あー、楽しい夏休みも終ってしまいました。毎年の事ながら、あっという間でした。
早く定年になって、毎日が夏休みになってもらいたいものです。
最初は少し涼しげな風景、お盆に行った箱根の続きです。もはや遠い昔のことのよう(笑)
●高原の風景。晴れていたと思ったら、直ぐ雲が流れてくる。山⛰に来たという感じでした。
●お皿にもドライアイスの雲。雲の上にはトリッパのコロッケと大根の漬物、それに最近流行の?オスミックトマト。
●鱧のカッペリーニ。今年 鱧はこれしか食べてません(泣)。
●鴨のジェノベーゼ。上から順に鴨のコンソメゼリー、九条ネギ、鴨肉、ジェノベーゼ
●アイスクリームの上の雲は三ツ矢サイダーで作った泡だそうです。
東京都のウィルス感染者数は8月3~4日に2回目のピークを越えたようです。それ以降 感染者数は今のところ低下傾向です。
全国的にも同じ傾向を示しています(オレンジの線)。
toyokeizai.net
昨日現在 東京都の新規感染者数は1週間の移動平均で約260人と、まだまだ4月中旬の第1のピーク(約160人)をはるかに超える水準ですから油断できませんが、こうやって傾向値で見ると毎日のニュースで流れている内容と違う印象を持つ人も多いのではないでしょうか。
●世界的には日本のコロナ感染対策はダメダメなのは間違いないのですが(左下のグラフが日本。クリックで拡大)
アメリカは格が違うけど、日本がいかに押さえ込み失敗してるというのがよく分かる。 pic.twitter.com/smALRrEYvQ
— 赤ちゃん コロナ感染者10代学生 (@AkachanCovid) 2020年8月15日
生活の面でも経済の面でも、こうやって一喜一憂しながらの生活の維持・再建がこれから1年は続くと思います。
今年も終戦(敗戦)のことが色々NHKでやっていましたけど、無能で無責任、国民を救わない政府・官僚、ヒステリックだけど政府に反抗しない国民といい、当時の世相が今とそっくりだったのには驚きました。
●無能の代名詞みたいな安倍晋三が今日 入院したそうですが、こういう映像があるというのは誰かが事前にリークしたということですよね。
この車列の映像があるということは、事前にマスコミに知らせてあったということかねぇ。なんでそんなことするんだべ。 https://t.co/ib0rJePDhk
— 明石順平 (@junpeiakashi) 2020年8月17日
昔も今も政府や上層部の役人は失敗の責任をとらない、ひどい目に合うのは国民ですけど、それでも日本人はあまり怒らない。
例えば同じ敗戦国のドイツもイタリアも空襲を受けた人たちはデモや政治活動で国家の補償を勝ち取りました。
日本では補償を訴える人たちの運動は大きくならないばかりか、同じ国民の間から『金目当て』というバッシングさえ受ける。戦争には反対だった海軍大将の井上成美が『あんな奴は中国軍の流れ弾に当たって死ねばいいのに』と評した戦争犯罪人の板垣征四郎の息子が会長を務める軍人の遺族会は手厚い補償を勝ち取るんですけどね。
ウィルス感染者がなぜか謝罪に追い込まれるような同調圧力の強さです。今年はうかうか夏風邪すら惹いていられません。厳しい暑さは今週も続くようですが、皆様、どうぞご自愛ください。
と、言うことで、新宿で映画『15年後のラブソング』
イギリスの海辺の田舎町、サンドクリフで暮らす30代後半のアニー(ローズ・バーン)。親が残した小さな博物館を運営しながら、大学で教えるダンカン(クリス・オダウド)と暮らしている。しかし、変化のない田舎暮らしにこれでいいのか、とも感じていた。ダンカンは15年前に表舞台から消えた幻のロック歌手タッカー・クロウ(イーサン・ホーク)の熱狂的なファンで自らファン・サイトを運営している。ある日 ダンカンの熱狂ぶりに嫌気がさしたアニーは自分の本音をサイトに投稿してしまう。その投稿に対して、タッカー・クロウ本人からメールが届いたのだが。
