特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『昭和の亡霊』と映画『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ 』

 楽しかった3連休も終わって、めっきり冬らしくなりました。
 寒いだけならまだしも、宴会が3回もある12月のことを考えただけでもうんざりです。3回なんてサラリーマンでは少ないのかもしれませんが、ほぼ毎週1回はあると思うと、その1週間はずっとユーウツです。どいつもこいつも頭おかしいんじゃないか。
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 昨晩 ゴーンの逮捕を扱ったNHKスペシャルを見てたんですが、露骨に日産と検察の息がかかった番組だな、と思いました。自分たちを正当化したい日産と司法取引のPRをしたい検察の言い分しか流さないんですもん。
 日産がルノーに合併される恐れがあったのが逮捕につながったとか言ってましたが、別にルノーに合併されても日産が文句を言える筋合いではないでしょう。当初 日産の独立性を保ったのはアライアンスをうまく進めるための方便で、いずれそうなることはM&Aではよくある、普通の話です。無能な経営陣&労組のせいで潰れかかっていたのを日産は救ってもらったんですから、それは仕方がない。かってのツケはそれだけ大きかったというだけの話です。日産の社員だって、長年の不正をチェックできなかったような無能な役員に経営されるより、ルノーの子会社になった方が幸せかもしれませんよ。

 代用監獄や密室の取り調べなど日本の司法制度だって、世界的に見れば野蛮極まりないのだから非難されて当然です。ゴーンが私服を肥やしたことと、日産や日本の問題点は全く別の話です。そういう冷静な意見がちっとも聞こえてこないのは、相変わらず日本のマスコミ、知識人は進歩がない、と思います。

 


www.change.org



さて、大阪の万博の話はびっくりしました。まさか本気で誘致してるとは思わなかったですもん。ネットがこれだけ広まってる時代に万博なんて何の意味があるのでしょう。対抗馬だって独裁国家のロシアとアゼルバイジャンだけだったんでしょ。今どき万博なんて独裁者のPRくらいにしか役に立たないのが良く表れています。

 国民の生活に使う金は減らし、こういう一部の企業が儲かりそうなものに投資する。で、景気が悪くなる。少子高齢化も進む。平成も終わろうというのにいまだに昭和の亡霊のような無能ジジイが跋扈しているようです。

 
 ここで言う『ジジイ』とは頭の中のことです。年齢ではありません。過去のことを反省しないまま、同じ間違いを繰り返す無能な人種のことを指しています。頭の中が昭和のままのジジイどもをたたき出せなかったせいで、財政も少子化も人々の暮らしも日本の将来はいよいよお先真っ暗になってきたんじゃないですかね。


 もう一つ、少し前に社民党の八王子市議、佐藤あずさ議員が『議員任期の今年いっぱいで引退する』と宣言したのは、以前ちょっと話題になりました。もともと『美人過ぎる市議』ということで有名な人でしたが、LGBTをカミングアウトしている豊島区の石川大我区議とともに社民党の数少ない有望な若手議員でもありました。
 先週 この人が、その引退理由を『50~70代のリベラル・左派層の男性たちから、セクハラまがい&抑圧的な嫌がらせを受けて、私生活を保てなくなったから』という意味の文章を自身のフェイスブックに書いていました。今は削除したようですし、当人は『部分的に引用しないでくれ』とも書いていましたから、ご紹介するのは現在のホームページの記述だけにとどめます
super-azusa.net

 ボクは民主党との連立政権時代 沖縄の基地問題福島みずほ無為無策のまま大臣を辞任するしか能がなかったのを見て、『社民党は口だけの存在、無能&低能』と判断したので、どうでもいいんですが、こうやってリベラルが自壊していくのを見ると、複雑な気持ちになります。佐藤議員は一回しか演説を聞いたことありませんが、まあ、まともな人です。新宿の街宣で腕章を巻いた腕を腰に当てて演説していたのは面白かった。『かっての労働運動の演説のリバイバルをやってるのか?』と思えて、逆に新鮮でしたもん(笑)。
spyboy.hatenablog.com

●この日の街宣では佐藤議員がピカイチでした。


 この人はさっさと社民党なんかやめればいいと思っていたんですが、一時的かもしれないけど政治生活まで辞めてしまうのは残念です。彼女が『対立陣営から嫌がらせをうけたことはないけど、リベラル・左派からは嫌がらせを受けた』とフェイスブックに書いていたのは如何にもありそうな話です。バカのくせに偉そうな、無能なジジイ連中が世の中を悪くしている。メールも打てない経団連の爺さん連中だけでなく、社民党も頭の中は昭和の亡霊のような男尊女卑に取りつかれている無能なジジイ連中がのさばっているんでしょう。
 

