特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

映画『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯 』

 お盆も終わりとともに夏の終わりの雰囲気が漂ってきました。
 週末の埼玉県知事選、野党共闘の候補が勝ちましたが、現職の後継だし、枝野の地元だし、ここで勝てなければ仕方がないという感じです。候補者自体もヘイト発言をするなど問題もありそうですし。
www.jiji.com
www.nikkansports.com


 顔を見て思い出したのですが、自民党の候補だった青島健太って、ボクが学生の時 学校に教育実習に来てたんです。あの時のはつらつとしたお兄さんが今は白髪の爺さんになっていたのも驚いた。まあ、ボクも齢を取ったということでもありますが(笑)。教育実習に来ていた当時も性格はさっぱりしていて学生には好かれていたんですが、騙されて?立候補させられちゃったんだろうなー。

 これで年内の衆院解散はなくなったんじゃないでしょうか。
 しかし投票率も前回から5ポイント上がったとは言え、32%と超低率。何よりも野党の側は激変する環境変化に対して、政策もはっきりしないですから、大丈夫でしょうか。もちろん安倍晋三対米追従嫌韓以外に何か政策があるわけでもありません。

 アメリカとの通商交渉がまとまったとニュースに出ていましたが、自動車は相手の主張を丸のみ、農産物はなんとかTPPの線で許してもらった、というだけですよね。政府としては予定通りの線を守ったようですが、相手の言うことを受けただけで交渉の体を成していない。
www.yomiuri.co.jp

 それだけではありません。トランプはこう言っています。
 ブルームバーグの記者(しかもホワイトハウス担当の上級レポーター)のツイッターを引用します。

トランプ:中国にキャンセルされて余っているトウモロコシ全てを日本が買い取ることになった
そのあと安倍はこう補足した。政府じゃなくて、民間企業が買い取るんです

 ブルームバーグの記者はなおも続けています。

https://twitter.com/JenniferJJacobs/status/1165620704710156292

『日本政府じゃなくて 民間がアメリカの余ったトウモロコシを買い取る』とトランプの言葉を訂正した安倍晋三に対して、トランプは再度こう付け加えた。
日本の民間企業は政府の言うことを聞くんだろ。アメリカじゃ、ちょっと違うけどな(笑)。』

 このやりとり、トランプに完全に舐められているどころか、『言いなり』ってことですよね。日本のマスコミは全然報じないじゃないですか。
 さすがに日経はトウモロコシの輸入のことは報じてますけど、読売も朝日もTVニュースも、安倍とトランプの間でまるでスネ夫ジャイアンのようなやりとりがあったことは全然報じない。
 そのトウモロコシは飼料だそうですけど、どこの商社が買って、どこへ流すのでしょうか?(答えは明確ですが)(笑)。
www.nikkei.com

 今のような属国状態、植民地状態ならボクは日本はアメリカの51番目の州になることを目指した方が良いと思っています。それならアメリカ国民としての権利は守られるじゃないですか。基地を押し付けられている沖縄の人たちにとってはまさにそうです。
 今回のトランプとのやり取りを見て、ますますその思いを強く持ちました。それにしてもアメリカにはペコペコ、韓国には居丈高にふるまう。今の日本は実に醜い国です。


 ということで、渋谷で映画『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯

www.kamejiro2.ayapro.ne.jp


 ドキュメンタリーにも関わらず7万人を動員するヒットとなった2年前の『米軍が最も恐れた男 その名は、カメジロ』の続編です。
spyboy.hatenablog.com

米軍が最も恐れた男~その名は、カメジロー~ [DVD]

米軍が最も恐れた男~その名は、カメジロー~ [DVD]

 前作に引き続いてTBSテレビの佐古忠彦氏が監督、制作もTBS。音楽は坂本龍一、ナレーションは役所広司。題名が紛らわしくて最初は続編とは判りませんでした(笑)。丁度 8月18日深夜放送のTBS『ザ・フォーカス』で、この映画の特集が放送されました。
www.tbs.co.jp

 前作は、戦前から米軍占領統治時代もずっと沖縄の自由と解放を求め続け、共産主義者として獄中に幽閉されたこと。そのあと圧倒的票数で那覇市長になるも米軍からは嫌がらせを受け、水道を止められるは(当時は米軍が水を供給していた)、予算を差し押さえられるは、挙句の果てにはリコールまで受けたこと。それでも彼の代わりの候補者を那覇市長に当選させ、自身は選挙権と本土渡航の自由を奪われたこと。それでも彼は運動を続け、本土復帰後は沖縄県初の国会議員になった、文字通り「不屈」の政治家、瀬長亀次郎の生涯を描いたものです。

