特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

ハードボイルドの極北:映画『ガルヴェストン』

 週末は暑かったですね~。
 天皇の退位、即位をきっかけに、もともと見なかったTVを一層、見なくなりました。とにかく不愉快。
 それでも天気予報のために7時のNHKニュースをつけたら、トランプと安倍が夕食にでかけた六本木の店の前にテントまで張ってる光景が映ってた。文字通り頭がおかしい
www.sankei.com

●六本木でトランプに抗議する人たちが強制排除されました。どこの独裁国家なのか。

 そしてトランプのつまらなそうな顔(笑)。トランプの数少ない美点は顔に感情が出るところです。リーダーには間違いなく向いてないが、判り易い。

headlines.yahoo.co.jp

 日米のバカ代表とそれを喜々として伝えるマスゴミ。超醜いです。
ワシントンポスト曰く、『世界で安倍晋三ほどトランプに媚びへつらうことに一生懸命なリーダーはいない』と

www.washingtonpost.com


 そうそう、前回のエントリー、安倍晋三と元政務秘書氏の話で書き忘れたことがあります。
 安倍晋三はトランプに、『とにかく貿易協定は選挙が終わるまで待ってくれ』と懇願しているそうです。同じく選挙を控えているトランプでも、流石にそれは理解している(笑)。しかし選挙が終わったあと、利子をつけてどんなお土産を渡すかわからない。安倍晋三は選挙が終わればどうでもいいわけです。もちろん国会で議論をする気もない。

 それを昨日 トランプがツイッターで暴露してしまいました(笑)。日本にとっては自動車の方が大事ですから、自動車を守れるなら農業も牛肉も別に構いませんけどね。ちゃんとしたアンガス牛霜降りの和牛より美味しいし(笑)。

 このトランプのtweetは新聞各紙、NHKの7時のニュースですら報じました。それでもバカぞろいの日本人は理解できないんだろう―な(笑)。


 この前F35が海に落ちましたが、出来ればエアフォース・ワンとか、マリーン・ワンが墜落しないかなあ。折角だから(笑)。世界経済のためにも平和のためにも、その方がはるかに良いと思うんだけどなあ。
●新宿のインド料理屋でカティ・ロール(左端)とリンゴとチキンのカレー(右端)。カティ・ロールはチキンなどの具をチャパティ(全粒粉のクレープ)で巻いたもの。ダイエットです!(笑)。そもそもインド料理は脂肪と炭水化物が多くてダイエットに向かないんですが、とにかく好きなんですよ(笑)。
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 今回は 小規模公開ですが、素晴らしかった映画です。久々に思い入れを感じました。渋谷で映画『ガルヴェストン


klockworx-v.com


舞台はテキサス。裏社会の殺し屋ロイ(ベン・フォスター)は自分が末期がんで余命が残り少ないことを知る。その後 ボスの指令で向かった先で何者かに襲われ、自分が組織に裏切られたことを知る。やっとのことで相手を殺すと、奥の部屋には少女、ロッキー(エル・ファニング)が囚われていた。家出して行くあてもないまま、身体を売っていた彼女を連れて、ロイはあてどない逃避行に出る


 ボクはミステリーは門外漢ですが、業界ではなかなか評価が高いと言うミステリー小説『逃亡のガルヴェストン』をフランスの女優メラニー・ロランが監督した作品です。

逃亡のガルヴェストン (ハヤカワ・ミステリ)

逃亡のガルヴェストン (ハヤカワ・ミステリ)

 メラニー・ロランと言えば『オーケストラ!』や『イングロリアス・バスターズ』などで知られる超々美人女優として有名ですが、環境保護のドキュメンタリー『Tomorrow パーマネント・ライフを探して』を監督する等、ただの女優さんじゃ、ありません。
●1枚目『オーケストラ!』でのメラニー・ロラン。この時は殆ど『女神』だと思いました(笑)。2枚目は自分の監督作『Tomorrow パーマネント・ライフを探して』での彼女。お子さんを出産して環境保護の重要性に目覚めたそうです。
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spyboy.hatenablog.com