 我々はもう、既存のリベラルに幻想を持つのはやめた方がいい右とか左とか関係ないんです。バカかまともか、どっちかしかない安倍晋三はバカかもしれないが、社民党の体質も似たようなものでしょう。石川大我区議も社民党を離れるそうですが、用済みの社民党なんか一刻も早く解散してもらいたい。だって、安倍晋三をのさばらしているのは政治に無関心な国民だけでなく、無能な野党/市民運動(自称)のせいでもあるのですから。




ということで、新宿で映画『ボーダーライン:ソルジャーズ・デイ

border-line.jp

メキシコ経由で不法入国したと思われる人物が、アメリカ国内で自爆テロを起こす。激怒したアメリカ政府は再度の犯行を防ぐため、CIAの特別捜査官グレイヴァー(ジョシュ・ブローリン)に、国境で密入国ビジネスを仕切る麻薬カルテル間で抗争を起こさせるよう命じる。グレイヴァーは元検事で麻薬カルテルに家族を殺された暗殺者のアレハンドロ(べニチオ・デル・トロ)と共に、麻薬カルテルのボスの娘を誘拐し、カルテルの間で抗争を起こさせようとするが


メキシコの麻薬戦争を題材にしたサスペンスアクション『ボーダーライン』の続編。この作品はアカデミー賞3部門にノミネートされるなど非常に評判が良かったのですが、ボクはスルーしてしまいました。


だって、メキシコの麻薬カルテルってやばいんですよ。以前ドキュメンタリーを見たのですが
spyboy.hatenablog.com
カルテルが勢力を張っている国境地帯のメキシコの都市は犯罪率は世界最悪。麻薬カルテルと言っても資金力が豊富だからマシンガンや対戦車ミサイルどころか、ヘリも潜水艦も持ってるくらいですから、警察どころか軍隊だってかなわない。元軍隊のOBが給料につられて大勢カルテルに参加している。おまけに警察の上層部や政治家はカルテルとつながっているし、言うことを聞かない法曹関係者や警察は簡単に暗殺してしまう。ただ殺すだけでなく、見せしめのために裸にした死体を街中でつるしたり、切り落とした首を街中に放置したり、片腕だけ切り落として放置したりする。マジで怖い。怖すぎ。
いくらフィクションとは言え、前作はそれをテーマにした作品だったので、見るのを尻込みしたんです(笑)。


ところが今夏 このシリーズを担当している脚本家のテイラー・シェリダンの監督作『ウィンド・リバー
spyboy.hatenablog.com
に感動したので、今作は気が進まないながらも見に行った次第。

ウインド・リバー [Blu-ray]

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今作はメキシコ・アメリカ国境での不法移民の密入国から始まります。麻薬カルテルは麻薬よりもっと儲かる仕事、密入国を請け負っているんです。移民たちは仕事と安全を求めてアメリカに入国するために、大金をカルテルに払う。失敗しても、再度挑戦するためにまた金を払うから、カルテルはまた儲かる。そういうメカニズムなんです。

その次にアメリカ国内で自爆テロが起きる。激怒したアメリカは犯人の入国経路を探ります。次のシーンはソマリアに移る。なんで麻薬カルテルの話がソマリアなんだと戸惑っていると、犯人はソマリアから船でメキシコへ渡り、メキシコ国境から密入国したらしいことが判る。考えもしませんでした。見事なプロットです。

 この映画の中でのアメリカはやりたい放題です。ジョシュ・ブローリン演じるCIAの捜査官グレイヴァーはテロの容疑者を取り調べます。床には水タンクが沢山転がっています。すわ、拷問か、と思いきや、そんなもんじゃなかった(笑)。グレイヴァーはこういいます。『俺は拷問なんかしない。』。グレイヴァーは容疑者の前にPCを置きます。PCはドローンや無人機のカメラとつながっている。ソマリアにある容疑者一族の家を探しだし、自白するまで無人攻撃機で容疑者の親戚の家を一軒一軒を爆破していく。それをPCで実況中継するのです(笑)。
●顔だけでも怖いCIAの捜査官ジョシュ・ブローリン。手段は選びません。

 舞台がメキシコに移っても変わりません。CIAはメキシコに完全武装の特殊部隊を白昼堂々送り込むわ、ステルス・ヘリでギャングを追いかけてマシンガンでぶち殺すわ、滅茶苦茶です。ただしそれくらいでないと対抗できない相手であることも確かです。カルテルはミサイルまで持っています。メキシコの警察も脅迫or買収されてカルテルの手先です。まったく当てにならない。
カルテルアメリカも手段を選ばない。そういう現実が描かれています。『ボーダーライン』は単に国境だけではなく、善と悪の境はどこにあるのか、登場人物たちの心の中に境界がある事を描いている。それがこのシリーズの優れたところです。
アメリカ版ポスター。まさにこういうことです。
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グレイヴァー捜査官は、メキシコ国内での秘密作戦のために、ラテン系の謎の男を雇います。それがアレハンドロ(ベニチオ・デル・トロ)。元検事だった彼はカルテルに家族を殺され、復讐のために暗殺者になっているのです。
●謎の暗殺者役のべ二チオ・デル・トロ

