特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『無能で冷たい国』の『モテキ』

EUアメリカも、世の中だんだんきな臭くなってきたようだ。(リーマンショックのあとに)『余震』が来るというのがアメリカの元労働長官ロバート・ライシュの近著だが(マジ、感動した)、余震の方がでかいのかも。

余震(アフターショック) そして中間層がいなくなる

余震(アフターショック) そして中間層がいなくなる


saundersonさんが書かれた論文『放射線の人体への影響に関する先行研究に基づく 福島原発事故への対応策の批判的検証』を読む。
http://d.hatena.ne.jp/saunderson/20110928
論文は以下の3つについて過去の学説を整理している。
1.放射能の人体への影響(チェルノブイリetc)、
2.放射能の基準値(しきい値の有無)、
3.基準値以下でも健康に影響を受ける可能性があるグループの存在(乳幼児、女性など)。

ここには、ボクが知りたかったことが書いてある。(特に1)
何年後かに日本で起きるであろう人体への放射線健康被害チェルノブイリのことを考えながら判断するしかない。 本当に恐ろしいことが起きるかもしれないのだ
ところが被害の全貌がきちんと伝わってこない。日本政府はチェルノブイリの被害者は甲状腺がんの15人だけとか言ってるが、常識的に言ってそれはありえね〜(笑)被害者は数万人とするグリーンピースにしてもECRRの報告にしても、断片的な資料は日本語で読むことはできるが、なかなかわかりにくい。
この論文は言葉は平易で、色々な学説が体系的に整理されているから、あとは人それぞれ、必要と興味に応じて深堀りしたり、検証すればいい。ボクはヤバイと思って観に行った映画『チェルノブイリ・ハート』の内容をこれを読んで裏づけすることができた。
付記:とうとう、フクシマでも子どもの甲状腺に異変が発見されたhttp://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111004-00000067-mai-soci

この論文のような情報は世の中にもっと広まってしかるべきだ。元来は政府なり自治体なりがこういうことを言わなければいけないのだ

東海村の村長さんは今、こう言っている。まったく同感だ。
日本は無能で冷たい国 、だと。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110930-00000030-mai-soci


新宿で映画モテキ
昨年 夢中になったTVドラマの映画版。盛大なプロモーションのせいもあって大ヒットらしい。TVのスピンアウト映画なんか見たこと無いから、大スクリーンの客席に座るとなんとなく身の置き場に困る。案の定 こういう映画はやっぱり客層が悪い(笑)。上映中も大声上げたり、携帯でメールをチェックしているバカが結構居る。まぶしいんだよ、ボケ〜。

TVドラマはわかる人にだけわかる、マニアックな趣が強かったが、映画版はそれをセルフ・リスペクトしつつ、万人に受け入れられるものを目指した感じ。良くも悪くも映画の中でリリー・フランキーが言っていたとおりだ。『(サブカルクソ野郎のお前たちからカネをむしりとる』(笑)。


冒頭 大画面にフジファブリックが流れるとまず、感動する。映画自体は全然 悪くない。それなりに面白いし、ボクは好きだ。
TVと違い映画のスクリーンだと、歩道に流れるテロップとかの演出にうっとおしさも感じるけど、プロットはまともだし、女性作家の原作らしく登場人物、特に女性のキャラクターは丁寧に設定されていて好感が持てる。年上の彼氏と同居する女の子の部屋にはジャクスン・ブラウンのデビュー作のLPが飾ってあったりする。芸が細かい。

大根仁監督は役者さんのキラキラする表情を引き出している。うざくて暗い主人公、藤本幸世を演じていても、にじみ出てくる森山未來くんのすがすがしさ、それに女性キャストの魅力がとても良く出ている。今まで興味なかった長澤まさみとか仲里衣紗とか、この映画の朝の陽光のシーンで、始めてかわいいと思ったよ(笑)。



メジャー資本の映画だけど、サイタマノラッパー2のヒロイン、山田真歩嬢が登場したり、マイナーなバンドを取り上げたり、監督は大資本を利用しつつ去勢されるのを懸命に拒否しているように見える

実際 Perfume森山未來のダンスシーンは想像以上にゴージャスでよかったし、メジャー映画ならではのスケール感をだそうとする工夫はわからないでもない。だけど映画版『モテキ』はやはりTVドラマなのか映画なのか良くわからないところがある。クライマックスの画面は美しいし、原作コミックのエンディングみたいな良いシーンだけど、主人公がああいう行動をとるに至る説得力は今二つだったと思う。そこに至るまでの葛藤の描き方が足りない。実際 公開版は1時間40分くらいだが、監督によると当初のヴァージョンでは2時間48分だったそうだ。
描写をはしょったから、映画版はTV版や原作にあった切実さ、切迫感みたいなものがあまり感じられなかったのかなあ。
カネなし、夢なし、女なし、積極性なしの主人公、藤本幸世くんもこれであっさりと、普通の大人になってしまうのだろうか。ボクは続編で35歳、40歳、50歳になってもウジウジしてる幸世くんも見たいぞ

上映中もざわついてる阿呆な観客は女装した異形のバンド『女王蜂』の演奏シーンで一瞬、静まり返った。そういう、予定調和の結論だけで満足する客層も取り込む前提で作らなければならなかったのが映画版『モテキ』の不幸だろう。この映画が『(500)日のサマー』みたいな小品として作られていたら、本当に愛すべき作品になっていたはず。この映画での森山未來くんの熱演は『サマー』の草食系主人公、今売れっ子のジョゼフ・ゴードン・レヴィットくんに遥かに勝ってたと思うし。
だから この映画では、最後に流れた異色の組み合わせ、スチャダラパー+藤本幸世の『今夜はブギーバック』が最もわくわくしたシーンだった。


映画版『モテキ』は楽しい映画だけど、ブルーレイで、家でゆっくりと一人で見たらもっともっと、楽しいだろう。できれば2時間48分のディレクターズ・カット版で。
個人的には作中に登場するスナック『シーズー』にぐぐぐっと引き込まれてしまった男でも女でも、例え長澤まさみでも(笑)、関わると何かと面倒くさい人間より、犬に遊んでもらってたほうが良いや


いや、TV版に出ていた野波麻帆たんや満島ひかりちゃんだったら、遊んで欲しいです(笑)。




PS.Perfume+幸世、実際にステージでやったらしい。生Perfume見たかったよ〜
http://smash.music.yahoo.co.jp/top/20111003-00000004-natalien/