 今作は彼の残した230冊の日記や新たな資料を掘り起こして、彼の人となりをより深く描いた、という作品です。
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 戦前 医者を志して鹿児島の高校へ入学するも治安維持法によって退学をせざるを得なかったこと、終戦直後5日間ひたすら野山に散らばる遺体を拾い集めたこと、占領期の米軍の執拗な弾圧や那覇市長当時の妨害、子供とのエピソードなどの家庭生活、前作にはなかった様々なエピソードが語られます。
●末娘と
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 前作では『こんな人が居たんだ』という驚きが大きくて、膨大な情報量についていくのが大変なところもありました。
 今作も情報量が多いのは一緒ですが、他の家庭のようにTVを買ってくれという幼い末娘をなだめたり、ハワイで出稼ぎをしている父親から『アカ』と罵られ縁を切られたことなど、印象深いエピソードがありました。父から縁を切られたのは亀次郎には非常なショックだったそうです。
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 あと保守系の実業家とのつながりも面白かった。沖縄の実業界は当然のことながらビジネス優先、例えば銀行各社は「亀次郎の沖縄人民党の党員は自社に就職させない」と新聞広告を出すなど対立関係にありました。
 しかし瀬長氏を応援する実業家も多かった。彼の人間性を応援していたと同時に、「右の政治家だけになったら沖縄は占領軍や日本政府の言いなりになってしまうから瀬長のような政治家も必要だ」というバランス感覚があった。賢いですよね。その受け皿になった瀬長氏は文字通りオール沖縄の元祖ではあったわけです。


 やっぱりボクは異なる立場の人の話も聞きたいんです。この映画で言えば、米軍統治に協力した人、日本政府に協力する人。そういう人の話も聞かなければ我々は事情を理解することはできないと思う。足りないとは言え、今作で保守派の人の話が出てきたのは話に厚みを増しています。


 亀次郎は基地のない沖縄というより、自衛隊も含めた『軍隊のない沖縄』を生涯追い求めました。米軍、日本軍双方に苦しめられた戦争体験者ならでは原体験に基づいています。
 しかし米国政府も日本政府も沖縄の基地だけは手放そうとしません。沖縄の返還協定は国会では強行採決だったんですね(前作でも描かれていたが、今作を見て改めて理解できた)。しかも、基地付きの協定に抗議する沖縄の屋良首席(県知事)が羽田に到着する寸前に採決された。当時から日本政府は沖縄の意志を聴こうとしなかったんです。
●初めて選挙で選ばれた沖縄県知事(首席)、屋良氏(中央)と亀次郎(右)
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 この映画の白眉はやはり、復帰当時の国会で行われた首相の佐藤栄作衆院議員、瀬長亀次郎との論戦、11分間です。
 亀次郎は戦争当時のことを語りながら佐藤栄作に詰め寄ります。『あれだけ犠牲を払った沖縄が何で米軍基地を押し付けられなくてはならないのか。どうして本土以上の基地を押し付けられなくてはならないのか
●当時のフィルム
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 佐藤栄作は『米軍基地を残しても、沖縄の本土復帰を優先するほうが良いと思った』と苦虫を噛んだような表情で答弁をします。それでも、すぐブチ切れる、こいつの血縁のバカ首相とは違って日本語としては意味が通っています。少なくとも佐藤栄作は自分の言葉でしゃべっている。しかし亀次郎は全く納得しない。
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 結局 佐藤栄作は『将来は基地無しの沖縄を目指すことに私は同意する』と答弁せざるを得なくなる。
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 佐藤栄作を非難するのは簡単ですが、その立場も判ります。米軍は基地を保持しなければ絶対に沖縄を返還しなかった。未だベトナム戦争をやっているし、沖縄にはいつの間にか核兵器や毒ガスまで貯蔵しているのですから。ですが、亀次郎は絶対に納得しない。それもまた当然です。
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 その論戦が終わった後、佐藤栄作は亀次郎のところへ来て、占領下の沖縄のことを書いた彼の著書「『民族の怒り』を呉れないか」と頼みに来たそうです。亀次郎はサインを描いて本を差し出したそうです。

