ面白かったのは将来の政治形態です。前回取り上げた白井聡が問題点を指摘はしても結論は何も書けなかったところです(笑)。
リフキン氏は『再生エネやシェアリングエコノミーが普及すると地方・地域により権力が移行する(リージョナリゼーション)』と指摘しています。ただし(地方)『分権』ではなく、ネットワークでつながる『分散』だというのです。まさに『下部構造(経済)は上部構造(国家)を規定する』(マルクス)わけです(笑)。
その反面、経済活動や統治権限は国民国家より広いEUASEANアフリカ連合のような広域の共同体に移行していく。リフキン先生は、将来の国民国家の役割は地域共同体と広域共同体との仲介くらいじゃないか、というのです。ボクも中途半端な存在の国民国家なんか今更こだわっても仕方ないと思っているので、リフキン氏の見解に賛成です。


ついでになぜドイツが原発撤廃に踏み切ったかについて、福島の事故直後にメルケル氏と面談したリフキン氏が理由を明かしています。
原発の危険性はもちろんですが、ドイツは既に地方分権になっているので、原発撤廃/再生エネの方向性へ進めばドイツは勝てる、とメルケル首相は考えたそうです。何たる視野の広さ、長期的視点だと思います。このこと一つとっても日本の政治家では全くかなわない。


なぜかこの本の講演記録では省かれていましたが、10月のリフキン氏の話で一番感心したのは、『再生エネやシェアリングエコノミーが全体の10〜30%も占めれば、世の中全体(資本主義)はガラッと変わる』という指摘です。

全体を一気に変えることなんかできないし、変えればどこかでひずみが出てくる。ゆっくり少しずつマシな方向へ進めていけばいい。そうすれば、ある時点でガラッと変わる。液晶テレビや携帯やスマホの普及でもそんな感じでした。世の中の変化もそういうことじゃないでしょうか。革命とか一気に変わる事って社会全体で考えるとロクなもんじゃない、とボクは思います。若いときはそうは思いませんでしたけどね(笑)。


如いて言えば、この本は変革主体としての『経済だけを絶対的価値と考えないミレニアム世代への期待』(そんな人たち、日本にいるんでしょうか?)超巨大IT企業の寡占の問題『グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど、世界のITインフラを握りつつあるグローバルIT企業は政府が規制しなければならない』の一言で済ませてしまうところ、などは楽観的に過ぎる、とは思います。しかし、前回取り上げた白井聡なんかの100倍は視野が広いし、記述は平易、遥かにためになります。


特に将来を考えたい人にとっては希望と現実的視野を与える必読の本だと思います。
本の帯には
日本はまだ間に合うか?
こう書いてありますが、ダメかもね(笑)。国民も役人も政治家もバカばかりだから。

●度々ご紹介してますが、判りやすくて大事なことが書いてる良い記事です。リフキン氏の日経ビジネスのインタビュー。 


原子力から脱却しないと日本は二流国に陥る:日経ビジネスオンライン



ということで、今週も官邸前抗議へ #金曜官邸前抗議
今日は暑いくらいのお天気です。5月の日差しじゃありません。午後6時の気温は25度。ジャケットなしの抗議です。参加者は700人。
●抗議風景




23日 原子力規制委員会は7原発12基の空調換気系ダクトに腐食穴が見つかったことを明らかにしました。

7原発12基に腐食や穴 ダクト部分、規制委が調査結果 :日本経済新聞
柏崎刈羽では最大で縦約13センチ、横約5センチの亀裂、島根では最大で横約100センチ、縦約30センチだったそうです。穴というか、大穴ですよね。驚きです。
昨年1月に規制委が調査を指示したことで見つかったそうですが、これが今迄見つからなかった。横100センチ、縦30センチの穴が見つからなかった?見つからなかったのではなく、電力会社はまともに点検をしてなかった』ということじゃないでしょうか。安倍晋三は世界1厳しい安全基準と豪語してますが、どういう基準なんでしょうか😈。だから、この国の政府は信じられないんです。



今週はもう一つ、『#0524・0525高プロ反対国会前連続抗議行動
国会前で抗議のハシゴです。


水曜日から連日 国会前でエキタスが高プロ反対の抗議をやってます。前日の呼びかけにも関わらず、数百人の規模になっているようです。ボクも行きたかったんだけど夜 デモにいくには夕食の作りだめをしなければならないので、平日だとさすがに連日はきつい。みんな夕飯はどうしてるんでしょう?(笑)。で、官邸前抗議とハシゴできる今日は参加しました。今日も参加者は5〜600人は居ました。

●抗議風景2



データの不備がわかった当日に強行採決なんて、いくらなんでもふざけ過ぎでしょ!
立憲民主党の岡本衆院議員『データも間違っているのが判った当日に強行採決するような厚労大臣なんか要らない』

立憲民主党のホームページより。ボクが帰宅したころには早速アップされてました。立民のネット部隊はなかなか有能なようです。見出しのタグは間違ってるけど(笑)

厚労委の強硬採決を許さない #0524・0525高プロ反対国会前連続抗議行動 で岡本議員がスピーチ - 立憲民主党

共産党小池晃参院議員『今まで強行採決もいろいろあったが今日は最低の強行採決。与党だって怒らなければいけないのではないか。これは過労死合法化法でしょ』


高プロは対象職種や年収がどうしても話題になりますが、労働時間の管理の枠が外されるのは恐ろしい点だと思います。経営側は労働時間を把握しないのですから、長時間労働による労災はなくなるけれども過労死は増える、ということにもなりかねません。

今日の抗議でも、エキタスのメンバーや面会を求めて安倍晋三に門前払いをされた過労死の遺族の方たちの話を聞いたり、コールをしているうちに、マジで怒りが沸き上がってくるのが判りました。
高プロ止めて、安倍も辞めろ』、『強行採決絶対反対』、『経団連より国民を見ろ』、『過労死増やすな、殺すな、殺すな、殺すな』、『強行採決、恥を知れ、恥を知れ、恥を知れ、恥を知れ(参加者のコールが延々続く)』





●犬も抗議に参加していました。当然です。飼い主と遊ぶ時間が減るのですから。