特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

2017年の映画ベスト10

今年もそろそろ終わりです。ブログの更新も今回が今年最後になります。好き勝手なことを言っているこのブログにコメントを下さった方、星をくださった方、閲覧してくださった方、誠にありがとうございました。皆さま良いお年をお迎えください。
●運河沿いの地ビール屋とスペアリブ。年末にも拘わらず満員でした。




さて 最近の世の中の雰囲気は排外的と言うか、異質なものに対して皆がピリピリしているような気がします。


雰囲気だけじゃありません。例えば株価は随分あがりましたけど、実質賃金は上がらない。雇用環境は改善したといっても労働力人口が減っているからですし、人手不足と言っても低賃金の職ばかりじゃないでしょうか。だから景気の良いTVニュースの話より、こういうニュースに納得してしまいます。



国民の生活は良くならない、企業は減税、議員の優遇措置は増える、国の財政赤字は危機に瀕している。それなのにデブが酒飲んで暴れた話を1か月以上も延々ニュースのトップで報じているNHKははっきり言ってまともじゃないし、それを疑問に思わない国民もまともじゃありません。それにまともな対立軸を打ち出せない野党も相変わらず無能です。立憲民主党には期待はしますけど、もう少し戦略的に頭を使って欲しい気はします。


個人的にはトランプの大統領当選でアメリカ経済が息切れすると思って、持っている株は出きる限り売ったのですが、今年下半期の株価上昇は見通せず、儲けそこないました(笑)(大して持ってるわけじゃありません)。株価上昇と言っても日銀が株を買って、外人が売って儲けているだけなんで、実にバカげた話です。現在は株価につられて多くの人が2018年の予測は比較的明るいことを言ってますが、単にマグマが溜まっているだけ、と思っています。


北朝鮮、中東、それにアメリカの株バブル、中国の景気、短期的にはこれだけのリスクがあるし、中長期的には日本は少子高齢化や財政破たん、産業構造変革の遅れなど着実に衰退の道を歩んでいる(笑)と思います。庶民には大したことは出来ないけれど、とにかく一人一人が右にも左にも流されないようにする。自分の頭で考えて、自分の責任で行動する。これからは当たり前のことが今まで以上に大事になってくると思います。世の中の流れがまともじゃないんですから。



ということで、今年観た映画のベストテンを書きたいと思います。何だかんだ言って今年は100本も映画を観てしまったのですが、非常に粒ぞろいでした。今回挙げたのは心の宝物になるような作品ばかりです。ベスト10には入れませんでしたが、南仏グルメ旅行記の『ボンジュール、アン』、イッセー尾形最強の『沈黙』、人間ミンチを正視させられる『ハクソ―・リッジ』も実に良かった。あと感想は書かなかったですがジム・ジャームッシュ監督、アダム・ドライバー君主演の『パターソン』はジワリ心に染み入る作品でした。アダム・ドライバー君は他にもスター・ウォーズでカイロ・レンをやったり、『沈黙』で神父をやったり、大活躍でした。


10位:『未来よ、こんにちは』 (2月)、 『おとなの事情』 (3月)、帝一の國(5月) 『人生はシネマティック』 (11月)、 希望のかなた (11月)

『未来よ、こんにちは』では御年64歳のイザベル・ユペールの美しさに文字通り度肝を抜かされました。肉欲に裏打ちされた『エル elle』も素晴らしかったですが、ボクは穏やかなこちらが好き。『おとなの事情』は如何にもイタリアらしい知性に裏打ちされた艶笑コメディ。『帝一の國』はバカ映画のように見えて自民党の派閥政治のパロディになっているという恐ろしい映画(笑)、完成度も滅茶苦茶高い。美少年が乱舞する白フン太鼓には負けました(笑)。『人生はシネマティック』は戦争映画かと思ったらフェミニズム映画なのにびっくりしたんですが、それが普遍的な価値に昇華された見事なお話でした。『希望のかなた』はまさに「みんなで助ける」、素晴らしいです。今のような時代には余計に価値を感じます。

人生はシネマティック!