 主演のエル・ファニングの近年の大活躍は言うまでもありません。まだ20歳そこそこなのに、個性的な演技派です。少女を主役にした、最近のまともな映画は殆どこの人が出ているような気がする。彼女は今開催されているカンヌ映画祭の審査員をやっています。もしかしたら最年少審査員じゃないですか?
 すごく美人という訳ではありませんが、確かな演技力と存在感、特にどんな役をやってもイノセントさが消えることがない。強烈な個性です。あと、この人、どうしてこんなに肌がきれいなんだろう。
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 ただ、ボクは犯罪ものとか怖いものは嫌いです。興味なし。気が進まないながらも、メラニー・ロランが監督して、エル・ファニングが出ているということだけ!で見に行った次第。
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 冒頭 医者から肺に影があることを告げられた殺し屋のロイが組織に裏切られ、娼婦の少女、ロッキーと出会う。お話はサクサクと進んでいきます。緊迫感を保ちつつ、露骨な暴力描写は慎重に避けられている。なかなかうまい。
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そして、映像がやたらと美しい。夜がやたらと蒼い。その中に真っ赤なドレスを着た白い肌の少女がいる。雰囲気あります。
●殺し屋と少女の奇妙な逃避行が始まります。
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 お話が進むにつれて、これはただのクライム・サスペンスではないことに気が付きます。
 19歳の少女がどのような環境にいたか、この世の中がどういう構造になっているかが遠まわしに、しかし執拗に描写される。監督が今の世の中に対して抱いている怒りがひしひしと感じられる。殺し屋も少女も多くを語りませんが、二人の表情には何とも言えない悲しみが湛えられている。

 例えば少女がDVを受けていた継父を撃ち殺し、3歳の妹を連れて逃げるシーンがあります。銃声が響くだけで直接的な殺人の場面は一切ありません。この時のエル・ファニングの複雑な演技は涙なくしては見られません。観客ははっきりとした種明かしをされないまま、終盤で衝撃を受けることになります。
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 組織の手を逃れた二人はメキシコ湾に面した海岸沿いの街、ガルヴェストンの安モーテルに辿り着きます。
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 夜の世界とは対照的な、明るい陽の光。美しい海。そんな土地で、男は間違いだらけだった自分の人生にしめくくりをつけようとする。男は死に場所を求めている。少女は自分とあとにつなぐ命のために生を求めていく。対照的な二人です。それを見守るモーテルの主人。
 昨年の傑作『フロリダ・プロジェクト』にも設定が似ていますが、今作はもっと女性目線です。

フロリダ・プロジェクト  真夏の魔法 デラックス版 [Blu-ray]

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 ロイはまた売春を始めた少女を何とかして立ち直らせようとします。自分の歳の半分以下の少女です。自分と違い、やり直す機会はいくらでもあるはず。ロイは既に自分の死を覚悟しています。一方 少女は絶望的な状況の中でも、なんとか未来へつなぐ生を掴もうと願っている。
 黙りこくっていた二人は初めて心が通じ合う。一瞬 ほっとした空気が流れます。そんな二人に組織の手が迫ります。
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 俳優さんの演技、非常に美しい映像、品が良く語り過ぎない演出、この映画の素晴らしい点はいくつもあります。特に死ぬことも許されないという皮肉なプロットは素晴らしい。まさにハードボイルドの極北です。
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 この映画で最も感動的なのはロラン監督の人間観です。
 身体を売る彼女のことを『彼女は懸命に闘っていた』とロイは語ります。家族も教育も社会の助けもない少女は、文字通り涙を流しながら自分の身体で幼い『妹』を守った。彼女を非難することはたやすいけれど、自らの血と涙で生を贖う彼女を責める資格は誰にもない。そういうことが理解できるかどうかで人間の根本的な価値って決まってくる、とボクは思うんです。

