特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『ヤバいストーリー』と『ゴルゴンゾーラのスフレ』

  こちらは開催中のカンヌ映画祭での俳優、ケイト・ブランシェット姉御。
  日本の地上波ではこんなシーンは流れないだろうけど、世界に向けてパレスチナへの連帯を堂々と表明する彼女の姿は映画の中そのままです。

 知性と勇気、それにユーモア。日本の政府だけでなく、野党やマスコミ、それに左翼や多くの市民運動に決定的に欠けているものです。

●こんな記事を書いた奴は文字通り死ねばいい、と思う

 カッコいいなあ。彼女自身も勇気が要る事だったと思うけど。尊敬します。


 尊敬すると言えば、ネタニヤフに逮捕状を出したICCのトップって日本人女性なんですね。こういう時こそ、マスコミやネトウヨお得意の『日本凄い』の出番でしょう。

 この人はプーチンにも逮捕状を出して個人としても制裁対象になっています。このNHKのインタビューはボクも見てたけど、海外にいても毒殺を仕掛けてくるプーチン相手に良く平然とこんなことが言えるな、と思いました。
 今度の相手はアメリカとイスラエル。凄い人です。国民栄誉賞ってこういう人のためにあるんじゃないの。


 ついでにICCの逮捕状請求はジョージ・クルーニーの奥さんもICCの諮問委員の一人だったんですね。さすが。

www.cnn.co.jp


 今週から 政治資金規正法の審議が始まりましたが、ボクに言わせれば、そんなことはどうでもいい。パーティーや政治献金もやればいいし、何万円以下の献金はどう、とか知ったことではない
 特に個人からの寄付を募る政治資金パーティまで禁止したら、団体などバックがない個人はどうやって立候補したらよいのか。パーティー禁止のようなヒステリックな反応は野党や支持者の悪いところです。頭が悪いのもいい加減 勘弁してくれ~。

 企業や医師会、農協、宗教団体からの政治献金も組合や民商からのカンパも、金は全部オープンにすればいい、それだけです。

 そんなことより、今の日本はとんでもない方向へ進んでいるように見えます。ボクが官邸に出入りしている人から聴いた岸田(と言うより経産省)のストーリーをご紹介します。

 この2,3か月 NHKのニュースを見ていると、GAFAなどの巨大IT企業の日本への巨大投資半導体産業への補助金電力需要の推移、そして原発の再稼働(特に柏崎刈羽の話が目立ちました。唐突に感じる人もいたでしょうが、全て一本の線で繋がっています!

 まずはアメリカは半導体や電池など戦略的な物資については中国と経済を分離、デカップリングすることに決めているようです。トランプの公約しかり、バイデンも中国への関税を強化すると言っている。民主党共和党も共通しています。

www3.nhk.or.jp
 
 これに一枚嚙んだのが日本政府です。日本企業は半導体で負け、家電で負け、デジタルで負け、太陽電池で負けた。国内では次世代の産業が育たないので、今度は外国の投資を呼び込もうとしている。

 グローバル企業にしてみれば中国がダメでも、これから世界で最も経済成長が期待されている東アジアに拠点を置かない訳には行きません。そこでGAFAは拠点を日本に置くことにしてAIなどのデータセンターや研究施設の巨額投資を計画した。

www.sankei.com

 勿論タダじゃない(笑)。誘致のために経産省は税金を使って様々な優遇策を講じている。これなんかもその一つでしょう。

www.meti.go.jp


 さらに台湾有事が起きた際の半導体供給の問題もある。経産省は4兆円という巨額の補助金を出して半導体工場を誘致しているのはご承知のとおりです。


www.nippon.com


 ところがデータセンターも半導体製造も莫大な電力を必要とします。そこで、減少すると思われていた日本の電力需要は増える見込み、ということが、少し前にNHKで大きく報じられました。ボクは人口減少と省エネの進展で日本の電力需要は減少するから原発なんか要るわけない、と思ってたのですが、話が変わってきた。

www3.nhk.or.jp

 その電力需要と電気料金を名目として経産省原発、特に首都圏に近い柏崎刈羽を再稼働しようとしているのです。外資を誘致するためには原発の再稼働が必要、というロジックです。だからNHKでこういうニュースを流している。

www.nikkei.com

 昨今の原油高で原発比率が高い関西や九州の電気料金の低さが目立ちます。原発を再稼働させて電力料金を下げる、というのは理屈ではある。発電所を新設するなら再エネの方が原発より安いのははっきりしていますが、在庫の核燃料を使った再稼働ならどっちが安いか判らない。


www.47news.jp

 ただし元々原発比率が低い東電管内で再稼働しても電力料金は大して下がらない、という試算もあるにはあります。

xtech.nikkei.com

 政府・役所では米中対立→日本への投資呼び込み→電力需要増大→原発再稼働→経済成長というストーリーが出来ているのです。これはこれで一理ある。

 ただ、ボクはこれはヤバい、と思っています。
 まず、経産省の産業政策、特に半導体、IT関連はこの20年、数え方によっては30年間失敗の連続です。

 日本は半導体の材料から製造機械までサプライチェーンが一式揃っている世界で唯一の国だから、今回は勝算はある、というのが経産省の目論見のようです。確かにそこは強みがある。経産省は熊本や北海道に様々なメーカーを誘致して産業集積を造ろうとしている。

