週末は穏やかなお天気でした。マンション中庭の新緑が美しいです。
中庭の池では鳥(種類知らない)がつがいで遊んでいました。ここでは外敵もいないし、人間より幸せそう(笑)。
80年代の炭鉱労働者を支援するRED WEDGE運動で挫折して以来、ずっと政治から距離を置いていたポール・ウェラーでしたが、今回は怒り出しました。座視していたら、今まで歌ってた歌が嘘になっちゃいますからね。
ポール・ウェラー(元スタイル・カウンシル)がコンサートでパレスチナ国旗を掲げた。曰く「ガザで起きていることに関して、なぜもっと多くの人が立ち上がらないのか。武器や爆弾を送ってるかと思ったら、次の瞬間には食料を送ってる。一体どういう事なんだ?我々は自分のしていることを恥じるべきだ」 pic.twitter.com/KjpIzq7wlg
— 🇵🇸🇯🇵Thoton Akimoto (@AkimotoThn) 2024年5月26日
このニュースはショック、まだ50代の死でした。
ハンバーガーに、マックシェイク、フライドポテトに、コカ・コーラ(ペプシ?)、1か月間、毎日マクドナルドだけを食べ続けたら人間はどうなるか、自ら身体を張って実験した傑作ドキュメンタリー『スーパーサイズ・ミー』のモーガン・スパーロック監督が亡くなりました。
約20年前に作られたこの映画、監督が毎日マクドナルドの食品を食べ続けた結果、極端にイライラするなどの精神的な悪影響に加えて、血圧やコレステロールなどの数値がドクターストップが出るほどの悪影響が出て、そのあとマクドナルドを絶っても体調が戻るまで長い時間がかかった、という顛末が描かれていました。
今回の早世に影響があったとは思えませんけど、どうなんでしょうか。正義感をユーモアで包んだ素晴らしいドキュメンタリー作家でした。
生きることは難しくて、色々なものが僕達を少しずつ追い詰めているのは否定しようのない事実だけど、「この世はタフで厳しい所だ」という事実を受け入れてしまうと、遠くに光が見えてくるものなんだよ。 pic.twitter.com/cXoZItQmFH
— デヴィッド・ボウイ 名言集 (@DavidBowieBot) 2024年5月26日
一方 カンヌ映画祭でショーン・ベイカー監督が最高賞を取ったのは凄く嬉しいです。今までボクが見た二作品、売春で生計を立てるシングルマザーとアパートの老管理人を描いた『フロリダ・プロジェクト』、ポルノ男優と少女を描いた前作『レッド・ロケット』、どちらも社会の底辺を彷徨う人たちをユーモアと愛情込めて描いた、文字通り鮮烈な作品でした。今でも思い出すと涙が出てくる。今回の『Anora』も楽しみです。
立憲民主の枝野前代表が消費税減税の危険性を訴えています。これでブチ切れている野党垢もいるようですが、この話もまた『バカのリトマス試験紙』になるでしょう。
消費税10%でも、ひとりあたりの社会福祉費は減らさないと持たない。ここまでは自明。で、自民は年金開始年齢を引き上げようとしている。立憲はまず議員年金の削減や富裕層の医療費自己負担増で対応してほしい→ 立憲民主党・枝野幸男前代表、消費税減税は「財政パンクする」 https://t.co/LjR05D1Lrw
— 石田昌隆 (@masataka_ishida) 2024年5月26日
これでグダグダ言っているような学者や著名人、野党支持者は切り捨てればよい。これから金利が上がっていくと世の中はどうなるか、ということにすら思いが及ばないバカは勘弁してほしい。
左から中道までより多くの立場の人が結集しなければ日本の政治は変えられないけれど、ネットでは声が大きい左巻きの連中の数は現実にはそんなに多い筈がない。左巻きのバカは相手にせず、一番数が多い無党派の方を向けばよい。
まともな人は消費税減税とは言わなくなってきている。ざざっと検索してみたら、れいわ脳と極右以外の人で消費税減税と言っているのは、町山智浩と玉木雄一郎だね。玉木雄一郎は発言がしょっちゅうブレて良くも悪くも信念がない人なのでしかたないが、町山智浩はちょっとダメダメっぽくなっているかな。
— 石田昌隆 (@masataka_ishida) 2024年5月26日
(世の中の足を引っ張るだけの)バカは百害あって一利なし(笑)。
日本の愛国者達の内実
— 愛国心はなまけ者の最後の逃避場 (@UniButterPasta) 2024年5月26日
政府・与党「権力さえ維持出来れば日本なんかどうなってもいい」
マスコミ「数字がとれるなら日本なんかどうなってもいい」
経済界「金儲け出来るなら日本なんかどうなってもいい」
