特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

あの頃、君はバカだった:映画『東風』とPerfume武道館公演

今朝の日経によると、4月19日にホテルオークラ民主党の仙石由人が東電会長の勝俣恒久に『西沢社長も交代』と告げた際、西沢続投に拘る勝俣は『それなら(東電を)潰してください』と言って抵抗した、そうだ。「それなら潰してほしい」 国有東電の軌跡(迫真) :日本経済新聞

びっくりした。会社を潰すか潰さないかは株主の問題で、オーナーでもない会長ごときが人事を巡って言うような話ではない。自分の持ち物でもない会社を恥ずかしげも無く私物化する傲岸不遜さにはある意味感心すら、する。市場のプレッシャーがない独占企業は、こんなバカを産み出すのだ。小泉改革以来『小さな政府』とやらで役所の事業や公社の民営化が進んだが、独占企業のほうが遥かにたちが悪い。私企業なら法律にさえ触れなければ、給与も献金天下りも、広告と言う名のプロパガンダもやりたい放題。もちろん、それが民営化を進める政治家や役人の狙いだろう。
『小さな政府』なんか全く意味がない、ただのキャッチフレーズだ。政府が小さいか大きいかじゃなくて、国民の利益に即しているかどうか、が問題なのだ。 国民の意志・利益に反して増税原発再稼動をひたすら推し進めるだけの野田という総理大臣は『国民の敵そのもの』じゃないか。
                     


渋谷で映画『東風』 。ジャン・リュック・ゴダール監督の60年代後半の作品の特集上映。ちんこをでかく増大する方法4選!~長く太く大きな陰茎ペニス実現へ | 男の身体の悩み-解決屋
パンフレット曰く、パリの五月革命の影響を受けて作られた『もっとも美しい闘争映画』。ゴダールは60年代の前半のものは好きだし、80年代も嫌いではない。90年代以降は外れもあるけど近作の『ソシアリズム』は画面に広がる過剰な蒼色が美しくて大好きだ。

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映画が始まると直ぐ、美しい野山を歩く7、8人の男女が写される。普段着を着ているから、ピクニックなのか行軍訓練なのか、良くわからない。その彼らの姿にまるで演説のような台詞が絶えず被される。画面に広がる色彩は美しい。明るい陽の光、野山の美しい緑、登場人物の顔に描かれた極彩色のペイント、赤紫色のパンツ。
●こんな格好良いスチールみたら、いい映画だと思うじゃないか(笑)

ゴダール映画らしく場内にはいびきが響いているが(笑)、画面は美しいし、台詞はリズムがあって小川が流れているようだ。苦痛でも退屈でもない。暗闇の中で1時間ほど、映像と光のシャワーを浴びる体験は心地よい。
ただ台詞の内容は社会主義革命、一党独裁への賛美と修正主義者(一般的には社会民主主義者と言えばいいのか)への悪罵。きっと 当時 中国の紅営兵とかはこういうことを言いながら、総括とかしてたんだろうな、と言う感じ。

映画を見ながらボクは、意地悪ゴダールおじちゃんが当時の情勢を嫌味を交えながら冗談として描いている、と思っていた。が、最後に『現在の世界は社会主義革命と言う東風が優勢なのだ』という、文革ヘーゲルを掛け合わせたような台詞があったから、まんざら冗談じゃなかったみたい(笑)。
当時の流行とはいえ、一党独裁とか社会主義革命とかのイデオロギーをマジで信じられる楽観性にはある意味感心する。流石のゴダール先生も、『あの頃 君もバカだった』ってことらしい(笑)。もちろん 誰でもそういう時はある。イデオロギーを妄信するのは左だけの専売特許ではなく、右だってそうだし、原発安全神話だってそうだ。
もう一つ見ようと思っていた、イブ・モンタンジェーン・フォンダが出ている『万事快調』はパス。この時期のゴダール作品『ウィークエンド』は犬の死骸かなんか写していて不愉快になった記憶があるんだけど、60年代後半のゴダールはもういいや。
                                
                             

          
Perfume@武道館(笑)。
今回のツアーは埼玉スーパーアリーナ、広島グリーンアリーナ、と地方の大きな会場を見てきたので(笑)、武道館がすごく小さく見えてしまう。かっては、コンサート会場が武道館、というと信じられないくらい広い、という感じだったんだけど時代は変わった。東京オリンピックの会場だった国立競技場も建て替えが検討されているそうだが、日本の高度成長を支えてきたインフラの老朽化、陳腐化を身を持って感じてしまう。そんなカネは日本にはもう無いかもしれないんだからね。オリンピック誘致なんて脳味噌 大丈夫なんだろうか?
                                     
この日のセットリストは広島のもの24時間の旅路:Perfume@広島グリーンアリーナ - 特別な1日(Una Giornata Particolare)に新曲『コミュニケーション』、『Spring Of Life』を加えた3時間近いショーだった。
時の針』の間奏で、埼玉ではあーちゃんが照れながら一人でやっていた投げキッスを今回は3人でやるようになったり、ステージングもこなれてきている。それでも今度は3人で恥ずかしそうに投げキッスをしているのがこの娘たちのいいところだ(笑)。アンコールでやった『Spring Of Life』はPV同様、宇宙服風の衣装に仕込まれた蛍光照明が暗闇で瞬く、という演出。ダイナミックなダンスも相まって、現物のほうが遥かにかっこよい。『コードにつながれた身体』という、このPVの元ネタはどう考えても麻薬中毒の宇宙飛行士がテーマのデヴィッド・ボウイの『Ashes To Ashes』なんだけど、そういうことは一切関係なく、健全で楽しいショーでした(笑)。