 クライム・サスペンスなのに、この映画は人間を温かな視線で描いています
 ロイや少女を始め、この映画の登場人物は殆どすべてが世の中の落ちこぼれです。彼らが生きるのは冷酷非情な世界。しかし、その中でどう生きるかということ、弱肉強食の価値観に染まらない人たちのことを懸命に語ろうとしている。
 この映画に流れているのは、生活保護バッシングに代表される安っぽく頭が悪い、世の中のことも人間のこともまったく判っていない自己責任論とは対極の、人間の誇りと豊かさを忘れない視線です。それが貫かれている。
 ハードな描写が続くのに、観客はこの映画を見ると世の中へのやるせない怒り、その中で生きる人間の尊厳を感じることが出来るんです。
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 これには参りました。こういう演出は普通のクライム・サスペンス、ハードボイルドの常道とは外れているかもしれませんし、実際 原作者は監督の原作の改編に対して自分の名前を出すことを拒否したそうですが(笑)、ボクはめちゃめちゃ共感できました。

 この映画は観る者に文字通り、希望と勇気を与えてくれます。こんな映画は珍しい。ちょっと、とっ散らかったところもないわけではありませんが、素晴らしい作品です。上映館もあまり多くありませんが、埋もれてしまうにはこれは勿体ない。傑作ではないかもしれないが、ボクは大好き。断固支持!

エル・ファニングが娼婦役『ガルヴェストン』5月日本公開

『愚かな風(ある会食のお話)』と『0524再稼働反対!首相官邸前抗議』

 週末は暑くなるそうです。今週は大雨が降ったり、この2,3日は真夏のような日差しだし、変化が激しいお天気でした。そろそろ屋根裏部屋から扇風機を出そうかな。

 今  ちょっと悩んでいる?ものがあります。6月7日発売のこれです。

 ボブ・ディランの1975年のライブツアー『ローリング・サンダー・レビュー』の14枚組CDが6月に発売される。ボク自身はディランの熱心なファンではありませんが、この時期のディランがロック史上に残るほどすごい、神憑り的にすごいのは判っています。
●『愚かな風』:巨大なダムから国会まで、愚かな風が吹き続けている(76年のローリング・サンダー・レビュー)

Bob Dylan - Idiot Wind (Live 1976)


 今までに出た『ローリング・サンダー・レビュー』関連の作品はCDも映画『レナルド&クララ』も本当に素晴らしかった。
 旅回りの一座という設定でマス・プロモーションを拒否したコンサート・ツアー。時には顔を白塗りにして、自由奔放に演奏し、人種差別に反対する激しい言葉を紡ぎ出す。
 社会変革とエンターテイメントと芸術性を両立させようとした、この時期のディランはまさに創造力の塊です。
●こっちは勿論 持ってるんですけどね。傑作ですが、刺激が強すぎて頻繁に聴くには体力的に厳しい。それくらい凄い。

激しい雨 (Hard Rain)

激しい雨 (Hard Rain)

 ただ、リハーサルも含めた各地のコンサート、全14枚組というのがどうもなあ(笑)。値段もさることながら、14枚組なんかさすがに聴けないし。仮に聴いたとしても全14枚、内容を理解・把握するだけでも1年くらいかかる(笑)。でも限定盤だから買っておかないと後悔するだろうし。
 ったく、消費者心理に付け込みやがって(泣)。
●今の日本でも『愚かな風』が吹き続けているわけです。
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 愚かと言えば、毎日新聞のこの記事、面白いなーと思ったんです。『高齢者ほど嫌韓が多い』という話です。



headlines.yahoo.co.jp

 この記事によると、
 日本政府が毎年行っている「外交に関する世論調査」によると、「韓国に親しみを感じる」という回答が18~29歳では57.4%なのに、70歳以上では28.1%なのです。

 確かに、若い人や女性はそれほどでもないのに、高齢者ほど韓国が嫌いな人間が多いのは様々な調査でも裏付けられていますし、実際 ネトウヨブログに影響されて弁護士に不当な懲戒請求を出した事件でも、被告として続々と中高年のバカ男たちが正体を現しています。

 嫌韓とか言ってる奴は社会生活に適合できないニートみたいな連中だろうと思っていたのですが、いい歳こいて、どうなってるんだ、というのが正直なところです。無駄な歳の取り方ってあるものなんですね。

