特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『報道の自由とBABYMETAL』と『マウリツィオ・ポリーニ ピアノ・リサイタル@サントリーホール』、それに『0422 再稼働反対!首相官邸前抗議』

今朝の『プリンス急死http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160422-00000003-mai-n_ameの知らせにはびっくりしました。今年はボウイにプリンス、お世話になった天才の死が続きます(泣)。
                                               
もう一つ、今週報じられた、米CBSテレビのティーヴン・コルベアの番組にワールドツアー中のBABYMETALが出たというニュースにびっくりしたんです。
●日本より海外で売れているベビーメタル。狐さまのお告げにより降臨する、というギミックは秀逸だと思います。でも外人は判ってるんでしょうか(笑)。

METAL RESISTANCE(初回生産限定盤)(DVD付)

METAL RESISTANCE(初回生産限定盤)(DVD付)

                                         
日本でご存知の方は少ないかもしれませんが、スティーヴン・コルベアは2006年にホワイトハウスの晩さん会に招かれてブッシュの面前でブッシュとブッシュに追従するマスコミを徹底的にこき下ろした有名コメディアンです。その晩餐会の様子を以前 町山智浩氏が書いていたのを読んだことがあるんです。
アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない (文春文庫)

アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない (文春文庫)

                                   
晩餐会の席上 コルベアはイラク戦争とそれによる無政府状態をこき下ろして
『私は国民をコントロールしない政府が良い政府だと思います。その意味でアメリカはイラクに素晴らしい政府を作りました』
                     
ブッシュをこき下ろして
ブッシュ政権を沈みゆくタイタニックに例える人が居ますが失礼な話です。この政権が傾いているのは沈んでいるんじゃなくて上昇しているんです。飛行船ヒンデンブルグ号のように!』 *ヒンデンブルグ号は1937年に爆発炎上した飛行船。それ以来 大型飛行船は使われなくなりました。
                                  
居並ぶマスコミをこき下ろして
ブッシュ大統領になってから、ホワイトハウスの記者の皆さんはずっといい子ちゃんでした。無茶な減税やイラク大量破壊兵器がなかったこと、野放しの地球温暖化についても大統領に突っ込みませんでした。それはアメリカ国民が知りたくないことです。記者の皆さんにはそれを追求しない節度がありました。(中略)記者は大統領のお言葉を書き映して編集部に送って、お家に帰って、かみさんとセックスして寝る。頭をひねって本を書いたりもするでしょう。反骨のホワイトハウス記者が政府に立ち向かう話をね。それって作り話ですけど!』
●コルベアはホワイトハウスの記者で唯一ブッシュに厳しい質問をした、当時86歳のヘレン・トーマス記者を称えて最後を締めくくりました。激怒したブッシュの顔は真っ赤でしたが、さすがに退席はしませんでした。顔を見れば明快ですが(笑)

                                                           
当時 ボクは腹を抱えて笑ってたんですけど、今の日本ではあまり笑えません。今週 『日本の報道機関の独立性が深刻な脅威にさらされていることを憂慮するListening:<国連>「報道の自由に脅威」 放送法改正勧告へ - 毎日新聞という国連の勧告や、報道自由度ランキングの低下http://mainichi.jp/articles/20160421/k00/00m/040/065000c(基準がわからないから鵜呑みにするのはどうかと思いますが)のニュースが流れました。日本のマスコミ、特にTVが酷いのは否めないでしょう。それは政府にだって問題はありますが、そもそも放送免許に守られ、新聞・TVの同一経営が禁止されていないこと、ついでに記者クラブに代表されるマスコミの独占体制が悪いんです。要するに地域独占の電力会社と同じ構造です。
                                  
そういうことを考えずにマスコミの堕落だけに悲憤慷慨している人(笑)にボクはあんまり、同調する気にはなりません。右左関係なく悲憤慷慨しているような人はたいてい脳味噌が臨時休業しているから(笑)だけではありません。それ以前に自分自身はどうなんだ、と思ってしまうからです。
                              
