特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『仔羊の丸焼きの危機』と『コロナ後の危機』(『報道1930』『BS1スペシャル コロナ危機 未来の選択』)

 いやー、今週も暑かったです。酷暑はまだ2週間ですけど延々続いているような気がする。
 最近は歳のせいか、週末になると肉体的にも精神的にもへろへろになってることが多いのですが、お盆明けの今週は猶更です。早く定年にならないかな~。
●今朝の朝6時の日差し。眩しい~。


 今週、4~6月のGDPが史上最悪の落ち込みを見せたことが報じられました。緊急事態宣言があったから当然と言えば当然ですが、年率換算で4分の1も経済が落ち込んだのですから、大変な話です。
 個人に置き換えると、この3か月で年間の収入が10分の1減った、これが1年続くと収入が4分の1減るってことですからね。


www.nikkei.com


 マスコミはバカみたいに毎日 感染者数ばっかりですけど、多くの企業、それに働いている人は大変な状況だと思います。
 食いしん坊のボクはどうしても食べ物屋が目につくんですが、立食い蕎麦屋もペコちゃんもピンチらしい。
bunshun.jp

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6368578news.yahoo.co.jp

 街でも7月末から8月にかけて空き店舗がいよいよ目立つようになってきました。当初から『多くの小売店や飲食店は緊急事態宣言から3~4か月で資金繰りに行き詰まる』と予想されていましたが、いよいよ来るものがきた、という事かも。まだ始まりでしょうけど。
●3階建ての大きな飲み屋まで潰れています。

●スイートポーヅみたいな老舗餃子まで

 PCにはこんなメールまで入ってました。いつ行っても満員だった人気店、麻布十番の羊肉屋『ワカヌイ』も閉店です。

 『ワカヌイ』の経営はニュージーランドの農協だから大丈夫、と思っていたのですが、あの超美味しい仔羊の一頭丸焼きが食べられなくなるのは勘弁してほしい。
 もう一軒 東京タワー前のデート向けの店(笑)が残っているから未だいいですが、今や経済だけでなく、文化も危機に瀕しています。映画や音楽だけでなく、食べ物と言えど、文化は一度失われたら、そう簡単には戻りません。
●コロナ渦の直前 今年2月にも行ったばかり。めちゃめちゃうまい!太らない!

 農家や漁業、食肉もピンチの筈です。肉や魚が余っているという話は聞きますが、実際 業務用の食肉は余りまくっているらしい。
https://news.yahoo.co.jp/articles/bc2cabb3ba4f89a1af2511dff4f06ab5f1142dfbnews.yahoo.co.jp
 
 食べ物屋さんだけではありません。中小だけでなく大企業に勤めている人でも、これからボーナスががた減りするのは必至です。学生さんも厳しいらしい。
this.kiji.is

 
 テレワーク用の個人用OA機器マットレス、ゲームはバカ売れだし、業種により濃淡はある。しかし、今までは国の雇用調整助成金で休業にして、雇用は何とか持ちこたえていましたが、これから更に厳しくなる。

 全体を均すと今後コロナが収まるまで1~2年、今までの経済の80~90%の規模でやっていかなければならない。売上が2割下がるって実は大変なことで、政府が何も手を打たなければ潰れる会社が続出するような水準です。

 与野党含めて政治は何をやってるんだ、ですね。国会も開かない、感染症対策もしない。大都市に限って知事は無能。
●大阪なんかは危機の戯画ですな

 昨日のBS-TBS『報道1930』で『自民党内でも感染症法改正の準備をしているが官邸も厚労省もやる気がない』と、自民党参院議員の武見が言ってました。このままでは法改正は来年だそうです(怒)。

 まず、保健所や感染研など旧内務省系と旧厚生省系の組織が乱立して無責任状態を招いている100年前のままの感染症法の問題があります。
 更に判りやすい例を挙げれば『PCR検査の現在の薬価は1万8000円、しかし原価は材料費だけで700円、人件費などを含めても数千円で済む』そうです。薬価を改定すれば検査を増やすのも楽になりますが、それすら官邸も厚労省もやる気がないそうです(武見は『自民党が薬価改定の圧力をかける』と言ってましたが)。
 安倍晋三は全然仕事してねえだろ、ボケ。


 一方 野党の方は政策立案もできていない。
 立憲民主を中心にやっと大きな野党が出来そうなタイミングなので仕方ないかもしれませんが、遅すぎる。それに原発維持の電力総連や電機労連の組織議員のクズ連中が新党の綱領にある原発廃止をどこまで受け入れたのか判らない。それでも野党がやっとスタートラインに立ったのは良いことですが。
www.jiji.com

