特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

ランニング・スケアド:凛として時雨@埼玉スーパーアリーナ

ランニング・スケアドと言ってもビーチボーイズの曲名じゃない。
季節はずれの雪が上がったあと、凛として時雨のギグ:『I was music』。
埼玉、とにかく遠すぎ。埼玉スーパーアリーナは実際に行くのは始めて。2時間近い行程は殆ど旅に近い。駅を降りて会場に向かうと、クソ寒いのにトップスは時雨Tシャツだけの人とか、ミニスカートの人が結構居て驚く。埼京線にしろ、さいたま新都心にしろ、人が、それも若い人が多い。少子高齢化で滅びゆく日本にまだ、若い人がこんなに居たのか(笑)。

<セットリスト>
1.鮮やかな殺人
2.Sadistic Summer
3.ハカイヨノユメ
4.DISCO FLIGHT
5.新曲(I was music?)
6.Tremoro+A
7.想像のセキュリティ
8.CRAZY感情STYLE
9.テレキャスターの真実
10.ラストダンスレボリューション
11.a 7days wonder
12.moment A rhythm
MC(ピエール中野
13.JPOP XFILE
14.Telecastic fake show
15.nakano kill you
16.感覚UFO
17.夕景の記憶
MC(345)
18.傍観

観客への注意事項のMCをピエール中野氏が自ら担当して会場を沸かせた後、バンドが登場。
大会場と言っても照明やスモークが若干 大掛かりになっただけで、あとは普段と何の違いも無い、シンプルなステージだ。
バンドの調子が出てきたのは『ハカイヨノユメ』くらいから。この曲でのTKのギターカッティングと照明の連動は格好良くて、まるで目が覚めるよう。当初もたつき感があったピエール氏のドラムもこのあたりから乗ってきたような気がする。
思い返すと、その日のハイライトは『ラストダンスレボリューション』から『moment A rhythm』のあたり。歌詞を朗読するように歌われた『moment A rhythm』、また『a 7days wonder』はCDとはかなりアレンジも変わっていて聴き物だった。
そこからラストの『傍観』までの流れは定番といえば定番だが、文字通り壮絶。迷路に迷い込んだ悲鳴が聞こえてくる『J POP XFILE』、アナーキーだがスタイリッシュな『Telecastic fake show』、そして『nakano kill you』。この曲の『キミにキミを殺して欲しい』という歌詞に合わせて会場の1万人以上の観客が拳を振り上げている風景は一体何なのだろうか。 時雨を見に来ている多くは若い子供達(笑)ばかりなのだ。
ステージ背景の真っ赤な照明をバックにTKや345の姿が殆ど見えないまま轟音が鳴り響く『傍観』には感動した。TK氏は暴れまわるシューゲイザーだ。
全部で18曲と言うことで大会場のステージの割にはセットリストは大筋いつもどおり。他にも聴きたい曲はあったし特に『knife vacation』が聴けなかったのは個人的には残念ではあった。
演奏も照明も完成度は高かったし概ね満足した。新曲は一曲だけだったのでバンドとしての新しい展開は次回以降、ということなんだろう。
 その新曲の歌詞では『みんな おかしくなっちゃった』という言葉が何度も繰り返されたのがとても印象的だった。そこには何か、目に見えないものに対する怯え、怖れのようなものが感じられたからだ。
『破壊』、『わからない』、『汚い』、『耳を塞ぐ』、『死にたい』- - - -。『凛として時雨』の歌詞は思い切りネガティヴなものばかりだ。そこには何かに怯えるもうひとりの自分がいる。ファルセット(ex.裏声で歌え、君が代)のツインヴォーカルとフィードバックの轟音が走り抜けていく。何に対して、そんなに怯えているのだろう?