イラク戦争の時はアメリカの大手マスコミも日本と同様に酷かったわけです。今もそうかもしれない。だけどアメリカにはスティーヴン・コルベアのように、前回書いたトランスジェンダーの為に立ち上がったブルース・スプリングスティーンのように、立ち上がる個人が必ず、居る。それをサポートする人たちも出てくる。ホワイトハウスの記者たちまでコケにしたコルベアのスピーチは新聞や大手メディアには無視されましたが、ケーブルテレビでノーカットで流され、YOUTUBEで数百万回再生されました。結局 新しいことを始めるのは、いつも個人、です。
                                             
今の日本も含めて、本質的な問題はマスコミだけでなく、市民の側も個人でいられるか、ということです。日本のマスコミだってTBSの金平氏みたいな例外がいます。じゃあ、受け取る側はどうでしょうか。自分は垂れ流しのニュースをそのまま鵜呑みにしているくせにマスコミはいい加減だ、と怒ってもギャグでしかない。普段の生活でも仕事でもTVや新聞を見ていても誰かの命令や言ってること通りにしか動かない人なんか幾らでもいる。
                                        
身体を張ったブッシュへの抗議で名を挙げたスティーヴン・コルベアは昨年 20年以上続いた、かのデビッド・レターマンショーの後番組の司会に抜擢されました。政府もマスコミも敵に回した彼ですが、それを認めた人が大勢いたんです。BABYMETALが出た彼の冠番組The Late Show with Stephen Colbert』、今週もヒラリーが出たばかりの超一流番組ですThe Late Show with Stephen Colbert - CBS All Access

                                 
まるで子供みたいな日本の娘たちがアメリカの超一流TV番組にスターとして出演し、スラッシュ・メタルに載せた日本語で『ギミチョコ(ギブ・ミー・チョコレート)とやったんですから、イノベーションもいいところ、もう アナーキーです。終戦時 日本の子どもが米兵にチョコレートをねだってた頃から隔世の感です。文字通り、ご返杯です(笑)。この娘たちやヘビメタ狂のスタッフたちはそういうことまで意識はしていないでしょう。が、結果として 世の中の変化はいつも文化が先導します。白井聡が言うところの『永久敗戦』のスキームはこんなところからほころびを見せ始めた、と思うのはボクだけでしょうか。
●番組の出演光景。受けてます(笑)。

                                                
少しずつ落ちる水滴でも、いつかは岩を穿ちます。それが個人の力でしょう。今週 以前のスティーヴン・コルベアのパフォーマンスを見直して、また、娘たちのパフォーマンスを見ながら、自分も個人の力で何ができるかということを考え続けていたい、と思ったんです。



ということで、昨日は六本木のサントリーホールマウリツィオ・ポリーニ ピアノ・リサイタル
前回の来日はベートーベンの後期ソナタ14曲と現代曲を組み合わせて4日間、1か月かけて弾くと言う、超ハードなものでした。ボクは全日見ましたが聞く方もハードでした(笑)。ご本人は齢70ということで衰えも感じる時もありましたけど、演奏が乗りまくったベートーベンのピアノソナタ21番は天にも昇るような盛り上がりを見せましたし、最終日のベートーベン晩年のソナタ30〜32はそれこそ、人生とは何か、みたいな精神性が伝わってきて、本当に素晴らしかったです。エゴでもなく、諦めでもなく、もっと遠くへ行くぞ、という感じでした。死ぬときはこういう演奏に包まれていたい、と思いましたよ(笑)、大げさでなく。

今回はあまりハードな曲目ではないので、ご本人も色々考えてるんだろうなと思いながら出かけました。


<曲目>
ショパン前奏曲 嬰ハ短調 op.45
ショパンポロネーズ第7番 変イ長調 op.61「幻想ポロネーズ
ショパン:2つのノクターン op.62
ショパン:3つのマズルカ op.59
ショパンスケルツォ第3番 嬰ハ短調 op.39       
***
ドビュッシー前奏曲集第2巻
<アンコール>
ドビュッシー :『前奏曲集第1巻』から第10曲「沈める寺」
ショパン   :バラード第1番 ト短調 op.23

