特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『衆院選挙の結果』と映画『 007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』

 今日から11月。昨日の選挙の結果はボク的にはサイアクでした(笑)。
 コロナ無能(自民・公明)と嘘つきポピュリズム(維新、れいわ)の議席、ということです。

 コロナ対策では成果を出せないばかりか、不祥事の総合商社みたいな維新に投票する人の発想はボクには理解できないので、理由を聞いてみたいです(笑)。維新びいきの大阪のTVが酷いとはよく聞きますが、維新は関東でも比例区議席を複数獲得してますからTVだけではない何かがあるのでしょう。

 社会に混乱しかもたらさないポピュリズム政党の維新とれいわが増えたのはサイアクですが(まだ自民の方がマシ)、

 無党派層を中心に自民党に不満を持つ人は少なからずいる、というのは、はっきりしている。

 問題は自民党に不満を持つ人の受け皿。
 成果を出した小選挙区はともかく、比例区野党共闘は最も人数が多い無党派層の受け皿になり得なかった。今回の野党の共通政策がずいぶん共産党やれいわに引き摺られたのは元々心配でした。無党派層はもっと穏当、中道寄りです。

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 だから消費税の時限減税のような野党共闘の政策は大きな支持は得られなかった。正直、ボクだってウンザリでした。

 今回の選挙で消滅するか?と思っていた国民民主党が案外強かったのも、無党派層に中道寄りが多いのを裏付けているでしょう。


 野党共闘が悪かったとは全く思いません。共闘をしていなかったらもっと酷いことになっていた

 これから野党の側、特に立憲民主はもっと現実的な政策と長期的なビジョンを示しながら、地道な地域活動を積み重ねて無党派層の受け皿になっていくしかない、と思います。

 香川1区の小川淳也氏や東京8区の吉田はるみ氏が良い例です。
 特に小川淳也氏の小選挙区当選は感動的でした。維新一色の大阪のTVを始めとしてマスコミが酷いのは間違いないけど、実家が香川のテレビ・ラジオ・新聞を独占している三世議員に対して、きちんとした政策と地道な活動、それに人柄で勝つことだってある。映画の影響はもちろんあるけれど、あの映画だって東京ではたった2館で始まったマイナー作品でした。それが感動した人の口コミでどんどん広がっていった。小さなパーマ屋の息子の小川氏とまさに重なっています。

 立憲民主の枝野を交替させろと言ってる奴もいますが、行政経験があって、法律もしくは経済の専門知識がある人材が、野党で枝野の他にいるでしょうか。ポピュリズムの風任せでは所詮長続きしません。事実はこう↓、ですから。

 老醜をさらすだけの社民党とか、貧困ビジネスのようなれいわなんか、もう無視していいんじゃないか。連中に引き摺られると野党の支持層はいつまで経っても広がりません。『減税衆愚』とはよく言ったものです。

 今の日本は結構酷い状態です。政治や経済に関心はなくとも、無意識に理解している人は多いでしょう。そこから来る自己防衛意識が今回の結果に繋がったのではないか。皆 将来が見えないから不安なんですよ。

 これからの日本は更に行き詰っていくと思います。少子高齢化、落ち目一方の経済だけでなく、介護・福祉の2025年問題もある。アベノミクスで金融緩和した結果の円安と資源高もある。石油ショック時のスタグフレーションのような酷いことになるかもしれません。

 その時にこそ、現実的な政策と将来のビジョンを示せる政党、地道な活動を積み重ねた政党が必要になる

 来年は参院選があります。改めるべきは改めて、少しでもマシな方向へ進むしかない。まさに『ノー・タイム・トウ・ダイ』(笑)。


 と、いうことで、六本木で映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ

www.007.com

 リタイアした007ことジェームズ・ボンドダニエル・クレイグ)は、前作で恋に落ちたマドレーヌ(レア・セドゥ)とも別れ、ジャマイカで平穏な毎日を過ごしていた。ある日、旧友のCIAエージェント、フェリックスが訪ねてくる。彼から誘拐された科学者の救出を頼まれたボンドはミッションを引き受ける


