特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

記事2題、ついでに映画『ニューヨーク、恋人たちの二日間』

それにしてもNHKあまちゃん』、面白いなあ。先週末のラストシーン、いかにも大友良英らしいホーンとギターの残響音で徐々に盛り上がっていくところはワクワクした。母親役の小泉今日子はアイドル時代 紅白に出た後 仲間たちと初日の出暴走に出かけたそうだが、あの迫力はだてに厚木のヤンキーやってない(笑)。挿入歌「潮騒のメモリ−」も小泉今日子の歌で実際に発売されるそうで、思わず騙されて、買ってしまいそう(笑)。

潮騒のメモリー(初回限定紙ジャケ仕様~アナログEP風レトロパッケージ)

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さて、中村うさぎという人のことは良く知らないけれど、ちょっと前(7月12日)の朝日新聞朝刊でなかなか良いことを言っていたので記事を引用してみる。一見正論の小難しい理屈をこねている奴より、イデオロギーに関係なく自分に素直に生きている人のほうがはるかに信用できる、という良い例だと思う。 http://digital.asahi.com/articles/TKY201307120542.html
 ■「心を一つに」気持ち悪い 作家・エッセイスト、中村うさぎさん  
今の社会を一言で言うと「気持ち悪い」。私、新宿に住んでるんだけど、在特会在日特権を許さない市民の会)っていうの? ここんとこ「朝鮮人を殺せ」とか言って、このあたりをデモしてんのよ。ここまで来たのか、とちょっとびっくりしてるわ。
 何か、3・11以降、妙な流れになってると思わない? 日本人の心を一つに、みたいな機運が高まったでしょう。全体の利益を第一に考えようみたいな。確かに震災によって「私は私でしょ」っていう私みたいな女でも、個人主義の限界が身にしみたわよ。その個人主義批判の高まりが右傾化を後押しした部分もあると思うの。愛国的な安倍さん(晋三首相)が政権取ったのも、その流れじゃない?
 参院選でも安倍さんが勝って力をつけて、右傾化みたいな流れが続くんだろうな。ヤだけど私、立ち上がろうなんて気、1ミクロンもないから。あのね、私、個人の抵抗がいかにむなしいか、2年前の都知事選でかみしめたの。原発事故があって、私のまわりだけでなく、多くの都民は原発いらないって思ってたはずよ。でも、原発推進の石原さん(慎太郎・現日本維新の会共同代表)の圧勝でしょ。脱原発とか言っても、やっぱりみんな石原さんみたいなの好きなんじゃんって思ったのよ。
 でもね、ああいうマチズモ(男性優位主義)自体が悪いんじゃないのよ。「俺は悪くない」という自己正当化や「あいつのせいで」みたいなルサンチマン(怨念)とか被害者意識と結びついたマチズモが悪いんだわ。「日本は悪くない」「中国が、韓国が」って、勇ましいこと言う政治家の虚勢の張り方見てると、よく分かるでしょ。そういう人間が権力を握ると、他者や弱者に対して攻撃的、抑圧的にルサンチマンをはらしにかかるのよね。  私が恐れるのは、マチズモ的権力者のルサンチマンが作り出す「物語」なの。「俺の人生、否定されてる物語がある」って思ってるレベルなら許せるけど「中国や韓国の横暴に対し、力を合わせて正義の戦いを」みたいな、一部の権力者にとって気持ちいい物語に国ごと巻き込んでいいのかってことよ。
 この構図って、オウム真理教連合赤軍の事件と同じよね。小さな集団の物語に巻き込まれると、いかに悲惨なことになるか、私たちは見てきたでしょ。アニメやゲームだって物語の中に入り込むほど楽しい。物語って実際に人間を動かす。だから怖いのよ。
 ところでさ、今の日本てさ、何でメチャクチャなこと言う自分が格好いいみたいなナルシストや、強権的で抑圧的な自称愛国者が強いリーダーみたいにもてはやされてんの? ホント、バカじゃない? こんな流れが続くんだったら、税金払うの嫌だし、出て行くわ。夫が香港の人だから香港でも行こうかな。嫌な人、みんな出てって残った人たちで好きなだけ右傾化すればいいのよ。悪いけど、私の知ったこっちゃないわ。
 (聞き手・秋山惣一郎)