一曲目の音が聞こえた瞬間、今までのポリー二の音と違うのでびっくりしました。いつもの、パキパキと音がするような硬質な音ではなく、音が柔らかいんです。まるで点描のように音を空間の中に置いていくような感じです。雪の中に足跡を残していく、と言っても良いかもしれません。あと、テンポや間の置き方を今までとはずいぶん変えてきている。マズルカもリズミカルというより、リズムを試行錯誤しているような感じでした。最近のこの人らしく、この日もスロースタートでした。後半になるにつれて演奏は良くなってきます。第1部も後半になると神々しいくらいに美しい音色が空間に散りばめられているようで非常に楽しい時間でした。第2部のドビュッシー前奏曲集第2はボクは曲自体が嫌いですが(笑)、スピードも力強さも演奏は見事なものでした。アンコールはポリーニ定番の美しい曲ばかり、特に『沈める寺』なんか以前と解釈が変わっていました。力強さというより、空間全体、いや、atmosphereをどう構築していくかということに力点が置かれていました。そういえばポリーニのお父さんは建築家だそうですが。
齢を重ねて体力の衰えもあるけれど解釈が深くなっているというのは良くありますが、この人はそれだけでなく『次の段階』を模索しているようです。正直 前回の来日でこの人はそろそろ終わりかと思ったのですが、これで次が楽しみになってきました! 70代で新しい物を目指しているって素敵なことです。


さて、北海道五区の選挙が今週末に迫りました。池田候補が与党候補を抜いたという話もありましたが、現在は『公明党の引き締め』と『地震による空気の変化』で与党が有利といわれているようです。そんな中で現地のこういう光景を見ると何ともやりきれないです↓。総がかり行動の菱山南帆子などが応援に行ってると聞いて嫌な予感がしたんですが、これじゃあ、ぶち壊しです。
●ネットで見た池田候補の応援光景。 
『ほとんど年配の方たちだったことは良いのだが、「戦争法廃止」の大きな看板を立てて、なんと童謡の替え歌をみんなで歌い始めたのだ。勝手にアコーディオンを弾き出すお爺さんもいる。典型的な「悪い市民運動」型の選挙になっている』【現地レポート】激闘!北海道5区補選は異種格闘技(前編) | 日本最大の選挙・政治情報サイトの選挙ドットコム*国会前だけなら、まだ許せるんですけどね。それほど人目につかないから(笑)。



この人達は地方選挙で『戦争法廃止』を全面にアピールして無党派層の票が取れると思っているんでしょうか?それに童謡の替え歌とか人間として恥ずかしくないんでしょうか(笑)? これじゃあ、一番アピールしなければいけない一般の人は退くにきまってるじゃないですか。社民系だか共産系だか知りませんが、こんなマヌケに足を引っ張られてもなあ。こういう人達は善意でやってるってことでリベラルな人たちからもそれほど非難も浴びなかった、そして世間一般からは『バカじゃないの』と無視されてきた(笑)。だけど真剣に現実を変えようと言うときには、無能ってだけで犯罪行為になることだってあるんです。こいつらは実質的に安倍晋三の応援団です。社会人としての一般常識すらない、他人とのコミュニケ―ション能力が致命的に不足しているオールド『市民運動』の連中がいなくならないと世の中は変わらないかもしれません。連中が足腰立たなくなって世間に出てこれなくなるまで、あと10年くらいか〜。その頃はボクがオールドと呼ばれているかもしれませんが(笑)。
もちろん、こういう人たちが全てじゃないし、いずれにしても僅差ですから、結果は当日の投票率次第です。一生懸命応援している『まともな人』(笑)も沢山いる池田候補には頑張って欲しいです。

                                                     

と、言うことで、今週も官邸前抗議へ。今日は昼間は少し暑かったですが、夜風はいい感じです。今日の参加者は主催者発表で800人。
●抗議風景









                                           
いよいよ地震震源が80キロにまで迫った川内原発について、change.org相反する2つの署名が立ち上がっていました。

キャンペーン · 川内原発を止めてください。 · Change.org
キャンペーン · 川内原発を止めないでください!Do NOT shutdown Sendai NPP! · Change.org

                             
署名の数で見れば明快ですけど、双方の言い分を読んで どう思われますか?(笑)。原発を止めたからと言って地震に対して安全になるわけじゃありません。かといって、原発を動かしているより運転を停めた方が地震があっても被害が少ない確率が高いことも確かです。どっちも相手の言うことに耳を貸しているようには見えません。面白いですねえ〜(笑)。
●ま、それでもボクはこう思います(笑)