特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

どうか、ボクにも言わせてくれ。:SRサイタマノラッパー『ロードサイドの逃亡者』公開記念LIVE@新宿ロフト


衆議院議員河野太郎が5/16付けブログでこんなことを言っている。
『(経産省の)やる気のなさ、情報の隠蔽体質、ひどいものです。原発が止まって、需給が逼迫することをわかっていながら、何も手を打たないできた経産省の崖っぷち作戦が、停電を引き起こすのではないかと心配になります。今の経産省では、原発の再稼働をするために、一度ぐらい、停電が起きた方がよいぐらいに思っているのではないでしょうか。』
http://www.taro.org/2012/05/post-1203.php


再稼動のために停電を狙っているのではないか、ということは元経産相の古賀茂明や元財務省高橋洋一も指摘している。関電はホームページでわざわざ『そんなことはありません』と告知している(バカ)(笑)。河野のブログではこのあと、電力需給に関する質問に対する政府答弁が引用されているのだが、要するに政府は電力の需給に関する情報の明細を出さないそうなのだ。確かに、いくら日本のマスコミがバカでも電力需給の詳細情報が全然流れてこない、のは奇妙だ。一部のメディア、例えばTBSラジオDIGなどでは、関電の需給見積もりではわざわざ真夏に水力発電所の点検停止をすることになっている、などが奇妙な点が指摘されていたが、とにかくきちんとした明細が全く出てこない。これは関電だけでなく、官僚もグルになって情報を隠しているということだ。関西電力のホームページに大阪市への電力需給の説明資料が載っている。http://www.kepco.co.jp/pressre/2012/pdf/0515_1j_01.pdf
資料によると、原発がないと揚水発電の供給量が減り、なんと電力の供給量は昨年より減る、らしい。しかし河野が引用している政府答弁ではその根拠、揚水発電の稼動に必要な電力量はまだわからない、そうなのだ(笑)。そんなバカな話があるか。停電狙いの真偽は別にして、そう言われても仕方がない。

そもそも普通に考えたら、仮に電力不足があるとしてもピークタイムだけの問題で、それなら対策はいくらでもある。検討されていると言う計画停電が何で必要なのか、さっぱり理解できない。基本的な情報公開すらせずに恫喝して、原発再稼動と言う結論だけ押し付けようとする、政府、経済産業省の非民主的な態度、北朝鮮並の姿勢は全く変わっていない次の選挙は覚えてろよ!
            

                     
新宿歌舞伎町でSR サイタマノラッパー「ロードサイドの逃亡者」公開記念LIVE/VOL.2! さよなら、SHO-GUNG。』


4年前、たった3人で作り始めたという入江悠監督の自主制作映画『SRサイタマノラッパー』は、役者さんが演じるヒップホップグループが玄人はだしの演奏を見せるところも見所の一つ。この日はSRシリーズ最新作、もしかしたら最終作になるかもしれないという『ロードサイドの逃亡者』の公開記念イベント。

ボクはヒップホップって、そんなに興味がない。だけど、この映画のダメダメ・ラッパーたちを見ていると現実と虚構の区別がつかなくなって、本当に起きていることのようにしか思えないのだ。
                                             

開演前 会場前に並んでいる客層が不思議。男女比は7:3くらい?マニアックでもないし、お洒落でもない。学生風でもないしサラリーマン風な人も少ない。多くの人がごく普通の感じで、ただ誰も彼も目つきがとても柔らかだ。この映画のファン層はそういう人たち、なのかもしれない。ホストクラブが立ち並ぶ歌舞伎町には全く似合わない(笑)。
                                     
7時から始まったイベント、20分くらいの持ち時間で色々な演者が出てくる。幕間のDJは映画にも出演していた『神聖かまってちゃん』のmonoくんという豪華さ。
●照れながらDJをやるmonoくん