ネトウヨ「差別と弱者攻撃が許されて勝ち組気分でいられるなら日本なんかどうなってもいい」
と、言うことで、渋谷で映画『正義の行方』
1992年、福岡県飯塚市の山中で二人の女児が殺害され、目撃情報やDNA型鑑定から近所に住む久間三千年が逮捕される。久間被告は起訴事実を否認し、弁護側は証拠の信用性の低さを理由に無罪を主張したが、2006年に死刑が確定。何故か2年という異例の速さで2008年に刑が執行される。その翌年、久間の冤罪(えんざい)を訴える再審請求が提起されるが。
22年4月にNHK-BSで放送され、文化庁芸術祭賞テレビドキュメンタリー部門大賞を受賞した番組「正義の行方~飯塚事件30年後の迷宮~」の劇場版です。
と、いうより、22年秋に放送されたドラマ『エルピス』の元ネタとなった飯塚事件のドキュメンタリーです。
ドラマ『エルピス』を見るまで、飯塚事件のことは全く知りませんでした。それに異例の3回構成(普通は長くても50分×2)で放送されたBSの番組も原作本も知りませんでした。
監督は芸能畑志望だったという『“樹木希林”を生きる』などを作った木寺一孝。昨年NHKを早期退職したそうです。
映画では取り調べに当たった捜査一課長や特捜班長、現場の警察官、無罪を訴え続けている弁護士、事件を報じた西日本新聞の新聞記者、それに元死刑囚の妻がそれぞれの立場から事件を語っています。
『エルピス』でも描かれていましたが、飯塚事件とは小学校低学年の女児が理不尽に殺された事件です。
ボクはこの事件やNHKの番組を知らなかった、というより知ろうとしませんでした。10年以上前に刑は執行されてしまいましたし、酷い話です。
映画は三者三様、それぞれの立場の証言で進んでいきます。
警察は地元に住む中年男性、久間三千年を容疑者として捕まえます。もともと久間は事件の数年前に起きた別の女児行方不明事件にかかわっていたのではないか、と警察が疑っていた人物です。ところが久間は全く犯行を認めませんでした。
捜査関係者たちは既に定年を迎えていますが、彼らは久間が犯人であることを露ほども疑っていません。どの関係者に聞いても犯人は久間であるとの認識は一致している。出世欲とかそういうものではなく、彼らは純粋に犯人を捜そうとしている。映像からは彼らが心からそう信じているのは伝わってきました。
●捜査に当たった警察官。今までカメラの前で話すことを拒否していました。話すことを承諾するまで木寺監督は現役時代の自慢話を5時間聞かされたそうです(笑)。
ただし彼らは、明らかに久間が犯人と最初から決めつけている。そのためには何をしても良い、と考えていた節もある。
証拠の一つとなった久間の車の目撃証言は警察官が誘導したものであったことが後に明らかになりましたし、久間元死刑囚の妻の証言では、犯行を全く認めない久間に対し警察は『妻が離婚したいと言っている』と言うガセ情報まで流して自供させよう、としていました。陰険です(怒)。手段を選ばず、他にも色々やっていたのでしょう。
連中は『(昔から)警察はそういうものなんだ』と言っていました。連中は税金で食ってるくせに国民を害しても良い、と考えている。
それでも犯行の直接的な証拠は出ませんでした。『女児についていた体液と久間のDNAが一致したというDNA鑑定』と『久間の車を現場で見た』という目撃証言を中心とした、いくつかの状況証拠だけで裁判は行われ、有罪判決が出ます。
DNA鑑定、車を目撃したという証言などの状況証拠が4つ挙げられていましたが、DNAと目撃証言以外は牽強付会、死刑判決を出すほどの証拠ではない。久間の車から被害者の服と同じ繊維の糸が出た、とかそんな話です。
もっとも有力な証拠であるDNA鑑定のスクープ記事を流したのは西日本新聞でした。警察からのリークです。警察の言い分を一方的に伝えた記事の反響は大きく、久間が犯人であるというムードが社会に形作られます。
●当時の記事を書いた、西日本新聞の宮崎。後年 社会部部長になりました。『事件の真偽は判らないが、今だったら、あんな記事は書かない』と言っていました。ちなみに彼は首相在任当時の森喜朗がNHKの記者に演説の草稿を書かせていたことをスクープした腕利き記者です。
事件は最高裁で死刑が確定後 2年という異例の速さで刑の執行が行われます。例えば袴田事件は判決が確定してから50年以上刑が執行されていません。なぜ久間だけが早期に執行されたのか、理由は判らない。
マジか、自白調書の大半が違法取り調べで、しかも科学が進歩してDNA検査で一致しないってことまで明らかになってんのに、検察は往生際悪く死刑を求刑して争う気なんだ。