民族の怒り もえあがる沖縄

民族の怒り もえあがる沖縄

 佐藤栄作だって、ある程度はわかっていた。瀬長の話を聞こうとしているし、一応は妥協点を見出そうとはしていた。
 自分の言い分だけを一方的にまくしたて、異なる意見を聴こうともしない安倍晋三とか言うバカはとことは文字通り月とスッポンです。どうして人間の質がこんなに違うのか。今の国会の風景とはあまりにも違い過ぎる
 この映画ではやっぱり、それが一番印象に残った。


 瀬長亀次郎が亡くなったのは2001年、そんなに昔のことではありません。しかし、ボクも前作を見るまで瀬長のことは知らなかったし、本土では今も知らない人は多いでしょう。それだけ沖縄のことは殆ど変化がない、ということです。
 当時も今も本土の人は沖縄のことにあまり関心がないし、意見にも興味がない。沖縄の言ってることも聞こうとしないから、基地に関する意見も『国益』や『安全保障』という大雑把な言葉で大上段に切り捨ててしまう。深く考えてみようともしない。
 今回 映画を見ていて思ったのは返還当時と沖縄の状況はあまり変化がない、ということでした。
●亀次郎の資料を保管する『不屈館』を運営している次女の内村氏。
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 前作を見ていても見ていなくても、分かりやすい、それに考えさせられるドキュメンタリーです。良い作品です。今回は瀬長氏や佐古氏の著書の紹介もあったので、ぜひ読んでみようと思いました。これから全国各地で巡演されます
映画「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 カメジロー不屈の生涯」公式サイト » 劇場情報

「米軍が恐れた不屈の男」瀬長亀次郎の生涯

「米軍が恐れた不屈の男」瀬長亀次郎の生涯

 監督の佐古氏は筑紫氏、金平氏と続くTBSの気骨ある報道畑の系譜に居る人です。膨大な時間をかけて沖縄に通い、映画を2本も作ってしまったし、TBSもテレビスポットを出すくらい、社内でも応援している人たちがいる。ボクはTV、民放は殆ど見ませんけど、やっぱり、そこは応援しようと思って、公開初日に見に行きました。


 ただ、TV局が作った、こんな充実したドキュメンタリーを映画館ではなくTVで放送できない。約2時間という制約もあるし、それほど視聴率が見込めないからなんでしょうけど、いずれにしても視聴者の問題です。
 復帰当初から蔑ろにされ続ける沖縄の現状も含めて、今日のようなひどい世の中を作ってしまったのは安倍晋三だけでなく、アホな国民の責任でもあることを痛感せざるを得ません。
●公開初日の佐古氏(中央)の舞台挨拶。瀬長亀次郎氏の次女の内村氏(右)と一緒に。余談ですが、還暦近い長峰アナ(左)がTVより遥かに美しいのにはびっくりしました(笑)。
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『京都の旅(京都迎賓館)と自滅する日本と生き残る日本人』と『0823再稼働反対!首相官邸前抗議』

 今日は処暑、ですか。
 まだまだ蒸し暑いですが、文字通り、猛暑も過ぎたようです。今日の夕方は雨上がりの空が綺麗でした。今年の夏もそろそろ終わりです。

 
 昨日の韓国の日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄には、ムン・ジェイン安倍晋三なみに頭が悪いとは思いました。そんなことをして韓国の利益になるのでしょうか。

 それでも向こうは世論調査アメリカの反応も調べた結果 破棄したのに対して、日本政府は全く予想もしてなかったんでしょ。バカ丸出しです。

 今回の件ではっきりしたのは、日本も韓国も政治家がまともに機能していない、役立たず、ということです。

 だって国民のために両国の安全保障や通商関係をスムーズにすることが政治家の仕事なのに、安倍晋三ムン・ジェインナショナリズムを煽って自分の支持率をアップすることばかり考えている
 どちらも国益なんか考えてない。それに騙される民衆にも困ったものです。昔もこうやって戦争への道が避けられないものになっていった。

 けれど、軍事協定破棄自体は考えようによっては良かったんじゃないですか。これで朝鮮半島で何か起きても介入しない言い訳ができた

 ついでに北朝鮮も放っておけばいいんです。こっちから拉致被害者がどうとか言うから、たかられるんです。2兆円とか3兆円よこせ、とか言うんでしょ。冗談じゃありませんよ。
www.sankei.com

