特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

僕らのミライへ逆回転

渋谷で『僕らのミライへ逆回転http://www.gyakukaiten.jp/
前宣伝ではジャック・ブラックお得意の大暴ればっかり強調されてたが、実は、ちょっとクラシカルで、Heart Warmingなお話。はっきり言って、日本の映画会社のプロモーション戦略は完全に間違い。この映画の価値を毀損している。まず邦題より、原題の’’Be Kind Rewind''のほうが的確だし、洒落てるよ。
ビデオレンタルショップで店主の留守を任された黒人従業員と、クズ回収業のジャック・ブラック、それに気のいいヒスパニックの少女が区画整理で立ち退きを迫られるレンタルショップを立て直そうとする。
そんな話だ。

 一見して、こういうのが文化の豊かさだと思った。手作りの素晴らしさとか、映画への愛情、コミュニティへの愛着など、きらきら輝く小石がいっぱい詰まっている。映画的な伝統をきっちり踏まえつつ、あまりムキになるとかっこ悪いから、ジャック・ブラックの眉間の皺で茶化しながらね(笑)。
 川向こうのN.Y.の繁栄から取り残されたようなニュージャージーの街の寂れ加減が他人事とは思えない。しかし、それはでっち上げの一過性のイベントではどうにもならないということが、ジャック・ブラックのお笑いに紛れて、見事に描かれている。結局 当事者が選ぶことなんだよ。町興しとか空虚なこと言ってる阿呆は、この映画の爪の垢でも煎じて飲め。
 この映画が説得力があるのはファンタジーの中でもきちんと現実を見据えているからだ。Bitter Sweetな結末は拝金主義が世界中を闊歩した、この20年間を象徴している。それでも、監督のミシェル・ゴンドリーが敢えて描いてみせた、まるでフランク・キャプラみたいなラストシーンに涙がこぼれない人がいるのだろうか。