特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『白子のパスタと白河甘鯛の包み焼き』と『アホはいいけど、ウソは駄目』

 街ではもう、イルミネーションが始まっています。
 感染者の減少に伴って、消滅したと思っていた忘年会とか会食とかいう声がゴキブリのように見え隠れするようになりました。老若問わず、宴会をやりたい人はやりたいんですよね。何が飲みにケーション、だよ😭

 周囲に宴会嫌いを大声でカミングアウトしているボクですが(笑)、たまにはどうしても拒否しきれないものもあります。どうして他人を巻き添えにするのでしょう。感染だって少しずつ増え始めているのに懲りない連中です。

 
 気分を直して、前回の近所のイタリアンの続きです。前回は秋の素材でしたが、今日は冬の素材。これは白子のパスタ。

 ドイツ料理のカツレツなどの付け合わせで出てくる卵麺(シュパッツレ)に鱈の白子がバターソースで絡み合ってます。その下のザワークラウトが酸味でアクセントを加えている。
 
 こちらは白河甘鯛の包み焼き。幻の甘鯛と言われる白河甘鯛(普通の赤甘鯛より身がふっくらしてます)を香茸と一緒に包み焼きにしたもの。前回はクエとポルチーニだったのですが、これも香り高くて美味しい。

 秋と冬の素材が交じり合う、そんな季節です。自分の人生なんて通り過ぎるだけの人生かもしれませんけど、あと何回 冬を迎えられるのかなと思ってしまいます。今年はラニーニャ現象で寒くなると言ってますが、どんな冬になるんでしょうね。

●敢えて判りにくくしている?店の入り口には姫リンゴがなってました。食べられないそうです(笑)。 


 さて立憲民主党の党首選の日程がやっと30日の投開票で決まったそうです。
 党首選の日程すら、さっさと決められないのは勿体なかったです。
 枝野執行部はカネも組織もない中から党をここまで育ててきたのは功績大と思っていますが(選挙公約は酷かったですが)、何事も説明不足の面は否めなかった、と思います。政治をワイドショーの延長としかとらえられないバカ↓は論外ですが、自分たちが国民からどう見られるか、どう見られたいか、もう少し意識したほうが良い。

 代表戦なんてお祭り騒ぎは注目を集めるチャンスです。選挙戦では事実に基づいて今後の目指すべき方向をオープンに議論をする。それをやって初めて、市民が立憲民主党に関心を持つことができるでしょう。誰が代表になるかより、候補者それぞれを国民に売り込んでほしい。強いては政治への関心を少しでも高めることにも繋がるはずです。


 あと、共産との共闘ばかりがマスコミやネットの話題になってますけど、くだらないです。
 水曜日のBS-TBS報道1930』で、マスコミでは『立憲の有力者で一番共闘に後ろ向き』とされている元外相の玄葉氏が『共産との選挙協力は今後も続けるべき。ただ政策面ですり寄り過ぎた。共産党の閣外協力という言葉も一体感を連想させ、無党派層からのイメージダウンにつながってしまった。今後は閣外協力なんて言葉はやめて、選挙協力という形で関係を深めていくべき』と言っていました。

 玄葉ですら、こう言っている。まさにその通りで、共闘の是非なんか全く争点ではありません選挙協力はしなければ立憲も共産党もやっていけません。その一方、一緒に政権を担おうと思っているような議員は立憲にも共産にも殆どいないはずです。

 立憲と共産党は安保などの考え方は違うのだから、意を同じくする点と異なる点をオープンにしたうえで選挙協力をすればよい。小党が連立政権を作ることが多いヨーロッパだって野党共闘とはそういうものの筈。

 同じく報道1930で解説の堤伸輔氏が『新聞が2社、明らかに野党共闘潰しのキャンペーンをやっている』と述べていました。

 恐らく産経と朝日でしょう。立憲と共産との関係の是非ばかりあげつらうのは連中のキャンペーン以外何物でもない、とボクも思っています。社是が『商業右翼』の産経は許せるのですが、朝日は正義の味方面してる癖に、からきし権力に弱いから嫌いなんです。『弱気をくじき、強気に媚びる』、まさに朝日新聞のことを語る言葉です。