 相手を刺激しないようニコニコしながら対話はする、けれど無駄な金は出さない。頭は下げながら実利を取る(笑)。吉田茂みたいな腹芸が今の日本の政治家にできればいいんですけど。そして、日本の国民がそれを理解できればいいんですけど。無理だろうな~(嘆息)。
同性婚をした議員が代理出産した子供を、親が演説中 代わりにあやすニュージーランドの国会議長。世界には日本より遥かに良い国がいっぱいあるなーと思えます。
www.huffingtonpost.jp


 さて、お盆の京都旅行、最後の日は保津川を眺めながら抹茶を飲んで、

 渡月橋を横目に、川を下り、

 観光客は殆ど見当たらない裏町の和食屋でお昼を食べました。地味だけど本当の京料理、という話を聞いて行ってみたのですが、初日に行った料亭とは対照的な、爺さんが趣味?でやっているような個人経営の店でした(笑)

 店に入った途端 カウンターの中にいる爺さん(主人)が『どんな客だ』とばかりに睨んでくる。で、こちらもニコッと笑いつつ、『うまいもん食わせろ』という気合を込めて睨み返す(笑)。その結果?出てきたものは、とても美味しかった。しかも安い。

 写真1枚目がぐじの昆布締め、2枚目が自家製のサバずし。生のぐじは初めてでしたし、どちらも手作りのレアな締め具合には感動しました。

 お椀は上品な昆布に、塩と水、そのものの味がする、まるで澄んだ清水のような出汁でした。具がシンプルなのが、出汁に自信を持っている証拠でしょう。
 京都って色が薄いだけで味は濃い店が多いと思いますが、他の店との違いにはびっくりしました。1日目に行った組織力と教育で勝負する料亭と3日目の職人技で勝負する個人の店、その違いは面白かった。どっちの路線が良いのか、考えさせられます。


 そのあとはもう、クーラーがあるところしか行きたくない(笑)。京都迎賓館へ行きました。

 館内ツアーでガイドさんに案内してもらったのですが、お金かかってるなーと思いました。建物だけでなく調度品まで、話を聞くといちいち手がかかっている。でも話を聞かないとボクは全く判りません(笑)。
 これは、入口付近の供待ちの場所。人間国宝だか現代の名工の調度品が飾ってあります。

 多目的の会議部屋

 洋食用の宴会部屋。舞台やスポットライトが目に見えないようにセットされてありました。

 和食用の宴会部屋。でかい料亭みたいです。広いばっかりで、あまり品はよろしくない。広い部屋って『和』には合わないのかも。汚いオヤジが酒飲んで暴れる旅館の宴会場を思い起こさせます。もちろん、一個一個微妙に違うオーダーメイドの椅子など細かく見ると豪華なんですが。

 丸々太った鯉が泳ぐ池では舟遊びも。遊び初めはブータンの国王夫妻だそうです。

 2005年に開館、2016年から一般公開が始まった、この迎賓館の総工費は200億だそうです。まあ、庭や細工など伝統技術の伝承などの側面もあるので、それくらいの経費は良いとは思いますけど、歴史が新しいだけあって京都御所桂離宮など『すげー』とか『美しい』と感じるものはあまりなかったですね(笑)。


 お盆の時期の京都は日本人が増えるので、『どうして京都に、こんなに多く日本人が居るんだ?と外国人客に言われた』と宿の人が言ってました(笑)。
 それでも やっぱり外国の人は多かったです。欧米人や中国、韓国の人だけでなく、ブルカを被ったイスラム系の人(インドネシアかマレーシア?)も多くて、本当にインターナショナルな光景でした。 

 それに対して、店や宿、観光地の案内などは旧態依然だなーと感じる点も多かった。日本語で『川下りが中止になった』とか『竹林に入るな』とか表記したって、判るわけない(笑)。上海ではホームレスでもやっているQRコード決済なんて夢の世界(笑)。そうすると外国の人、日本の人、双方に不満が溜まる

 それ以前に、相手の眼を見てまともな対応ができる店は多くない。おもてなしとかいう割に日本のサービスの多くは質も低いです。ボクの感覚で言わせてもらうと、コトバが通じない日本人が山ほどいる。ネトウヨ安倍晋三と一緒ですね(笑)。
 確率的には外国の人の方が言葉は通じると思いますね。コトバはともかく、彼らは大抵、相手の眼を見てコミュニケーションをしようとする
●外人だらけの嵐山

