この週末は梅雨前の貴重な晴れ間だったのかもしれません。
暑くもなく寒くもなく、気持ちが良いお天気でした。楽しい週末はどうして直ぐ時間が過ぎてしまうのでしょう。
毎度の話で恐縮ですが、早く定年にならないかなあ。吉田兼好(徒然草)や西行法師のように、人との交わりを断って竹林の中で心安らかに一生を終える、というのが小学生の頃からボクの憧れですが、かなわぬ夢でしょうか(笑)。
●そんなことを言ってる割に(笑)、俗世で久々に天丼なんてものを食べました。良く考えたら油と小麦粉でしょ。恐ろしい(笑)。それでも天丼のためなら寿命が縮んでもいい!
軽い読書の感想です。『スノーデン 日本への警告』
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スノーデン氏は
『日本の当局は米国から監視システムの提供を受けており、既に市民の電話やメールは監視されている。』
『日本の問題点はアメリカよりも行政に関する透明性が低く、当局が何をやっているか、全くわからないこと』
『街角や道路のカメラなどのハイテク技術、行政の恣意性などを考えれば日本の市民の生活は徹底的に監視されていると考えてよい』
と述べています。たまたまTVをつけたら写っていた先週金曜のニュースステーションでもスノーデン氏は同じことを言っていました。彼は、それに対抗するにはメディアによる当局への監視を強めるしかない、と結論付けます。まあ、そりゃそうだ(笑)。
ただし、日本の場合はメディアのほうも当てにならない(笑)。イギリスのガーディアン紙やNYタイムスのように、『権力に対しての監視の眼』という使命感を持ったマスコミは、記者の個人レベルでは点在するにしても組織的には皆無ですからね。第一 そんなマスコミがあっても、アホばかりの国民は志あるマスコミを応援しないだろうし、ネットのデマに踊らされてるのがオチでしょ。しょうがないんだけど、このくだりは読んでいて暗くなりました(笑)。
印象に残ったのは『アメリカでも日本でも、テロで死ぬ確率より、お風呂で溺れ死ぬ確率の方がずっと高い』というスノーデン氏の指摘です。厚労省によると日本では年間4000人がお風呂で溺れ死んでいます。頭をぶつけるなど浴室内の事故を含めると年間15000人。スノーデン氏が言う『その程度のリスクしかないテロのために国民のプライバシーを危険にさらすことをどこまで許容すべきか、冷静な議論をするべきではないか』は非常に説得力があります。
またスノーデン氏の弁護士のアメリカ自由人権協会の常勤弁護士のワイズナー氏の話には希望がありました。
『スノーデン氏の暴露以降 アメリカの監視は抑制的になっている。スノーデン氏の暴露がトランプ政権が成立する前だったのはせめてもの幸いだった』、
『トランプが当選して以降、自由人権協会の加盟者は倍になり、寄付も激増している。マスコミも政府への監視の眼を強めている。』、
『トランプの移民の入国制限などに多くの人々が抗議したように、人々は自分が市民であるためには、テレビでニュースを見てネットに投稿する以上の義務があることに気づき始めた。』、
確かにそれは言えていると思います。
トランプなみの強圧的な政権が君臨している日本はこれからどうなっていくんでしょうか。少なくとも日本人は政府や役所のやることに対して、もうちょっとシニカルにならないといけないのでしょう。政治や社会で起きている出来事に対して他人事は止めようって話。そうすれば営利企業のマスコミだってついてくるはずです。また大量に流れてくる情報に対して、自分の頭で考え、政府やマスコミ、ネットのフェイクニュースに踊らされない、そういう努力をしていくしかないのだと思います。
さて、六本木で映画『帝一の國』
時代は昭和。国内屈指の名門校である海帝高校で生徒会長の座に就いた人物には、将来の入閣が約束されていた。事務次官の息子で首席で入学を果たした新入生の赤場帝一(菅田将暉)は将来 総理大臣になって己の国を作り上げるという大きな野望があった。彼は2年後に控えた生徒会長選を見据えて、高校に集まったエリート800人相手にNO1を目指す。
パロディなのは分かってるけど、ポスターのビジュアルはちょっとバカっぽいですよね😜。
ボクはメジャーな邦画はどうしても敬遠しがちです。何年か前 実写版の『進撃の巨人』を見てひどい目にあいました。脚本がバカ、演技が大仰、なんでもセリフで説明する、そんな映画を見るだけで、ただでさえ少ない知能指数が低下するような気がする(笑)。
『帝一の國』は公開以来 非常に評判が良いのは耳にしていたし、友達からは『ぜひ見に行け』と命令されました(笑)。主演の菅田将暉君は『そこのみにて光り輝く』を見て以来 かなり高く評価しているんですが、見に行くのは1か月間 尻込みしていました。ボクは保守的な人間なんです(笑)。