 目的がさっぱり判らない与党のバラマキ10万円給付が典型ですが、与野党議席が接近していないと国権の最高機関である国会が機能しません。

 こうなってしまったのも国民の無責任さ、マスコミの無能さだけでなく、野党のだらしなさにも大きな責任があります。

 水曜日の岸田の記者会見を見ていて『久々に総理大臣が原稿なしに自分の言葉で喋ってる』と思いました(笑)。今までが本当に酷すぎた。野党もここでしっかりして、いい加減、政治を機能させてもらいたいです。
 少子高齢化の進展、格差の拡大、財政問題、介護の2025年問題、アジアの対外関係の緊張、様々な問題を抱える日本に残された時間はあまりありません。


 さてさて、サイボーズという一部上場企業の社長の青野慶久氏という人は選択的夫婦別姓を求めて国を訴えたことで有名です。今回の選挙でも『ヤシノミ作戦』と称して、選択的別姓や同性婚に否定的な候補や最高裁判事を落選させる運動をやっていました。
mainichi.jp

 その青野氏がネットに『日本人の給料が上がらない原因』を書いていました。給料が上がらないのは日本企業の生産性が低いからだが、その理由は『飲みニケーションなどのオッサン文化が根強いから』というのです。

 



 オッサン文化の第一の特徴は排他的な所です。家事や育児などで長時間労働や飲みニケーションに参加できない人間は情報が入ってこなかったり、周囲の視線が冷たくなったりします。ムラ社会のオッサン文化が蔓延る社会では優秀な人間が活躍する機会はどうしても少なくなる


 青野氏の話を直接聞いたことがあります。
 創業当時のサイボーズはブラック企業離職率の高さに悩んでいたそうです。ベンチャー企業、それもIT企業では長時間労働なんて当たり前ですが、それではどうしても離職者が多く出てしまう。

 そのため経営が脅かされるまでになって、青野氏は15年間 試行錯誤しながら、個人の事情に応じた柔軟な働き方を認める会社に改革していったそうです。労働時間や労働場所は自由、抜擢人事も当たり前、給与も上司と部下で交渉して決める。成果がそれに見合っていれば、いくら払っても問題はないわけです。
 『全部が全部 従業員の希望をかなえられるわけではないけれど、議論をすればいい。価値観の押し付けこそが生産性を落としている』と青野氏は言ってました。

 その代わり信賞必罰です。売上至上主義とは全く異なりますが、成果については徹底的に問われる。賃下げ、降格も当たり前。情報は基本はオープン。社内ルールは勿論、役員会の議事録も社内に公開。それを見た上で、個人が判断するという会社にしているそうです。
 また社内の飲み会なんかはない代わりに、上司は部下と頻繁に面談をすることがルールとして決まっているそうです。仕事の話は禁止。社内では『雑談』と呼ばれているそうです。
 
 かなり厳しい社風でもあるとは思いましたし、会社から脱落する人も多かったそうです。しかし、優秀な人、自分の頭で考えられる人の定着率も高まった。また一旦家庭に入ってしまった社員が出戻ってきたり、子育てしながら働いている社員が大きな戦力になっているそうです。優秀だけど他社では中々働きにくい人材です。
 そのおかげでサイボーズの業績も継続して上昇している。最近はTVCMもやってますよね。


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 青野社長が言ってることは北欧型の社会、『高福祉・高負担/自由競争経済』に似ています。


『選挙について考える2』と『将来のビジョンが大事(野党が改革政党になる方法)』 - 特別な1日

 個人の事情は最大限考慮し、個人と企業の食い違いは議論で埋める。性差なんか全く関係ない。社内の情報は極力オープンにして、個人の能力と希望に応じて働く機会を提供、会社の業績につなげる。その替わり信賞必罰。降格や賃下げも当たり前。厳しいけど、合理的ではある。
 今までの日本企業の形態とはずいぶん違いますが、個人を大事にする戦略は人間しか資源がない日本、少子高齢化が進んでいく日本にとっては向いているのではないでしょうか。