 

カルテル同士で抗争をさせて連中の力を削ぐため、CIAはグレイヴァ―とアレハンドロにメキシコへ押し入らせ、カルテルのボスの娘を誘拐させます。

ところが、カルテルへの工作がマスコミに明るみになったことからアメリカ政府は途中から手を退き、アレハンドロとボスの娘はメキシコのカルテル支配下の土地に取り残されます。

そしてグレイヴァーは秘密を知るアレハンドロと娘を始末することを上司から命じられます。果たして二人の男と娘の運命はどうなるでしょうか。

 ジュシュ・ブローリンもベニチオ・デル・トロもめちゃくちゃカッコいいです。ジュシュ・ブローリンは多弁、べ二チオ・デル・トロは殆ど喋りませんが、二人とも心のうちは一切見せない。表情も殆ど変えないまま、マフィアをぶち殺していきます。グレイヴァ―は上層部の理不尽な命令に強硬に抗議しますが、全く認められない。表向きは表情を変えずに、彼は自分のやるべきことをやる。アレハンドロはかってカルテルのボスに自分の妻と娘を殺されています。しかし砂漠を彷徨ううちに、カルテルのボスの娘に心を移していく。その心の変化が面白い。彼らが取り残されたのは娘の父の抗争相手のカルテルが支配する土地です。二人が生き残るためには国境を越えてアメリカへ渡るしかありません。2人は密入国しようとする移民たちと一緒に国境を越えようとします。
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国境も法律も関係ない、日本から見たら滅茶苦茶な話なんですけど、その滅茶苦茶な話がまかり通っている現実があります。描写はハードボイルドだし、リアルです。ボクは男性主人公にはいつも点が辛いのですが、この映画で、久々にカッコいい男を見ました。

移民の実態や国境周辺の人々の暮らしなど、テイラー・シェリダンらしく社会派的な描写が散りばめられているのも見逃せません。メキシコ人だけでなく、アメリカ側にも貧困にあえぐ人たちがいる。その人たちへの目線がこの映画には生きています。
アメリカの力で問答無用でメキシコに文字通り押し入ったアレハンドロたちが、今度は移民と一緒に国境越えをしなくてはならない。その皮肉さ。もちろん、このプロットはトランプのメキシコ移民への政策への皮肉でもあります。
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事前の予想と違って、ハードボイルドな社会派エンターテイメントでした。これは面白い! カッコいい! 傑作の類かもしれません。見終ってから、思わず背筋が伸びた(笑)。乾いた砂漠で描かれる物語には感傷は似合わない。しかし、その中には人間の確かな意志がある。まさに見てよかった~という作品。この続編もありそうです。こういうシリーズものなら大歓迎。帰宅して直ぐ、前作のDVDをアマゾンで注文したのは言うまでもありません。こちらも面白かったですが、大画面で見たかった。この作品も大画面で見ないと後悔するところでした。

「ボーダーライン」続編が公開、J・ブローリンとB・デル・トロのコンビ再び

『数少ない日本の美点』(笑)と『1123再稼働反対!首相官邸前抗議』

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東京タワーって最近はこんな感じ、なんですね。向かいの店で夕飯を食べたあと、何十年ぶりに登ってみた展望台の中の光景です。舞い散る雪や花びらなどのプロジェクション・マッピングが一面に施されて、幻想的な雰囲気です。外国人観光客が多かったですが、子供が喜んでそこいら中を走り回っている(笑)↑のが印象的でした。気持ちは分かります(笑)。
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ボクはスカイツリーですら未だに行こうと思わないし、まして、わざわざ東京タワーに出かけようとは思いませんが、通りがかりにフラッと寄ってみる分には良かったです。古色蒼然とした寂れた雰囲気を想像していたのですが、工夫はしてみるものです。ちょっと感心しました。

もうすぐ12月です。


さて、日産のカルロス・ゴーン氏が逮捕されたニュースは流石にびっくりしました。
ボクは自動車なんて持ってないし全く興味ありませんが、10年くらい前、ゴーン氏がレストランの隣のテーブルで若い女の子と二人きりでいるのを見かけたことはあります(笑)。代官山の、シェフの子供が店の中を走り回っているような庶民的なフレンチで、こんなところにも来るんだなあ、と思いました。安くて美味しいんですけどね。嬉しそうにリストを見ながら、ワインを選んでいるゴーン氏の雰囲気からして、彼女かな?とは思いましたが、どういう人かはもちろん知りません(笑)。


 それはともかく、財務諸表の数字をごまかすのは資本主義では超重罪です。あんなに悪質だった東芝のトップなど日本の上場企業の社長はなぜか滅多に逮捕されませんが、何万人もの株主をだました詐欺行為ですから、逮捕なんて当然です。詐欺師のホリエモンと一緒。ボクに言わせれば、粉飾なんて死刑ですよ、死刑(笑)。