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 その理由は様々考えられます。毎日の記事には、高齢者には『かっての韓国の軍事政権のマイナスイメージが残っているため』、『定年後の疎外感を「正義感」で解消するため(笑)』(惨めな人生の締めくくりですね)(笑)などが挙げられています。


 一方 若い人はK-POP、年配の女性は韓流ドラマなどで韓国の文化に親しんでいるからなんでしょうね。特にK-POPはBTSを始めとして全米1位を何度も取るようになってますから、J-POPなんか全くメじゃないのが現状です。

 それとは対照的に文化不毛の中高年男性が辿り着いたのが、誰からも相手にされない惨めなネトウヨの老後というわけ(笑)。

 でも、そんなことを言っても連中には届きません(笑)。定年後の喪失感を嫌韓、嫌中で埋めてるような奴なんてサイテーのバカ、クズですから、つける薬はありません。
 バカは●ななきゃ治らないというのは真理ですから、おまえらの子供や孫のためにも、ゴミじじい連中は一刻も早く●んでください、としか言いようがない。

 しかし、問題なのは野党や市民団体はこの年代が主ターゲットのままでいる、ということです。デモでも集会でもメインの参加者層はこの年代、そして更に上の人たち。
 自称『市民運動』(笑)や共産党公明党も年寄りばかりだそうですが、あと10年もすればみんないなくなる(笑)。
 野党がもっと若い人たち向けの政策にシフトしていかない限り、未来永劫 自民党政権が続くんじゃないでしょうか



 さて、少し前 定期的に話を聞いている元政務秘書氏の話を聞いてきました。
 『TOKIO』や『大泉洋高畑充希』の前に(笑)、彼も安倍晋三に呼ばれて話をしてきたそうです。別に権力欲しさとか忖度で出かけたわけではなく、サラリーマンの彼の場合は社命、仕事です(笑)。与野党問わず、呼ばれれば出かけています。
 
 結論から言うと、安倍晋三が彼を呼んだのは『経済、特に消費税をどうするかを検討している』というポーズをマスコミに対して見せるため、だったそうです。
 向こうは安倍晋三官房長官の管、秘書官の今井の3人だったそうですけど、消費税の話も経済の話も全くでなかった。バカ話に終始したそうです。もちろん言質を取られるようなことを政治家が言うはずはありませんけど。
 一方 彼はその後ずっと政治部の記者にマークされて身動きとれず大変だったそうです。『おれは政治利用された』とぼやいていました。


 一応 ブリーフィング資料も見せてもらったので、どんな感じだったかお伝えします。
 
 まず、まったく話題にならなかったことから判るように、消費税をどうするか、安倍、管、今井の間ではもう決まっているようです。あとは財務省他の抵抗だけ。

 ちなみに消費税延期のことは読売、産経は勿論 朝日、毎日、東京も含めて各新聞では殆ど記事になっていません新聞は自分たちが軽減税率の対象になっているので消費増税をやりたい、だから延期の事は記事にしないそうです。ホント、日本の新聞は腐ってます。
 
 特に朝日新聞権威とポピュリズムが大好きな朝日新聞はTV朝日を含めて保守反動の権化だとボクは思っています。朝日をたたくことが『商売になるから』、とは言え、ネトウヨがどうして朝日を目の敵にするのか判りません。お前ら、同類だろって(笑)。


 元政務秘書氏は安倍晋三がやるのは『消費税延期+増税対策で予定していた追加歳出』と予想していました。
 その理由はもちろん選挙。やはり衆参W選挙の可能性は高いそうです。
 一つは大阪の選挙の結果。「従来の選挙は『××を改革する、変える』と言った方が勝ってきた」と安倍は言ってたそうです。野党は『憲法を守る、平和を守る』、とにかく『守る』ばかりでした。ところが大阪では、都構想という『変えること』を唱えた維新が勝った。今度は自民が『守り』になるかもしれない自民党内では衝撃だったそうです。

 あと もう一つは今でも不景気になりかけていますが、来年オリンピック後はどう考えても景気が悪くなる。そんな時に選挙なんかできない、と考えているようです。それは判る。

