特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『政治も旅もデトックス』(夏休み旅行記3日目)

 自民党の総裁選の候補者は半分以上が世襲です。まるで北朝鮮みたいですね(笑)。

 でも、世襲が全て悪いとはいいません。世襲の方が長期的な視野で考えられることもあるし、兵庫県知事の斎藤や大阪の吉村など維新に良く居る、嘘をついてでも物事を強引に推し進める成り上がりの下品さよりは世襲の方がマシです。

 ちなみにこの人、坂本龍一の息子さん。ジャンルは違いますけどね。

 地盤を持っている世襲議員は勉強する時間があるのも事実。地元周りの時間が少なくて済むからです。実際 始めて政務官になった某3世議員に対し、某役所が1年間ずっとブリーフィングしていたという話も聞いたことがあります。そりゃあ、政策に詳しくなります。勿論 役所は議員を操ろうとして、それだけの労力をかけているのですが。 

 一方 成り上がりの議員は地盤がないからバカウヨに媚びを売ったり、カネに汚くなったり、統一教会日本会議にべったりとなりがちなのも判る。

 高市早苗とか、小林鷹之なんか成り上がりの下品さを体現している典型でしょ。

 もちろんダメな世襲だって少なくありません(笑)。

 水曜日のBS-TBS報道1930』でも、立憲民主の代表選でも推薦人が20人も必要なため新しい人材が立候補しにくい、という問題点を挙げていました。副代表の長妻によると『そこまで考えていなかった』(笑)。アホか。現状に対する問題意識が足りないんだよな。

 それでも代表選があるだけ立憲は共産党よりはマシ(笑)。だから次第に現実を鑑みた意見が出てくる、多少はマシになってきている。枝野も野田も消費税・安保法制は容認です。

www.jiji.com

 ただ、こういうことなんでしょうね↓。

 原因は色々あるでしょうけど、やはり60年代以降の野党が社会党を筆頭に『職業野党化』して、市民ともども『現実を無視したまま、ただ反対だけしていればいい』となっていたからでしょう。社会党共産党も市民団体も(国民ではなく)支持者の顔色を見ているだけで飯が食えた(笑)。社会党なんか自民党からもKGBからもカネもらってたんだもん。
 未だに消費税がどうのとか現実を無視したことを言って内輪のアホ向けの人気取りをしている。
 


 与党は世襲、野党は現実への感度が絶望的に低い。
 政治への人材供給ルートが世襲(往々にして慶應幼稚舎)か下品な成り上がり(往々にして東大)、あとは有名人か組織支援候補(宗教団体や組合)というのが、今の日本を象徴しています。社会全体、とくに政治はデトックス、新陳代謝が必要でしょう。

 イギリスは労働党政権が貴族院世襲議席を廃止するそうです。ガーディアン誌のこの記事によると、これで議会に世襲制の要素を持っているのは世界で(アフリカの)レソト王国だけになるそうです(笑)。でも実質的に世襲の議会をやってる国がもう一つあるんですが(笑)。


 さて、夏休みの旅行も3日目、最終日です。登ったばかりの瀬戸内の朝日が美しい。

 宮島のこちら側は全く民家がありません。自然のまま、です。

 またジャグジーに入ることにしました。

 宮島を見ながら、朝風呂です。

 そのあとは昨晩の食堂へ行って朝ごはんです。ケールのスムージー

 宮島の宿とは対照的に、こちらの従業員の人は坂茂の建物に合わせたお洒落な制服を着て、お化粧もばっちり決めている。ちゃんと食べ物の知識もあって、それこそ港区の白金の店で働いていても違和感はありません。

 でも、ちょっと話すと素朴なんです。話しかけると途端に表情が変わって、自分はどこから通っているとか、夜は施設の白い建物めがけてカメムシがいっぱい飛んでくる(カメムシが白いものを好きなのは坂茂も想定外だった)(笑)とか、色んなことを話してくれる。

 今回の旅行では、ここだけでなく、宮島でも、電車でも、何度も見ず知らずの地元の人から話しかけられました。
 この辺りは『素朴でいい人が多いなあ』とは思いました。普段のボクは、知らない人に話しかけるなんてことは一切ないし、自分のことを誰かに話すこともない。話せと言われても話せません(笑)。普段の自分はなんてギスギスしてるんだ、と。心に余裕がない、と思い至りました(泣)。

 たかだか2泊3日ですが、旅は心のデトックスかもしれません。

 焼き立てパン。夜のパンより美味しかった(笑)。最近はやりの冷凍生地を焼いたものだとは思いますが、特にクロワッサンは生地の層が細かくて美味しかった。

 奥から宮島のはちみつ、瀬戸内のレモンのジャム、瀬戸内の柑橘のママレード(すごく美味しかった)、ルバーブのジャム。はちみつ以外は全部手作り。

 エビとハーブのフリッタータ(イタリア風のオムレツ)。
 付け合わせのハムもソーセージもベーコンも自家製でした。ハムなどの加工肉は大腸がんを誘発することもあるというから普段はあまり食べないのですが、自家製なら食べる(笑)。味が全然違います。