ネクタイ締めてジャージを着た田舎のサラリーマン風のDOTAMAという人は地に足が着いた日本語ラップを熱演してマジで格好よかった(また見たい)。また『神聖かまってちゃん』のドラマー、みさこが率いる女性ドラマー二人のユニットバンドじゃないもん!の荒業には度肝を抜かれた。彼女たちはドラムソロの合間に振り付きでアイドル風ポップを歌う。もう わけわかんない(笑)。

映画出演者たちが扮した『SHO-GUNG(将軍)』、『征夷大将軍』、『極悪鳥』が登場したのは10時過ぎ。DJはサイタマノラッパーシリーズの全音楽を担当、昨年は『モテキ』で日本アカデミー賞を取った岩崎大整氏が自ら担当。
映画では怖かった『極悪鳥』が想像以上にかっこいい。役者さんだからか、声に力がある。ヒップホップに典型的なマチズモを体現しているようで繊細さが伝わってくるステージだった。
                                        

●当日の極悪鳥。強面の彼らだが出番前は客席でアイドルグループTENGAL6に歓声を送ってた(笑)。


次は日光出身という設定の『征夷大将軍』の4人組、映画でも名シーンだった彼等の自己紹介『見ざる、聞かざる、言わざる』では岩崎大整氏も大笑いしていた。そんなバカなラッパーが居てどうするんだよ(笑)。
SHO-GUNGは実在の人にしか思えなくて困る。デブのほう、駒木根隆介くんなんか最近は大河ドラマに脇役で出ていたりしたが、『平安時代に何でMC IKKU(映画での役名)が居るんだ』とマジで思ったもん。途中で第3作の主演マイティが乱入。その日まで約1ヶ月間大阪、名古屋の路上で一人、ゲリラ宣伝を続けてきた彼はラップも声も逞しくなって見違えるよう。ますます現実と虚構の区別がつかなくなる。 『まだ、声出してんぞ』という雄叫びには感動した。
●マイティの乱入→フリースタイルバトル

● この解放された顔!(SHO-GUNGの3人、写真右からMC IKKU、MC TOM、マイティ)


最後は前作の出演者も含めた関係者全員がステージに上がって、SR1のテーマソングを大合唱する感動的なフィナーレ。いや、本当のフィナーレはそのあと、出演者全員が出口で客を見送るところだったかもしれない。思わず、『ありがとう』というコトバが口に出る。
帰り道、夜11時過ぎの歌舞伎町を歩くのは少し緊張した(笑)。
                                
●マジで胸が熱くなった、文字通りの大団円


入江監督は『出演者も岩崎氏などのスタッフも忙しくなって、もうSRシリーズは作れないかもしれない』と言ってたが、また、へらへら笑いながら帰ってきて欲しい。ボクはSHO-GUNGの解散なんて認めない(笑)。この映画の登場人物がオヤジ、オバハンになってもまだ、ジタバタしている様を見たいんだ。

                                    
東京郊外の平凡な、ダメダメな若者の何もない日常を切り取ってドラマにした『SRサイタマノラッパー』シリーズは、現代の寓話みたいな話だ。3部作のどれも、スターも出てないし地味でドラマティックなことは起こらない、無名の若者たちが作った低予算の自主制作映画だ。だけどユーモアに溢れ、見る人の心を深く突き刺すSRシリーズは口コミでどんどん全国に広がっていった。

大資本とマスコミに自主規制されてゴミみたいな、金儲けのための映画やTVが溢れかえる今の世の中で、こういうことはまるで奇跡のようだし、救いのようにすら思える。世の中に希望なんか持っていないボクですら、『もしかしたら世の中捨てたもんじゃないかも』と思えるのだ。だってSRシリーズを巡って実際に起きたことは、映画の中で主人公たちが八方ふさがりのなか、『まだ、声出してんぞ』とラップし続ける姿、そのまんまだからだ

                 

一幕の夢のような感動的な夜だった。いや、SRシリーズ自体が一幕の夢、かも。夢はいつか醒めて、また日常が戻ってくる。だけど戻ってきた日常はほんの少しだけ、今までと違う。
今度はボクにも言わせてくれ。『まだ 声出してんぞ』、と。