特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

「東大話法」と映画『ブライズメイズ』

まただ。また、奴らがやった。
今度は内閣府原子力委員会が今後の核燃サイクル原案を秘密会議で評価を書き換え 再処理を有利にしていた』そうだ。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120524-00000009-mai-soci
この期に及んでも役人の魂胆は全く変わっていないのには感心する。ボクが今回の原発事故で学んだことは経産省文科省みたいな官僚機構は国民の敵、だということだ。今まで行政改革とか興味なかったけど、今回の事故でよくわかった。こいつらリストラしなくちゃいけない
スクープした毎日新聞、今回は偉い(笑)。レストランが料理もしないで素材をそのまま客に出したら誰でも怒るのとおんなじで、記者クラブの発表を垂れ流すだけだったら報道機関なんか要らないって。
                   

今年受けた人間ドックは心電図異常で再検査という結果だった。理由はわかってる。同じ時間帯の受診者に東大話法で悪名高い(笑)評論家、池田信夫が居たからだ(笑)。

原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語―

原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語―


昨年出た安冨歩氏の原発危機と「東大話法」』(面白かった)で池田信夫は名指しで批判されているが、要するに教科書棒読みの純粋市場原理主義のおっさんだ。学生の頃、よく居たじゃないか、やたらと『××(先達の学者)によると』って言う教授。引用はいいけど、たいていの場合、ロジックがない。ただ孫引きしてるだけで、何故そうなんですか?という質問には全然 答えられない。要するに自分の意見がない(笑)。
その極端な例がこのおっさん。彼は『国連やICRPの調査によると、チェルノブイリでは甲状腺がんしか起きてないし、フクシマの原発事故では誰も死んでいないのだから、どちらも大した事故ではない』とブログで広言している。事故当時はメルトダウンなんかおきていない、とも公言してたな(笑)。色々な意見があったほうがいいと思うから、ボクは極力 原発に賛成する意見も目に通すようにしている。このオッサンは、市場原理主義だから『東電を解体して株主・金融機関の責任を問え』とか、『電力のスマートメーターは世界標準のものを使え』とか良いことも言う。けれど『学会の常識では(笑)100mSv以下の被爆は全く安全、内部被爆なんか神話だ』、と『断言』してしまう無責任さには腹に据えかねるものがある。こいつの場合 『誰かがこう言ってる』と言っているだけで特にロジックは無いその誰かは国連、ICRP、学会、MIT、権威がありそうなものであること、そして、いざとなると責任は取らない、というのが東大話法のポイントだ(笑)。ついでに事故の人的要因(現場のオペレーションミスとか幹部の意思決定ミスや無責任体制)や格納容器の破損などには一切触れない(笑)。原子力だけじゃなく経済学者など他の分野も同様だが、日本はこういう学者が圧倒的に多数派だよな。
そんなオッサンが実際に待合室で隣に座ったりしたもんだから、心電図に異常が出たりもする(笑)。もちろん知り合いでもないから、そこで議論するわけじゃないけど、やっぱりムっとする。ま、結論としては、自分の修行が足りないんだけど(泣)。
                                             
                                                   
渋谷で映画『ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン』。http://bridesmaidsmovie.jp         

                                                       
女性版『ハングオーバー』みたいな下ネタ満載のコメディ。と思いきや、きめ細かな脚本でアカデミー脚本賞助演女優賞の候補に挙げられた作品。この映画のように一見バカだけど、実はきちんと笑って泣かせるコメディはあまり日本では受けないが、本国アメリカでは評価が高いらしい。

独身アラフォー女の主人公は仕事も男もどん詰まり状態。全財産をはたいて始めたケーキ屋は潰れるは、不倫男にはまるは、八方ふさがり。そんな彼女が幼馴染の親友から結婚式の介添え人を頼まれる。玉の輿を射止めた親友の周りには彼女と対極的なセレブな人種ばかりで、というお話。
                                       
主役兼脚本のクリステン・ウィグは傑作『宇宙人ポール』で宇宙人のおかげで狂信的なキリスト教原理主義から目ざめる女性役をやってた人。アメリカでは有名な、下ネタが得意なコメディアンだそうだ。確かに凄く才能がある人だと思った。
●丁寧なキャラの描き分けもこの映画の魅力(向かって右端が主役のクリステン・ウィグ)

映画の前半はその彼女の下ネタが炸裂する。繰り広げられる女同士の露骨な会話には男だったら誰でも気後れする(笑)。自分とは対照的なハイソな友達にライバル意識を燃やした主人公が一同を庶民的なメキシカンへ連れて行って腹をこわし、高級ウェディングドレスのまま、野●ソするエピソード(笑)は前半を飾る最大の山場だ。
それと対照的なのが後半。結婚式の直前にとうとうぶち切れ、何もかもぶち壊した主人公。自分を呪い、男に依存していた彼女は意外なことで立ち直っていく。誰かのヘルプは受けても、あくまでも自分の力で自分を取り戻していく姿はすがすがしい。 最後のウィルソン・フィリップス(ビーチボーイズとママス&パパスの子供たちが作ったポップグループ)のネタはあまり日本では受けないかもしれないが(日本人はたいてい知らないだろ)、大団円を飾るには相応しい豪華絢爛さだった。
  
                                            
個人的には笑いもプロットも、もう一段説得力が欲しかったとは思うけど、よく出来た作品だし、肩肘張らずに女性の自立を描いたこの映画に感動する人は結構居ると思う。いつも誰かのせいにしてばかりいる東大話法とは対照的で、この映画の主人公の言動には常に主語がある。『私は目立ちたい』、『私は仕事をしたい』、『私は結婚したい』、『私は男が欲しい』(笑)。この作品のぎりぎり下品にならない程度(笑)の下ネタに彩られながら自分に向き合う素直さにむしろ清々しさを覚える。この映画風に言うと、東大話法なんか野●ソ以下、ってこと。いい年になると、なかなか、この映画の主人公みたいに素直にはなれませんけどね(笑)。