特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

大切なことはテレビでは伝わらない。街が無くなったことも、シンディが言っていることも。

復興庁によると地震原発事故で3月28日現在34万人がまだ避難しているそうだ。
*復興庁のアナウンスhttp://www.reconstruction.go.jp/topics/120328hinansya.pdf
そのうち何らかの住居に入っている人は32万人(残り2万人は入っていないということ)。岩手、フクシマ、宮城以外の栃木や茨城などから避難した人は勘定していないだろうから、実際はこれを遥かに越えるはず。この国から県庁所在地並みの都市がひとつ、なくなってしまった
                           


ちょっと前 アメリカの歌手シンディ・ローパーが来日して、テレビニュースなどでも広くとりあげられていた。今 ユニクロのCMにまで出ている。言うまでも無くシンディは昨年の震災当日に来日、余震と震災事故の中 義捐金を募りながら、日本に残ってコンサートツアーを続けた人。今年も3・11に合わせて来日したそうだ。その記者会見全文をNHKがアップしていたので(偉い)全文を読んでみた。http://www9.nhk.or.jp/kabun-blog/800/112997.htmlそしたらニュースで流れていたような当たり障りのない話とは全然違う。ちょっと感銘を受けたと同時に、『大切なことはニュースでは伝わらない』とあらためて思ったのだ。
かなりの長文なので論点を整理して引用します。太字、色付けはボクの主観です。

地震原発事故の際 何故帰らなかったのか 
「True Colors」を最初に歌ったのは日本で、観客が一緒に歌ってくれて嬉しかったから。観客が歌い返してくれたのも初めてでした。今でもその時の日本語訛りの歌を覚えています。その訛りがすっごくステキだったの。まぁ私の英語も訛ってますけど(笑)。
中略
音楽に本当に癒しの力があるのだというのであれば、試してみようと思ったのです。もし私が帰ったとしたら、True Colorsで歌っていることと矛盾してしまうとも思った。True Colorsが癒しの歌だったといっても、もし私がちょっとでも「コワイ」と感じた段階ですぐにしっぽを巻いて逃げるようであったら、そんなのはウソだと思ったの。
                    

『True Colors』と言うのはシンディの80年代のヒット曲。『誰もが自分のこころのままに』という歌で、今ではゲイの人など社会のマイノリティを励ます曲として広く歌い継がれている。
そのシンディの初来日公演、場所は新宿厚生年金か武道館か忘れてしまったけど、とにかくボクは客席にいた。もちろん『True Colors』を歌ったことも良く覚えている。訛っていたかどうかは覚えていない(笑)。そのときも感動的な光景ではあったけど、まさか30年後にこういう形で帰ってくるとは夢には思わなかった。 すごく嬉しい。
●彼女のセカンドアルバム、名盤は1stなんですがね。

トゥルー・カラーズ

トゥルー・カラーズ

                             

●フクシマについて
東北の人を無視したり、隔離したりしないで。同じ日本人同士、孤立させないで。ブルース・スプリングスティーンが“We Take Care of Our Own”というシングルを出したけど、日本人はそういう思いがありますよね。恐れないで。彼らを包み込む、開かれた社会が勝つのです。排他的な社会の基盤は弱いと思う。政治家みたいな話になっちゃったけど。ごめんなさい。
中略
今、福島はとても孤立しています。何であれこの問題の根本を解決しなければいけません。福島にはかなりの人口がいます。福島は大きくパワフルな都市でした。ビジネスも盛んでしたし。今のように機能不全な都市ではなく。アメリカでも多くの問題があります。問題はどこにでもあります。ニューオーリンズもそうです。ニューオーリンズの様子を見ていたときも、信じられない思いでした。「冗談じゃないの?(責任者は)どこへ行ったのか?」と思いました。大統領はどこ?どうして大統領が今、テレビに出ていないの?なぜ大統領がちゃんと陣頭指揮をとっていないのか?と。それがジャクソンスクエアに出てきて、「楽しい時間を過ごしました」だって。なんだそれは?と思いました。教育は本当に大切です。ジョージ・W・ブッシュ元大統領は私に教育の大切さを心底感じさせてくれました。彼は学校の成績がCでしたから。

中略
教育は大切なのです。大切なのは、教育によって、福島で何が起こっているのかを知ることができることです。それでこそ福島の人々が孤立するようなことがなくなるのです。情報は力です。情報が必要です。正しい情報が必要なのです。

                                    

言うまでも無くブッシュ元大統領はトンデモ発言を繰り返すだけでなく、綴りの間違い(確かSCHOOLだったと思う)を小学生に指摘されたりで、金持ちのバカ息子として有名。ちなみに米大統領初のMBA保持者(笑)。ハーバードのMBAでもウスラバカが居る、という身を持って証明してくれている。



●最後に
ここまで率直に語るつもりではなかったのですが、最後に一言。
皆から「(日本に)なぜ留まったのですか?」と聞かれますけれど根っこにあるのは、次のような考えです。
歩いていて、前の人が転んで倒れたとき、どうするか?ということです。
立ち止まって、立ち上がるのを手を貸すか、それともその人を踏んで歩くのか、ということです。
私は転んだ人に手をさしのべるような人間になるように育てられました。

では、よい一日を。

                                                                 

最後の一番大事なコメントを何でニュースは流さないんだよ。                        
シンディが言っているのは決して偽善やキレイごとではない。これは自慢だけど(笑)、この人はガチ!ってことを、ボクは30年前から知っている。
証拠を見せよう。このYou Tubeは昨年、来日する直前、ブエノスアイレスで飛行機の出発が遅れ、怒った乗客が航空会社に詰め寄っているところだ。ちょうど居合わせた彼女は航空会社のアナウンス用のマイクで歌いだして騒ぎを収めてしまったのだ!音は悪いけど、こんなに美しい合唱はボクは他に聞いたことが無い。