 言わずと知れた007シリーズ。スパイのおっさんが美女をとっかえひっかえという前時代的な発想の映画は今まで全く興味がなかったのですが(笑)、ボンド役がダニエル・クレイグになってから見るようになりました。彼のシリーズになってからマトモな映画になったからです。

 大予算をかけた豪華絢爛なところは以前と一緒ですが、女性が男と対等の存在として描かれるようになっただけでなく、ボンド自身の苦悩や弱さも描くようになって、感情移入が出来るようになった。ダニエル・クレイグのルックスだけでなく、拷問されて嬉しそうな表情になるMっぽいところも好き(笑)。

 普段は映画なんかみない勤務先の同僚が『ダニエル・クレイグになって、ハードボイルドになった』と言っていましたが、酸いも甘いも味わった年代の男性にとってのヒーロー像ではあるのでしょうね。劇場の観客席には女性も多かったですが。

 身体にぴったりしたトム・フォードのスーツ姿はやっぱりカッコいい。ダニエル・クレイグは53歳だそうですが、やっぱり身体は鍛えてないとなあ。

 くだらないとわかっていてもダニエル・クレイグの最終作ということで見に行きました。今回の監督は社会派作品を得意とするキャリー・フクナガ(写真左)。この人も異様にカッコいいということでも有名です(映画には出てきません)(笑)。


 お話は少女が映画’’ボヘミアン・ラプソディ’’でフレディを演じた、ラミ・マレック演じる悪の親玉、セノスに襲われるところから始まります。お能のマスクを被ったセノスは執拗に少女を追ってくる。

 前作のヒロイン、マドレーヌ(レア・セドゥ)の子供時代のエピソード、という設定です。セノスに追われて彼女が凍った湖の上を逃げている間に氷が割れ、水中に転落してしまう。それを氷の上からのぞき込むセノス。

 視覚的な美しさと怖さを兼ね備えた見事な演出です。しかし子供の体重で氷が割れてしまうのに、なんで大人は平気なの(笑)。

 この映画、だいたい、こんな感じです(笑)。この映画、当初はダニー・ボイルが監督する予定だったのが途中で降板、キャリー・フクナガが急遽担当することになったそうで製作期間が非常に限られていたそうです。脚本がないまま撮った部分もあったそうで、お話は最初から最後まで、辻褄が合わないところばかりです。
 ただ、そんなことにこだわるような映画ではありません(笑)。適当に流していれば、見ていて楽しい。

 ボンドが時代遅れの存在になっている、という演出がいいです。最終回を迎えるダニエル・クレイグ自身と重なって見えます。今時の若者、メカニカル担当のQ(ベン・ウィショー)が操作が難しいと警告する50年代の機器を彼が軽く動かすところなんか笑わせてくれます。

 彼の後任の007は女性だし、

 CIAの新人エージェント(アナ・デ・アルマス)もボンドと対等に活躍する。彼女だけでなく、新007も前作から引き続きのヒロイン、マドレーヌ(レア・セドゥ)もボンドに助けられるのではなく自分の力で戦います。女性たちがボンドと対等の関係になっているのが、あくまでも自然に描かれていて、とてもいい。
 

 トム・フォードのスーツを始め、時計やスマホ、様々なタイアップ商品が並ぶゴージャスな映像は家庭画報婦人画報のようなカタログ雑誌みたい(笑)。   
 この映画で最も注目を浴びたのは間違いなく、そのキューバ人エージェント役のアナ・デ・アルマスですが