 京都の某有名料亭は今や客の半分が外国人だそうです。単に味だけでなく、外国人でも判り易い、誰でも喜ぶような料理になっている。
●例えばこれ。焼いた牛肉に杉板の香りをつけたもの。美味しいけど、面白くない料理です。食べる前から味が想像できちゃうもん。

 3日目に行った個人経営の店の地味な料理とは対照的です。ボクは判る人にしか判らない後者の方が好きですが、これは技術と経験、センスが要るから誰にでも出来るものではない。
 そうなると、和食の伝統や店の個性を守りつつ外国人でも来てもらえる店作りという戦略は当然ありえる。日本人の数が減り、しかも貧乏になっているのですから、生き残りたければ、外国の人に来てもらえるようにするのは当然です。

 食べ物屋や観光地だけの話だけではありません。外国の人に来てもらったり、商売しなければ生きて行けない傾向はこれからもますます強まる
 でも最近の排外的な傾向に見られるように、日本人の内向きの意識が日本の立場を悪くしていると、今回の旅行で改めて思いました。こっちが相手のことを判ろうとする、コミュニケーションをしようとしなければ、日本は孤立するばかりです。
●ボクと同じことを韓国の新聞が言っている。どうして日本のマスコミはこの程度の事も言えないのか。


 日本の敵は中国とか北朝鮮、まして韓国じゃありません(笑)。日本の最大の敵は日本人、それも名古屋市長の河村、それに安倍晋三を始めとする日本会議に代表される低能とそれに乗せられるバカ連中です。
●映画&TVドラマ''サイタマノラッパー''の入江悠監督の昨日のtweet。さすがです。


 さて、遊びほうけているうちに気が付いたら、米中貿易戦争、香港のデモ、ブレクジット、日韓対立、ホルムズ海峡、それに世界的な株安、と世の中はかなり酷い状態になっています。これが昔だったらどこかで戦争が起きていたような状態かもしれません。で、日本はこれから消費税、ですよね(笑)。

 今週発表されたスーパー・百貨店の7月売上は大幅に落ち込んでいます。
gendai.ismedia.jp
 特にスーパーは『前年同月比7.1%減で、消費増税の駆け込み需要の反動減があった2015年3月以来、約4年ぶりの低水準。マイナスは4カ月連続
www.nikkei.com

 今の日本は対外的にも国内的にもかなり厳しい状態の筈。でも政治家からもマスコミからも、国民からも危機感は伝わってきません

 今週 中国の深せんから来た人に中国の話を聞いたんです。深せんは香港の隣、30年くらい前まではタダの寒村でしたが、経済特区になったおかげで今は人口1300万人の大都市に変貌、今や日本を遥かにしのぐハイテク都市になっています。

 彼に最近の国際特許出願数を聞いて、びっくりしました。まず企業の特許出願ランキング。

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japan.cnet.com

 深せんに本社があるファーウェイが世界1位。同じくZTEが6位。10位までは米中が圧倒的でそれに韓国のサムスンとLGが入ります。日本は三菱電機だけ。


次に大学のランキング。

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 ベスト10はアメリカ5、中国4、韓国1、日本の大学は11位に大阪大学が入っているだけだそうです。

 ちなみに研究活動の基盤となる日本の国立大学運営費交付金は、この13年間で12%(1445億円)削られ、任期付き雇用(非正規ってこと)の比率は07年の39%から17年に64%に上昇しているそうです。金は減らすは、非正規の研究者ばかりにするは、じゃ、日本の学問は衰退するに決まってます。当たり前です。
ironna.jp

 ちなみにノーベル賞を取った青色LEDの中村修二教授は日本国籍を捨てアメリカ人になりましたが、今は深せんの大学でも仕事をしているそうです。研究予算を削る日本とは真逆に、中国は政府が高給を出してノ―ベル賞級の学者を招聘している。中村氏は深せんでは『ブルーレイの父』と呼ばれて尊敬されているそうですよ。

 特許の順位だけ見ても、かってハイテク立国と威張っていた日本はアメリカ、中国は勿論、下手すれば韓国にも後れを取っていることがわかります。アメリカ、中国にはもう、追いつけないくらいの差がついている(笑)。


 これが今の日本の実力です。おまけに韓国への半導体材料輸出の妨害など政府や役人がバカなことばかりやってるんですから、この差はもっと開いていく。まさに自滅する日本です。

 ボクはハイテク業界に居るわけじゃありませんが、それでもこういう世の中でどうやって生き残って行くか、真剣に考えなくてはなりません日本は人件費の安さでは勝てないし、技術でももう、勝てない。じゃあ、どうしたらいいの(笑)?

