特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『NHKスペシャル 2024私たちの選択』と『3週間遅れのクリスマス』

 寒くなりました。今週からは零下20度でも大丈夫、という触れ込みのカナダグースのダウンを着て、1時間半の徒歩通勤をしています。でもダウンに包まれていない足や顔は寒~い(笑)。

 この自民党の『政治刷新本部』というのも酷いですね~。
 

 顔ぶれも内容も国民をバカにしているのか、と思わざるをえない。これが『刷新』???

 政治家にはその程度の国民、と思われているのでしょう。いまだに安倍や菅の総括すらできていないんです、それは確かに間違いじゃない(笑)。

 今朝 この話を読んで、ちょっとびっくりしました。1月9日に就任したフランスの新首相は社会党出身の34歳の同性愛者、というのです。

toyokeizai.net

 新首相も超エリート校、パリ政治学院の卒業生で、政治も経済も学界もマスコミも上層部は超エリート校出身者のフランスの社会構造自体を揺るがすような話ではない。しかし首相就任の理由は優れた弁舌と前任の教育相時代に高校生の時に同性愛差別で虐められた経験を生かして虐め対策に注力した実績が買われた、とのことです。あくまでも能力と実績です。

 若けりゃいいというものでもないし、性的マイノリティが良いという訳でもない。でも、同性愛差別を禁じる法律すら骨抜きにされる日本とは月とスッポンです。

 社会の分断が進むフランスの政治も問題だらけですが、それでも彼らの社会は少しずつ変化している。極右に投票するバカは多いにしても、世の中を少しはマシなものにしようと考えている人もフランスには大勢いるのでしょう。
 一方 日本はどうでしょうか。政治家の『政治刷新』(笑)だけでなく、国民の多くも世の中をマシにしようなんて考えてもいないと思います。

 日本の政治家が与野党ともにダメなのは本当のことにしても、それだけじゃダメなんですよね。


 先週4日に、元日に放送されるはずだったNHKスペシャル2024私たちの選択 -AI×専門家による“6つの未来”-』が放送されていました。
 
www.nhk.jp

 AIにデータを読み込ませて予測した日本の未来の方向性について、東大准教授の斎藤幸平、経済再生担当大臣の新藤義孝サッポロビールの人事担当取締役だった福原真弓氏、内閣府男女共同参画推進連携会議有識者議員の櫻井彩乃氏が語るというものでした。

 番組自体はくだらなかったです。例えばベンチャー支援のSBIRというアメリカの仕組みが紹介されていましたが、そんなもの日本でも20年以上前から導入している。経産省が20年間やって失敗した理由(笑)こそ放送すべきです。

 そもそもAIなんて過去のデータの延長線のことしかわからないのだし、予想のロジックもブラックボックスですから、いい加減なものです。それを真に受ける方がバカ(笑)。

 ゲストのコメントもつまらなかった。新藤にしても斎藤にしても立場の違いこそあれ、無責任な放言をしているだけでした。特に全く自分に責任を感じていないような他人事の発言を繰り返す新藤はむかつきました。『少子高齢化は日本の最大の問題』と今更ながら言ってましたが、それはお前らのせいだろうって。
 こんなバカな連中が大臣をやっている限り経済が再生するはずがない。

 
 良かったのはどの選択肢も一長一短なのを明示していたところです。番組では、将来の日本は6つの方向性がある、としていました。

 どんなものにでも良い点、悪い点が必ずあります。政治の議論では、例えば経済対策と言っても消費税を無くせば景気は良くなるとか、ワン・イシューの単純な話ばかりですが、現実はそんな単純なものではありません。バカバカしい。

 現在のままでは3か4の方向性へ進んでいくのでしょう。
 番組は斎藤幸平が主張する選択肢1、唯一の20代櫻井彩乃が主張する選択肢5を中心に進められました。

 斉藤の『低成長でも幸福度が高い社会を目指すべき』は同感ですが、少子高齢化が進むのですから、経済成長がなければ福祉や医療のコストを賄うことはできません。幸福度を高めるのは甚だ難しい。
 斎藤は『カネがなくてもローカル・イノベーションだ』って言ってました。