前作に引き続いてのレア・セドゥは美しかったし、

ベン・ウィショーレイフ・ファインズが画面に出ているだけでもボクはうれしい。

 映画を見終わったあと、思わずダニエル・クレイグが着ていたような黒いクルーネック・セーターを買ってしまいました(笑)。
 そういう映画の楽しみ方もあるということで、満足しました。大作らしい上映時間の2時間30分、楽しかったです。


www.youtube.com

『Vote Them Out!』''(選挙で)奴らを叩きだせ''と『きのこのお鍋』

 朝はめっきり寒くなりました。その分だけ、特に雨上がりの朝は夜明けがとても綺麗です。


 今回の選挙ほど、状況を読みにくいのは久方ぶりではないでしょうか。夏の都議選では多くのマスコミが予測を外しました。

 今回は野党共闘が進んだおかげで激戦区は圧倒的に増え、もっと予測が難しい。今まで出た新聞の予測でも、朝日や共同が自民有利、産経や読売が比較的 野党が有利、というのも、それを裏付けていると思います。
TBSラジオの澤田記者のtweet


 こんなことまで起きてくると予測は更に難しい↓。辻元氏について言えば、確かにこれは人格だと思います。中村喜四郎先生の言葉を借りれば(大事なのは)『党より人』。

 本日、10月29日時点で最新のものは読売の調査です。サンプル数も20万弱と、多分、一番多いと思います。 
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 これはシンクタンクのニッセイ基礎研が作った今回の選挙の政党の立ち位置の違いです。


 これ自体はよく言われる話です。例えば2017年に読売新聞と早稲田大学現代政治経済研究所が共同で行った調査ではこんな結果が出ています。

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go2senkyo.com

 マトリックスで言えば、現実には右上の象限(保守+変わる)には維新が居るし、自民党はもうちょっと保守の側に、でしょう。ただ間違いなく、野党の立ち位置は『変わらない』=守旧派のように見える。特に若い人にとって最も古臭く見えるのは共産党、とはよく言われます。

 確かに火のないところに煙立たず。新自由主義などロクでもない方向かもしれないけど、少なくとも自民党や維新は変化をもたらすようには見える。ネットの活用も自民党の方が野党より遥かに早かった。

 野党は『戦後民主主義を守れ』ということを主眼にしているから、『変わらない』ように見える。特に10年1日のように『憲法守れ』(だけ)と言っている人たちはまるで変化を拒んでいるように見えるのは間違いありません。実際 連中の汚らしいファッションと画一的なプラカード、リズム感のないシュプレヒコール、何一つ何十年も変わってないじゃないですか(笑)。

 そもそも戦後民主主義憲法を守って何を目指すのか、現実的なビジョンを示せない野党はかなり問題がある。
 アメリカとの関係にしろ、商店街や農業、それに電力会社やパソナ電通など補助金や規制、政府予算を使って既得権益を仲間内で貪る社会の構造にしろ、戦後民主主義の欺瞞に今や右左関わらず多くの人が気が付いているからです。

 まして今のような閉塞感が溢れる時代には変化を求める人が出てくるのは気持ちは判る。野党もリベラルな市民も戦後民主主義の次のパラダイムを構想しなくちゃいけないんです。これについては後日。

 ただ冷静に現実を直視すると、与党のコロナ対策の結果はこのザマでした。


 
 ちなみに、これが今回の選挙での各党の医療政策比較。自民・公明・維新の病床削減なんてとんでもない、とボクは思いますが、皆さんはいかがですか。


https://twitter.com/smedslives/status/1453648981792157701?s=21


 近年の政治を振り返っても結果は明らかです。2世3世議員とそのお友達連中は統治能力すら怪しい。

 維新だって結果は明快です。美章園って大阪のどこだか知らなかったけど、一度行ってみたい!(怖そうだけど)。

 野党が力足らずなのも間違いありませんが、今の政府は全く機能していないことも間違いありません。野党が少なすぎるから国会も機能しない、自浄作用も発揮されない。だから今回の選挙で自民・公明・維新の連中を叩きださないと(Vote Them Out!)、まだまだ、こんなひどい政治が続いてしまう。それだけは間違いありません。

