特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

映画『マッドマックス:フュリオサ』

 早いものでもう、6月。

 今朝はまた、能登半島で大きな地震があったそうですね。これでも懲りずに原発、と言っている輩はマジで脳味噌を疑いたくなります。目先のカネが大事なのは判るけど、往々にして目先の利益を優先すると却って高くつくものです。


 原発を進める自民党政権は勘弁してほしいけど、

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 別に政権交代しても日本は全く良くならないだろう、と思えるところが、この国の真に凄いところだと思います。
 政治家も酷ければ、

 芸能人も酷けりゃ、こんなバカをテレビに出すマスコミも相変わらず。

 おまけに投票する側も脳味噌にウジが湧いたゴミだらけなんだもん。

 日本に残った僅かな良識って、これくらいですかね。


 と、いうことで、六本木で映画『マッドマックス:フュリオサ

 核戦争で世界が崩壊して45年後。生き残った人類は残り少ない水や食料、緑、石油を巡って争う無法状態になっていた。地上に残る僅かな緑の地からさらわれた少女、フュリオサ(アニャ・テイラー=ジョイ)はディメンタス将軍(クリス・ヘムズワース)率いるバイカー軍団に救いにきた母を殺され、自身も彼らの手に落ちる。ディメンタスたちは水が湧く地にある城塞を統べて資源を握るイモータン・ジョーと争っていた。その中でフュリオサがとった行動は- - -

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 核戦争後の世界を描いて、北斗の拳など様々なディストピアものの元ネタとなったマッドマックス・シリーズの第4作目です。
 アクション映画は全く興味がないボクから見ても、2015年の前作『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は傑作でした。マッドマックスシリーズの27年ぶりの新作にもかかわらず、主人公のマックスは全然活躍しないという恐ろしい作品です(笑)。

 バカ映画と思って見に行ったら、シャーリーズ・セロン演じる女性戦士フュリオサを中心とした、女性たちの自由のための戦いを描いた感動的なフェミニズム映画だったんです。アクション映画としては極めて異例で、この作品はアカデミー賞で作品賞を始め、10部門にノミネート、6部門を受賞しています。

 特に劇中に出てきたこれ、恰好よすぎます。戦いには全く関係ないし、意味も全くわからないけど、どう考えてもボクもやりたい。

 これを真似して本当に、火炎ギターを作ったバカが世界中に大勢いるようです。

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 その前日譚である戦士フュリオサの誕生を描いた今作もシリーズの生みの親であるジョージ・ミラーが監督を務めています。フュリオサ役は前作のシャーリーズ・セロンから、アニャ・テイラー=ジョイに代わっています。

 前作同様、あらすじはどうでもいいんです。
 核戦争で崩壊した世界は水や食料、石油の争奪で力だけが頼りになっています。人間たちの多くは放射能で病に侵され、明日をも知れぬ身体です。ヤケクソともいえる世界は殆ど狂気が支配しています。

 殆どすべてがアクションシーンだった前作(笑)には負けますが、今作もアクションや悪党たち、改造車の造形は本当に素晴らしい。え??っと思ったり、信じられないようなシーンがいくつもありました。改造車が猛スピードで広大な砂漠を疾走するのも、度重なる大爆発もCGじゃないでしょう。

 今作でのアクションシーンは『芸術の域』だと思います。

 悪党たちや改造車のユニークな造形も笑うしかありません。
 前作から引き続いて出てくるイモータン・ジョー一派のすばらしさ?は言うまでもありません。

 嬉々として自爆していく手下のウォーボーイズたちは本当にかっこいいと思いました。

 今作の悪役、ディメンタスのキャラもいい。主人公の母を磔にして惨殺するところを娘に強引に見せつける極悪非道さを見せたかと思えば、時には主人公を助けたりする。超無能で自派の勢力が衰退していったり、大ボス、イモータン・ジョーと対峙した時の小物感(笑)も素晴らしい。

 バイクの頭にマネキンがついていたり、常にクマちゃんのぬいぐるみを身体に括り付けているところはサイコーでした(日本人スタッフのアイデアだそうです)。

 改造車も意味が分からない(笑)。

 作っている側は遊んでいるとしか思えませんが、説得力があるんですよね。改造車のデザイナーが何人もクレジットに挙げられていましたが、考えた人は天才ですよ。何の役にも立たないけど(笑)。

 近年 超売れっ子のアニャ・テイラー=ジョイもユニークな風貌で、この人自身も映画の世界の造形に負けていない。目力が強い人ですが、殆ど台詞がない、そして強烈なキャラクターである今作のヒロインにはぴったりです。

 ちなみにこの映画、主役の台詞は30行しかないそうです。彼女の目力だけで物語を引っ張っていくのですから、それはそれで大したものです。

 美貌に加えて本当にアクションもできるばかりか、もはや演技に精神性すら感じられる前作のシャーリーズ・セロンはやっぱり偉大です。

 けれど、今作のアニャ・テイラー=ジョイ(下写真右)も悪くはありません。

 ブレーキを踏んでいるシーンなんかない、と思えるようなスピードと広大な砂漠で繰り広げられるユニークで狂気な世界を味わう。これもまた、芸術体験です。この映画はその域にまで達している。

 でかいスクリーンと良い音響で、味わうべき映画です。それに答えられだけのものがこの作品にはあります。前作には負けるかもしれませんが、この作品もまた素晴らしかったです。これはバカ映画じゃない(笑)。アート映画です。


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