特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

相対性理論@渋谷AXと福井地裁の判決、ゴジラ復活、それに★0523 再稼働反対!首相官邸前抗議!

昨日は渋谷のAXで、『相対性理論 presents「幾何」特殊公演 「射影幾何」

タイトル見ても意味不明だと思いますが(笑)、要するに、相対性理論というバンドのコンサート。度々、このバンドのことは触れているけど、ロリータヴォイスの女性ボーカル+ジャズっぽい演奏者がポップなロックをやるという覆面バンド。演奏力も高いし、この人たちの音楽は実はCMなどでも結構流れている、知る人ぞ知る非常に良いバンドです。かって博学のiireiさんが『マザーグースみたいだ』と評されていたが、押し付けがましくないところが良いんだな。
●デビュー曲『LOVEずっきゅん』のPV


昨日の企画は昨年のアルバム『Town Age』の曲を徹底的にアレンジしなおして演奏するというもの。15分近いインプロヴィゼーションのイントロから始まる(笑)の『You&I』から始まって、超ハードな『たまたまNew Town』まで1時間半弱の充実した演奏だった。ただ、歳食ってくるにつれて自分の感性が腐ってくるのに危機感を抱いて新しい音楽を積極的に観にいこうと思っているのだけど、それでもライブハウスで待ち時間も含めて3時間近く立っているのはさすがに疲れてきた(笑)。

TOWN AGE

TOWN AGE

                  
                                                                        
さて、先週末 アメリカでハリウッド版『ゴジラ』が封切られた。アメリカでは今期の興行収入2位、世界では1位ということで興行成績は好調のようだ。ハリウッド版ゴジラ、推定興行収入世界1位 200億円 :日本経済新聞
今回は前作でのキーパースン『芹沢博士』というキャラクターが出てくるそうなので(前作は特攻隊出身の名優、ミスターKこと、平田昭彦大先生だったが、今回は渡辺謙)、『ちゃんと判っているな』と思っていたが、今回のお話は原発の事故が発端だそうだ。予告編では爆発で吹っ飛んだ原発の姿が確認できる。核の恐怖がメインテーマであるゴジラを現代に作るんだったら原発事故が出てくるのが当たり前だが、たかがマンガに鼻血が出たくらいで大臣まで出てくる騒ぎの日本では、絶対そんな描写はできないだろう。大資本のエンターテイメントの世界でさえ、日本とアメリカでは表現の自由に対する意識が違いすぎる。表現が自由でなければ面白い作品なんか作れるはずがない。な〜にがクール・ジャパンだよバカ(笑)。なかなか面白かった昨年のロボット特撮『パシフィック・リム』もそうだったが、これからは怪獣モノもハリウッドのものになっちゃうのか。
●日本は7月公開

                

さて、今週 朝日がスクープした吉田調書の内容は『福島の事故は住民の大量被爆寸前だった』や『非常用復水器はやっぱり操作ミスをしていた』のを見事に暴いていた。だが何と言っても、大飯の再稼動を禁止した福井地裁の判決は少し感動した。こういう判決を出した樋口という裁判官はどういう人かと思ったら、61歳だった。裁判官の定年は65歳だそうだが、これくらいの年代だったら、失礼かもしれないが出世も上級審の圧力も関係ないよね。ただ、自分の良心に従えばいい。それが歳をとっていくことの強みだ古市憲寿が新刊『だから日本はズレている』の中で『(経験も能力も不足している)若者に革命なんか出来るわけない。社会の変革は年長者の役目だ』と言っていたが、そういう面はあると思う。勿論 若者のパッション、感性は素晴らしいし、(ボクも含めて)大多数の年長者は知性や志が劣化しているから(笑)、断言しちゃいけないけれど。

まだ、権力べったりの上級審の問題はあるが、福井地裁の『人格権がもっとも大事』とした判決理由は世界の本質を捉えたものだと思う。そうすると『経済はどうするんだ』と言いたがる奴がいるが、そういう輩は単に頭が悪いのだと思う。カネは大事だし、カネがなければ生きていけない。だが、カネは人間が生きるための道具であって、人間はカネのために生きるのではない(まともな人間なら)
デモなどで『生命が大事』と言っている人がよくいるが、ボクはそれだけではダメだと思う。それじゃあ、多くの人を説得できないよ。だから、まだそんなことを言ってるのかとも感じる。
生命を守りながらカネを稼ぐ方法を考えるんだよ!それがいい齢こいた大人の役目ってものだろう。


さて集団的自衛権の話を見ていて思うのは野党の体たらくだ。維新は第2自民党としての本性を遺憾なく発揮しているし、社民や共産は殆ど力を持っていないだけでなく、自分たちの意見を『広く』国民に伝えていこうとする気配すら感じられない。十年一日がごとく、同じ反対意見を並べているだけだ。悪いけどボクはこの人たちが真剣に将来のことを考えているとは思えない。お仲間でつるんでいたら心地よいもんね、と嫌味の一つでも言いたくなる。だが、もっと酷いのは民主党だ。目立った動きがないと思ったら、元自民党から社民党までが混在する党内の中で集団的自衛権に対する意見すらまとめられないと言う。http://www.asahi.com/articles/DA3S11150409.html
電力労組に遠慮して原発に表立って反対できないのと構造は全く同じだ。社民や共産にも同じことを思うのだが、こんな政党はさっさと無くなってもらって野党再編の萌芽になってもらったほうが社会のためだ。

