特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

週末のイギリス映画めぐり:『ロンドンゾンビ紀行』&『007 スカイフォール』

今日 東京は今年最初の雨が雪に変わった。夕方になるとボクの家の周りはすっかり白い雪景色に変わってしまっている。雪国の人には何の変哲もない光景だろうけど、インパクトあるなあ。

昨日は映画を見に行く途中 渋谷や青山、六本木を歩いてみたけれど、やっぱり景気は悪そうだなあというのが感想。食べ物屋さんでも低価格の店はともかく、他はがらんとしている店が多い。TV局がある街の様子はTVが言っているのとはぜんぜん違うよね(笑)。青山の目抜き通り沿いのビルの一階に空き店舗があったりするから、景気は深刻な感じがする。そういう風景を見ていると、六本木や赤坂あたりのなんとかヒルズ(笑)みたいなところであぶく銭を稼いでいる会社をみると余計にムカつく(笑)。
格差を拡大する政策を進めようとしているアリバイつくりのためか、自民・公明は所得税相続税をほんのわずかばかり増税すると言っていたが、それすら段々怪しくなってきた。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130114-00000004-mai-pol
格差のことは別にしても、景気の悪いうちに富裕層に増税しておき景気が良くなったときに税収を確保するというのは財政再建の王道のはずなのだが(クリントンレーガン時代の財政赤字をそうやって消した)、連中はそういうことすら考えていないようだ。
安倍、というか日本の既得権者側がやろうとしていることは、『社会的混乱に乗じてルールを変更して、持てる側が持たざる層の収奪』を進める『ショック・ドクトリン』じゃないかという疑いをボクは拭い去ることができない。
●チリやロシア、韓国や東欧で起きたことが日本でも冗談じゃなくなってきた気がする。


                      
週末に見た、お気楽だけど対照的なイギリス映画2題の感想。最初は『ロンドンゾンビ紀行』。原題のCOCKNEYS VS ZOMBIES(下町っ子対ゾンビ)のほうが内容を的確に現している。

                                            
祖父が住んでいる老人ホームが再開発の地上げで封鎖されることを知った下町っ子の兄弟二人が、それを阻止するために銀行強盗をする。金を奪って外へ出ようとしたら、あたりはゾンビに囲まれていた。再開発で掘り返した地下からゾンビがよみがえってしまったのだ。兄弟と強盗仲間たちは祖父を救出するために老人ホームへ向かう。
原題にあるとおり舞台はロンドンの下町。悪名高いコックニーなまりで兄弟たちの話す英語が全くわからない。英語の映画ではなく、どこか他所の国の映画を見ているような錯覚さえ覚える。映画自体はホラーでもなんでもなくて、全然怖くない。ゾンビの動きはやたらとスローだし、老人ホームの老人たちでも平気で退治できるくらい弱い。
半分ボケた爺さんが歩行器を押しながらゆっくりと逃げるのをゾンビがこれまた、ゆっくりと追いかけてくる、スローモーションのような追いかけっこ、映画自体がゆる〜い感じ
全編に渡って散りばめられた、子連れや老人のゾンビとか、フーリガンたちがゾンビになっても喧嘩してるとか、イギリスらしい皮肉の効いたギャグの連発に大笑い。金がなければ銀行を襲え!という発想や地上げに夢中な金融野郎なんか、さっさとぶっ殺されちゃえ(笑)といわんばかりの、下町っ子たちの根性、人情を強調しているところも好き(笑)。
低予算なんだけど撮影側も楽しげに作っているのがよく伝わってくる。見ていて、とても楽しかった。
●頭は足りないが人情に篤い兄弟とセクシーな従姉妹がじいちゃんのために立ち上がる


●要するに、こういう映画です(笑)

                                                         
                                           
もうひとつは『007 スカイフォール』。

                                            
こういう映画は普通はスルーだけど、評判が良いのでものは試し。それにアデルが歌う主題歌『スカイフォール』、名曲だし。

                                
イスタンブール、上海、マカオ軍艦島(長崎)、ロンドン、スコットランド、ありあまる予算?を使った豪華絢爛なアクション映画。だけど、これ見よがしな感じでなく、品がある。とにかく、やたらと画面が美しい。特に上海のネオンがゆらめくなかの光景、海に浮かぶマカオのカジノの周囲の水面に灯篭がきらめく様は本当に美しかった。

                                                  
お話自体はあんまり興味ないんだけど(笑)、全編に渡って死と再生を描いた内省的な印象が強い。昔の007のように美女にもてて秘密兵器を使って大暴れ(笑)という感じでは全然ない。ま、そんなバカ映画なんか、いまどき流行らないし。虐められるシーンが良く似合う(笑)ダニエル・クレイグのキャラクターがそうさせている点もあるのだろう。男前のダニエルが身体にぴっちりした、そして高そうなトム・フォードのスーツを着ている姿を見ているのは楽しい。
●過去の007映画への愛情溢れるオマージュに涙する人もいるかも。

                                                                               
あと、いつもながらに上司役のジュディ・デンチいいなあ。齢80近いこの人は数年前の『ナイン』で見事に歌って踊る姿にびっくりしたのだが、今作でも凄い演技をしていた。実質的な主役はこの人かも。まさに人間国宝!って、この人は日本人じゃないって(笑)。
特定の会社の車がひっくり返ったり潰れたり、特定の会社のパソコンがやたらと出てきたり、中国市場をやたらと意識していたり、そういう大人の事情(笑)も想像すると面白いし。真に受けなければいいんですよ(笑)。
良くも悪くも2時間、プロモーションビデオを見ているような感じだったけど、ま、たまにはいいや(笑)。