 今回の旅行でもヒントがありました。
 2日目に泊った嵐山の宿で会計の際『また、8回目のお越しをお待ちしています』と受付の女の子に笑顔で言われたんです
 確かに何度も来ているところですが、自分ではもう何回目の訪問か忘れていました。けど、向こうは判っていた。彼女は別に覚えていたわけでなく(笑)顧客データベースを見て話しているのですが、こちらは『うっ、やられた~』と、ちょっと感激した(笑)。

 こういう顧客データベースを始めたのは日本ではたぶん大阪のリッツ・カールトンが最初です。でも外資のマニュアル通り動く彼らはデータベースを見ながら、決まった通り動くだけ。
 一方 嵐山の宿ではデータベースを見るだけでなく、こちらの顔も見ながら、若い担当者が臨機応変に創意工夫をする。これなら勝てる!
 ちなみにこの宿の子たちはたいてい英語も中国語も話せます。やる気があって能力もある若い子たちとさっきの和食屋の爺さんのような職人技が組み合わさったら、もう 最強ですよ(笑)。

 そういう『テクノロジー+ヒューマン・タッチ』というのも日本人が生き残っていく戦略の一つでしょう。Perfumeだってそうですよね(笑)。

Perfume The Best

Perfume The Best "P Cubed"(通常盤)

 これから日本という国が潰れていくのは自業自得ですが、その中でどう工夫して、生き残っていくか。我々、いや、日本人にとって21世紀最大の課題じゃないでしょうか。



 ということで、今週も官邸前へ  #金曜官邸前抗議
  昼間は何度か雨が降って暑さも和らぎました。午後6時の気温は28度。抗議の列にはポツポツと新しい顔も見かけます。今日の参加者は200人くらいかな。お盆休みも終わり、再スタートと言ったところでしょうか😁
●抗議風景

ETV特集『ひろしま』と京都の旅(洋館&嵐山編)、映画『あなたの名前を呼べたなら』

 楽しかった夏休みも終わってしまいました(泣)。いつもながらの、『あっ』という間の1週間。1年中 夏休みだったらいいんだけど。 。
 でも、平凡な日常が一番尊い。休みが終わってしまった今はそう思います。
 まだまだ暑さは厳しいですが、空の色や雲の動きの速さに、そろそろ夏の終わりの風情が漂ってきました。


 先々週と先週、NHKで放送されたETV特集「忘れられた“ひろしま”~8万8千人が演じた“あの日”~」映画『ひろしま、どちらも面白かったです。
www.nhk.or.jp
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www.nhk.or.jp
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 前者は1953年に日教組が全国から募金を募って制作された映画『ひろしま』は被爆者を中心とした8万8000人ものエキストラ、月丘夢路(ノーギャラだったそうです)、岡田英次などの一流俳優陣、スタッフの大作にも関わらず、メジャー公開されることなく、自主上映と言う形で細々と公開されてきました。それが近年デジタル化された。それに関するドキュメンタリーです。

 原爆が投下されてから10年も経ってない広島でロケをして、実際に被爆者を中心としたエキストラに投下当時の状況を演じさせるというのは今だったら絶対にあり得ない(笑)。PTSDどころの話ではないでしょう。
 実際 現場ではエキストラの人が吐いてしまったり、泣き声が響いていたそうです。その心理的な負担もさることながら、被害に遭った人が演じるのですから、それに勝るものはありません。こんな作品は2度と作れない。

 また、番組ではそれだけでなく、出演したエキストラでも日教組の政治的アピールに利用されるんじゃないかと考える人もいたことも取り上げられていました。そういう意味でも非常に優れたドキュメンタリー番組でした(翌週に本編を見る際 非常に参考になりました)。

 しかし完成した映画はアメリカに忖度した映画会社は配給しなかった。それでも細々と自主上映されてきましたが近年フィルムが劣化してきた。それに対してデジタル化の資金を出したのはアメリカの映画配給会社っていうのが何とも言い難い。日本人は本当に文化を大事にしない


 その翌週 放送されたひろしま被爆直後のシーンが延々30分以上続く、恐ろしいばかりの迫力の映画でした。昨年感動したインド映画の超大作『バーフバリ』はエキストラ3万人でびっくりしたのですが、こっちは8万8000人、それだけでもこの映画のスケール、迫力が判ります。それを実際に体験した人が演じているのですからありえない。
 ややイデオロギッシュで定型的な脚本、素人の演技などは色々意見はあるでしょうけど、この力技だけで充分歴史的な価値があると思いました。

