特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

ボクらを取り巻く3つの課題(政治経済のトリレンマ)と『1223再稼働反対!首相官邸前抗議』、それに政府の『東電改革案』

世の中はクリスマスとか言ってますけど、ボクにはぜ〜んぜん関係ありません(笑)。物価が高くなるし、街は混むし、何も良いことがない。確かに昔はイルミネーションとかきれいだなと思いました。表参道とか車で通り抜けるだけで1時間近くかかる大渋滞だったんですよ(笑)。今はイルミネーションなんか、そこいらじゅうやっていて珍しくもない。311の時は静かで落ち着いていて、それだけは良かったんですけどね。ボクは世の中の流れに背を向けて、出来る限り家に籠ってじっとしようと思います!(笑)
冬至の日の夕焼け:遠くに富士山のシルエットが見えます。

                      
今週びっくりしたニュース。今 BABYMETALはレッド・ホット・チリペッパーズの全英ツアーの前座を務めていますが最終日のマンチェスターレッチリのドラマーがBABYMETALのバックバンドの扮装までして、SU-METALちゃんの19歳の誕生日をお祝い(笑)。普通 レッチリのようなスターが前座のバンドにそんな扱いをするなんてありえません。他の日もかぶりつきでBABYMETALのステージを見ていたそうですし、レッチリもすっかり、やられちゃったんでしょう(笑)。

BABYMETALがレッチリのチャド・スミスとのコラボでジューダス・プリーストをカヴァー - amass
●ついでに。Perfumeの『COSMIC EXPLORER』が米ローリングストーン誌の年間ポップアルバム15位に選出。アメリカでのセールスはいまいちだったみたいで心配してたんですが、評価はされているみたい。

                              
さて、シリアのアレッポには避難民にやっと国際社会の手が差し伸べられつつあるようですが、トルコのロシア大使暗殺、ベルリンのテロと血なまぐさい事件が続いています。これで排外的なポピュリズムが広まらないか心配です。ポピュリズムと言えばトランプの組閣も、あまりにも明快で笑っちゃいます。今まで選んだのは国務長官が元エクソンモービル財務長官が元ゴールドマン・サックス、残りは元軍人、右翼医者、デマばかり飛ばしてたネトウヨ、それにプロレス団体経営者(笑)。共通しているのは億万長者ばかり。この人達の政治がどういう方向へ行くかはバカでも判ります。バカでも判ることが判らないのがトランプに投票した労働者(笑)。かって小泉に投票した日本の『B層(テレビが大好きで、物事を考えるのが嫌いな層)のように、この人たちは、大企業と億万長者のための政治でこれから4年間、また痛めつけられるのでしょう。ポピュリズムの帰結ってそんなものです。民衆の熱狂の陰に、裏で笑っている奴が必ず、いる。

              
ヨーロッパにしろ、アメリカにしろ、中東にしろ、日本にしろ、世界各地で起きている、このような現象をどう考えたら良いんでしょうか。大変だと怖れているだけでは自体は悪化するばかりです。他人事ではないんだし、一人一人がそういう現象に向き合わなくては。格差が拡大して不満を持つ人の一部がヤケクソになってアホになった、というだけで良いのでしょうか。現象だけ見るとそれは正しいのでしょうけど、それだけだったら議論は終わってしまいます。バカにつける薬はない。それに対しては格差の拡大を防げばいいと言う解はありますが、それは可能なのでしょうか。


今回の現象について、この説明が結構 納得できると思っています。先日 いつも教えてもらっているアナリスト氏から話を聞いてなるほどと思ったのですが、他にも何人かの人が同じことを言い出しているようです。

それはダニ・ロドリックという学者が言っている『国際経済のトリレンマ』という概念を用いた説明です。『国際経済のトリレンマ』とは(1)グローバリゼーション、(2)国家主権、(3)民主主義の3つを同時に達成することは出来ない、というものです。

●この本、買ったんですが、床に積ん読です(笑)。発売当初はどうでもいいと思ってたんですが、今にして思えば重要な指摘でした。冬休みに読みます。

グローバリゼーション・パラドクス: 世界経済の未来を決める三つの道

グローバリゼーション・パラドクス: 世界経済の未来を決める三つの道

                                                  
 
例えば、国際金融の世界では、「為替レートの安定」(民主主義)、「自由な資本移動」(グローバル化)、「独立した金融政策」(国家主権)の3つは同時には成立しないと言われています。それだけなら、あまり興味を持てなかったのですが(笑)、今 世界で起きていることはかなりの部分がこの考え方で説明できるのです。
●国際経済のトリレンマ:グローバル化、国家主権、民主主義の3つを同時に達成することはできない。もちろん程度の問題ですよ。

トランプが今言ってることやEU離脱は、『格差への不満』(民主主義)と『グローバル化への反感』(国家主権)を目指している、のだと思います。また大雑把に言うと安倍晋三の方向性は『TPPなどの自由貿易』(グローバル化)と『日本を取り戻す(笑)』(国家主権)ですね。いわゆる新自由主義、大企業のビジネスを優先する考え方も『グローバル化』に最大の比重を置きつつ、『国家主権で国家に規制緩和させる』ものでしょう。
                         