 ちなみに青野社長曰く『(サイボーズでは)アホはいいけど、ウソは駄目』だそうです。失敗はOKだし、知識やスキル不足もOK。それは学習すればよい。だけど嘘をつく人間とは仕事を一緒にすることが出来ない。現実直視、事実認識という考えのベースを共有することが出来ないからです。言葉が通じない。
 
 ボクが安倍晋三山本太郎、バカウヨや維新、それに岩上安見(IWJ)や田中龍作や鮫島浩、堤未果おしどりマコなどのインチキジャーナリストもどきを大嫌いな理由も全く同じです。やっぱり嘘つきとは議論ができない嘘つきは民主主義の敵、です。
 

『柿の糠漬けと白トリュフのパスタ』と映画『DUNE/デューン 砂の惑星』

 いよいよ、秋も深まってきました。夏の間はあんなに疎ましかった陽の光が今はなんとなく愛おしいです。
 そうやって今年もあっという間に過ぎてしまうのでしょう。ストレスだらけの定年までの時間は早く過ぎて欲しいけど、そのあとはくれぐれもゆっくり、でお願いします(笑)。

 
 近所のイタリアンへ行ったら、突き出しに柿の糠漬けが出てきました。お店の女性のおばあ様が使っていたという70年物の糠床で漬けた柿と生ハムの組み合わせ、日伊の発酵食の組み合わせです。

 

 そして秋のメインイベンター、白トリュフ。やっぱり、この香りを味合わないと秋が来た感じがしません。

 白トリュフにはネッビオーロのワインが良く合います。ボクはお酒は弱いし、こだわりもありませんが、同じ土地の土から産まれたネッビオーロと白トリュフの組み合わせ、この誘惑にはかないません。
 この日 ソムリエ氏がグラスで出してくれたワイン、なんと54年ものですが、まだまだブドウにパワーが漲ってました。年月を経ても全然枯れてないのは驚きでした。ブドウも人間みたい、色々あります。

 こういうワインを飲んだ時は単細胞なボクは『人生は素晴らしい』と、まさに『無敵な気持ち』になるんですが(笑)、直ぐ酔っぱらってしまうから良い気分もほんと、一瞬だけです。
 良いことは長く続かない。悪いことも長く続かない。通り過ぎていくのを待つだけ、なんでしょうか。



 ということで、 日比谷で『DUNE/デューン 砂の惑星

 人類が地球以外の惑星に移り住み宇宙帝国を築いた遠い未来。皇帝の命により、宇宙飛行に欠かせない物質「メランジ」が生産される砂の惑星デューンを統治することになった貴族、レト・アトレイデス公爵(オスカー・アイザック)は、妻ジェシカ(レベッカ・ファーガソン)、息子ポール(ティモシー・シャラメ)と共にデューンに乗り込む。しかし、それまえデュ―ンを治めていた貴族、ハルコンネン家と皇帝の陰謀でアトレイデス公爵は殺害されてしまう。逃げ延びたポールとジェシカは原住民フレメンの中に身を隠し、帝国に対して革命を起こそうとするが


 『スター・ウォーズ』から『風の谷のナウシカ』まで数多くのSF作品に影響を与えたフランク・ハーバートの古典的SF小説を、『メッセージ』のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が映画化したもの。何度も映画化・TV化されていますが、あまりにも話がでかい&長いので失敗作になったり途中放棄したり、映画化は困難を極めるという曰くつきの作品です。

 当初はスルー予定でしたが、アメリカ、イギリス、フランスなどで公開後 興収1位を記録するなど圧倒的に評判が良いので見に行ってきました。ちなみに日本だけは興収1位はプリキュアだそうです(笑)。だ~めだ、こりゃ。

 お話自体は特に興味ないです(笑)。原作が’’アラビアのロレンス’’がモチーフになっているのはその通りだなーと思いながら見ていました。延々と砂漠が広がる地に資源につられて帝国が植民地支配をする。そこに流れてきた主人公が圧政に耐えかねた原住民たちを味方につけて、反乱を起こす。
 今回はその役をティモシー・シャラメ君が務めています。