日本人は他人任せの平和ボケかもしれないが、それでも世論調査を見れば原発集団的自衛権も反対の人のほうが多い。その意志が政治に反映されない。日本の政治で一番大きな問題は与党だけでなく野党の政治家も無能なことだ。やっぱり日本はアメリカの51番目の州になるしかないのかもしれない。



ということで今日も官邸前へ。★1116再稼働反対!首相官邸前抗議 | 首都圏反原発連合

ボクが着いたときはそれほど人が集まっておらず、すこしがっかりしたが、7時を過ぎたら大勢の人が集まってきた。いつも来ている人とも違う、見慣れない人も大勢いる。官邸前で1800人くらい、国会前他で1000人ちょっとは居ただろうか(主催者発表3300人)。福井地裁の判決があったせいか、NHKなどマスコミも大勢来ていたし、先週もそうだったが、季節が良くなるにつれて、また人が増えてくるのだろうか。
実は今日はケータイを家に忘れて出勤してしまったので、ボクが撮った写真はありません。反原連のtwitterの写真をお借りしています。人間嫌いのボクは電話にも一切出ないのでケータイは常にかばんに入れっぱなしなんです(笑)。前日にコンサートへ行ってカバンを変えたら忘れてしまった。写真があるとブログもラクなんだけどな(笑)。
●抗議風景、官邸前



                                                          
漫画『美味しんぼ』を拡大コピーしてプラカードにしている人もいたけど、頭悪すぎで勘弁してくれ、と思う。ああいう表現は一石を投じる意味はあると思うし、たかが漫画を政治家が魔女狩りのように糾弾するのはまともじゃないが、それでもあの漫画を諸手を上げて持ち上げるのもおかしい。そういう行動をする輩のせいで脱原発を唱えている人間が皆バカだと思われる(笑)。だいたい福島は住むところじゃないとか書いてあったらしいが、例えば会津はどうするんだよ。
                                                                      
それはともかく、今日は大飯3号機4号機運転差止訴訟の原告の人たちが来ていた。ありがとう、としか言いようがない。でも原告団の人たちは『みなさんの声が司法に届いた』と言っていた。と言うのは『福井地裁の樋口裁判長の判決の文章は私たちの訴状より、内容も日本語の美しさも遥かに立派だった』、そんな文章を裁判官が書けたのは『法廷の陳述だけでなく、全国の声を裁判官が聞いたからだ』というのだ。
原告団の皆さん

                                                     
●国会前。原告団事務局の人。彼曰く『国会議員なら原発を止めるか、人間を辞めるか、だ!』

                                                                    
●弁護士の人。若い!彼は311まで原発のことなんか何も知らなかったそうだ。

                                                                 
多くの人の前で緊張していたのか、原告団の中でマイクを持っても全然しゃべれない弁護士の人が居た。どもりがちな彼がやっと言ったのが『是非 皆さんも判決文を読んでください』
その判決文を配ってくれていたので、帰りの電車の中で読んでみた。確かに驚くくらい論理的かつ徹底的に原発を否定しつつも、簡潔で美しい日本語で書かれている。味わいが全く違うので、できればWEBではなく紙でアウトプットして、読んでみることをお勧めします。『なぜ原発がいけないか』ってことをどんな本よりも明快に書いてあるし、何のために法律があるのかってことをよく理解している文章だ。法律っていうのは人間のためにあるんだよ。原告団の人はこれを各国語に訳して世界中に配りたいと言っていた。その価値は十二分にある文章だ。
●判決文。最初がダウンロードして印刷できるほう。2番目がWEBのもの。
5/21 関西電力大飯原発3,4号機運転差し止め訴訟 福井地裁判決謄本 | 原子力資料情報室(CNIC)
【速報】大飯原発運転差止請求事件判決要旨全文を掲載します / NPJ

                                                                                          
後半のセンテンスをコピペします。まさに勇気が出る文章です。この部分を読んでボクは電車の中でウルっと来てしまいました。こんな文章が書ける人が居るとは日本人もまだまだ捨てたもんじゃない
                                       
9 被告のその余の主張について
 他方、被告(*関西電力)は本件原発の稼動が電力供給の安定性、コストの低減につながると主張するが、当裁判所は、極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等とを並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的には許されないことであると考えている。このコストの問題に関連して国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ本件原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると当裁判所は考えている。
 また、被告(関西電力)は、原子力発電所の稼動がCO2排出削減に資するもので環境面で優れている旨主張するが、原子力発電所でひとたび深刻事故が起こった場合の環境汚染はすさまじいものであって、福島原発事故は我が国始まって以来最大の公害、環境汚染であることに照らすと、環境問題を原子力発電所の運転継続の根拠とすることは甚だしい筋違いである。

                                                                                                                                               
●弁護士の人。彼は緊張して全然しゃべれなくて、本当に弁護士か?と思ったが(笑)、『みんな、判決文を読んでください』という朴訥な口調が心に響いた。