それに対する日本で安倍晋三に反対するのは『民主主義』と『国家主権』を重視する人が多いように思えます。アメリカの横暴に負けるな(笑)というのも『国家主権』の強調です。ちょっと前に出た小田嶋隆政治学者の岡田憲治の対論本『踊り場日本論』で岡田が日本でTPPに反対している、主に左翼の人たちについて、こういう指摘をしています。彼らは愛国左翼、スターリニズム、というんです。

(彼らの主張を要約すると)『グローバル企業の横暴を許すな。TPP反対、我々を守ってくれるのはお国です、になっている。』
(しかし)『元来 左翼はインターナショナルなものなのに、TPPに反対している連中は愛国左翼、スターリニズムになっている』
(その結果)『国民をお守りする自民党政権に大雑把に回収されていく』(笑)

「踊り場」日本論 (犀の教室Liberal Arts Lab)

「踊り場」日本論 (犀の教室Liberal Arts Lab)

  
                                        
『トリレンマ』の観点から考えると、内田樹みたいな愛国左翼(笑)、つまり日本でTPPに反対している人たち、政府に反対している人たちの多くが言ってることはトランプやEU離脱派や欧州の極右とあまり変わらないんですね。反グローバル化、国家主権を強調する傾向は右でも左でも今後しばらくの間は強まるかもしれませんが、多分それじゃあ、ダメだと思います。
ヒトラームッソリーニも当初は『格差縮小』(民主主義)と『偉大なる我が国』(国家主権)でした。グローバル化は戦争に結びつく確率が高くなります。それが第二次世界大戦の教訓です。右だろうと左だろうと徒に国家主権を煽り立てるような人たちはボクは信用できない。彼らこそ戦争を引き起こすかもしれない。戦前の無産政党社会大衆党が真っ先に大政翼賛会に参加したのを思い起こします。
●『トリレンマ』で整理した各派の政治的主張

                                      
一方 EUの理念は『人権の重視』(民主主義)『人や資本の自由な移動』(グローバル化です。確かに問題は多々生じているんでしょう。グローバル化は経済面では進んでいるけれど、タックス・ヘイヴンなどにみられるように政治面では仕組みが整備されていません。その点はジャック・アタリ先生などが言うように税制など国際的な規制を考えていかなければならない。
北欧諸国もEUの理念に近いでしょう。これらの国はグローバル化しなければ生きていけませんノルウェイデンマークスウェーデンフィンランドは貿易依存度が約30%前後もあります。そうなると経済を維持するためにも国内の民主主義と平和を志向しなければならない。
                         
一方 日本の貿易依存度は14.5%。それだけの伸び代があるわけです。ちなみにドイツの貿易依存度は39%。貿易依存度が大きければ良いわけではないですが、海外との取引をもう少しは拡げることで日本経済を活性化できる可能性は大いにあるでしょう。前述のダニ・ロドリックは『グローバル化は見直されるべきだ。』と結論付けているそうで、確かに無軌道なグローバル化は問題はあります。けれど、資源もあり人口が増えるアメリカは単独でやっていけるかもしれませんが、資源が少なく少子高齢化が進む日本とは事情が全く異なります。日本は他国と結びついていかなければ経済面も安全保障面もやっていけない。
●2013年の世界各国の貿易依存度(GDPに占める輸出入の割合)
統計局ホームページ/世界の統計2018

                         
ちょうど12/5の日経でポピュリズムの躍進は危機か :日本経済新聞、また12/15の日経経済教室で北海道大学の吉田徹教授(政治学)が『これからの先進国の政治は左右の対立ではなく、グローバリズムに対する態度で決まるのではないか』、と述べています。ポピュリズムの主な担い手である『没落する中間層』はグローバリズムの敗者であるからです。彼はこう言っています。

『先進国の政治の主戦場はもはや左右対決ではない。保革の大政党は中道化した。今後はグローバリズムに対して開こうとするリベラリズムと、社会を閉じようとする反リベラリズムの対立が国家を分断するようになるだろう』

                 
別に国家主権は必要がない、グローバリゼーション万歳、というわけではありません。力点の置き方の違いです。グローバリゼーションを捨て、一国の利益だけに閉じこもると戦争のリスクが増し、もっと大きな利益を失うんです。民主主義を大事にしつつグローバル化を目指すEU・北欧型の社会少子高齢化が進む日本の活路はここにあると思います。経済の面でも、平和を守るためにも適度なグローバル化は日本にこそ、重要です。そういう意味でも日本独自の男中心ムラ社会はお先真っ暗。そんなことやってると将来の日本は新興国の下請け国家になりますよ。だから男が家事をやらなければダメなんだよ!(笑)
今の路線のまま行けば数十年後の日本は、『視野が狭くて文句ばかり言ってるけど自分では何もしない、貧乏な年寄りばかりのネトウヨ国家(笑)』でしょ。その頃はボクはよれよれの爺さんだけど、そういうボケ老人の仲間入りは嫌だなあ(笑)。