 製作費は100億円以上かかっているそうです。殆どCGを使ってないそうですから、そらあ、いくらお金があっても足りない(笑)。圧倒的な映像美です。広大な砂漠、超巨大セット、計算されつくした画面の構図、俳優さんたちのアクション、宇宙空間、どれも映像が非常に美しく、迫力がある。

 更にその映像美の中でフィーチャーされるティモシー・シャラメ君が実に絵になっています。彼は美形であるだけでなく演技力もありますけど、彼を見ているだけでも全然退屈しないです。

 ヴィルヌーヴ監督だから哲学的な話になっているのかと思いましたが、古典的なSFとして勝負しています。プロットはちゃんとしてますけど、大した内容はありません(笑)。
 お話というより圧倒的な映像美とシャラメ君で3時間弱、押しまくる。きめ細かな、そして大迫力の映像がスタイリッシュに提示されます。砂漠の映像が雄大なのは勿論ですが、異星の空や自然、部屋の場面のレイアウトなども含めて画面がいちいち、美しい。ハンス・ジマーの音楽も含めて、映画体験としては大成功していると思います。
●主人公の父親である公爵(オスカー・アイザック 写真右)は帝国の陰謀であることを知りながら、惑星デューンへの赴任を受け入れます。

 ボクの嫌いなグロテスクな描写も少なく、アクションは小気味良い。安心してみていられます。シャラメ君が演技出来るのは判ってましたが、今回は彼の女性的な風貌が古典的なヒーロー像に陥るのを防ぎ、新たなヒーロー像を提示できている。また人種的な気配りも細やかで、2020年代に見る映画としてはふさわしい。

●仇敵のハルコンネン家

●父や部下たちを殺された主人公は母(レベッカ・ファーガソン)と砂漠の旅に出ます。

 ただ映像美が特徴なので、この映画、あまり感想を述べるところがない(笑)。大画面を見て、味わい、楽しむ。そういう映画です。
●砂漠には『ナウシカ』の王蟲を連想させるような巨大生物が住んでいます。

 3時間弱という大作ですが、今作はあくまでもPART1,お話は完結しません。それくらい話が長い。だけど全然退屈しません。それが映像の力です。
●主人公たちは当初敵意を持たれていた原住民たちと仲間になります。

 これは配信でみるような映画じゃないです。大画面、大音響がふさわしい。豪華エンターテイメントですが、先週取り上げた007みたいにバカみたいな感じでもなく(あれはあれでいいのですが)、内容はないけど説得力のある話をまじめに展開した上での、肩が凝らない歴史大河ドラマ?です。これだけ映像にお金がかかっていて、なおかつ端正かつスタイリッシュに提示されていれば全然OK。かなり楽しいです。スターウォーズなんかより遥かに高品質だし、面白いと思います。
 日本以外での世界的大ヒットで続編の製作が決定、公開は2年後だそうです。お話は忘れても大丈夫かな(笑)。

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『選挙について考える2』と『将来のビジョンが大事(野党が改革政党になる方法)』

 如何にも秋らしい、さわやかなお天気の1週間でした。

 立憲民主の枝野氏が代表を辞任したのはちょっと驚きました。そこまでの話ではない、と思っていたからです。選挙の詳しいことも判ってきたので、結果も含めて今後のことをもうちょっと考えてみたいと思います。

 まず、事実を振り返ると、立憲民主は野党共闘の結果 小選挙区では議席を増やしましたが、比例で大幅に議席を減らした。

 その大きな理由の一つは無党派層が少なからず維新へ投票したからです。今回も立憲民主は依然 無党派の最大の投票先でしたが、それだけでは足りなかったリベラル寄りの人は自民の基礎票より少ないのだから、無党派の票を大量に取らなければ選挙には勝てない。立憲の支持者でも比例区は維新へ投票した例すらあったらしい。