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映画は菅田君が毛沢東の台詞を引用するところから始まります。へー。でも、そのあと菅田君と父親役の吉田鋼太郎がオーバーアクションで怒鳴るように会話をしているのを見て不吉な予感もする。大仰なバカ映画だったらいやだなと思ったし、大声は単純にうるさい,不快です(笑)。だけど、見ているうちにだんだん印象が変わってきました。演技力のある菅田君がオーバーアクションしながらも、崩壊寸前で踏みとどまっている(笑)のがわかったからです。彼はぎりぎりまでパロディを演じている、そんな感じでしょうか。
脚本が面白いです。筑波大付属駒場高校と慶應高校を混ぜたような鼻持ちならないエリート男子校を舞台に、中国共産党と昭和の自民党を混ぜたような政治パロディをやっている。これはかなり笑えます。バカバカしいんだけど、その徹底ぶりにだんだんおかしくなってきました。ただそれだけでなく、ちゃんと現実をも笑い飛ばす姿勢を示している。劇中の『マイムマイム事変』(笑)のようなパロディが、実はブームで投票しがちな我々の現実の戯画になっている。もうちょっと辛口でもいいとは思いますけど、現実に媚びていないので充分面白いです。イケメン目当ての女子校生だけをターゲットにした映画ではありません。
●敵役は野村周平君
●野村周平君二態+α。彼は入江悠監督作品の常連です。1枚目は現在 金曜深夜 絶賛放送中『SRサイタマノラッパー マイクの細道』より、ヒップホップ寺😺の住職役。2枚目は映画『日々ロック』より、二階堂ふみちゃんに張り倒され素っ裸でゲロ吐きかけられるの図。3枚目 二階堂ふみちゃんの素敵な表情😜
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ビジュアル面では出てくるのは男ばかり、これはしょうがない(笑)。ボクは男嫌いですが、イケメンを揃えた白フン太鼓祭りはかなり楽しかったですよ(笑)。
あと紅一点 ちょっと前に見た映画(失敗作)『PARKS』(主演は橋本愛ちゃん)ではうざいと思った永野芽郁は可愛いかった(笑)。
女の子がエレキギターを抱えていると可愛く見えます。好き(笑)。これは抗えない(笑)。エンドロールで彼女が抱えていた赤いストラトキャスターが欲しくなりました😺
こういうTV局出資の商業主義映画というとボクは体質的に(笑)、耐えられないんです。でも、この映画はそうじゃなかった。徹底的にくだらないんだけど(笑)、後味はさわやかさすら覚えました。自分でも不思議だったんです。その理由は、この映画は既存の価値観を笑い飛ばす姿勢を貫いているからだと思います。血筋や学歴、金がものを言う日本の政治や権力構造を笑い飛ばしているだけではありません。イケメンが山ほど出てくる映画にも関わらず、男性性が強調されてないんです。
●ボクの高校時代、こういう感じの生徒が結構いました。美少年タレントとかジャニーズの練習生とか20歳の高校生とかいたし(笑)。懐かしい感じがしました。
男同士だからこそ男性であることが売り物にならない、ということかもしれません。もちろん実際の男子校がそうとは限りません(笑)。この映画では権力抗争を描いているにもかかわらず、ここでは一般的な男らしさ、力とかマッチョイズムが徹底的に排除されています。男同士が徒党を組んで女性を排除する、いわゆるボーイズ・クラブ的な価値観じゃないんですね。男性性が相対化されているんです。お見事です。出てくる男たちは、ふんどし太鼓は叩くけれど(笑)、イラスト入りのかわいらしいノートを書いたり、男同士の強固なつながりが自然に結ばれたりもします。そんな男たちの姿にはヒロインがあきれ果て、嫉妬するほどです。主人公が強いヒロインにおんぶされて退場するところも良かった。主人公が目指す『国の姿』も実によかった。登場人物はジェンダーに囚われていないだけでなく、囚われていないことがごく自然に表現されている。フェミニズム/男性解放の視点から見ても、この映画はなかなか秀逸です。
二転三転するクライマックスのひねり具合も大変お見事で、大人の鑑賞に耐える出来です。おっかなびっくりで(笑)行ったからかも知れませんが、かなり面白かった。最後は本気でげらげら笑っていました。文句ない秀作です。2時間、とても楽しい時を過ごせました。菅田君はもちろん、イケメンたちそれぞれが見せ場を作られていて、皆 ちゃんとそれにこたえています。だから、登場人物たちに感情移入が出来るんです。脚本の出来が本当に良いのでビデオで見ても十分面白いであろう、愛すべき映画です。