                                   



ということで、今週も官邸前へ。
今日が今年最後です。昼間は19度まで気温が上がって暑いくらいだったんですけど、夜風は冷たくなりました。今日の参加者は主催者発表で850人だそうです。
●抗議風景






                                                                       
年が明けて1月14日に渋谷で反安倍のデモをやるそうですけど、その日はボクは仕事で行けません。残念。誰かボクの代わりに行ってきて!(笑)。

★安倍政権NO!+野党共闘☆0114大行進in渋谷 | 首都圏反原発連合



さて、今週21日 福島の原発事故の費用と東電の形態を検討する経産省有識者会議『東京電力改革・1F問題委員会』の提言(結論)が出てきました。
送配電・原発で共同事業体 東電改革で有識者会議 :日本経済新聞


東京電力改革・1F問題委員会(第8回)‐配布資料(METI/経済産業省)

報告書を一読して酷いなあ、と思いました。いかにも官僚が書いた作文です。経産省の意向が100%通ったとは思わないですけど、大筋は責任をうやむやにする経産省の意向がプンプンします。内容はニュースで報じられている通り、『東電は他社と事業提携』とか言ってますが、ポイントは違います。一言で言うと『福島事故の責任も処理費用が倍に膨らんだ責任も全てうやむや』ということです。

●福島事故の収束にかかる費用(新旧)と負担:11兆から22兆に費用が膨らみ、国民につけが回されます! 国民負担額の6兆円は消費税で言うと3〜4%分になります。

有識者会議の提言の要旨
●東電:廃炉8兆円、賠償4兆円は現在の4千億の利益が収益水準から5千億./年の体制に引き上げて捻出する。
1.(国内他社・海外より高い)送配電コスト改革+調達・メンテ等のコスト削減で5000億/年
2.柏崎刈谷の再稼働で1000億/年を捻出し、廃炉・賠償の対応を確実なものにする
3.送配電と原子力で他社と共同事業体設立、将来 東電の株式を売却して4兆円の売却益を得る
●他電力:記載なし
●新電力:託送量に転嫁。新電力が電力全体の10%を取るとしての試算。他電力会社の託送量を含めた国民全体の負担は2.4兆円(一般標準家庭で18円/月×40年)


これらについて、ボクは以下のような点が問題だと思います。
・費用が当初より膨らんだことについての原因追及もないし、今回の費用試算も廃炉などは専門家4名のヒアリングによるもので信頼性が甚だ薄い。もっとカネがかかる可能性はいくらでもある
柏崎刈羽を再稼働して1000億/年収益を増やすとしているが、試算には柏崎刈羽分は含まれていない。つまり再稼働は必ずしも必要でない計算になっているのに再稼働が前提になっている。また安全対策の費用などを考えると再稼働で1000億本当に捻出できるのかも疑問。
・多くの人がいうように電力の託送代金に2.4兆円も上乗せしている根拠が疑問。なんで過去分を払わなければならないのか。
・国が2兆円追加負担するという根拠もない。

。新聞などが言うように、他社との共同事業体なんてかなり厳しい。
原発事故への対応は準備不足を反省、としつつ、責任、原因は不問に付している。

                                             
総じて事故の責任が明確になっていないことが問題です。東電は費用の約7割を負担します。だけど残りの約6兆をどうして国民や他社が負担しなくてはいけないんでしょうか。
日経ですら社説でこう言っています。
原発を持つ電力会社は現在、原発事故に備えたお金を毎年、国に納付している。制度が始まる前に確保しておくべきだった過去の分は、これから集めるという。この理屈にどれだけの国民が納得できるだろう。送電線利用料への上乗せは電気料金の上昇につながる。毎月いくら払うのか。いつまで負担せざるを得ないのか。丁寧な説明が求められる


多くの人が言うように『東電は一旦潰して、通常の発電事業と設備は他社または新会社に売却、賠償の原資に充当して責任を明確にする』ことが必要ではないでしょうか。ついでに原子力行政を推進してきた経産省も解体じゃないですか。その上で不足分は国民負担となるのは止むを得ない。だけど責任はいい加減なままで、カネだけ国民につけ回ししているようでは、また原発事故が起きても不思議ではないでしょう。
こんなの誰が考えたっておかしいに決まっています。来年の国会、そして今度の選挙では野党はこういうことを争点にすべきです。
って言うか、それくらいのことができない野党だったら要らね〜よ(笑)。

                               
●『総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 電力システム改革貫徹のための政策小委員会 中間とりまとめに対する意見公募』。1月17日までパブコメ募集中。上に書いた有識者会議の案が元ネタになっています。こんなふざけた話を許していいんでしょうか?ボクは正月休みに書いて提出します。
応募ページhttps://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620216013&Mode=3
内容解説【1月17日まで】原発事故費用・廃炉費用- 東京電力が責任を取らないまま、国民負担でいいの?? | パブコメで未来を変えよう