 これで野党は消費税を旗印に使えなくなりました。消費税延期ではなく廃止という手はありますが、誰でも日本が財政赤字なのは分かってるんだから、廃止では説得力ある理屈を作れないでしょう。

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 安倍晋三自体は国内の不景気に加えて、米中対立など全く興味を持っていないそうです(少なくともそう見えたらしい)
 本当にアメリカが追加関税を実施したら、日本が中国に輸出している部品だっておかしくなるし、既に今だって半導体関連の輸出が傾いています。日本の輸出先のトップは中国、2位がアメリカですから、どちらも損する追加関税なんか実施したら、どう考えても日本の経済はおかしくなります。一歩間違えれば、日本にとって北朝鮮以上に危機的な状況なのに

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 ついでに安倍晋三社会福祉改革も全くやる気がないそうです。社会福祉改革と言ってもどうしても削る方になります。『自分の政権で初めて(年金を減らす)マクロ経済スライドを発動させたのだからもう十分』だそうです(笑)。


 元政務秘書氏が『こんな経済の状況では最低賃金の賃上げをさらに進めるべきではないか』と意見したら、あちらからは『自民党の支持基盤である中小企業の打撃が大きいから、選挙前は絶対やらない』という答えが返ってきたそうです(選挙後は判らない、ということでもあります)
 自分の権力を守る事だけは安倍晋三は一生懸命だし、現実主義です。


 席上 安倍晋三はトランプに取り入る方法をしきりに自慢していたそうです。トランプはとにかくメルケルと仲が悪いので、メルケルの悪口を言っていれば、機嫌は良くなるそうです。もお、いやだ、こんな品性下劣な総理大臣

●上と話は一致しています。安倍晋三はトランプに媚を売る事ばっかり考えている。


 要するに安倍晋三は短期的な自分の権力維持のことばかり考えているわけです。日本という国のこと、とくに将来はまったく興味がない

 しかし、史上まれに見るほど品性下劣でバカな総理大臣でも、「『変えること』を唱えた方が常に選挙に勝っている」は鋭い指摘です。自分の権力維持の為とは言え、野党より国民の方を見ている

 今井の入れ智恵かもしれませんが、この点だけは野党より、少なくとも鳩山、菅、野田よりはマシに見えます。

『変える』というのは往々にして悪い方へ向かう、というのが平成30年間の歩みでしたが、そちらに投票してしまうバカな国民だから仕方がない。考えようによっては、それだけ国民の暮らしが厳しくなって、Brexit同様 ありもしない希望にすがっているのかもしれません。


 TVが置いてあるお茶の間から国会や首相官邸まで、『愚かな風』が吹いている。『憲法守れ』、『平和を守れ』ではダメ。安倍に反対する野党も市民も現実的にならないといけませんね。

 とにかく、政治も財政も景気もここまで滅茶苦茶になってしまうと、仮に日本が立ち直れるとしても10年単位の時間がかかる。経済音痴の野党ではできないし、やらない方がよい。

 今夏の選挙で少しでも野党の議席を増やして、多少は政治に緊張感を取り戻す、できれば安倍を政権から引き摺り下ろす、それが我々にできるせめてものこと、でしょうか。

●6月8日に今年3回目の『安倍やめろ』デモがあります。翌9日も青山で15:30~『未来のための公共』と『若者憲法集会』がデモ。選挙前ですからね。若者憲法集会は共産党系らしいキモさが耐えられないけど、
未来のための公共(@public4f)さん | Twitterのデモは活気があって楽しいもんな。


https://twitter.com/strongprotest2/status/1130775483279298560



 ということで、今週も官邸前へ #金曜官邸前抗議
 トランプのバカが来るせいで、有楽町から官邸前までとにかく警官が多い。それだけ怨まれてるってことでしょ(笑)。
 今日の東京の最高気温は30度!午後6時でも27度。抗議参加者は先週と同じくらい、300〜400人くらい?。初夏らしい、気持ちが良い晩でした。
●抗議風景


 さすがの厚労省も東電が福島の廃炉作業に外国人(新制度の『特定技能』外国人)を使うのを断念させました。

 ベトナム政府にまで話が伝わったのだから、厚労省も流石に看過できなかったのでしょうけど、まったく酷い酷い連中です。廃炉作業なんか原発を推進してきた東電社員と経産省の役人にやらせればよいと思いませんか。この国は政治だけでなく民間のモラルだって怪しい物です。