15-lovesong.com
映画にもなった『ハイ・フィデリティ』や『アバウト・ア・ボーイ』の原作を書いた小説家でもあり、アカデミー候補になった映画『ブルックリン』、『わたしに会うまでの1600キロ』、『17歳の肖像』などの脚本家でもある、ニック・ホーンビィ脚本ということで見に行きました。上にあげた作品はどれも外れ無し!ですからね。
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そして昨年の是枝監督の『真実』でもそうでしたが、イーサン・ホークは中年のダメ男役がいまや十八番です。今作でも超ダメダメ男、元ミュージシャンのクロウを演じています。
舞台がイギリスの田舎町、登場人物が音楽好きのダメ男とくれば、ニック・ホーンビィのお得意の世界です。そして、今回は大人の三角関係という機軸が持ち込まれます。
●左から元ロック・ミュージシャンのタッカー・クロウ、主人公のアニー、大学教員のダンカン
主人公のアニーは大学で美術を学んだけれど、父の病気で故郷に戻り、父の残した田舎の博物館を切り盛りしています。マニアックなロックファンの大学教員のダンカンとは腐れ縁で暮らしているけれど、こんなはずではなかったという感覚が心のどこかに残っている。
大学教員のダンカンは今も昔も熱狂的なタッカー・クロウというマイナーなロックシンガーのファンです。以前はアニーに知的な刺激を与えてくれましたが、今やアニーのことは全くお構いなし。自分の小さな世界に満足して閉じこもるだけで、彼女が何を言ってもマトモに聞いていない。
ダンカンと喧嘩したアニーはタッカー・クロウのファンサイトにクロウに対する罵詈雑言を書き込みます。その悪口にタッカー・クロウ本人からメールが届くのです。
最初は男二人のダメダメぶりにイライラします(笑)。ダンカンはモラハラ気味のロックオタク、クロウは優しくてユーモアにあふれていますが、次から次へ女性遍歴を繰り返し子供もそこいら中に沢山いるダメ男です。
今はほぼ文なしでアル中の治療中、幼い息子と別れた前妻のガレージに置いてもらって暮らしている。息子のジャクソンを愛しているけれど引きこもり生活から抜け出すことができない。
ダンカンは自分の趣味の世界から、タッカーは引きこもり生活から抜け出すことができません。そして、そんな2人に挟まれたアニーもまた、田舎の町を出たいと思いながら、その夢を果たせないままくすぶり続けてきた。目の前にある見えない壁を乗り越えられない3人の男女。
大人になり切れない中年の男女3人の生末はこれ如何に。
今作でもイーサン・ホークのダメダメ男ぶりは堂にいっています。アル中で体型も崩れ、気力もなければ、生活もだらしがない。だけど優しくて頼りなげで、モテる(笑)。この魅力は殆ど芸風の域にまで達しているんじゃないでしょうか(何なんだよ)(笑)。
初めて見たローズ・バーン(ピーター・ラビットシリーズ)の中年女性ぶりも非常に良かった。きれいな顔ではあるんだけど崩れてきた体型もリアルだし(実は撮影時 妊娠していたそうです)、中年女性の焦燥や可愛らしさが自然体に表現されていて、かなり良い感じです。この人は拾いものでした。
音楽も知る人ぞ知る1流ミュージシャン(ブライト・アイズ、ライアン・アダムスら)が書き下ろして、イーサン・ホーク自らが歌っている。何気に力が入っている。
ユーモアと人生、そして音楽への愛情にあふれたウェルメイドなお話、大人のおとぎ話です。と言っても日本のTVドラマのように、恋に恋する幼稚な話じゃない。
何よりも主人公のアニーが自分の力で、自分の行動で、人生を変えようと奮起する自立した女性なのが、いいです。作品の中には誰でも人生はやり直すことができるという信念が根底に流れている。
小品だけど、非常に良い気持ちになれるお話です。苦さを知った大人のおとぎ話。やっぱり、ニック・ホーンビィ作品に外れ無し、でした。
映画『15年後のラブソング』予告編