特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『コロナ危機の今』と『今 学ぶべきこと(1)』

 今日から5月。今年も3分の1が終わりました。
 全く、まさかこんな1年になるとは思いませんでした(笑)。
●昨日、NHK『バリパラ』第2部、先週は揉めたそうですが、今週も無事 放送されました。面白かった(コントはいまいちだったけど)。


 今 ボクは週4日くらい、往復20キロ歩いて通勤しています。デモ用に買った安い、真っ赤なスプリング・コートにストールを巻いた真っ黒なサングラス姿(笑)。勤務先の警備員さんがびっくりしてた(笑)。
 歩く距離が少し長くて、流石にちょっと足が痛いけど、普段は知らなかった街の光景が見られて、特に今の気候だと結構楽しい。
●ビルの谷間、朝の空気の中に築100年以上の渋いお堂が立っています。
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 傍迷惑にもマスクをしないでジョギングしてる奴を見ると『死んでしまえ』と思いますが(笑)、あとは今まで気にも留めなかった人たちとすれ違います。

 普段通りスーツを着て通勤している人、子供を保育園に連れていく親、スーパーの前で商品を降ろすトラックの運ちゃん、連れ立って車に乗り込んで仕事へでかける大工のあんちゃんたち、工事に向かうパキスタン人の二人組、病院に通勤する大勢の人たち、客もまばらなバスを運転している運転手、普段通り署の前を掃き掃除している消防署のあんちゃんたち。
●帰り道、夕日を浴びるつつじが美しい。
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 性別・国籍に関わらず、こういう人たちのおかげで世の中は成り立っているんだなーと改めて感じます。医療関係者は勿論、スーパーの店員さんだって今はヒーロー・ヒロインだと思いますもん。人間嫌いのボクでさえ、そういうことを考えさせてくれたのはコロナ危機の良い点です。

 ただし、問題なのは世の中の構造がそうやって働いている人たちに報いる仕組みになっていないこと!


 今朝の NHKおはよう日本』で京大の山中教授がインタビューでこんなことを言ってました。
1.日本は何故かある程度ウィルスが封じ込められているが、感染の実態がはっきりわかっていない。検査も数が少ないだけでなく、再生産数などのデータも発表されず、情報公開が進んでいない。

2.日本は感染による医療崩壊は起きていないが、医療機関の感染防護が不徹底で、院内感染による医療崩壊が起きつつある

3.外国ではウィルスの抗体検査が始まったが目的は集団の感染状況を判断するためのもので、個人の感染を特定するためのものではない。日本でも抗体検査は行ったほうが良いが、目的は集団の感染状況を判断するために行うべきである

 1は日本の現状認識として妥当な考え方だと思います。感染はある程度抑えられつつあるが、現状は良くわからない
 何よりも悪いのは情報公開。海外のリーダー、メルケル首相もジョンソン首相もクオモNY知事もニューサム加州知事もデータを挙げて話をします。

 一方 安倍晋三は一度としてデータで物事を語ったことがない。感染者数や再生産数がどれだけになったら緊急事態を解除するなど語ったことがない。小池だって機械的に感染者数を読み上げるだけで、自分の判断は殆ど示さない。だから信頼されないんです。

 2はボクは医療現場のことは判りませんけど、そういうことなんでしょうね。日本の医療は自信過剰だったのかも。
 日本は他国と比してICUの数が著しく少なかったことが露呈しています↓。税金の無駄遣いとか民営化とか効率ばかり追求していた我々の社会はどこかが間違っていたのでしょう。
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diamond.jp

 一方 ドイツは8年前から感染の大流行に備えて準備していたそうです↓。
business.nikkei.com

 確かにジャック・アタリ先生だって10年前からパンデミック・リスクに言及してましたから、ドイツ政府に感染学者が警告するのは当然だったかもしれない。
 しかし、これには恐れ入りました。そういう判断ができるからこそ、ドイツ人は原発もやめることができた、と思います。
 日本人は他人の足を引っ張ることだけは得意ですけどね。