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9位:『女神の見えざる手 (10月)
目的のためなら手段を選ばない女性ロビイストのお話。感情移入しまくりでした。今年観た作品では脚本は一番良かった。アカデミー受賞作『ゼロ・ダーク・サーティ』を超えるジェシカ・チャスティンの代表作じゃないですか怖くて素敵なお姉さまたち:映画『女神の見えざる手』と『アトミック・ブロンド』 - 特別な1日(Una Giornata Particolare)

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8位:『俺たち、ポップスター』 (8月)
ジャスティン・ビーバーをパロディにしたような、大スターが次から次へとカメオ出演するコメディ。徹底的なお笑いです。劇中歌『ファック、ビン・ラディン』はバカすぎて最高です『死霊の盆踊り』と映画『俺たちポップスター』 - 特別な1日(Una Giornata Particolare)


7位:『ドリーム』 (9月)
アメリカ初の有人宇宙船を打ち上げに活躍したNASAの黒人女性たちを描いた物語。女性差別、黒人差別、2重の差別を描いた作品ですが完璧なエンターテイメントになってます。圧倒的な完成度。ファレル・ウィリアムスのサントラもカッコいいです『BOTTOM UP DEMOCRACY 10.09 新宿アルタ前大街宣』と、心と頭を刺激するエンターテイメント:映画『ドリーム』 - 特別な1日(Una Giornata Particolare)


6位:『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス』 (5月)
ガーディアンズの2作目は1作目より更にパワーアップしてました。見事な画面とうまくできたお話、渋い音楽。21世紀のハックルベリー・フィンじゃないですか『#共謀罪に反対する521デモ』と映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー リミックス』 - 特別な1日(Una Giornata Particolare)


5位:『ローマ法王になる日まで』 (7月)
絶望的な状況下でも志を曲げずに、悩みぬいた男の物語。アルゼンチンの独裁政権の酷さには文字通り驚きましたが、作品はお見事な出来です。まったく宗教臭くない、普遍的なパワーを持つ作品です『世論調査の結果』とライブ『相対性理論 証明3』、それに今 見るべき映画:『ローマ法王になるその日まで』 - 特別な1日(Una Giornata Particolare)

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4位:『ムーンライト』 (3月)
貧困と同性愛と人種差別の中で生き抜いた少年の文字通り、人間の尊厳を描いたアカデミー受賞作。少年が成長した姿が実にいじらしい。美しくて、はかない物語。読書『革新自治体』と映画『ムーンライト』 - 特別な1日(Una Giornata Particolare)

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3位:『マンチェスター・バイ・ザ・シー (5月)
心を閉ざして孤独に生きる男と少年の物語。ケーシー・アフレックの演技と脚本の勝利。ダメなものはダメなんだよ、という心の叫び、それを温かに包み込む視線が泣かせます心のドアを開くお話:映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』と『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』 - 特別な1日(Una Giornata Particolare)


2位:『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ (5月)
テロ、貧困、麻薬、暴力、格差、ローマ郊外のスラム地区、チンピラと心を病んだ少女の熱い物語。まさにフェリーニの超名作『道』の21世紀版です。映画でも音楽でも文学でも優れた芸術に共通した、夢見る力が現実を乗り越える瞬間がこの映画にはあります。男が本当に鋼鉄ジーグになるんですよ(笑)。四の五の言いません。ボクが今年最も感情移入できた作品です心のドアを開くお話:映画『マンチェスター・バイ・ザ・シー』と『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』 - 特別な1日(Una Giornata Particolare)


1位:『わたしは、ダニエル・ブレイク (3月)
失業した頑固ジジイがシングルマザーの一家に手を差し伸べようとする姿を描いたカンヌ映画祭のグランプリ作品。笑いの奥にあるケン・ローチ監督の社会に対する激しい怒りが文字通り、さく裂します。脚本、演出、笑い、怒り、すべての要素が完璧な映画だと思いました。舞台はイギリスですが、まさに日本のことを描いている作品です。残念だけど。ボクは、ダニエル・ブレイクだ : 映画『わたしは、ダニエル・ブレイク』と『バンコクナイツ』 - 特別な1日(Una Giornata Particolare)