 フィンランド風パンケーキ。フライパンではなく、オーブンで焼くそう。

 そのあと部屋に戻りました。備品まで坂茂の建物に合わせています。アメニティの櫛も歯ブラシも竹製。

 ゴミ箱もプラスティックではなく紙。坂茂の作品にはこの紙の柱だけで作った家もあります。また、レストランの食べ物だけでなく、冷蔵庫の中のジュースや日本酒、ウイスキー、スナックまで(シャンパンやワイン以外は)全て地元産でした。それには感心しました。 

 だけど部屋は窓が壁一面を占めているから、日中はクーラーをフルでガンガンかけないと効かないんです。部屋のレースのカーテンは遮熱だったので、閉めれば全然違うんですが、そうすると眺望が阻害される。窓にはカーテンボックスがないくらい、眺望にはこだわっています。

 美術館の屋根には一面に太陽電池が貼ってあるけれど、それなら建物の熱効率も考えるべきだよなあ。エコとかSDGSとか口では幾らでも言えるけど、理想と現実、建築家にありがちな矛盾ではあります(笑)。

 でも景色は良いし、食べ物は美味しいし、サービスの人も好感が持てました。

 ここは今年、ユネスコが選んだ世界で最も美しい美術館の7つのうちの一つに選ばれたそうです。


www.tokyoartbeat.com

 とても楽しかったです。また、再訪しようと思います。


 チェックアウトした後は車で約30分、宿の人に錦帯橋まで送ってもらいました。初めての訪問です。

 見事なものでしたけど、想像通りでした(笑)。良くも悪くも、鄙びた観光地です。

 名物の岩国寿司でも食べるつもりだったのですが、お腹いっぱいだったし、所詮は押し寿司、普段はダイエットしているのに、それでお腹を膨らませるのは勿体ないので(笑)止めました。

 岩国城は観光用に新しく建て替えた偽物ですが、錦帯橋を見下ろす眺望は良かった。

 岩国は山陰道山陽道が別れる戦略上の要地だったそうです。

 今は遠くに米軍海兵隊岩国基地が見えます。

 初めて使った岩国空港は軍民共用でした。自衛隊もいるそうですが、空域も空港も管理は米軍です。
 昔はこんな空港はありませんでした(2012年開港)。1日数回しか便がないローカル空港ですから民間だけではペイする筈がありません。
 岩国の衆院議員は安倍晋三実弟です(今はその息子に世襲)。安倍晋三のプッシュで民間の飛行機が軍の空港に離発着できるようにしたんでしょうか?

 機内でも空港でも、しつこく撮影禁止のアナウンスが流れます。飛行機の窓からは米軍のステルス戦闘機、F35が山ほど並んでいるのが見えました。まあ、本当にスパイが写真を撮ろうと思ったら幾らでも隠し撮りできます。そんなアナウンスに何の意味があるのか、とは思いました。

 最近のニュースでは『これから岩国にF35を配備する』って言ってますが、既に配備されています(笑)。F35に合わせた専用のシェルターまで設置されてるんだもん。オスプレイもそうですが、基地の街 岩国にはNOという選択肢はないのでしょう。

news.ntv.co.jp

 岩国周辺には三菱ケミカル三井化学の大きな化学コンビナート、それに製紙工場があるようですが、どちらも業界再編・リストラの真っただ中です。岩国の街も人は全然歩いていない。駅前でもこんな感じです。

 そういえば街角にはこんなポスターが貼ってありました。沖縄ですら、こんなポスターは見たことないですが、地元の雇用を考えるとケチはつけられません。従来あった産業が落ち目になり、他に稼ぐ手段がなければ米軍基地に頼りたくなるのも判る。他の地域の原発もそうなんでしょう。

 これもまた、地方の現実です。鉄や自動車産業が壊滅したアメリカのラストベルトもこんな感じなのでしょうか。経済がおかしくなると軍隊か原発に頼るか、トランプや山本太郎のようなファシズムまがいのポピュリズムが台頭する。

 でも基地や原発補助金や企業誘致など他人に頼っていては問題は解決しません。それが途切れたら終わりです。
 今回訪れたレストランのAKAIやホテル&美術館の『SIMOSE』のような、小さくても地域の個性を生かすチャレンジを地域の人たちが自らやっていく、そして外部の人はそれを応援していくことにしか活路は無い、と思います。


 今回は帰りもスパークリングワイン付き(笑)。僅か2泊3日ですが、お天気にも恵まれ、色々考えさせられもした、楽しい旅行でした。