特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『メディアの落日』と『食べおさめイタリアン』

 くだらない、の一語しかないです、オリンピックなんて。
 中継自体はテレビを消せばいいんですが、時報代わりに使っているお天気(お天気お姉さん)やニュースまで潰されてしまうのはマジで頭に来ます。主夫には必須の教養番組『今日の料理』までお休みになっている。日銀の金利引上げとたかがスポーツ、どっちが大事だと思ってるんだ。

 しかも中継には優勝した選手ではなく、殆ど日本選手の姿しか映ってないみたいじゃないですか。頭悪すぎ(笑)。

 放送してる方も放送してる方ですが、それを見てる奴も見てる奴です。時折軍隊のCMが流れる中国の国営放送、CCTVだって、ここまで番組の内容は酷くない。自国には直接関係ない国際的なニュースもちゃんと放送していた。今の日本の姿はまさに低開発国と下等人種です。


 少し前 東京新聞が東京23区以外の夕刊はやめる、というニュースが流れました。

東京新聞、23区除き夕刊終了へ:時事ドットコムwww.jiji.com

 その前には毎日新聞富山県の配達を止めるというニュースもありました。

毎日新聞、9月末で富山での配送休止:時事ドットコムwww.jiji.com

 朝日新聞も今年の4月から北海道の夕刊を廃止しています。

北海道で夕刊を休止します | お知らせ | 朝日新聞社の会社案内

 夕刊フジも来年1月に消えるらしい。これはグッドニュース(笑)。

 新聞の部数は10年前に比べて半分にまで落ち込んでいます(単位=万部)。特に朝日と毎日は半分以下になっている。

 取材網も各紙とも縮小している。



facta.co.jp

 日本でも04年には96の新聞社が全国にあったが、22年には86社に減り、1世帯あたりの平均部数は00年の1.13から、23年には0.49まで激減した。記者の数も02年の2万851人のうち4分の1が10年間で消え、23年は1万5905人だ
生成AIと「ニュース砂漠」が引き起こすコミュニケーションの危機:日経ビジネス電子版

 新聞にお金を払う価値がない、と考える人が増えている、と思います。都知事選の政策すら、まともに報じないのですから当然だと思う。

●朝日の元労組委員長が書いた本。酷い実態です。こんなクソ新聞要らねーよ。

 マスコミ関係者に聞くと聖教新聞の印刷で何とか持ちこたえているけど(だから公明の悪口は絶対に書けない)、毎日新聞10年以内に必ず潰れる』、『朝日は築地と梅田の不動産で食っていくから新聞はどうでもいいと考えている』と多くの人が言います。
 
 NYタイムズはネット版への移行が成功したようですけど、日本の新聞のデジタル版の読者は数万~数十万程度で部数減を補うには程遠いようです。デジタルで最も成功している日経でも購読者減は補えていません。

news.yahoo.co.jp

 ボクは少し前に、北海道警の裏金や原発記事で新聞協会賞を3回も受賞した記者、青木美希氏が現場から外されたことに抗議して、朝日新聞の購読はやめました。他だってロクなもんじゃないですから、新聞なんか無くなっても構わないとは思っています。

 アメリカでは日本と異なり、新聞と放送を同一資本で運営するのは独禁法で禁止されています。日本の全国紙やテレビ局はメディアを独占する地位に胡坐をかいて社員の平均年収が1000万円を超えるのですから、そりゃあ、それなりの記事になるに決まっています。
 学生時代に社会活動に参加したり、デモにも行ったことない奴がまともな新聞記事なんか書けると思う?(笑)。政治家だってそうですが。

 ●票目当てなんでしょう、最近 自民党が本屋振興とか言い出しましたが、小泉なんか本読んだことないだろうって(笑)。

www.sankei.com

 かと言って、ネットはもっと酷い。自分と同じ意見の物ばかりが検索されるエコーチェンバー効果も相まって、まさにネットはバカ製造機、アホ拡声器になりつつある。

 結論として、溢れる情報の中から個人個人が見極める力をつけていくしかないようです。自分が正気で居たかったら複数の情報源を必ず比較するとか、自分と意見が異なる人の意見も敢えて触れるようにする、などの自衛手段を取るしかない。

 たった、それだけなんですけどね(笑)。
 ところが、バカウヨやオールド左翼は勿論、そんな簡単なことすらできない人はあまりにも多い。この国の民度なのか、人間の性なのか(笑)、どうなんでしょうか。