 けど、それだけで日本人がエネルギーや食糧を輸入して飯を食っていくことができるのか。それに金がなければ最先端の医療やITの技術だってお留守になるのだから、結果的に教育、医療や福祉のレベルも下がるという事になる。いくら何でも、それはムリでしょ。
 北欧だってフィンランドにはノキアやUPM(世界6位の製紙企業)、スウェーデンにはサーブやイケア、ABBなど金を稼げる基幹産業があるから、重福祉でもやっていけるわけです。

 櫻井彩乃の選択肢5は、『女性や外国人に活躍してもらい、起業率も高めて、経済を活性化させていく』、という話です。これも同感ですが、その代わり市場競争だけでなく、個人の生存競争も厳しくなるから、人間にとっての幸福度は下がる。言うまでもなく、こういう社会は疲れます(笑)。

 ボクは選択肢5のマイルド版で行くしかないと思います。とりあえず女性や外国人に活躍してもらう。新藤のような間抜けなジジイはお払い箱(笑)。それを起爆剤にして社会の閉鎖的な風土を変える。そうすれば政治も変わるんじゃないでしょうか。教育や福祉に廻す金も出てくる。市場競争の厳しさも多少は和らぐでしょう。

 日本人のムラ社会、閉鎖的な風土を変えていくことはかなり優先順位が高い事柄です。この点では右も左も全然ダメ。
 オープンな議論がこの社会に定着していけば、市場競争+重福祉という今のところ唯一現実的な解に見える北欧路線への道も見えてくると思います。

 高度成長期は利益分配が政治の仕事でした。政府自民党は勿論、社会党共産党だってそうでした。これからの少子高齢化の時代は限られた資源をどこに優先的に分配して、どこの分野を減らしていくか、が問題になります。全員に良い顔をすることはできない。そのことは皆 薄々判っている。

 現在は旧来の労働者と資本家という括りはほぼ崩壊しています。格差論で有名な早稲田の橋本健二教授は資本家からアンダークラスまで現代の階級を5つに分類しています。


貧困大国ニッポンの「階層データ」初公開! 全5階級で年収激減の格差世襲地獄 | 週刊ダイヤモンドの見どころ | 週刊ダイヤモンド

 階級闘争とまでは言わないけれど、野党は国民のどの層のために仕事をしていくのか、ある程度はっきりさせないと与党に対抗できないでしょう。与党は資本家と新旧の中間層を見ているのははっきりしていますからね(笑)。


 おしまいは 12月に食べた、いつも行っている近所のイタリアンのクリスマスメニューです。
 クリスマスにわざわざ外へ食べに行く発想はないのですが、たまには行ってみよう、歩いて行ける範囲なら出かけてもいいや、と思ったんです。クリスマスに外食なんて10年ぶり、どころではありません。もっと昔かも。

 最初は表面をキャラメリゼしたアナゴのテリーヌ。

 ウンブリアのオレンジワインと

 トリュフを載せた鹿のカルパッチョ。鹿は美味しかった。

 干し鱈とウィキョウのグラタン。鱈はシェフが今年ポルトガルへ行った際に買ってきたものだそうです。
 干し鱈というとポルトガルの名産でイタリアンでは初耳ですが、シェフが修行したプーリアではクリスマスに干し鱈を食べるそうです。フェルナン・ブローデルじゃありませんが、人為的な国境に関係なく地中海という文化圏がしっかり存在しているようです。

 ハマグリのスープのパスタ。パスタは12面に整形してあってスープに絡みやすくなっているそうです(笑)。

 ワインは赤に変えてもらいました。バルベーラはあまり好きではありませんが、これは重厚な味で美味しかった。クリスマスらしくマグナム瓶が開いています。

 雉のラグーと白トリュフのパスタ。これは豪勢です。白トリュフは値上がりしていたのか、今シーズンは殆ど食べることができなかったので猶更。

 熟成させた但馬牛のロースト。 

 メルローヴィオワイン。年数が経っているだけあって、これも重厚な味でした。もう、飲めない。最近はもう、ワインは3杯が限界です。

 フランボワーズのロールケーキとマスカルポーネのアイスクリーム💛

 確かに美味しかったし、お腹いっぱいです。
 ただ、お店の方は気合が入っているんだけど、やっぱりクリスマスメニューは展開が読めちゃうから飽きる(笑)。白トリュフを別にすれば、干し鱈が一番おいしかった(笑)。

 暖かかった年末とは対照的に、寒いクリスマスでした。