 印象に残ったのは『ひろしま』が作られた1952年当時でさえ、軍歌が歌われたりするなど世の中の復古調の雰囲気が嘆かれていたこと。当時でも、そういうことが言われていた。じゃあ、今はどうなっちゃうんでしょう。戦前への回帰はこの時代から長い時間をかけておこなわれてきている、と考えるべきなのでしょう。

 あと、もうひとつ。映画『ゴジラ』との類似性です。

ゴジラ

ゴジラ

ひろしま』が作られた翌年の53年、傑作ゴジラが作られました。ゴジラでは破壊された東京の黙示録的な雰囲気が印象的でしたが、『ひろしま』はまさにそれと同じでした。
 音楽が同じ伊福部昭先生というのも大きいですが、ゴジラは『ひろしま』の影響をうけているのでしょうし、核による人類の終末というコンセンサスが多くの人の間で共有されていたのでしょう。
 原爆を取り上げた大傑作フランス映画『24時間の情事』(58年)に出ている岡田英次がこの作品にも出ているのも奇妙な附合がありました。

 問題は、じゃ、今はどうなんだ、ということですね。とにかく2週にわたるETVの映画『ひろしま』、見ごたえがありました。



 さて、お盆に出かけた京都の旅、2日目です。この日は朝、泊った洋館の中を案内してもらいました。まずは食堂。


 その部屋でサラダとオムレツ(笑)。まるで料理の教科書に出てくるような、滑らかで綺麗な肌のふっくらしたオムレツを久しぶりに見ました。これは自分では作れない(笑)。

 ここは明治期に当時のタバコ王が作った建物。命名・揮毫は伊藤博文。今は6部屋だけの小さなホテルになってます。

 案内してもらった上層階はステンドグラスと組み合わせた床の間でした。外からは普通の洋館にしか見えません。

 そして天井にはバカラのシャンデリア。タダでさえ壊れやすい物をわざわざ船で持ってきた、と言う訳です。建てた奴は、どれだけ金持ちだったんだ(笑)。

 窓の外はそのまま円山公園。桜と紅葉の名所が一望です。窓には当時の歪んだガラスがまだ使われています。写真では分かりにくいですが、そのガラスを通してみる景色は面白かった。

 部屋のインテリアは和洋中が組み合わさっていて、明治期の日本人の教養の深さを思い知るような気がしました。昔の人は良いと思ったものはどんどん取り入れる度量の広さがあったわけです。
 あの頃は他国から学ぼう、という意識が今より遥かに強かったのだ、と思います。人間が謙虚だったのですね。
 それから100年以上過ぎて、嫌韓とか言ってる連中が如何に愚かなことか。如何にセコいことか。日本人ってここまで劣化してしまったのか、と思いました。

 これ、当時の象牙細工。ワシントン条約違反も甚だしいですが(笑)、この細工の細かさは人間技じゃない。

 その上には、また当時のままのバカラ

 それらを中国風の文様と竹が描かれた、日本古来の『朽葉色』の壁で調和させている。

 こんな文化財の塊みたいな建物で営業なんかやってていいのか、と思いました(笑)。


 そのあと京都の反対側へトロッコ列車を乗りに行きました。本当は船で保津川下りもやりたかったのですが、台風で中止ということでした。残念。

 このお寺↓、NHK BSのドラマ『京都人の愉しみ』に出ていました。犬と住職が二人でお月見をしていたところです。一生に一回で良いから、そういうことをやってみたい。人里離れたところで、犬と自然を友に暮らしてみたい。
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 この日はそのまま、嵐山泊。水辺に出てしまえば人混みも暑さもスルー。

 あんことワイン。

 夕食後 水辺で飲むときは泥酔しつつあったかも。

 夜の小倉山↓。藤原定家をはじめ、昔の人もこの景色を見ていたんでしょうか。ここで小倉百人一首夏の夜は まだ宵ながら 明けぬるを 雲のいづこに 月宿るらむ』くらい出てくれば恰好良かったのですが、ムリ(笑)(ググりました)。ボクもまた、劣化した日本人の一人です(続)。


 と、言うことで、渋谷で映画『あなたの名前を呼べたなら
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anatanonamae-movie.com