 身の回りを見れば誰でもわかると思いますが、特定の支持政党をもたない無党派の人の多くは中道寄りです。リベラルというほどではない。立憲民主は野党共闘の中では最も中道寄りですが、無党派層は今の立憲民主の立ち位置より右の人が多い。そこを維新がさらっていった

 立憲民主の第1の敗因は『無党派層を取り逃がした』野党は共闘は続けつつも、無党派層(もっと右寄り)を狙っていかなければいけない

 更に今週のBS-TBS『報道1930』で田崎史郎石破茂福山哲郎小川淳也など出演者が口を揃えて言っていたのは『立憲民主の地方組織はまだまだ弱い。自民党は勿論、維新と比べても弱い。維新は関西には地方議員が大勢いて活動するのに対して、立憲民主の組織は以前の民主党民進党より弱体化している』そうです。

 ボクが普段見ている限り、東京ではこの2年くらい立憲民主は国会議員(候補)と都議会議員がセットになって活発に活動していました。その結果 東京の小選挙区の議員は倍増した。逆に議席を減らした地域は確かに組織が弱いのでしょう。組織力が弱かった』、これが2つ目の敗因


 ただ、時系列で結果を見てみるとそんなにひどい結果とは思えない。

 事実 今回は比例票だって旧立憲よりは増やしています。一方 躍進したという維新ですが数年前に戻っただけ、橋下時代のピークには戻っていない。

 幹事長の福山氏なり誰かが責任をとるべきでしょうが、枝野氏が辞めるまでの話ではないと思う。敗因をもっと詳細に分析し、改善策を作る方が遥かに大事です。

 立憲・共産は投票者の半分が60代以上、一方 維新、れいわ、国民は60代以上の支持は3割程度、それより40代、50代の現役世代の支持が高かったそうです。若い人たちにとっては立憲や共産は維新やれいわより保守的に見えるからです。
 逆に改革のビジョンを打ち出して、この層を取れば圧倒的な勝算が出てくる(後述)。
●高齢者ばかりが立憲や共産を支持しているのは、複数のソースを挙げておきます。
news.yahoo.co.jp


古谷経衡@新刊『敗軍の名将-インパール・沖縄・特攻』 (幻冬舎新書) 重版決定! on Twitter: "10代の棄権率が59なので、正確にはこんな感じのグラフになるですね。… "

 立憲民主も世代交代は必要だし、枝野氏があっさり辞めることでイメージアップを図れるかもしれませんが、立憲にも他の野党にも、そんなに人材が居る訳ではありません。

 先の民主党政権のように、今度は『始めてだから』なんて訳にはいきません。政経験と法律か経済の専門知識があって閣僚を務められる人材じゃなければ野党第一党のリーダーなんか任せられない。素人に判断力がある訳がないからです。ボクも普段 経理やシステムなど専門家に仕事を頼むとき常に体験していることですが、ブレーンや役人を使うのだって知識や経験が必要です。

 振り返ると、立憲民主党は市民の間からできた政党です↓。まだまだ成長の途中です。政治家を育てていくことが大事なのに、使い捨てにするのは絶対おかしい。枝野氏の捲土重来を期待します。
●結党当初17年10/9、SEALD’Sなどが主催した街宣に参加した枝野氏と福山氏。二人とも学生たちが用意した脚立に載って演説しました。


spyboy.hatenablog.com

●17年の選挙前日、10/17。珍しい白ジャンパー姿の枝野が皆の前で演説しました。組織も何もなかったこの時からまだ4年しか経ってない。


spyboy.hatenablog.com

 それより今回の選挙は相変わらずの低投票率、野党も含めて当選者がジジイばかり、ということの方が遥かに問題です。


 今後に向けて、立憲民主はどんな社会を目指すのか、将来のビジョンをはっきりさせるべきだと思います。

 今回の立憲民主の公約は非現実的な酷いものでした。『バラマキばかりの公約が酷かった』、これが立憲の敗因の3つ目ではないでしょうか。
 消費税の時限減税や所得税免除など非現実的で効果がない政策を並べれば、まともな人は怪しいと思うに決まっています立憲は共産党やれいわのアホ共に引き摺られ過ぎた減税衆愚の連中に媚びへつらった経済政策を立案した江田憲司こそ大きな責任がある。