 緊急事態宣言の延長の件、政府はいつまで経っても はっきり発表しません。観測気球を上げているだけ。

 既に大手企業の中には5月末までのテレワークを決めたところも結構あります。

緊急事態、長期化に備え 三越伊勢丹は休業延長方針 :日本経済新聞

 そりゃあ、報じられているように、期限切れ2日前の5月4日に期限延長を発表されたって困りますからね。

 専門家の意見を聞いて、と安倍晋三は言ってましたが、往々にして専門家っていうのは自分のことしか考えませんから、ギリギリまで判断はしない。論理的にはそれで正しいけれど、現実の生活はそれでは成り立たない。経理でもITでも法律でも原発でも同じですが、専門家にできるのは材料を出すことだけ、です。

 そこを判断するのが意思決定者です。今の日本はそこが致命的に劣っている。かってノモンハン事件ソ連ジューコフ将軍に『日本軍は兵士は最強、指揮官は超無能』と評されたと思いますが、昔も今も変わらないのは日本的体質ですか。


 東京の新規感染者はこの2週間徐々に減ってきています。しかし、まだ毎日100人近い発生者が出ています。
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 連休の結果を見ないと解除するのはリスクが結構ありますから、延長すること自体は仕方ない。仮にボクが総理大臣や知事だって5月6日の期限は延長します。

 しかし、今のような緊急事態が5月末以降も続くとなると経済はマジでおかしくなる。3月より4月、4月より5月のほうが景気は悪くなります
 当面は非正規社員の人が問題ですけど、これからは正規雇用の人だって給料は減るし賞与は悲惨なものでしょう。残念ながら倒産もバンバン出る。緊急事態も5月である程度のケリをつけられるよう、連休は家にこもらないと日本全体がマジでやばくなります。
 少しずつでも、なんとか7月から回復できれば良いのですが。
GDPが2%低下じゃありません。4半期だけとはいえ、20%!


www.nikkei.com


 日本の為政者を見ているとウンザリ、ですが、もっと大事なことは我々が今回の危機から何を学ぶか、でしょう。
 
 今回 隣国の台湾や韓国は感染症を封じ込めることに成功しています。
 台湾が成功しているのは、過去に感染症で痛い目に合った教訓を生かしているだけではないそうです。
『情報をオープンにして共同体全体と信頼関係がある』からこそ、迅速なロックダウンなどが可能になったそうなのです。その背景には『台湾は長年 国際社会でマイノリティ扱いされてきたからこそ、国内のマイノリティも包摂しようとしている』という姿勢があるからだ、という現地在住のライターの話を読みました。 
www.nippon.com

 日本ではパチンコのことで店名を公表するかしないか程度で揉めています。
 が、『台北ではナイトクラブの従業員に感染者が見つかり、全てのナイトクラブやダンスホールの営業停止となったが、無条件で従業員への1~3万台湾ドル(約3.5~11万円)の緊急支援が営業停止から1週間のうちに発表』されたそうです。
●少し前 台湾ではマスクがキチンと買えるというのに驚いたばかりですが、もう医療関係者に寄付までできるようになったそうです。

 日本では朝鮮学校にマスクを配布しないとか言ってたバカな自治体がありましたけど、マイノリティが救済の網から零れ落ちれば感染症はそこから広がってしまう。
 一方 台湾ではマイノリティが活躍しています。女性の蔡総統だけでなく、マスクアプリを開発したトランスジェンダーのIT担当大臣が良い例です。台湾は2019年にはアジアで初めて同性婚が法律で認められ、男女格差を表すジェンダーギャップ指数は、世界9位(日本は121位)。
 今回のコロナ危機でも『台湾・ニュージーランド・ドイツなど、今回のコロナ対策で死者を比較的低く抑えている国の共通点は女性がトップ』なのは言うまでもありません。

 ただし、そういう台湾も一朝一夕にそうなったわけではありません。国内の民主化が進むにつれ、災害や不平等に際して『部外者はいない(没有局外人)』という意識が高まっていったそうです。

 台湾という社会のことはボク自身よくわかりませんし、問題もあるのでしょう。与党を支持する人たちだけでなく、保守的な国民党支持も4割近くもいるわけですし。

 しかし現実にマイノリティを包摂することでパンデミックを抑え込むことができた社会が存在する中国のように強圧的な手段を取らなくても、国民を信頼した情報公開とマイノリティまで包摂するという意思があればパンデミックに勝てる

 これは今回のパンデミックで学ぶべき、実に大きな教訓だと思いました。