ネットには、この時期に発覚したのは何かをごまかすための政府の陰謀じゃないか、とか声がありましたが、ゴーンの飛行機が日本に着陸するところを待ち構えて捕まえたのですから、そんなことあるわけないじゃないですか(笑)。
それに逮捕された日はちょうどフランスの副大臣を招いての在日フランス商工会議所100周年を祝うパーティだったそうです。タイミング最悪「ゴーン逮捕」にフランス動揺 | ヨーロッパ | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準 そんな日に日本政府がわざわざ逮捕させるわけがない。客観的に物事を考えられないアホはこれだから嫌なんです。

 50億超の金額をごまかすのはゴーンや側近だけではできません。具体的に手を染めた手下がいるはずだし、他の役員が誰も知らないと言うのは考えにくい。更に有価証券報告書の作成責任は最高財務責任者(CFO)か経理部長ですから、最低でもこの人たちは責任が問われなくてはならない。
 この5月に日産の最高財務責任者が外人から日本人に代わったのも何かあるのでしょう。司法取引をしたとは言え、日産は民事で株主から損害賠償も訴えられるでしょう。また外国人社員が豪華住居を会社から提供されるのは大会社なら普通にあるし、わざわざ告発するようなこととは思えない。深慮遠謀なのか、浅知恵なのかはわかりませんが、日産側には明確な意図があるはずです。
●ついでに代用監獄や密室の取り調べなど日本の野蛮な司法制度も世界に知れ渡ればいい!


 ただ、日産+三菱自動車から約10億円、ルノーからも10億円もらっているゴーン氏が『俺の給料は安すぎる』と思うのは理解できます。日本は欧米、特にアメリカと比べたらトップ&管理職の給料は安いんです。中国や東南アジアより安い、とも言われています。
 例えば海外の金融関連の幹部だったら年棒100億とかザラですが、同じ製造業でもGEの会長は47億円(2014年)、自動車業界でも独フォルクスワーゲンの会長は13億円(17年)~30億円弱(不正発覚前)、かって潰れかけたGMのバーラ会長は30億、フォードの会長が25億円。かってルノーでゴーンの部下だったディディエ・ルロワという人がトヨタの副社長にスカウトされた時の年棒は自分が日産から表向き受けている年棒と同じ、約10億円だそうです。
トヨタ社長の報酬3億8000万円、7年で2.8倍に-前期好業績などで - Bloomberg

 ルノー筆頭株主は仏政府、ということもあって、フランスでも高給が叩かれていましたから、ゴーンは今回のような所得隠しをしたのでしょう。それが内部から発覚したのは、ちょうど9月19日の取締役会にルノー、日産の統合の話が出てきたのが関係しているのかもしれません。真相は社内のクーデターなのか、日産とルノーとの勢力争いなのか、まだわかりませんゴーンの社長解任にルノーから派遣されている取締役も賛成したそうですし。
www.nikkei.com


 しかし、トップの給与があまり高くない、のは日本の資本主義の数少ない良い点でもあります。
自動車業界で言えば、日本の社長はトヨタの豊田社長が約3億8000万円(ただし株を大量に持っている創業家だからそれとは別に、倍以上の配当収入がある)、ホンダの社長が約1億6000万、三菱自動車の会長が1億4000万、日産の西川社長が5億(これは高い)。ちなみにソニーの平井社長が27億、実績は大したことないのに貰い過ぎのように見えますが(笑)、ソニーは外国人株主の方が多い実質的には外資企業です。ォ―ナー&創業者でいえば、ユニクロを創業した柳井社長が2億4000万。ユニクロという会社の是非はともかく、これは安い気がします。まあ、他人の懐の話はいいですけどね(笑)。
●高額報酬の取締役にはずらっと外国人が並びます。あとは創業者かオーナー。ゴーン氏はこれとは別に三菱自動車からも報酬を受けています。
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toyokeizai.net


 日本の上場企業は、報酬が1億円を上回ると名前と金額を財務諸表で公表しなくてはいけない、と金融商品取引法で定められていますから、よほどの大会社や創業者でない限り、報酬は1億以下に抑えている例が多いと思います。取引先や社員への手前もありますし(笑)。

 これは『出る釘をたたく』日本の集団主義のせいかもしれませんが、日本の経営者に、ある程度の志や「企業は社会の公器」と言う意識が多少でも残っている人間が多い、ということかもしれません。実際にそういう意識がある経営者はボクは何人も知っています(本音は判りません)(笑)。最近は?ですが、かっては経済同友会などはそういう傾向が強かった。

 親の跡を継いで中小企業を経営しているボクの友人は『自分の報酬を増やしても、全くいいことない』って言います。オーナー企業を長く続けようと思ったら、自分の懐に入れるより企業内で貯めておく方が、税金の面でも経営の安定の面からも有利に決まっています。これが良い例で、長期的視野に立つってことは社会と企業の利益を一致させる良い考え方だと思います。