 将来のビジョンがはっきりしていれば、共産党やアホのれいわのインチキ政策に引き摺られることもないし、自民の’’立憲共産党’’のようなデマめいた揶揄も笑ってすますことができる。野党共闘をどうするか、なんて論点じゃありません
 少なくとも選挙協力は続けていかないと選挙には勝てません。どんな社会を目指すのかをはっきりさせれば、共闘や選挙協力の形は自ずから決まってくるでしょう。野党共闘ではなく、立憲の政策が悪かった


 今の政党別のスタンスを見ると方向性はこのような感じでしょう。縦軸は福祉の充実度(大きな政府/小さな政府)、横軸は経済活動で見てみました。

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 敢えて言えば 今回の野党共闘の政策は左上の象限、『高福祉、経済は規制・保護』でしょう。手当など福祉の拡充や減税をするなら負担は増えるけれど、そこは頬かむりし、経済は農家の所得補償など昭和の規制・保護を維持。
 バラマキをするのに財源を具体的に示さない時点でまともな人はついていかないし、福祉拡充や規制・保護は若い人には昭和に逆戻りに見える。皆 民主党政権時代の『埋蔵金』で懲りている。立憲民主のもう一つの敗因はロクでもない公約じゃないですか。


 選挙の翌日に出た週刊東洋経済で、立憲民主の小川淳也氏が政治学の五百旗頭東大教授との対談で良い事を言っていました。
 『政策面で「低福祉・低負担」と「高福祉・高負担」のどちらを選ぶかと聞いたら、若い人ほど「高福祉・高負担」を選ぶ。つまり、みんな負担が嫌なのではなくて、税を預ける政治に信頼が置けない』。
premium.toyokeizai.net

 山本太郎みたいな連中が言う「高福祉・低負担(消費税ゼロ)」は物理的に不可能です。あれは『政策ではなくウソ』。

 それはともかく、小川氏が言うように政党や政治家を市民が『信頼する』というのはかなりハードルが高い。ボクだって立憲民主も含めて政党は一切信用していません。減税や福祉の拡充を言うのなら、増税の話も具体的でなければ信用できません。

 インタビューで小川氏が言っているこのような話こそ、現実的な話だと思います。

 『立憲民主党は現在、消費減税をうたっているが(中略)、長期的には法人税所得税の累進性回復、相続税や消費税等も含め、北欧型の税制改革(*増税)を議論せざるを得ない。これは財務省的な財政収支偏重論ではなく、社会全体を持続可能なかたちにソフトランディングさせるための、政策の全体像を踏まえた取り組みだ


 少子高齢化、落ち目の経済と選挙に行かない無責任な国民、今のままでは日本は持続不可能です。トヨタや素材など一部の競争力がある輸出産業があるから何とかなっているだけで、電気自動車などで産業構造が変わったらアウトです。日本はエネルギーや食糧などの資源を輸入するカネがなければ、やっていけない。

 例えば食料自給がどうのって言いますけど、日本の農業なんて石油漬けなんだから、自給なんか元々不可能です。今だって外国人労働者頼みなのに食糧自給のためにTPP反対なんてバカの極み(笑)。平和と自由貿易を守り、競争力の高い産業を維持するしか、日本の食糧自給なんかあり得ない

 じゃあ、どうするのか。上のマトリクスで言うと、方向性は4つです。
 アメリカのような『低福祉・低負担/自由競争経済』、北欧のような『高福祉・高負担/自由競争経済』、フランスのような『高福祉・高負担/規制&保護の経済』、昭和のような『低福祉・低負担福祉/規制&保護の経済』(正確には中負担・中福祉ですが)。

 ボクは右上の象限、北欧のように『高福祉・高負担/自由競争経済』日本には北欧型の「積極的労働政策」が必要だ | 政策 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース、この路線で行くのが良いと思います。

