特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

映画『日々是好日』

いよいよ10月も終わりに近づいてきました。毎度毎度の話ですが、日々が過ぎていくのは早い〜。早く定年にならないかなああ。
もう家にクリスマスケーキやおせちの案内が来てますけど、お歳暮の案内は来ない。今はお歳暮という慣習がよほど廃れているんでしょうね。それは悪いことじゃありません。年賀状とかお歳暮みたいな虚礼は止めて欲しいです。
まあ、それはそれで先人の知恵、人間関係を構築したり維持したりする『きっかけ』ではあるので、一概に否定しなくても良いかもしれませんが、ボクは人間関係とか嫌なんです。良く『ネットワーキング』とか言われるけど、まっぴらごめんです。知らない人に引き合わされても何を話したら良いか判らない。疲れる。
●昨夜の渋谷の騒ぎに対するtweet。この通りだと思います。渋谷の騒ぎだけでなく、ジャーナリストの安田氏へのバッシングを見ていると、日本人は別に民度が高い訳ではない。自分で物を考えない、付和雷同な人が多いだけです。

^_^
それでも、そろそろボクの大嫌いな忘年会の予定を尋ねられたりします。勘弁してほしいです。忘年会なんてアホじゃないかと思うんですけどね。ただでさえ忙しいのに、なんでそんな無駄な行事をするんだよ。あー(泣)。
●この前 創業200年という蕎麦屋へ行ったんです。蕎麦は全く大したことなかったのですが(笑)、庭の鯉がすごい〜。一番でかい鯉(2枚目)は60歳だそうです。



ということで、新宿で映画『日々是好日映画『日日是好日』(にちにちこれこうじつ)公式サイト 2018年10月13日公開。

大学生の典子(黒木華)は近所の茶道教室の先生、武田のおばさん(樹木希林)の佇まいに感心した母親に勧められて、いとこの美智子(多部未華子)と一緒に、茶道教室に通うことになる。嫌々始めた茶道だったが、いつしか手放せなくなってしまった典子の人生の一コマ、卒業や就職、婚約、父の死、新たな恋、さまざまな出来事が起きる45歳までの日々を描く


森下典子のエッセイを原作に、茶道を学ぶ1人の女性の人生の変化と心の成長を描いた作品です。予告編を見たら、中々面白そうでした。日経の映画評でも星5つついていましたし。
●典子(黒木華)(中央)は母親の強引な勧めでいとこの美智子(多部未華子)(右)と一緒に茶道教室に通うことになります。

大学生の典子は夢中になるものもなく、なんとなく宙ぶらりんな毎日を送っています。そんなある日 母親の強引な勧めでいとこの美智子と一緒に茶道教室に通うことになります。茶道には興味も関心もない二人でしたが、武田のおばさん(樹木希林)の指導を受けて、何となく続けていきます。


前半部の茶道のシーンはこの映画の売りの一つだと思いますが、見ていると門外漢には『なるほど〜』というシーンの連続です。ただ、見ているうちにだんだん退屈になってきました(笑)。不慣れな若い二人と武田のおばさんのユーモラスなやりとりで笑いを取ろうというのは判ります。茶道に不慣れな典子たちと武田のおばさんのやりとりは良いのですが、描写がやや平板です。


型から入って、身体に、そして精神に身につけていくというのは理解できます。けれど、茶道に対する批評性があまりにもなさすぎないか、とは、思いました。家元制度がどうこうとか、季節に合わせて揃える着物が大変だとか、自民党の偉そうなクソ議員の池坊を思い出す、とまでは言いませんが、もうちょっと茶道を客観的に描いてもいいのではないか とは思います。


ただ、3人の会話劇はやはり面白い。黒木華多部未華子、そして樹木希林と非常にキャラが立った3人です。ボケと突っ込みを立場を変えて繰り返すやり取りはなかなか、絶妙な味です。コミカルでもあり、重くもあり、この顔ぶれから想像できるように怖さすらあります。



少し前に樹木希林の死の直前までを密着したNHKのドキュメンタリーを見たばかりです。この映画の撮影風景もふんだんに映されていましたが、実際はかなり弱っていた。この映画の中では時々驚くような素早い身のこなしを見せたりします。そこは驚きでした。瞬間芸でしょうけど、まさに身を削って恍けた演技をしていた。


淡々と人生のページを重ねていく主人公。大抵の人の人生がそうであるように、恋、死、裏切り、別離、楽しいことも悲しいことも色々なことがあります。彼女の場合は茶道がそれを乗り越える道しるべとなった。


茶道を身につけるにつれ、季節によって雨音が違うことに気が付き、掛け軸の字で実際の水の流れを思い起こせるようになった。なんと人生が豊かになっていくことか。映画の中の描写が物足りないきらいはあるけれど、主人公は徐々に型の向こう側にある心のありように思いをはせるようになっていきます。この後半部の描写は良かっただけに、茶道に対しても、自然環境に対しても、もうちょっと突っ込んでくれれば説得力が出たとは思います。


過ぎていく日々が最も大事な、かけがえのないものである。この映画が描写していることには共感はします。ただ、常日頃から思っていることでもあるので、個人的にはあまり新鮮さを感じませんでした。お話し自体は悪くない。それに黒木華樹木希林の演技は面白いです。日経の映画評は★5つ、そこまでか?とは思いますが、愛すべき小品ではあると思います。音楽なり、画面なり、雰囲気なり、何かフックになるようなものがあればもっと良かったんだけどなあ。