特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

盛岡の街、復興増税、『トキニ雨#13』(凛として時雨)

たまには仕事をしよう(笑)、と盛岡へ行ってきた。
新幹線は通常ダイヤに戻ったとは言え福島を過ぎると、まだ修理が間に合っていない、屋根にブルーシートが張られた家が数多くある。
盛岡は久しぶりに行ったのだが、歴史がある街は歩いていて雰囲気が違う。最近の地方都市はどこも東京近郊と同じ店、同じ風景、要はファーストフードとファーストファッション、それにショッピングセンターばかり目立って、荒涼としたうら寂しさを感じることが多い。
ところが盛岡の街は江戸時代からの土蔵や民家や寺社、明治時代の洋風建築、それに現代の建物が混在して、見ていてとても面白い。
今夏高知で、ふらっと入った高知城脇の本屋に『和解のために』の文庫本が平置きされていて、高知の民度の高さに恐れ入ったことがあった。

和解のために?教科書・慰安婦・靖国・独島 (平凡社ライブラリー740)

和解のために?教科書・慰安婦・靖国・独島 (平凡社ライブラリー740)

盛岡の町も良く見るとギャラリーも多かったし、学校の演奏会や文化祭のポスターが街のそこかしこに貼ってあったりする。会話をする際は相手の目を見て話す人が多い。盛岡にしろ高知にしろ、こういう歴史がある街は、人々の間にその地域なりのしっかりとした文化が根付いているんだろうな、と思った。

岩手の沿岸部の復興をサポートしている現地の人に話を聞くと、津波の被害を受けた地域は復興がまったく手がつかない有様だが、その中でも生き残った企業は需要増で忙しいそうだ。地場のお菓子メーカーなど同情票もあって売上が前年比150%とか、200%とか、そういう企業も結構あるそうだ。
残念だけど全てを流されてしまった人(企業)とそうでなかった人(企業)との明暗は想像以上に大きい。
同席していた仙台の人によると、仙台のデパートでは高級ブランド品がバカ売れで、東北一の歓楽街である国分町は『バブル以来の好景気』(笑)だという。
地震保険で現金を手にした人が結構居るし、復興工事のゼネコン関係者で仙台のホテルは満員だから、らしい。 こういう話は現地で話を聞かないと判らない。
ただ、福島だけは誰に聞いても、全くのお手上げ状態だった。


『復興増税と政治家は簡単に増税を口にするが、増税による景気への悪影響は全く語られることがない。
東北の復興にしても財政収支の話にしても、景気が悪くなって税収が落ちたら逆効果になるし、実際 増税による景気悪化の可能性はめちゃくちゃ高い。現に橋本龍太郎増税で景気が悪化して皆 痛い目にあったばかりではないか。もちろん税収も悪化して、橋本の次の小渕は『平成の借金王』になった(笑)。
こんな簡単な話が議論すらされないのは小泉純一郎から菅直人野田佳彦に至るまで殆どの政治家は財務省の手先ばかりであるだけでなく、マスコミや経済学者まで財務省の使い走りばかり、ということなのだろうか。大手新聞では8/19日経『大機小機』欄で『検証なき増税論』という指摘があっただけで、あとはほぼ完黙状態。ちなみに日経の15面という目立たないところにある『大機小機』は1面〜3面とは明らかに論調が異なっている。
増税の話も、どうも原発と構造が似ているようだ

こういうことの繰り返しで、マトモな企業も人もどんどん日本から出て行くのだろう。食い物は日本がおそらく世界で一番美味いのはわかっているのでそういうことは考えなかったが、海外へ逃避するオプションはマジで考えておかないとなあ。



水道橋で『凛として時雨』のギグ、『トキニ雨#13
今回はゲストを迎えた『対バン』という趣向。
まずゲストのcharaが1時間演奏。
この人は90年代に大ヒット曲もある独特な声が特徴の有名シンガーらしいが、ボクは全然知らない。日本のバンドはPERFUME以前はムーンライダーズしか興味なかったから(笑)。
聴いてみると、案外良い。声はあんまり出てなかったが、ツインドラムを中心としたウェストコーストぽい乾いた音に、chara本人に負けないくらい個性的な声のバックシンガーが絡んで、演奏が単純に心地よい。バンドのアンサンブルも何気なく、ばっちり。ベテランだけあって実力あるミュージシャンなんだなと、ちょっと感心した。

そのあと登場した『凛として時雨』は絶好調という感じだった。珍しく345嬢もオーバーアクションでベースを弾いていた。ピエールのドラムももたつかないし、TKのファルセットの絶叫もフィードバック音と一緒に会場中に文字通り響き渡る感じだった。
この日は音がいつも以上にでかくて、重低音で文字通り空気が震える。終演後 何を演奏してたかわかんない、という会場の声もあったくらい。このバンドは変拍子で複雑な構成の曲が多いが、今回は生演奏のアレンジもCDとかなり変えていた。選曲は『COOL J』など久しぶりの曲も。それでもバンドは余裕たっぷりで安定感があった。
強烈な自己嫌悪を轟音と共に叩きつける1時間。差し出された手を振りほどくような音楽。「(ボクは)汚い、死にたい、消えたい」(笑)
この日の演奏は今まで見た中でベストというくらいだったので、いつもの約半分くらいの短時間だったのはちょっと残念。
これから始まる秋のツアーも楽しみ。

<セットリスト>
1.a symmetry
2.テレキャスターの真実
3.COOL J
4.I was music
5.DISCO FLIGHT
6.秋の気配のアルペジオ
7.Illusion is mine
8.Can you kill a secret?
9.Telecastic fake show
10.感覚UFO
11.傍観