ネットでは早速、アホなネトウヨがこの発言を叩いているようだけど、ボクはこの発言に賛同する。この国が『日本は悪くない』とか言ってるようなおバカちゃんばかりになったら、経済的にも外交的にも自滅する。バカにビジネスも外交も出来るわけがないからだ。
安倍の原発輸出の商談は廃棄物引き取りもセットになっているのではないか、という疑いをボクはどうしても拭い去ることができないのだが、ビジネスもダメ、おまけに世界の嫌われ者になった将来の日本は世界の原発の核廃棄物処理が基幹産業になったりして(笑)。 核廃棄物と世間知らずのネトウヨの諸君で溢れる日本列島は名実ともに地球のゴミ捨て場になっちゃうかも(笑)。


                      
さて2つ目の記事。三宅洋平山本太郎選挙参謀だった斉藤まさし氏のインタビューをネットで見つけた。山本太郎バッシングの一環で、この人のことも元過激派だとか選挙ゴロとか黒幕とか週刊誌で叩かれていたが、ボクは7/20の選挙フェスでこの人の演説を聞いて、そういう人とは思えなかった。だいたい、『影の黒幕』が時間が余ったからと言って、人前で30分近くも熱情溢れる演説をするはずがない(笑)。それくらい良い演説だった。このインタビューで明かされている、各地の市民候補を応援していた彼が消費税を巡って菅直人と袂をわかった件、また今回の選挙の裏事情、緑の党みどりの風民主党の一部で受け皿を作ろうとした話、それに千葉県選挙区の話は実に興味深かった。 彼が目指しているという政策の方向性、景気対策も税制の話もボクはとても共感できる。この人がどういう人なのか全てはわからないけれど、少なくともこのインタビューでは、自分の理想を見据えつつ、リアルさも見失わないところ、が伺えた。権力欲で簡単に自分を見失う菅直人とはずいぶん違う(笑)。かなり面白かった。
スクープ連発!斎藤まさし氏インタビュー書き起こし①「喜納昌吉は策士?あの加藤登紀子が…やっぱり飯田哲也か」など - 日々坦々 -
「総合累進課税」と「金融資産課税」で日本に革命(富の再配分)を起こしたい!斎藤まさし氏インタビュー書き起こし② - 日々坦々 -
*このインタビューをした人は生活の党支持者らしく、このインタビューより前のエントリーでは斎藤氏を極左扱いをしていた。ところが実際のインタビューをしたら180度 見方を転換したようです(笑)。今は生活の党支持者は三宅洋平や斎藤まさしを見習え、と言っている(笑)

                                        

さてさて、コメディでも見たいなあ、ということで映画『ニューヨーク、恋人たちの2日間

主人公はNYで暮らす写真家のフランス人女性。恋人であるラジオDJの黒人男性、それにお互いの連れ子と一緒に暮らしている。そこへフランス人女性の父親、妹、それにその恋人(主人公の元カレ!)が彼女の個展を見るためにフランスからやってくる。奔放なフランス人たちとのカルチャーギャップが巻き起こす二日間のドタバタ劇。
そんなお話。
                           
●うるさい家族がフランスから押しかけてくる(左端の女性が主人公)

●この青色!ゴダールが撮った地中海みたいだ。
 

●主人公のカップルの家族構成。これも多様性。

                                                          
邦題はロマンチック・コメディを思わせるような感じだが全然違う、かなり辛らつな大人のコメディ・ドラマという感じだ。良くも悪くもちょっと前に日本でもやってたエミー賞受賞のアメリカのTVドラマ、『30 ROCK』みたいな感じ。
主人公たちのカップルはフランス人と黒人、お互いに前の彼氏・彼女との子どもを連れて同居している。それだけでもてんやわんやだが、そこに、もっと個人主義のフランス人たち、偏屈な親父と家の中を下半身丸裸で歩き回るような開放的な妹、さらに変人の元カレが押しかけてくる。

●下ネタも敢えて辞さない反権力偏屈オヤジ(左)は監督の実父だそうです。

                                                                                            
主演のジュリー・デルビーが監督、脚本、音楽も務めている。政治やセックス、人種に関するオープンで辛らつな会話が途切れなく溢れる様子はウディ・アレン映画にとても良く似ている。最近はウディ・アレンがボケかかっているようなので?将来は期待できるかも。女性の才人が作っている点も『30 ROCK』に似ている。脚本は平板で小技で笑わせ続けるだけ、といった感じだったが、この映画に流れている自分の欲求に素直な、この風通しの良さはいいなあ、と思ってしまった。
中村うさぎの『気持ち悪い』発言と同じように、他人がどう思おうと関係ない、性別も人種も年齢も宗教も関係ない。自分は自分。昨日はもう終わった。今日は今日。登場人物みんながそう思っているから、それぞれが多様で自由。こういうところから、新しいものは出てくるんだろうなあ。
それに引き換え、この日本の閉塞感は』というのはやめておきます(笑)。