 こちらはグッドニュース。4月に原子力規制委が『原発のテロ対策施設が期限内に完成しなければ原則、停止命令を出す』と発表した途端、原発依存度が高い関西電力の株価が約20%もの激下がり、年初来安値を更新したそうです。

www.nikkei.com

 記事によると今回の原発停止の損害は高浜3,4号機だけで年1000億円にも及ぶそうです。金額がデカすぎて良く判らないんですが(笑)、原発を進めるということはそれだけのリスクがあるということです。しかもテロ対策の遅れそうな関電の原発は高浜だけではありません。

 関電然り、東海第2の原電然り、市場原理に基づけば原発は成り立たない、ということはこんな所にも示されています。
www.nikkei.com

 原電なんか1wも発電せずに8年間で1兆円も我々の電気代から受け取った挙句、
発電ほぼゼロで収入1兆円 日本原電8年間分、本紙集計:朝日新聞デジタル
潰れるかもしれないと騒いでいるのですから、本当に馬鹿げてますよね。
 そんな原発を東電や経産省の役人は国民に無理強いしようとするのですから、まさに日本は共産主義国北朝鮮と好一対だと思います。

贖罪、もしくは殉教者:映画『魂のゆくえ』と『幸福なラザロ』

 爽やかな陽気が続いています。
 寒くもなく、花粉も減ったし、湿度も高くない。気持いいです。1年中、こんな感じだと良いですね。おっと、明日は大雨だそうですが。
日比谷公園にはバラが沢山 咲いていました。種類は良く判りませんが(笑)。
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 この前 20年ぶりくらいに銀座『ウエスト』のシュークリームを食べたんです。ウエストって終戦直後の1947年からやっている、東京では古いお菓子屋さんです(東京にしかないみたいです)。
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 銀座の飲み屋のお姉さんへのお土産で名声を博したという(笑)、この大きなシュークリームは子供の時から大好きでした。かって一緒に暮らしていた犬も大好きで、カスタードクリームをペロッと一舐めしては、鼻の頭にくっつけて嬉しそうにしていたものです(笑)。
 ウェストのリーフパイやクッキーは東京の色々なデパートで買えるのですが、ケーキ類は銀座と青山墓地の裏の直営店でしか売ってないので、なかなか買う機会がありません。デカいから太るのも心配で敬遠してたし(笑)。
 思い立って銀座の飲み屋街にほど近い本店で買ってきたシュークリームは昔ながらの素朴な味で、実に美味しかった。今は美味しいケーキって全国いたるところにありますけど、こういうクラシックな味は飽きないです。
 それにしてもバラとシュークリーム、なんとなく似ている気がします(笑)。
●文化でも経済でも日本は東アジアの劣等国になりつつあるようです。蔡総統曰く『台湾では愛が勝った』。こんなことを言える政治家が日本に居るでしょうか。
www.bbc.com


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 さて、 今回は難解だけど非常に評価が高い作品2つ、『魂のゆくえ』と『幸福なラザロ』。
 どちらもアカデミー賞カンヌ映画祭など脚本の受賞候補になっていますし、米ニューヨーク・タイムズ紙の昨年のベスト映画ランキング、トップ10に入っています(『魂のゆくえ』が7位、『幸福なラザロ』が5位、ちなみに1位は『ローマ/ROMA』。
 ともに『贖罪』もしくは『殉教者』をテーマにした作品だと、ボクは思いました。

渋谷で『魂のゆくえ
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www.transformer.co.jp

舞台はニューヨークの片田舎にある小さな教会。ファースト・リフォームド。かってはアメリカ建国の移民たちが立てた由緒正しき教会だったが、今は信徒は巨大なメガ・チャーチに移り、衰退の一途をたどっている。そこで自ら望んで牧師をしているトラー(イーサン・ホーク)はミサに訪れた妊娠中の若妻(アマンダ・セイフライド)から、環境活動家の夫が出産を歓迎していない、との相談を受ける。トラーは若妻の夫に会い、説得しようとするが。