 コロナだけではありません。少子高齢化、落ち目の経済、不安定になる安全保障、再生エネやAI、デジタルなど新しい産業の立ち遅れ。日本の持続可能性は甚だ乏しい。一人当たりGDPは香港、シンガポールに抜かれただけでなく、韓国に抜かれ、台湾に抜かれ、日本はどんどん貧乏になった。資源を輸入しなければ生きていけない日本には致命傷です。今の政府が続いているかぎり、この負のスパイラルから抜け出すことが出来ません。。安倍政権以来、9年やってダメだったんですよ。


 昨晩はとうとう、小泉今日子大先生まで小川淳也氏の応援にオンラインで参加しました。寝てしまう時間だったのでリアルでは見なかったけど、そのこと自体に少し感激してしまいました。映画『なぜ君は総理大臣になれないのか』を見て同じことを考えた人が、こんなに大勢いることに胸が熱くなった。

●この週末、見ます


 小川淳也は香川1区にしかいません。でも、地元でそういう政治家を選んでいくことは我々にも出来るでしょう。志もあって脳味噌もある、利権は持ってこないし権力闘争はできないけれど政策はある、何よりも『嘘は言わない』人。
 時間はかかるかもしれないけど、そういう人を選んでいく。そのためにはまず、国民がそのつもりでなければ、そんな政治家が出てくるわけがありません。


 野党に政権交代、とは思いません。でも与党の議席を減らし政治に緊張感を取り戻すことが必要なのは、誰もが頷けることではないでしょうか。
 今回の選挙くらいじゃ日本が抱える問題を解決することはできないでも、日本を覆う負のスパイラルから抜け出す一歩には出来るかもしれません。日本人は自らチャンスを掴むことが出来るでしょうか。

 あ、棄権とか白票とか言ってるノータリンは時代遅れのボケじじい連中と一緒に消えてください。’’棄権する権利’’とか言ってるバカが居るって話もあるようですが、そんな権利ある訳ねーだろが(笑)。折角の民主主義を破壊する奴隷臣民どもはさっさと北朝鮮へでも行け(笑)。


江口寿史 on Twitter: "コピーするなり印刷するなりご自由にお使いください。

#選挙ステッカー #江口寿史… "


 
 久しぶりに 近所の和食へ行ってきました。青山とか六本木にも行きたいけれど、徒歩圏の生活が心地よくなってしまって、特に夜は遠くへ出かける気がしません。アフターコロナの時代になっても、社会復帰できるのだろうか(笑)。

 この店も度々触れていますが、古い一軒家を改造、インテリアも食器も全てオリジナル、というところです。デザイン会社が経営していて雰囲気は少しチャラいですが、たまには和食も食べたいということで。


https://www.simplicity.co.jp/corporate/ja/projects/yakumo-saryo/


 最初に出てきたのは重湯と小豆が一粒。重湯は当然、胃の保護、小豆は邪気払いだそうです。
 これを『おもてなし』と取るか、『チャラい(はったり)』と取るか、判断が分かれるのではないでしょうか。ボクは肯定的ですけど、時々おかしくて笑っちゃうことがあります。

 いずれにしても直ぐシャンパンを飲んでしまう(笑)のですから、胃の保護というより、食欲に火が付いてしまいます。

 その後 懐紙に包んだ春巻きが出てきました。そのまま、食え、と(笑)。流行のオレンジワインがお供です。

 オレンジワインの産地がピエモンテ、というのは珍しかったです。

 春巻きの中身はイノシシと春菊。


 それから、今日の食材の海老ちゃんが紹介されました。しきりに皿の上から逃げ出そうとしている。実はボクは甲殻類が苦手です。姿かたちが怖いんです。本の写真やテレビに映っているのもムリ。写真や画面を触る事すらできません。まして生きてるものなんてとんでもない。