— 愛国心はなまけ者の最後の逃避場 (@UniButterPasta) 2024年5月22日
さすが世界に冠たる超権威主義国家の検察様。
日本のクソさが凝縮されたような事件だな。 https://t.co/naY3qMSvU0
この映画でも刑が早期執行された謎は追求できていません。ちなみにドラマ『エルピス』では事件は有力政治家絡みだったことになっていました。
言うまでもなく飯塚事件の舞台は麻生太郎がスーパーから塾、セメントという地域の基幹産業、地方自治まで圧倒的な勢力を持っている地域です。現地に行ったことがある人に聞いたら、延々と塀が続く、まるで城のような家だそうです。東京の超一等地、松濤の家も凄いですが。
刑の執行後 久間の弁護士たちは自分たちで新たに証拠を集め、当時のDNA鑑定の結果は信頼性がおけない、警察が捏造したのではないか、と再審請求を出します。
●弁護士たち。現在も手弁当で再審を訴えています。
刑執行後の再審請求と言うのは極めて異例です。その再審を認めるということは、日本の死刑制度そのものを否定することにもつながる。案の定、最高裁は再審請求を却下しますが、DNA鑑定の結果は信用できないということは認めます。
その頃、かって久間の記事を書いた記者たちは編集局長や社会部の部長など西日本新聞の幹部になっていました。彼らは社内の反対を説き伏せ、若手記者を起用して自分たちのかっての記事を検証するキャンペーンを始めます。
●現場を訪れた西日本新聞の編集局長(右)と社会部部長。二人は若かりし時、警察のリークを真に受けて久間元死刑囚を犯人と決めつける記事を書きました。この二人が約20年後 役員会などの社内の反対を押し切って、当時の自分たちの記事を検証するキャンペーンを行いました。
編集局長たちが検証に起用した若い記者は、目撃証言が信頼できないことや当時 DNA鑑定導入を推進していた国松考次(後の警察庁長官)がDNA鑑定をごり押しする圧力をかけていたことを調べ上げます。30年前の事件の新たな証拠を見つけたのですから、大したものです。
●死刑執行後 事件の検証記事を書いた西日本新聞の記者。
果たして久間は本当に犯人だったのかどうか、今となっては誰も判りません。また、なぜ久間の刑がわずか2年で実行されたのか。飯塚事件は今も謎に包まれています。
しかし『人質司法』という言葉に代表される日本の裁判所や司法制度に大きな問題があることははっきりしている。
先週のエントリーでも書きましたが、アメリカは日米地位協定で犯罪を犯した米兵の裁判権をかたくなに日本側へ渡そうとしないのは日本の司法制度に信頼をおけないからと主張しています。この件については、アメリカが言ってることは正しい(笑)。
●秤を持つ裁判の女神、テーミス像。元来は目隠しをして公平な裁判を象徴しているものだそうです。ところが日本の最高裁に飾ってある像には目隠しがないそうです(笑)。
上映後は監督(写真左)とジャーナリストの青木理氏のトークショー。これを見るのも、今回の上映を見に行った理由の一つです。
青木氏は主になぜNHK内でこんなドキュメンタリーを作ることができたのか、を質問していました。これだけ長期の取材だと金も時間もかかるし、良く放送出来たと思います。
監督によるとやはり地上波ではハードルが高く、裁判所が再審を認めるような大きな話がない限り、放送はまかりならん、ということになっていたそうです。NHKスペシャル、クローズアップ現代、すべてダメだった。
ところがBSへ持っていったら、なぜかあっさり企画が通ってしまった。監督は4時間番組を希望したそうですが、さすがにそれはダメでしたが、通常のドキュメンタリーは50分×2のところを50分×3も枠を得ることができたそうです。『BSのプロデューサーが非常に尽力してくれた』と監督は言っていました。
監督曰く、まだまだNHKにはこういう作品を作ろうとするものもいるし、制作畑ではなくてもそういう放送をやろうとする人間もいるそうです。
それを受けて青木氏は、映画で取り上げられた西日本新聞もそうだがどんな組織にも心ある人間がいて、そういう人たちによって何とかオールドメディアは成り立っているのではないか、と言ってました。
メディアにも企業にも役所にも、僅かながらも心ある人がいて、その人たちの少しでもいいから物事を良くしようという努力が世の中を成り立たせている。この映画を見ていて、一番強く感じたのはこのことでした。〇か×かの二元論で世の中は何も変えられません。
結論は押し付けないが、切れ味は鋭い。まさに見る価値がある、見事なドキュメンタリーでした。