特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

たまには夢だってみたくなるよね。:映画『ミッドナイト・イン・パリ』

一応 NHKのニュースは見ているが、相変わらずロクでもないものばかりだ。(法的には不正受給でもなんでもないのに)先週 マスコミが寄ってたかってお笑い芸人に生活保護を不正受給したと因縁つけてたのは実に醜い光景だったし(すぐTVを消したけど)、大飯原発の再稼動ばかりか稼動後40年が過ぎた美浜原発を延長するという話にも改めて驚いた。違法でもなんでもない個人のプライヴェートの問題を追及する気●ガイ国会議員の歳費の方が不正受給じゃないのか。国民の役に立ってない原子力安全保安院経産省なんか存在そのものが税金の不正受給だろう。こんなこと言いたくないが、税金を掠め取る側と掠め取られる側、どうして世の中には2種類の人間がいるんだろう。
   
                                       
六本木でウディ・アレンの『ミッドナイト・イン・パリ映画「ミッドナイト・イン・パリ」公式サイト|5月26日(土)より、新宿ピカデリー、丸の内ピカデリー、Bunkamuraル・シネマ、TOHOシネマズ 六本木ヒルズ他全国ロードショー!
今年のアカデミー、ゴールデングローブともに脚本賞をとり、興行成績は自己最高を記録したという新作。
              
ハリウッドの脚本家ギル(オーウェン・ウィルソン)は婚約者とその両親と一緒にパリへやってきた。ギルは自分の仕事にも、大金持ちの娘である美しい婚約者にも違和感を感じており、パリで小説家になることを夢見ている。ある日 真夜中の街で迷子になった彼は、自分があこがれていた1920年代のパリにタイムスリップする、そんなお話。
●まるでゴッホの絵の中みたいなポスターもいいなあ。


ウディ・アレンがヨーロッパで映画を撮るようになって調子を取り戻した、と思うのはボクだけだろうか。『マッチポイント』のような重厚なドラマにしろ、この作品や『さよなら、さよなら、ハリウッド』みたいなコメディでも、以前に比べて自由にのびのびと作っている感じがすごくする。よほどアメリカの環境が息苦しかったんだろう。昨今のアメリカ、特にブッシュ時代の無知で排他的な風潮とは彼の作風は合わないよなあ(笑)。
今回も主人公と共和党支持の義父との会話を借りて、ティーパーティ共和党を徹底的にこき下ろしているのは大笑いしてしまった。やっぱり 相当根に持ってるわ(笑)。
                                      


映画のほうはまず、観光案内のように次から次へと登場するパリの景色が楽しい。『それでも恋するバルセロナ』もそうだったが、ヨーロッパに舞台を移すことで、高尚だったウディ・アレンが普通の観客の視線まで降りてきているんだろうな(笑)。
劇中登場してくる芸術家たちの顔ぶれには驚かされる。フィッツジェラルドヘミングウェイコール・ポーターピカソにダリ、ブニュエルマン・レイ1920年代のパリは本当に凄かったんだ。普通だったら一人登場させるだけでも作り手がびびってしまうような芸術家をお気楽にぽいぽい登場させる自由さ、良い意味での力の抜け方がこの作品の勝因だと思う。
●左から主人公、ヘミングウェイ(笑)、ガートルード・スタイン(笑)。でも似てるんだよな。

                                         
主人公の造詣がいい感じだ。厭世的なんだけど世俗を完全には捨てきれず、第三者から見たら滑稽なくらい人生に悩む中産階級のインテリ、というのはいつものW・アレン映画だが、今回はキレイなお姉さんを見かけると躊躇せず、なびいてしまう自由さ?(笑)がある。見ていて爽やかなんだよね。そんな主人公を演じたオーウェン・ウィルソンが後半になるに連れて台詞まわしだけでなく、表情までもが段々ウッディ・アレン本人みたいになっていくのも面白かった。
ガイド役で登場したカーラ・ブルーニ、きれいだなあ。1967年生まれだって。こんな感じの良い人が何でサルコジみたいな人種差別野郎と、と僻みたくもなる。くっそ〜(笑)。
●こんな美人だったら、ボクも本を読み聞かせてもらいたいよ(笑)。

                 
途中でタイムスリップの辻褄が段々合わなくなってくるのもご愛嬌。1920年代からベル・エポックへのタイムスリップもグッド・アイデア。 それで強引にお話の整合性をとっちゃうんだからW・アレンにしては珍しい力技。

                                    

ボクも以前パリへ行ったとき、夜中に散歩して迷子になった。日本みたいにネオンも無ければ、街灯だって暗い。凱旋門の裏の静まったあたりで、建物はどれも同じに見えるからだ。そのときはタイムスリップなんか出来なかったぞ(笑)。 でも 薄暗い真夜中のパリの街は一見さんの観光客にはロマンティックだった。

不況、就職難、財政危機、相も変らずくだらない映画やTV番組や不必要な商品が溢れる世の中。人の心だって狭くなり、まるで 日本中、いや世界中で『利権とカネの迷路で指定席を取り合う』(サイタマノラッパー3の劇中歌『見てんぞ』)ゲームをやっているみたいだ。
                                                    
それじゃあ、たまには夢だってみたくなるよね、それも思い切りロマンティックな奴を。主人公も観客も、そしてウディ・アレンだって、きっとそうだったんだと思う。

●今回はあまり意地悪じゃないW・アレン(笑)

●見てんぞ(SR3 サイタマノラッパー 『ロードサイドの逃亡者』の劇中歌)