 日本企業は報酬が低いから優秀な人間が集まらない、と新自由主義者は良く言いますけど、視野が狭いし、思考のタイムスパンが短すぎる。カネだけ出せば優秀な人間が集まるか、と言えば、リーマンショックを引き起こした金融業界を見れば判るように、そんなことは全くない。ある程度カネを払わなければ優秀な人は採用できないが、優秀な人こそカネだけじゃ動かない、というのが真理です。カネで動く人間はカネで裏切るのですから、企業にしてみれば、そんな人間を重用する必要はない。


 こういう話が出てくると、ボクも含めた庶民は『あいつらは沢山貰いやがって』という僻みの論調になりがちです(笑)。22日朝日朝刊3面の論調なんかまさにそう。だから朝日はダメなんです。ポピュリズムを煽って読者に阿ねようとするバカ新聞なのは戦前から変わってない。

 日本人は日本はトップと平社員との給与の差は大きくない、という客観的な事実こそ誇りに思うべきだし、大事にすべきです(でも、確かピケティの調査では、資産を持っているかどうかの格差は大きい)。これを一歩進めて、日本が世界に先駆けて、高額報酬を規制する例えば役員報酬が社員の平均年収の100倍を超えたら法人税率をガバっと上げるような制度を作ればいいじゃないですか。

 そうすれば、少しは日本人は社会に対して信頼を持てるようになるし、トランプや竹中平蔵みたいなクズはともかく、世界の大多数の人からは尊敬されるはずです。日本人自身が数少ない自分たちの美点を大事にしないから、頭の悪い新自由主義者や自己責任論者がでかい面をしているのですよ。
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ということで、今週も官邸前抗議へ。
今日は3連休の初日です。ドイツのフォルクス・ワーゲンは週休3日制という話を聞いたことがありますけど、休みが3日あれば、時間の面でも精神的な面でもだいぶ人間らしい暮らしができると思います。人生が希望に満ちているという感じ。これが3日間過ぎていくと絶望に変わっていく(笑)。
このところの寒さと空気の乾燥のせいか、喉がいたくて声がでないのですが(笑)、夕飯の支度をしてから、暖かい恰好をして出かけました。買ったばかりの真っ赤なステンカラー・コート(笑)。今日の午後6時の気温は12度、参加者は420人
●抗議風景。今日は子供が太鼓を叩いてくれました!(5枚目)




木曜日の朝日新聞朝刊にこんなことが報じられていました。

具体的な内容は、
『関電は、地質調査や原発から約200キロ離れた大山(鳥取県)が噴火した場合のシミュレーションなどをもとに、3原発の敷地内での降灰の厚さを最大10センチ程度と想定。規制委は、噴火でも原発の安全機能は損なわれないとする関電の主張を妥当と判断し、これまでに大飯3、4号機と高浜3、4号機が再稼働』

ところが、
『一部の研究者から、大山からの距離が両原発とほぼ同じ京都市内の地層で、約8万年前に大山が噴火したときの火山灰層の厚さが30センチあったとの研究論文が発表された。』

そのため、規制委は
『規制委は現地調査をもとに火山灰層が25センチあると判断。3原発の想定より厚く積もる可能性があるとみて、再評価を求めることにした』
というものです。


ハイ、灰、そうですか(笑)。
火山灰って、具体的にどのような影響があるのでしょうか。富士山が爆発したときに備えて、火山灰が積もるとどうなるか、気象庁がまとめた資料を見てみましょう。

https://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/tokyo/STOCK/kouhai/kentokai/1st/sankou2.pdf

まず『火山灰が5センチ以上積もると、道路は通れなくなる。』

次に『降雨時に火山灰が1センチ以上積もると、停電の被害が起きる確率が18%ある。90年の阿蘇山噴火の際は1ミリの降灰で3700戸が停電。』

 つまり、1ミリでも火山灰が降ってきた時点で停電の可能性があるし、雨が降っていれば灰が水を吸って重くなるから停電の可能性は更に高まる。福島のように原子炉が冷却不可能になる可能性があるわけです。更に火山灰が5センチ以上積もると道路が通れない、つまり避難もできなくなる。

関電の想定の10センチでも、規制委の想定の25センチでもどっちでもいいですよ(笑)。火山が爆発して原発の設備は大丈夫だったとしても、停電が起きただけで原発はアウトだし、住民の避難はできない。
 規制委は原発の設備だけしかチェックしないようですが、実際は大山が噴火して灰が1ミリでも降ってきたら、原発はやばい可能性がある。こういうことをマスコミが報じないのもおかしいし、気にしない自治体も住民もアホ過ぎる。やっぱり、火山列島/地震大国の日本に原発を作ること自体、かなり無理があるんじゃないでしょうか。