 ところが、お皿の上に載っているものを食べるのは平気なんです(笑)。我ながら酷い。この日は揚げた海老芋と一緒に、白ごまと味噌のソースがかけられて出てきました。

 お供はエビにぴったり、ピュリニー・モンラッシュ。滅多に飲めないので、これは嬉しい。ゴージャスな蜂蜜のような香りは大好きです。

 この日のメインはきのこ鍋。山伏茸、本物のシメジ、あわび茸など5種類の茸などの食材が並べられて、目の前で調理されます。

 何種類もの茸のダシは濃厚で美味しかった。ただ霜降りの牛肉はキモい。近江牛って言ってたけど、霜降り肉って脂が多くて嫌いなんです。赤身の方が遥かに美味しいし、こんな不健康なものは食いたくない(食べたけど)(笑)。赤ワインは北海道のピノ・ノワール。国産でもピノ・ノワールなんか作ってるんだ。甘ったるくなく、ちゃんとした味でした。

 ボクはお酒は本当に弱いのですが、食べ物と一緒なら楽しいです。ちなみに勤務先では飲み会・宴会への参加を極力避けるため、’’お酒は一滴も飲めない’’ということにしています(笑)。

 最後はいつも目の前でお菓子を作ってくれます。この日は白あんと紫芋

 この店で和菓子を食べるようになって、出来立ての和菓子は売っている物とは全然違うということが判りました。握りたてのお寿司と一緒で、空気を含んでふわふわしているんです。

 職人さんも、店売りのものとは加減を変えている、と言っていました。保存を考えなくてもよいので、力を籠めずにふわふわに作れるばかりか、砂糖も少なめにできるそうです。

 一夜の夢のあと(笑)、次の日からはダイエット生活に戻ったのは言うまでもありません(笑)。

映画『コレクティブ 国家の嘘』

 いやー急に寒くなりましたねー。朝晩はコートが手放せません。
 それでも週末の昼間は穏やかな日和でした。道路で日向ぼっこしている猫がボクを見て振り返ったので、パチリ。珍しい光景でした。

 静岡の参院補選、野党候補が勝ったのは良かったです。元々自民党議席だし立憲+共産の野党共闘が成立しなかったので、どうなることやらと思ったのですが野党候補が競り勝った。
 川勝知事の応援、それに無党派の7割が野党候補に入れたのが決め手になったようです。
digital.asahi.com

 総裁選効果もあり、当初は自民が過半数、といわれていましたが、日を追うにつれ支持率が落ちて、今や微妙な情勢になってきた。
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 最近は共産党も一般市民へのウィングを拡げているようですが、それでも共産党やれいわの支持者なんてごく一部に過ぎません。消費税の時限下げなど野党の共通政策に連中の非現実的な政策を入れ過ぎたことが逆に無党派層を遠ざけてしまうのではないか、という危惧もありますが、色々な矛盾もはらみつつ野党共闘が進んでいるのは間違いありません。不満や問題はあれど、今までとは全然違います。

 日本の投票率は53.68%、なんと世界139位だそうです。
news.yahoo.co.jp
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 8位のオーストラリアは棄権すると罰金があることでも知られています。3位のシンガポールでは選挙権剥奪、88%で16位のベルギーでは罰金に加えて公民権剥奪があるそうです。一方 18位のスウェーデンは“12歳から模擬投票“を実施。実際の選挙と同日に同じ候補者に投票するなど政治教育に力を注いでいる。

 日本でもそれくらいやっても良いと思いますが、棄権するような無責任な輩が多いということは、日本が落ち目になるのは当然ではあります。

 確かに日本人の自業自得です。ただ、だからこそ、下に張り付けた小川淳也氏の『この社会を作ってきたのは私たちです。だとしたら、私たちが社会を変えられないはずはないじゃないですか(15分過ぎ)』という言葉をボクも背負いたい、と思います。ボクは日本なんて国はあまり好きじゃないから、変わっても変わらなくても良いんですが、何もやらないのは悔しいですからね。

 31日はこちらもあります!夫婦別姓を認めないのを合憲としている裁判官は勿論×ですが、迷ったら全員×で!(笑)。


 と いうことで、有楽町で映画『コレクティブ 国家の嘘
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 2015年、ルーマニアの首都ブカレストのライブハウス「コレクティブ」で火災が発生、100人近くの死者と200人近くの負傷者を出す大惨事となる。火災対策もおぼつかないライブハウスを放置していた政府に対する人々の怒りは爆発し、左翼政権は退陣し、実務家の選挙管理内閣が成立することになる。一方 病院に運ばれた負傷者たちは病院内の感染で次々に死亡し死者数が大幅に増加。原因を調査するスポーツ紙「ガゼタ・スポルトゥリロル」の編集長は、内部告発者からトンでもない事実を知らされる。