 フランスは『高福祉・高負担』ですが、経済面では組合や資本面での規制・保護も大きいから、高失業率や経済成長では課題を抱えている。何年もかけて、彼らもだいぶ自由競争の方へ寄ってきている。

 スウェーデンフィンランドも『高福祉・高負担』ですが、経済面では自由競争です。企業が潰れても労働者個人は救うけど企業は救わない。それによって高福祉と経済の効率(財源)を両立させている。日本とは全く正反対です。

 スウェーデンのサーブ(自動車)は救済されずに潰れてしまったし、フィンランドノキアは世界1のガラケー屋でしたが、スマホが出て携帯がダメになったら通信インフラ屋へ転換しました。企業は救済されないから、無くなっていく産業から新しい産業へ人は移動していかざるを得ない。その代わり失業者は国が手厚く失業給付をして、職業訓練をする。教育費は大学まで無料だから、これからの時代に必須な高等教育を受けられる人を増やすことができる。

 今の日本は企業は助けるけど、個人は助けない。日産や東芝のように政府や経産省が小狡い手で存続させることまでやるけれど、失業者が出ても非正規労働者が増えても知らんぷり。


 『高福祉・高負担の福祉国家と自由競争経済を両立させた北欧型の社会こそが戦後民主主義の次のパラダイムだと思う。

 そうなったら、日本の姿は大きく変わらざるを得ません。間違いなく揉めますが(笑)、だからこそ改革です。野党はリベラルな改革政党として生まれ変わることができる確かな変革の道を指し示せれば、現状に閉塞感を抱えている若い人の支持も取れるはずです。

 北欧諸国のように福祉を充実させるだけでなく、他国と競争するためにも教育費は無料。低所得層のためにも年金保険料は税負担に変える。そうすれば年金の持続可能性も解決するだけでなく、景気回復の効果も消費減税より遥かに大きい。
 そのためには20~30兆くらいかかる。所得税の累進税率アップや金融取引課税だけじゃ財源は足りないから、消費税も増税する。ホントは相続税を100%にすればいいんですが(笑)。

 経済面では原則 自由競争に任せる。農業や漁業への企業参入解禁なんて当たり前。グリーンやAIなど成長産業への政策的な投資は税金も使うけど、経済効果が見込めない農家の所得補償や商店街への補助金は廃止する。大企業、中小企業を問わず潰れる企業は救済しない。その代わりに労働者個人への失業給付や転職や起業の支援を拡充する。
公共インフラや福祉・医療など公的に維持する分野と民営化しても良い分野ははっきりと峻別する。社会として必要なものは税金で維持する。赤字だからこそ税金で維持するんです。そのための財源を出すためには他の経済分野は効率化が必要です。
 
 既得権益を抱えた層は猛反対するでしょう。旧態依然としたアホなリベラルやれいわの減税衆愚も反対する。でも無党派層と現実的なリベラルを合わせれば、それ以上の人たちがいるし、日本の将来に僅かながらの光明も見えてくる。

 野党が真剣に高福祉を唱えるなら、勇気をもって消費増税も含めた増税を唱えるべきです。そして政治家にお任せでなく、当事者である市民も意見を言っていかないと改革は実行できない。小川氏が言う、市民から政治家への信頼は市民が政治参加するプロセスの中でしか生まれません
 将来の方向性はある程度見えていますあとは市民が勇気ある政治家を選べるかどうか、そして市民が政治に関心を持ち続けることが出来るかどうか、じゃないでしょうか。


 余談ですが、話題の小川淳也氏が党首選に出ると言ってますが、どうでしょうか。彼の人柄や頭脳はOKだし、『立憲は共闘を維持しながら、もうちょっと右にウィングを広げるべき』や『北欧型の社会を目指す』という彼の意見はボク自身のものと非常に近い。
 しかし立憲民主の中でも彼はまだ無役です。彼の組織を動かす力、それにリーダーとしてのしたたかさ、勝負勘は未知数です。まだ彼は育てる段階の政治家です。将来の日本のために、彼こそ使い捨てにされないことを望みます。