特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

2011年の就職事情

ももクロちゃんももいろクローバーZ)とか、最近のアーティストのコンサートに行くと周りが若い人ばかりで多少の気恥ずかしさを感じることがある(笑)。だけど、実際に若い人と話をする機会って殆どない。


勤め先での就職希望者の人との面接はボクにとって、その数少ない機会だ。
ボクが実際にお会いするのは最近は外国の人も含めて30人くらい。疲れるけれど、こちらも勉強になる貴重な体験ではある。若くても自分より立派だなあ、と感じるような人が沢山いるし、是非 この人にボクの上司になって欲しい(笑)とまで思ったりも、する。特に女性はしっかりしていて、感心する人が多い。当たり前だが性別、国籍、一切関係なく判断するから、少なくともボクの段階では合格者が女性ばかりになってしまうのがしばしばだ。
新卒採用が中心という仕組みは多様性の観点から、あまり良いこととは思わない。 だが そういう立派な人や外国の意欲溢れる若い人にお会いするのは、自分に対して危機感も湧くし反省もできるから大変 充実した時間ではある。



最近は就職難とのことで、なんと就職試験の予備校まであるらしい。だが、名目は就職『試験』と名づけられていても、結局は企業と就職希望者の『お見合い』ではないだろうか。
就職希望者は自分の希望やニーズにあわせて企業を選んでいるだろう。
企業も自社の経営環境に応じた人材ニーズというものがあるから、それに基づいてなおかつ一緒に働きたい、という人を僭越ながら、選ばせてもらうだけだ。お見合いでうまくいかない、なんてよくある話、そこにはニーズとか相性というものがあるだけで、別に人間の優劣を決めているわけではないそもそも20分や30分話しただけで人間の優劣なんかわかるわけがないではないか


だから、もし買い手市場ということで偉そうにしている企業があったら、そんなバカ企業は将来の見通し暗いから就職しないほうがいいし、学生さんだって就職試験の結果を過度に気にしないほうがいいと思う。就職試験なんて、ただの相性なんだから。

こういうこともある。
面接の最後に人事の奴が『第1志望ですか』と質問するが、学生さんは全員お約束のように『御社が第1志望です』と答える。だけどふたを開けてみると、第1志望が二つも三つもある場合が多々ある(笑)。実際 就職難と言われても内定を持っている人は複数持っている人も多いそうだから、結局そういうことになる。
結局 企業も学生さんも基本的にはお互い様、なのだ。

だいたいマスコミや広告代理店が就職ランキングだの面接攻略法だの、煽るのが良くない。ランキングやマニュアルで人間の職業が決まってたまるもんか。日本だけだと思うが、そういう無意味なデマを煽って人の就職を商売にしている、リク××トなどの代理店、マスコミその他の連中は許し難い犯罪者だと思う。




昨今 若い人の失業率は二桁だそうで、心が痛む。大卒の就職難は大学が増えすぎたから、という別の問題があるにしろ、人間の、特に若い人の働く機会が少ないということは今の日本はロクな社会じゃない、ってことだからだ。ボクたち大人にはその責任がある。もし自分がその年代だったらどうするのか。
同じように若年層の失業率が二桁以上だったことがイギリスでパンク音楽が出現する背景にあったわけだが、バブル期に来日したビリー・ブラッグ(ポール・ウェラーと一緒にRED・WEDGEというアンチ・サッチャーの運動を主導したイギリスの著名なパンク歌手、日本では無名だけど)は渋谷のライブハウスで、こう言ってた。
『いまの日本は景気が良いかもしれないが、いつかはイギリスみたいに厳しい社会になる』 阿呆なボクはそれを聞いたときは本気にできなかったが、実際には今それが現実になっている。

<日英 失業率の推移>
[世] 失業率の推移(1980〜2011年)の比較(イギリス、日本)
*さらに言うと、他国と違い日本は確か職安に行っている人だけで失業率を集計しているから、実態はもっと厳しい筈

イギリスはブレアの『第三の道』で多少はマシになったが、先日のロンドン暴動の背景にもなった高失業率は今も続いている。
同じように日本での就職事情は当分 厳しいままだろう。超長期には円安かもしれないが、今の円高はそう簡単に対策が取れるとは思わないし、まして狭い地震国に原発が幾つもあるリスクを考えたら、(スズキのように)まともな経営判断が出来る企業は海外へ出て行くに決まっている。(それは別に悪いことではない)http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20110922-00000000-toyo-bus_all


だから、どうしても地元に就職したい、みたいなことは、場所によっては本当に厳しいかもしれない。
原発交付金地方財政に大きな割合を占めているのがいい例で、悪いけど地方の人たち自身も自分の地域を振興する知恵も意欲も能力も不足しているケースもある。 原発交付金を辞退した南相馬市双葉町はこれからは厳しくても本当の地域再生が始まると思うが、この記事に出ているような敦賀とか高浜とか、この期に及んでもまだ、交付金をたかる原発乞食の首長しかいないところは、将来は死の街どころか核のゴミ捨て場になるしかないんじゃないか(知ーらねっと)http://www.yomiuri.co.jp/feature/20110316-866922/news/20110917-OYT1T00670.htm
そもそも日本はセーフティネットは弱体だし、性差別は消えないし、弱者や部外者に冷たく排他的な、問題アリアリの社会だ。

けれど世界有数の大きさである日本市場がなくなるわけではないし、多くの業種・企業にとって日本は今後も重要な市場であり続けるだろう。過当競争だし、流通慣行もロクなもんじゃないけれど、従来とやり方を変えれば市場チャンスはアリアリだ。これもまた、間違いない。



自分が失業したときのことを考えたら、若い人を始め、今 就職に困っている人にかける言葉なんて、あるはずがない。明日は我が身だし。だけど、ちょっと思い切ったら、こういうことは言えると思う。



日本には希望もあんまりないし、バラ色の未来もないかもしれない。
だけど、絶望しても生きるしかない。
だって、そうでなければ死ぬしかないもん(笑)。ボクは臆病なんで、それは嫌だ。




*今回は前回 SAUNDERSONさんから頂いたコメントと、アマゾンで偶然ヒットした、かねがねボクが若い人に対して言いたかったことが偶然タイトルになっている、この本(未発売だから中身は未読だけど、表表紙にはこう書かれている。『こんなに酷い社会だったら、一人ひとりの個人はゲリラ戦でも何でもして、とにかくサバイヴするしかない』)に背中を押されて書きました。ありがとうございました。

僕は君たちに武器を配りたい

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