特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

木に竹を接ぐ:村野藤吾VSパナソニック電工

汐留で『村野藤吾 建築とインテリア』http://www.togomurano.com/sakuhin/index.html
 知り合いが村野藤吾に作ってもらった家に住んでるので、興味があった。その家は中庭を中心とした当時としてはモダンな住宅だが建具も設備も基本的に昔のものだから、特に冬の太陽が照らない日には寒くてどうにもならない、らしい。だけど、『先生の作品』だから改築どころか指一本触れない、という話だ(笑)。
 建築物の写真、模型に加えて、村野自身の手書きで細かい指示が書き込まれた図面が数多く展示されていたが、そういうのはCAD全盛の現代には考えられないだろうな。長く作品を作ってきた人だから当然 作風がずいぶん変遷しているので、同時代の前川國男と比較した展示をやってもらえば、面白いだろうなと思った。
戦前生まれの芸術家は単純にルックスが格好いい人が多い、というのは僕の思い込みだろうか。和・漢・洋の教養を兼ね備えているだけでなく、白髪も決まってるし、ステッキ姿も粋そのもの、だ。僕もあと10年したらステッキを買うつもりだ(笑)。
 場所は松下のショールームがあるビルだったが、当日 何かのイベントがあったらしく松下電工改め、『パナソニック電工』というジャンパーを着た社員の人たちが一杯いた。他人の会社にケチを付けるつもりはないが、この文字通り、木に竹を接いだようなネーミングには驚いた。グローバル戦略もコーポレートブランドも結構だが、ネーミング・センスはどうなんだろうか(笑)。もちろん、和・洋を融合させた村野のセンスとは比べようとは思わないが、あまりにも対照的だったので、それで衝撃を受けた(笑)
 そのあと青山で植木を見て回る。夜はラ・パタータで白トリュフ。でも今回はトリュフより、バスク地方の何とか豚を焼いたあと、野菜で蒸した、という料理に驚いた。野菜の香りで程よく味付けされた豚肉、それを皮・脂身・ロース・骨際と異なる食感を味わえちゃう。まさに豚そのものを味わうという感じだ。寄る年波で脂身はきついんだけど、つい完食してしまった。ただし、翌日 体重計に乗ったら、立派に2キロ増(泣)。これじゃあ、豚さんから人間への、単なる脂身の移植だ。これもまた、木に竹を接ぐとは言わないが。