今日 武藤類子氏ら福島県の人 約1300人が東電の勝俣などの役員や原子力安全委員会の斑目などの幹部33人を刑事告発したそうだ。そもそも責任が曖昧だからこそ今回のような人災が起きたわけで、今回のような責任を個人に還元する試みがなければ奴らはまた同じことを起こすだろう。国会の事故調もどうもピントがずれているようだし、是非 これは応援しなくちゃ。
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye5052250.html
福島原発告訴団
お台場で『相対性理論 presents 位相1』
相対性理論は日本のポップバンド。一応覆面バンドということになっていてマスコミへのルックスの露出は殆どないにも関わらず、大変注目されているバンドで、毎回 ライブのチケット入手には苦労する。女性ボーカル+男性のベース、ギター、ドラムという編成のこのバンドの音楽を敢えて説明すると『親しみやすいメロディ』+『ロリータ+ツンデレな女性ボーカル』+『現代音楽』+『巧みな言葉遊びの中に悪意(笑)が込められた歌詞』とでも言ったらよいか。以前 このバンドの曲を友人に聞かせたら『作者はきっと、人間が嫌いで仕方ないんだろうな』という感想を述べていた(笑)。
そう言うとマニアックな音楽に聞こえるが世の中には案外 広く流通していてて、例えば、ここ数年続いている環境音楽みたいなユニクロのCM音楽や深夜アニメの主題歌、最近ではジャニーズの山下智久と言う子のチャートNO1になったシングル『愛、テキサス』などもこのバンドのメンバーの作品だったりする。
ポップだけど奇妙、カワイイけど猛毒、一癖もニ癖もある音楽は活動休止中のムーンライダーズにも近いが、こういう、『わざとひねった文化』はある意味 昔からの『粋』にも通じる日本独特なものかもしれない。
●相対性理論の公式ビジュアル?
SOLD OUTのお台場のライブハウスはひといきれでむせ返るよう。開演時刻を15分くらい過ぎて演奏が始まった。レーザー光線がスモークに反射するなかアップテンポのビートが刻まれる。だがヒートアップする観客をあざ笑うかのように、いつまで経っても緞帳が開かない(笑)。結局 最初のインストゥルメンタルが終わるまで緞帳は開かないまま。このバンドの面目躍如という感じだ(笑)。
ようやく姿を現したヴォーカルのやくしまるえつこは純白のドレスにコサージュのような白い帽子をななめに被っている。客もバンドもほぼ直立不動のまま、時折発せられる、やくしまるえつこの不条理なお言葉を頂く、というのがこのバンドのコンサートのいつもの光景だが、この日もほぼそんな感じ。ゼロ年代も終盤になってから登場してきたバンドらしく、全ての熱狂を拒否する、という感じだろうか。
序盤から『スマトラ警備隊』、『気になるあの子』、『学級崩壊』、『人工衛星』とアップテンポな曲が続く。いつもは後半にやる『小学館』(地球が滅亡しても家に篭ってマンガを読んでいたい、という歌だ!)も中盤で惜しげもなく投入する。
この日の演奏は絶好調。もともと非常に高い演奏力を持っているバンドだが、これ見よがしにテクニックを見せびらかしたりするようなことはしない。無駄な音は出さないし、簡単そうに見えて実は難しいことをやっているのがこのバンドのすごいところ、と思ったらドラムとベースの人は普段と違っていたらしい。特にベースの人が中盤からアップライト型のベースをバイオリンの弓で弾きまくっていたのは非常に面白かった。ベースを弓で弾くことでストリングスみたいな効果も出して小編成のバンドの音の厚みを補っていたのだ。
●このジャケットがバンドの音楽を象徴している。
- アーティスト: 相対性理論
- 出版社/メーカー: みらいrecords
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終盤 アンビエントなアレンジでジャムセッションを15分にも渡って繰り広げた『ムーンライト銀河』は圧巻。普段だったらこれでフィニッシュだが、この日はやくしまるえつこがぽつりと『結婚 おめでとう』と言うから、何を言い出すのかと思ったら、オリジナルの山P版よりテンポが倍くらいに速くなった『愛、テキサス』を演奏して本編終了(結婚がどうのこうのって歌詞だったのね)。珍しく応えたアンコールではポップス風の原曲のアレンジを根本的にノイズで破壊した『ペペロンチーノ・キャンディ』。
あっという間の一時間半だった。
娯楽性と前衛性が両立した、こんなにレベルの高い演奏を手軽に聴ける(チケット入手は大変だが)今の日本の文化は、ある意味すごい。とても楽しい時間だった。
だが、一歩 会場の外に出るとクルマのショールームだの、安っぽいショッピングセンターだの、無機質で安普請な建物が立ち並ぶ。 お台場って大企業とマスコミが寄ってたかってゴミみたい商業施設をでっち上げた、東京でもトップレベルに醜悪な場所だと思う。面白いもの、価値あるもの、美味しいもの、心のこもったものが見事なまでに何一つ無い。吐き気を催すような醜悪さとすばらしい文化、それが奇妙に両立しているのも今の日本らしい、といえるかもしれない。