BS1スペシャル「ラップと知事選 沖縄 若者たちの声」と映画『ボヘミアン・ラプソディ』

この土日は爽やかなお天気でした。
それでもボクの週末は映画と1週間撮りだめていたTV番組を早回しで見るのが日課です(笑)。今週は金曜官邸前抗議へ行ってる間に録画しておいたNHKの番組を見ました。
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先日の沖縄県知事選を控えて、沖縄のライブハウスで活動するラッパーたち数人に密着、政治や基地、生活に関する彼らの声をルポにしたものです。ラッパーと言っても勿論 皆 無名の子たちです。

若者たちの政治や基地に関する意見は様々です。政治的意見はともかく、米軍基地が無くなって欲しいというのが大抵の人の思いじゃないかと想像していたのですが、番組の冒頭、『自分がラップを始めたのは基地の米兵と知り合ったからだ、基地がなければ沖縄じゃない』という子が出てきて驚きました。

他にも、そういう意見って番組の中で結構 出てきました。基地で潤っているという経済的な理由なら判りますが、それだけじゃないんですね。もちろん身内や知り合いが被害を受けたような子は若くても強い拒否感はあるんですが、基地に対する抵抗感そのものがない若い世代って多い。もちろん基地より、経済的な期待を優先させて佐喜眞候補に投票する、という子もいます。
先日の知事選では10代、20代は佐喜眞候補に入れた方が多かったというのも判る気がします。もちろん、この番組にも、基地は絶対に嫌だという若いラッパーも出てくるんですけどね。
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ただし、番組で取り上げられたラッパーたちは全員男だった、ということは割り引かなければなりません。ラップというのはマッチョ的な文化を体現している面があって、それが正直 ダメなところです。男に選挙権なんか要らないんだよ、どうせバカばかりなんだから(笑)。
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2018沖縄県知事選 開票ライブ

一方 ラッパーの子がたむろする、基地の周辺で復帰前からバーを営業している店主(下写真右)なんかは『基地も米兵もお断り』という姿勢が明快です。そういう人は玉城候補のポスターを店に貼っている(笑)。ただし、基地前の商店街自体 もう終焉をむかえようとしている。

ラップの傍ら、配達の仕事をしている子は配達先の店でお年寄りの話を聞くことが好きだそうです。おばあさんから、戦中のことを聞かされると『うーん』となる↓。こういう機会がある子はまた違った考えを持つのかもしれません。

若者たちは声高にもならず、かといって遠慮もせず、自分たちの思いを率直に語っていて、面白かった。基地に賛成の子もいるし、反対する若い子もいる。基地に賛成だった子が選挙結果の大差を見て驚くシーンもあります。その子は『みんな、何かを変えたいと思って、玉城候補に投票したのかな』と呟きます。


この番組で取り上げられているのは若い男性、しかも、やや特殊な『ラッパー』というバイアスがありますから、これが若い人たちの意見全般とは受け取ることはできません。
その上で思ったのは、彼らの考えていることは結構 保守的だなあ、ということです。政治的にどうこうということではありません。既存の秩序や権威、権力が彼らの中で既成のものになってしまっている。

ボクの感覚だと『ロックやラップというものは権力と戦うための武器の一つ』(もちろん愉しみのためのものでもあります)です。ところが彼らは悪ぶっているポーズはしても、『地元万歳』というコンテキストに簡単に絡み取られてしまっている。ラップのふりをした日本語フォークかって(笑)、ボクなんかは思ってしまう。もちろん辺野古に座り込んでいる基地反対派の人たちにも旧来の反対運動という、これもまた既成の権威に疑問を持たない、悪い意味で保守的な人は多いとは思います。
●この子は父が米兵、継父などに虐待を受けて苦労したそうです。

地方の若い人の中には、保守的な『マイルド・ヤンキー』が増えてきているという説もありますが、そういう感覚って確かにあるのかもしれません。地元で仲良く仲間たちとつるんで暮らしていければ満足で、それ以上のことは考えたこともないし、考えても仕方ない。地方だってイオンに行けば大抵のものは揃うし、それで飢えるという訳でもありません。田舎のマイルド・ヤンキーのほうが竹中平蔵のような『金儲け命』の新自由主義者よりは、人間として健全なのかもしれない。

問題は、今の世の中が若い人たちの可能性を狭めてしまっていることだと思います。自分の身の回りとは違う生き方がある、違う価値観がある、ということを先行する世代が示すことをできていない。元来 そういうことを教えてくれるのがロックであり、ラップだと思うのですが、経済的な面だけでなく、文化的な面でも今の大人たちは脆弱だし、閉塞して生きているのでしょう。

ドキュメンタリーとして大変面白かったです。一方的な基地反対の観点で作られたものより、はるかに内容が豊かです。あまり予算はかかってないですが、NHKも一部は頑張っている。色々なことを考えさせる番組でした(25日の日曜朝に再放送があります)。
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ということで、日比谷で映画『ボヘミアン・ラプソディ