 だけどスピードが物を言う半導体ビジネスで日本の国策企業が勝負できるのか、ボクには甚だ疑問です。大した独自技術もないみたいですし。

 経産省に踊らされて東芝が買収した米WHは倒産して早くも復活したそうですが、本体の東芝は積もり積もった借金で今や解体の危機です。経産省は『今度はIBMと提携するから大丈夫』と言ってるらしいですが、そんな甘くないですよ。今回もIBMにケツの毛まで抜かれると思う(笑)。

business.nikkei.com

 
 GAFA半導体のために税金を使って外資を呼び込み、そのために原発再稼働も辞さない、という国・経産省のストーリーはボクは狂っている、と思います。こういうのを『負のスパイラル』って言うんじゃないですか。
 しかし短期的には経済的利益がある可能性は否定できない。ボクはムリだと思いますが(笑)、全てうまく行けば米中デカップリングの体制が確立するまでの5年くらいは日本経済にプラスになる可能性はある。

 問題は代替案です。感情論で経済的利益より反原発の方が大事、とか言っても話は通らない。AIなんか使わないというのもムリ(笑)。経済と環境、国民の利益を両立させる代替案が必要です。政府や経産省の目論見に対するセカンド・オピニオンが必要です。

 ところが今の野党にはこれだけのビジョンは出せないどころか、議論も出来ない。消費税を下げろとかくだらないことを言ってるだけで、日本がこれからどのようにして食べていったらよいのか、なんて連中から欠片も聴いたことがない。

 今 多くの人が最も不安に思っているのは将来、じゃないでしょうか。少子高齢化もさることながら、我々は将来どのようにして食べて行ったらよいのか。例え何か減税したって、その場限りの話です。長続きしないことは皆が判っている。

 いや、そうでもないか(笑)。こんなこと↓を信じたバカが大勢いたんだし、山本太郎信者は今も信じているらしい(笑)。

 とにかく(笑)AIや半導体のために数兆円の税金を投入して原発も再稼働した挙句、今回も半導体は失敗、おまけに再度原発事故、なんて可能性は十分にある。大地震だって、いずれ起きるわけですから。

 NHKのニュースを見るたびに、官邸・経産省のストーリー通りの話がどんどん進んでいるなあ、と思います。連中はNHKで『空気』(By山本七平)を作っている。ボクらは権力者たちが書いた筋書き通りに生きていくしかないのか、と思いたくもなる。
 国の産業政策全体どころか経済構造全体を揺るがすような話でも、この国では議論すら起こらない。政府やマスコミも悪いけど、無能な野党、左派も同罪です。


また、近所のイタリアンへ行ってきました。
 お店は看板もないから知らない人は全く判りません。

 店は庭の階段を下ったところにありますから、外からも全く見えない。

 いつもどおり始まりはフランチャコルタ

 サルシッチャのフライと発酵野菜のスープ

 この日の材料を料理法を変えて出す『もくじ』。中央から右回りに、桜エビのオムレツ、桜マスのカルパッチョ、太刀魚の網焼き、炙ったホタルイカ、鳩の手羽焼き。

 この白はなんだったっけ(笑)。フリウリの何とか(笑)。

 海藻と魚介類を揚げたナポリの料理、ゼッポリというもの。桜エビとアオサ海苔。ソースはホワイトアスパラ。贅沢です。

 桜マスの瞬間燻製。生のマスを一瞬だけ燻製にして香りづけしたもの、身はレア。これは美味しかったです。

 太刀魚とフルーツトマトの冷たいパスタ。いつもながら東京湾の太刀魚の身は厚いし、脂がのってます。フルーツトマトはペーストになっています。昔は冷たいパスタなんか邪道だと思ってたんですが、今は美味しければいいと思うようになりました(笑)。

 この日はちょうどマグナム瓶のヴァルポリチェッラが開いてました。そりゃあ、美味しい。

 イタリアのグリーンピース、ピゼッリが上に載っています。香り高いけど青臭くないそうです。ホタルイカのリゾット。目まで取ってありました。あの感触も嫌いじゃないんですけどね。

 ランド産の鳩。肉は胸と腿の2種類。鉄分を含んだ肉の味は濃厚だし、牛肉なんかより遥かに美味しい。肉汁を煮詰めたソースです。下には肝を刻んだペースト。北海道のアスパラは上には薄く切った生のもの、下には炭火で焼いたものと2種類です。

 ゴルゴンゾーラのスフレ。甘くふんわりとした食感にプラスされた塩味が心地よいです。もともとゴルゴンちゃんはぴりっとした塩味が大好きです。この店でスフレを食べたのは初めてですが、美味しかったです。

 あまり意識してなかったけど、よく考えたらこの店の料理もスローフードも良いところです。手間暇かけた調理だけでなく、材料は出所が明確。

 残り少ない人生、あと何回食事できるか判りません。できるだけ、ちゃんとしたものを食べたいと思うけれど、そういう機会はどんどん減っている。金もうけ、効率優先、それに下品(笑)、そんなのばっかり。それが今の世の中の現状です。