 7月末で 閉店する近所のイタリアンで食べおさめをしてきました。

 10席ちょっとの小さな店ですがクリエイティブな料理と独特な雰囲気で評判も高く、いつ行ってもプロの飲食関係者が勉強に来ているような店です。

 この店はコロナ禍も乗り越え、連日満員が続いていましたが、一旦閉店するということになりました。
 昔の有名店、広尾のアクアパッツァ(日本でアクアパッツァを広めた店です)で働いていたシェフ氏とソムリエ氏が意気投合して『理想の店を作りたい』と、2008年に二人で始めた店ですが、ソムリエ氏が独立することになったので一旦形を変える、ということみたいです。
 別に喧嘩別れでもないみたいだし、この業界は所詮は独立しなければならないもの、とボクは理解しています。

 人間嫌いのボクは人付き合いは嫌いですが、美味しいと思った食べ物屋だけは不思議と仲良しになれます。
 20年くらい前 日本で一番古い寿司屋の大将に『あんたは凄く美味しそうに食べる』と言われたことがあるのですが、美味しいものを食べているときは極端に機嫌が良いんでしょう(笑)。
 仲良しの店は皆そうですが、この店も何年も通って色々話しているうちに、ボクのテーブルには他のテーブルとは違う、変わったものが自然に出てくるシステムになりました(笑)。

●いつも発酵野菜のスープとサルシッチャのフライから始まります。

 徒歩圏で美味しいものが食べられるだけでも貴重なのに、特別なものを出してくれるような店は中々代わりがありません。腕が良くて、良いものを作ろうと言う志がある店を探して仲良しになる、というのはどうしても時間がかかる。

 ニコニコ美味しく食べる、で食べ終わったら、『美味しかった』とお礼を言う。ついでに嫌味にならないように好き嫌いも伝える(笑)。すると次も自然に美味しいものが出てくる。この好循環を作るのは時間がかかる(笑)。でも、それくらい手間をかけないと、新自由主義の世の中で(笑)美味しい物なんか食べられません。

●その日の材料を調理法を変えて出てくる『もくじ』。中央から右回りに、ホタテ、ハタ、太刀魚、生のアスパラ、夏鹿


 焼きたてのパンも手作りです。店の庭の木の酵母を使っています。

 これも食べ納めか。

 ホタテとガスパチョガスパチョはこの店流に解釈し直したそうです。トマトはゆっくりと絞って透明な果汁だけ使い、店で発酵させた野菜エキスと混ぜている。見かけは山形の郷土料理の『だし』みたいですが、確かにガスパチョの味がした(笑)。

 これは種子島のハタをアンチョビと夏野菜のソースで蒸したもの。ぷりぷりで身が厚いハタは漁師がモリで頭部を突いたもので、身は全く傷ついていないそうです。もちろん一匹しか入荷しておらず、出てきたのは我々のテーブルだけです。残りは店の人たちだけで食べたらしい(笑)。
 クエもハタの仲間ですが、ハタ類は魚の中で一番美味しいと思います。ソースともども生命力が溢れる料理でした。


 東京湾の太刀魚と焼きナスのパスタ。身が厚い、立派な太刀魚でしたが、パスタになってしまいました。焼きナスも香ばしい。

 和歌山のシラスと北海道のアスパラを卵でまとめた手打ちパスタ。こういう地味なものは飽きないし、結局は一番美味しい。これが味のセンスだと思う。

 夏鹿。今は真冬のオーストラリアの黒トリュフを摺り下ろした香りがテーブルの上にぷんぷん香っています。付け合わせは高級食材のジロール茸。肉の火入れだけでなく、添えられたビーツのソースが秀逸でした。

 桃のコンポート。

 店のハーブティー仕入れ先まで教えてもらったもんなあ(笑)。

 何気ないけど細部まで懲りに凝っています。

 帰り際に店の人たちが皆で挨拶にでてきたので、準備していた店の名前入りのボールペンを1ダース渡して、今迄のお礼を言いました。でかい文具屋(ハンズ)で店の名前を彫ってもらったんです。料理人の人は自分のレシピを描くのに色鉛筆や鉛筆を使ったりしますけど、店の人全員に渡すのは仕事で使うボールペンが良いかな、と思ったので。

 『店の最終営業日のあと(けじめがついたら)、皆さんの行先は教えてね』と言って、帰りました。世の中は狭いものです。ボクは若い時に神宮前のイタリアンで知り合ったソムリエに、30年後に六本木のステーキ屋で偶然再会してシャンパンを奢ってもらった、なんてこともあります(笑)。

 また、美味しくて通える店を探すのは大変ですが、仕方がありません。万物流転は人生の常です。面倒くさいけどなー。