ボヘミアン・ラプソディ」、「伝説のチャンピオン」、「ウィ・ウィル・ロック・ユー」といったヒット曲で知られるロックバンド、クイーンのボーカル、フレディ・マーキュリーの伝記ドラマ。


まず最初に、ボクはクイーンというバンドはファンではありません。大体のシングル曲は知ってるし、良いなと思う曲もいくつかあるけれど、本気で好きな曲はボウイとデュエットした『アンダー・プレッシャー』くらいです。ハードロックは嫌いだし、大仰な音楽も嫌い、本作の主人公、フレディ・マーキュリーもうまい歌手だとは思うけど、歌い方が下品なので、あまり好きじゃありません。

Queen & David Bowie - Under Pressure (Classic Queen Mix)

尚且つ、クイーンは人種差別で各国からボイコットされていた当時の南アフリカで公演をやっています。ロックの世界でも南アボイコットの動きが広がっていた時に、です。ダリル・ホールホール&オーツは『ボイコットを破ったクイーンとロッド・スチュワートはクズ』とカメラの前で公言していましたけど、当時クイーンはずいぶん非難されました。日本人は無知が多いから意識した人は少なかったみたいだけど、ボクはこの点は許しがたいと思っています。
●80年代、南アの人種差別に抗議する有名アーティストが集まって作ったアンチ・アパルトヘイト・ソング『SUN CITY』。もちろんクイーンが入っているわけない(笑)。

Artists United Against Apartheid - Sun City (music video)


だから、この映画も最初はスルーしようと思ってたくらいです。デモまでの時間潰し、それに名作『シング・ストリート 未来へのうた』のヒロイン、ルーシー・ボイントンちゃんが出ているので見に行っただけなんです(笑)。



ということを抜きにして(笑)、映画としてはかなり面白い作品でした。監督は自身もゲイのブライアン・シンガー。Xメン・シリーズをマイノリティの葛藤と差別への抵抗として描いた監督です。
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まず映画が始まる前 おなじみの20世紀フォックスのファンファーレ。これがエレキギター、それもブライアン・メイっぽいギターの音色で奏でられます。おおっ!凝ってるなあ。
舞台は1970年のロンドン。主人公のフレディ・マーキュリーは、本名はファルーク・バルサラ。アフリカのザンジバル島生まれのインド系です。アート・スクールを卒業後、空港の荷物係として働いていました。ゾロアスター教徒の彼の一家はインドでの宗教弾圧を恐れてザンジバル島に移住、さらにそこでも宗教弾圧を受けてロンドンに移住してきます。''PAKI''と周囲からはパキスタン人扱いされ、しかも歯が出ていたことから、強いコンプレックスを抱いています。生まれ育った名前も捨て、フレディ・マーキュリーというイギリス風の名前に改名するほどです。しかし、彼には美声と声量という武器がありました。
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フレディはボーカルが脱退したばかりのスマイルというバンドに加入します。そのバンドにはギタリストのブライアン・メイ、ドラムのロジャー・テイラーが在籍していました。そこにベースのジョン・ディーコンが加わって、『クイーン』が結成されます。と、同時にフレディは洋服屋の店員をしていたメアリー・オースティン(ルーシー・ボイントン)と知り合い、同棲を始めます。
●メアリー(ルーシー・ボイントン)(右)とフレディ(ラミ・マリック)


ここから、皆さんもご存知のクイーンのスターダム街道が始まります。次から次へと流れるヒット曲を聞きながら、裏側のエピソード、レコーディングやレコード会社との関係を見るのは楽しかったです。約6分間の『ボヘミアン・ラプソディ』がシングルとしては長すぎるとしてレコード会社と揉めるくだりは、やはり面白い。クイーンの面々の強弁より、『マッカーサー・パークドナ・サマーの名曲)は7分だぞ』と弁護士が口をはさむところを入れたのがうまいなあ、と思いました。『マッカーサー・パーク』って『ボヘミアン・ラプソディ』をはるかに凌ぐ名曲だし、いかにも弁護士などが好みそうなオーセンティックな曲なんです。
この弁護士は後日クイーンのマネジメントを引き受け、悪徳マネージャーのせいで空中分解しかけた彼らを救います。いずれにしてもクイーンの曲は感動するほどではないにしろ、ポップだし、誰でも聞いたことがあるものばかり、大画面で見るのは楽しいです。
●'大ヒットした'WE WILL ROCK YOU''って、こうやって作ったんだって思いました。
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制作にクイーンのメンバーが入っているから美化しているのかもしれませんが、クイーンというバンドはずいぶん性格が良い人たちだったんだな、と思いました。天才肌だが暴走しかねないフレディを常識人の他のメンバーが宥めすかして、曲作りもビジネスも何とかまとめていく。ブライアン・メイ天文学博士、ロジャー・テイラーは歯医者、ジョン・ディーコンは電気工学と、ロックバンドには珍しくインテリ揃いだったからでしょうか。
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スターになったクイーンですが、フレディとメアリーの仲は破局を迎えます。フレディは彼なりに一生懸命 メアリーを愛しているのですが、心の底では男性を求めていることがメアリーには判ってしまう。彼はゲイ、だと。実際には両性愛者だったという話もありますが、この映画ではどちらかはわかりません。
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この映画でのルーシー・ボイントンちゃんはとにかく美しくて、画面の中で文字通りかがやいています。後光が差してます(笑)。いいなあ。

