特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

24時間の旅路:Perfume@広島グリーンアリーナ


東京もサクラの花が開き始め、ようやく春らしい陽気になってきた。春の嵐の強風で飛行機が飛ぶか、やきもきしながら、広島へ。
パフューム@広島グリーンアリーナ。航空会社のマイレージはこういうときのためにある(笑)。
グリーンアリーナの収容人員は2万人弱、1月に行った埼玉スーパーアリーナの約半分だが、広島では一番大きい会場。市の中心部にある会場に自転車で来ている人も結構居て、地方の住環境の良さ、ゆとりみたいなものが感じられる。うらやましい。

<セットリスト>
1.レーザービーム
2.VOICE
3.エレクトロ・ワールド
4.ワンルーム・ディスコ
 
MC
早くも3人とも目に涙が溢れている。かしゆかちゃんは号泣している。言うまでも無くPerfumeの3人は広島の出身。『今回のツアーは広島グリーンアリーナが目標でした』。地元トークが30分くらい続く(笑)。
5.Have a Stroll
6.時の針
7.微かなカオリ
8.スパイス
9.GLITTER
10.メドレー
 シークレットシークレット〜Baby crusing Love〜Take me, Take me〜575〜love the world不自然なガール〜シークレットシークレット
11.ポリリズム
12.FAKE IT
13.ねぇ
14.ジェニーはご機嫌斜め
15.チョコレート・ディスコ
16.MY COLOR

アンコール
17.Dream Fighter
18.心のスポーツ

                      

セットリストは埼玉と一緒。ミラン・クンデラとあーちゃん:Perfume 3rd Tour @さいたまスーパードーム - 特別な1日(Una Giornata Particolare)
http://d.hatena.ne.jp/SPYBOY/20120130/1327921211
もしかしたら4月発売の新曲『Spring Of Life』もやるかな〜とも思ったけど、照明や舞台装置も曲に完全にシンクロしているから変えるのは難しいよな。最初のMCで時間が押したためか、埼玉でやったアンコールの『PUPPY LOVE』はカット。

Spring of Life

Spring of Life


会場の天井が低いせいか音は埼玉より全然良かったし、照明はブラッシュアップされていて、特に『ポリリズム』の間奏とレーザーをシンクロさせていたのは格好良かった。『MY COLOR』では観客に手を高く掲げさせ、手の平を広げる振り付けをやらせることで、連帯(笑)を強調するように曲自体の意味を変えてしまったのには、ちょっと感動した。のっちは前回より痩せた気がする。

            
驚いたのは会場にハングルや中国語のプラカードを掲げている韓国や台湾、香港の人が結構居たこと。YouTubeがある時代、それ自体は不思議ではないけれど、西日本である広島は地理的に近い、ということもあるのか、と思ったりした。
こうやって韓国や台湾の人も気軽に日本に楽しみに来ることができる時代というのはすごく良いことだ。単に経済的なことだけでなく、日本の社会に対する文化的な刺激だってあるし、やっぱり『開かれた社会が勝つ』(by シンディ・ローパー)のだと思う。 
音楽的にはとがったことをやりながらも、大人から子供まで誰にでも愛されるPerfumeには境界を超えていく力、風通しの良さがある。洋楽とJ-POP、アイドルとダンスミュージック、テクノロジーと身体性、商業主義とアートへの愛情、それに国境人が造ったそういう境界を『広島のごろごろ芋娘たち』(by あ〜ちゃん)は軽々と飛び越えて見せるTPOも相手の気持ちも全く考えない、頭が悪いとしか言いようがない某名古屋市長とは大違いだ。

                                  
この日は3人とも感極まったのか、終盤はまた涙を流しながら歌っていた。たたき上げのプロらしく、それがパフォーマンスに影響することはなかったが、かしゆかの化粧なんか涙で崩壊しかけていた。そういうグタグタ風味もパフュームらしい。
アンコールのときにあーちゃんがこう、言っていた。
『広島から東京へ出て行っても、うまく行かない時期が続きました。そういう時 『正直ダメかな、私たちは無力なのかな』とも思いました
みんな、そう思っていたけど、何故か誰も決して口には出さなかったんです。その代わりに、ただ自分たちで出来ることをやってました。プリクラの裏にサインして配ってみたり、今にして思えば、そんなもの誰がいるんじゃ! うっ(嗚咽)。
そんな崖っぷちパフュームがこんな大きなステージに立てているのは、来てくれたひとりひとり、皆さんのおかげじゃけん。みんなも嫌なことや大変なことはいっぱいあると思うけど、パフュームも頑張るけん、一緒に頑張ろう。
これからもいっぱい夢や目標を作って、それをかなえられるよう頑張って行きたいと思います。パフュームの夢はみんなの夢、みんなの夢はパフュームの夢!』
(このあと、かしゆかが『パフュームでいて良かった』と また号泣)
              

ちょっと心が動いちゃったなあ。普段の生活ではほぼ毎日といっていいくらい、自分が無力だ、とボクも感じるから。
以上 ファン日記でした(笑)。
                  
              

コンサートが終わったあと、夜の平和公園を歩く。
ここは大好きな映画『24時間の情事』(1958年)の前半で使われていた。主演女優、エマニュエル・リヴァが撮影当時を記録した写真集によると、このあたりはバラックが広がり、街中には奇妙なくらい猫の姿がなかったという。
放射能の惨禍から立ち直った今の広島はとても美しい街だ。

●写真も文章も装丁も、感動的。

HIROSHIMA 1958

HIROSHIMA 1958

                 

翌朝は朝一の飛行機で東京に戻る。昼に出発して、昼に帰る、24時間の旅路だった。
                       
●『24時間の情事』の撮影で使われた広島国際会議場のあたりで(当時の新広島ホテル)