 農村育ちのラトナは20歳そこそこで未亡人になり、大都市ムンバイで建設会社の御曹司の住み込みメイドとして働いている。挙式直前に婚約者の浮気で破談になり傷心の御曹司を気遣いながら働く彼女は、将来はファッション・デザイナーとして自や立することを夢見ており、空き時間に裁縫学校に行くことを願い出たが。

 インドで生まれ、アメリカで教育を受けた新人女性監督がフランス資本で撮った映画です。カンヌ映画祭批評家週間に出品され、高評価を受けたという作品。原題は『SIR』。主人公のメイド、ラトナが主人を呼ぶ際の言い方です。
●この二人が主人公。右がメイドのラトナ。左が雇い主の建設会社の御曹司。
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 大都会のムンバイの高層マンション。建設会社の御曹司が一人暮らしをする部屋でラトナは住み込みのメイドとして働いています。
 ラトナは農村で育ち19歳で結婚、その数か月後に夫が死んで未亡人になってしまいました。ところが村では未亡人は再婚も許されず、義実家で暮らさなくてはなりません。義実家の『口減らし』のために彼女はムンバイに出され、メイドとして働き、義実家に仕送りをしています。
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 ここでみるムンバイは日本よりよっぽど立派な高層マンションとスラムが混在する、大都会です。御曹司が生きる世界は豊かで文化的、ワインを片手にパーティーを楽しむ、日本の我々よりよっぽど豊かな生活です。
●時にはこうやって息抜きをするラトナとメイド仲間。上から見ると東京やNYと景色は変わりません。
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 御曹司は結構 良い奴です(笑)。挙式寸前だった婚約者に浮気をされて破談、傷ついていますが、表面上は怒りに駆られたり、やけになったりもせず、淡々としている。ラトナに接する態度も優しく、親切です。
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 建設会社の跡継ぎとして親や同じ階級の友人に囲まれて暮らしていますが、かって留学していたアメリカでの貧乏だけど自由な暮らしを懐かしがっています。
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 一方、ラトナをはじめ、使用人たちは御曹司の名前すら呼ぶことができません。ただ『Sir』と呼ぶ。それが習慣です。食事も床に座って、手づかみで食べるのが習慣です。
 ラトナだけでは無く、マンションの門番も荷物係も他の家のメイドも、御曹司たち住人とは違う種類の動物のように扱われている。挨拶すること以外 言葉を交わすことすらない。食という基本的なことさえ異なる。同じ空間で暮らしている人間同士の驚くべき落差です。
●メイドたちには高層ビルでの近代的な暮らしとは別の世界があります。
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 ボクは見ていても判らなかったですが、ラトナたちと御曹司たち、貧富の差だけではなくカーストも違うのかもしれません。実際 インドで働いている日本人に話を聞くと、『表面上はカースト差別は禁じられているし日本人には誰がどうだか全くわからないが、インド人たちの間ではカーストははっきり判っている』、と言っていました。
●監督のインタビュー記事。現状のインドでは異なるカースト同士の恋愛はありえない、そうです。
www.tokyo-np.co.jp

 ラトナはファッションデザイナーとして自立して店を開くことを夢見ています。若くして未亡人になった彼女には再婚もまともな就職という道もない。恐るべき因習です。
 そこで彼女は御曹司に空いている時間に裁縫を習いに行くことを願い出ます。御曹司は快く了解しますが、お金も教育も友人もいないラトナにとって道は険しい。
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 御曹司は懸命に努力するラトナを見ているうちに段々と心が動いていきます。しかし、ラトナと御曹司では貧富の差だけでなく、あまりに世界が違いすぎる。御曹司の親だけでなく、友人、取引先、それにラトナの家族だって絶対に許さない。特にいくら御曹司にお金があっても、彼らにとって因習は絶対のものです。ラトナ自身だってありえないと思っています。
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 中盤 ちょっとだれてくるところもないわけではありませんが、最後は見事な着地を見せられます。
 この映画にはインドの因習の強さ、それに抵抗しようとする人間の控えめながらも強い意思と勇気、特に女性にとっての希望、色んなものが詰まってる。現代と従来からの因習が入り混じるインドを西洋的な眼で描きながらも、お話は普遍的な感動に辿り着きます

 観る前は『なんてくだらない邦題だ』思っていたのですが(笑)、この邦題に大きな意味があることが最後の最後で判ります。号泣必至やられた~と思いました。素晴らしいの一言。

映画『あなたの名前を呼べたなら』予告編