●こちらは本物のフレディとメアリー。似てるんでびっくり


2人は友人関係に戻り、フレディはメアリーのアパートの隣に大豪邸を建てます。飼っている猫たちに一つ一つ部屋をあてがいながら、一人で暮らすフレディ。夜になると彼は窓から、メアリーの部屋の明かりを見て孤独にさいなまれます。心ではメアリーを忘れることができないのです。フレディに興味がないボクでも、ここいら辺の描写はかなり、ぐっときました。判るなーと思った。
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やがてフレディは豪邸で夜な夜なパーティーを開くようになり、クスリ、アルコール、男に溺れていきます。悪徳マネージャーはそれを止めるどころか、手助けする始末。真面目な他のメンバー(笑)(?)とも徐々に亀裂が生じ、クイーンは解散状態になります。


やがて史上最大のチャリティ・コンサート、ライブ・エイドが企画され、クイーンにも出演依頼が来ます。何年も一緒に演奏していない彼らはどうするでしょうか。フレディは立ち直ることができるでしょうか。
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お話しは事実を基にしながらも、かなり脚色が入っています。そもそもフレディが自分がエイズであることに気が付くのはライブ・エイドのあとのようですし、両性愛者というより同性愛者として描かれているし、都合の悪い南アの話なんかも触れられてない。だけど、こういう物語にしたのは映画としては大正解。クイーン、フレディ・マーキュリーのある面だけを抽出して、自分のアイデンティティとコンプレックスに悩むマイノリティの物語に仕立て上げたことで、猛烈に感情移入できるお話しに仕上がっています。

日本の観客としては当初クイーンは欧米より先に日本で大人気になったこととか、親日家になったフレディの家に日本庭園があったとか、お忍びで歌舞伎町のゲイバーに通ってた話とかも入れてくれると面白かったですが、そこはスルー。ただ映画ではフレディの家に金閣寺のお札が貼ってありました(笑)。
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ライブ・エイドの画面は、あとで実際の映像と見比べてみましたが、本当にそっくりだし、本物と遜色ない。歴史に残る名演と言われているそうですが(ボクはそこまでとは思わない)、映画では大画面で見られる分だけ、本物より迫力があるかもしれない。1分や2分の演奏シーンじゃなく、20分近く再現したんですから、凄いですよ。すごい。音楽映画の歴史に残る名場面ではあるかもしれません。
●これがホントのライブエイドでのクイーンの演奏風景。日本ではフジTVがCMで切り刻んでライブエイドを実況し、滅茶苦茶にしました。許しがたい犯罪行為です。

Queen - Live at LIVE AID 1985/07/13 [Best Version]

フレディを演じたラミ・マリックという人は大したもんです。歌唱シーンは本物のテープだったり、プロのそっくりさん歌手を使っているようですが、それでもちゃんと歌えるし、フレディのド派手なアクションも完コピできている。なおかつ民族や宗教、セクシュアリティで悩むマイノリティの孤独を壮絶に表現している。
他のメンバーを演じた役者さんもすごいです。特にブライアン・メイ役の人は本人より本人じゃないかと思った(笑)。そして光り輝くメアリー役ルーシー・ボイントンちゃんがフレディの復活の鍵を握っているのも嬉しい(笑)。お互いに新たな恋人ができてもフレディとメアリーは生涯友人関係を続け、フレディは多額の財産をメアリーに残したそうです。
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とにかく面白いし、盛り上がる青春ドラマです。『ボヘミアン・ラプソディ』や『ウィ・アー・ザ・チャンピオン』がマイノリティであるフレディの心境と重ね合せたものになっているところは物語に深みを出しています。エンディングは病が進む中、死を目前にしたフレディの実質的なラスト・メッセージだった『THE SHOW MUST GO ON』(それでもショ―を続けなけれならない)を中心にすれば、もっと盛り上がるとは思いましたが、些細なことかもしれません。

Queen - The Show Must Go On (Official Video)


誰でも聞いたことがある大ヒット曲を大画面、大音量で見ながら、役者さんたちの熱演と判りやすい物語に涙する。実際のクイーンはそれ程 好きじゃありませんが(笑)、この作品はエンターテイメントとしてはかなり質が高い、面白かったです。

映画『ボヘミアン・ラプソディ』最新予告編が世界同時解禁!