 でも、それは政治家の都合であって国民には関係ない。早く与野党が切磋琢磨して政治がまともに機能してもらいたいものです。
●取り残されたゴミ連中が吹き溜まりで『下半身政党』でも作るんでしょうか(笑)。『富裕層のために消費税減税』(理論上は正しい)を唱える玉木も会合に出席予定だったそうです。山本太郎が次にくっつくのは維新か(笑)。正に類は友を呼ぶ(笑)。



 コロナ後、世の中はどうなるか、自分はどうしたらいいのか。政治家も学者も当てにならないのですから、一介のサラリーマンだって考えなきゃなりません。

 その手がかりに、と思って、お盆休みはNHKBS1スペシャル コロナ危機 未来の選択』を見てました。
 出演は人口学者のジャレド・ダイヤモンド(『銃・病原菌・鉄』)、ジャーナリストのナオミ・クラインショック・ドクトリン』、経済学者のマリアナ・マッツカート、人口・歴史学者エマニュエル・トッド
www.nhk.jp
www.nhk.jp
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 ナオミ・クラインは災害や経済危機に乗じて大資本や国家が民衆に非民主的な制度や体制を押し付けるという著作『ショック・ドクトリン』で世界的に有名です。

 今回は今回の危機に乗じて、GAFAなど巨大IT企業がオンラインでの教育や取引などを押し付けることで格差を広げるスクリーン・ニューディール』が起きるのではないか、と警告していました。
 『ショック・ドクトリン』はボクも面白く読みましたが、現実には危機に乗じて独裁や新自由主義を押し付けられるかどうかは、ケースバイケースです。第2次大戦では逆に格差は縮まったし、東西冷戦では社会主義国と資本主義国との競争が福祉社会が進展する力になりました。危機が必ずしも非民主的な体制・制度に直結するとは限らない

 今回もオンラインによる格差拡大の可能性は高いけど、そうなるとも言い切れない。むしろ、そうならないよう我々は留意すべきである、ということでしょう。当たり前と言えば当たり前の話。


 エマニュエル・トッドの逆説的な物言いは頭いいとは思うけど、根拠が薄いと言うか直感的と言うか、単なるドイツ嫌いの爺さんに過ぎないんじゃないでしょうか(笑)。今回も『コロナ危機にうまく対処できたのは父系性社会』と言ってましたが、意味・根拠が良くわからなかった(笑)。実際 トッドが父系性に分類している日本のコロナ対策は大失敗している訳ですし。

 マリアナ・マッツカート氏の回は未見、面白かったのはジャレド・ダイアモンド氏の話でした。
 今回のコロナ危機で『グローバリゼーションはダメになるか』という問いに対して『感染症の共同研究などグローバル化が進展するものもあるし、長距離移動など減少するものもある』と答えながら、『現在の最大の問題は感染症ではなく地球温暖化による気候変動であり、今回のコロナ危機はそれに対処するための最後のチャンス』と言っていました。
 
 頻発する大雨、台風、猛暑を考えれば地球温暖化による気候変動の恐ろしさは誰にでも理解できるはずです。
 しかし、日本のマスコミはあまり騒がない。政治家だって滅多に発言しないのは、地球温暖化は票にならないから、でしょう。でも時間的にも、今が最後のチャンス、です。ショック・ドクトリンを起こすための最後のチャンス


 今回のコロナ危機は日本という国の問題点、政治家の無能さがはっきりしただけでなく、イソジンや雨合羽に踊らされるような国民の判断力の無さ、自粛警察のような国民のファシズム気質、そして我々の生活の在り方そのものにエクスキューズを突き付けています。

 自己責任という言葉に隠れた格差拡大、テレワークで露わにあった男女の家事分担の歪み、24時間営業の店舗や食品ロスなど資源の無駄遣い、新製品や経済的利益を追い求めたり、分刻みで交通機関を利用する便利な生活の不自然さ。満員電車での通勤が果たして、我々の幸せにつながっているのでしょうか。
 心の底で何となくおかしいと思っていたことが今回のコロナ危機で露わになった。

 311で我々の生活は少しだけ、変わりました。でも根本的なことは変わらなかった。原発は殆ど動いてないけど、新自由主義的な弱肉強食の社会のままです。今度のコロナ危機で我々の生活が何も変わらなかったら、それこそがコロナを上回る危機になる、とボクは思っています。


●今週も金曜官邸前抗議はオンラインです。