 第93回アカデミー賞で国際長編映画賞と長編ドキュメンタリー賞の2部門にノミネートされた作品です。もちろん実話ですが、驚くべきお話です。

 2015年、ルーマニアの首都ブカレストのライブハウスで火災が発生、大勢の死傷者を出します。もともと経済危機で不満がたまっていたところに、火災対策が不備なライブハウスを放置していた政府に対して人々は怒りを爆発させ、政府は退陣することになります。
●当時のニュース番組。火事の様子を見ることが出来ます。

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 ところがそれだけではありませんでした。火傷を負って病院に入院した患者たちが次々に感染症を発症、更に犠牲者が増えるという事件が起きたのです。政府は、患者たちはヨーロッパ最良の医療を受けていた、と発表します。しかし遺族たちは納得しない。

 原因を調査したスポーツ紙『ガゼッタ』は病院で使われていた消毒液が大幅に薄められており、院内感染が起きたことを突き止めます。
●『ガゼッタ』の編集長

 消毒液を納入していた大手薬品企業が儲けのために消毒液を薄めて販売していたのです。ガゼッタは更に真相に迫ろうとしましたが、企業の社長は謎の事故で死亡。やがて企業から政府や様々な病院関係者に金が流れていたことが明らかになります。

 ルーマニアの医療の腐敗は薬品会社だけでなく、政府、病院の上層部もグルだったのです。ガゼッタの編集部は腐敗を暴くことに成功はしますが、あまりにも根が深かった。

 かねがね、知り合いのルーマニアの人から、企業も学校も政府もコネ社会、とは聞いていましたが、やっぱりそうなんだなあと思いました。日本でもアメリカでも資本主義国でも縁故主義は問題になっていますが、旧とは言え、共産主義国って社会の体質からしてそうなっちゃうんでしょうね。皮肉なものです。

 ただ、ルーマニアの記者会見を見ているとガゼッタだけでなく、他のマスコミも厳しい指摘を政治家にぶつけていたのが印象的でした。政治家も誤魔化そうとはしているけれど、一応は理屈で答えています。安倍晋三や菅のように回答しないor意味不明、みたいなことはありません。
 この点は、ルーマニアの方が日本より遥かにマシ、に見える。

 後半は新たに着任した保健相の大臣が主人公です。市民運動出身の彼は医療の改革を図ろうとします。しかし医学界も官僚も協力しない。一方 被害者たちからは対策が遅い、生温いと責められる。四面楚歌状態です。
●記者会見する新保健相(写真左)。市民運動出身です。

 しかし、彼は諦めず、気心の知れた官僚たちを集めて、少しずつでも衛生状態の改善を図ろうとします。

 半年の時間をかけて何とか改善の芽は出てくるのですが、次の総選挙で旧来の社会民主党が復活してしまいます。投票率が低かったため、組織政党の旧与党が圧倒的な勝利を収めてしまうのです。改革を目指していた彼は辞任することになります。親からは、危険だからルーマニアを離れたほうがいい、とアドバイスされるほどです。


 政府や医学界がどこまで腐っているのかを暴く強烈なドキュメンタリーです。そして性急な結論を求めたり、投票に行かなかったりして、市民たちが自ら自分たちの首を絞めてしまうところも。少し前ならこういう映画を見ると、ルーマニアは大変だなーと他人事のように思ったかもしれません。

 でも、今は日本が他人事なんて、とても思えません。国民の政治への無関心やマスコミの腐敗は日本の方が遥かに進んでいますからね。むしろ、この保健相のように国を出なければいけなくなってしまうかもしれない、と感じました。そんな映画でした。


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