 タクシー・ドライバーなどの脚本を担当した巨匠(脚本家としては)ポール・シュレイダーの監督作。今年のアカデミー脚本賞にノミネートされた作品です。

 イーサン・ホーク演じる牧師、トラーはかっては従軍牧師でした。しかし軍への入隊を勧めた息子はイラク戦争で戦死、それ以降は自責の念だけを抱えながら生きています。慢性的な胃痛を抱え、自分はガンではないかとも疑っている。信者も少なく、オルガンの修理代さえ事欠く古い教会で神父を務めながら、自身の精神的苦悩、肉体的苦悩を毎日ノートに綴っています。観客はトラーと会話をしているような気持ちになります。
●今回のイーサン・ホークは名演の部類です。苦悩、苦悩、苦悩、そして贖罪に救いを求める。人間は誰しもそうかもしれないことを感じさせる。だから名演なんです
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 ある日 妊娠した若妻、メアリー(アマンダ・セイフライド)から、出産を歓迎しない夫を説得してほしいとの相談を受けます。トラーが夫に会ってみると環境活動家の夫は、地球温暖化が進むこんな世の中で子供を産むのは無責任に思える、と言うのです。ある意味 正論です。トラーは言いかえすことが出来ません。
アマンダ・セイフライド嬢も良い役者になりました。
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 やがてメアリーは夫が作った爆弾を発見します。夫は環境破壊に手を染める大企業に憤りを抱いている。メアリーから懇願を受けたトラーは夫と会う約束をしますが、待ち合わせ場所へ行ってみると夫は自殺した後でした。 
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 衝撃を受けるトラ―。さらに夫が遺していた爆弾を教会に隠します。
 おりしもトラーは自分の教会が援助を受けているメガ・チャーチ(ショーアップされた説教をTV中継する巨大教会。80年代以降 勢力を伸ばし、キリスト教極右の巣窟になっています)が環境破壊を続ける大企業から多額の献金を受けていることを知ります。
メガ・チャーチの親玉。オルガンの修理代さえ事欠く、トラーの教会に豊富な資金を投入します。自分たちの権威づけのために。
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 間近に迫ったトラーの教会の創立記念式典にはその大企業の社長や州知事がやってきます。メイフラワーの時代から続く、その教会の修復費用を彼らが出したからです。メアリーの夫が遺した爆弾を持っているトラーはどんな行動を選ぶのでしょうか。
●メアリーの夫の葬儀でトラーは教会の聖歌隊環境保護を訴え大企業を糾弾するニール・ヤングの歌を歌わせます。お偉方の間ではそれが問題になります。
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 映画では淡々とした描写でトラーの苦悩が描かれていきます。イーサン・ホークは終始 苦み走った顔で自らの苦悩を表現しています。主人公が一人淡々と悩み続ける、こういう静かな苦悩を描くような作品は最近珍しい。真っ向から苦悩を表現するイーサン・ホークの演技は素晴らしいです。
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 ただ、時々非現実的な描写が入る。トラーの心理を描こうとするのか、奇跡を描こうとするのか、意図は判りませんが、ボクはピンとこなかった。ポール・シュレイダーだから、頭がおかしいわけではなく、単に表現だとは思うんですけどね。


 感動したのが終盤 トラーが自らの身体に茨を巻き付けるところ。宗教的なシーンではありますけど、ベタな描写が逆に感動的です。イーサン・ホークが延々シリアスな演技を続けてきたのがここで生きてくる。
 環境破壊、大企業、拝金主義、インチキ宗教、そして個人の苦悩。映画は愚直なまでに世の中の矛盾を描いています。その中でトラーはどうやって自分の罪をあがなおうとするのか。何に殉じようとするのか。
 静かで淡々とした、それでいて現代を刺すかのような獰猛な映画でした。

「魂のゆくえ」予告編


もう一つはイタリア映画。『幸福なラザロ
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lazzaro.jp

20世紀後半のイタリア、人里離れた農園。50人ほどの農民は小作制度が廃止されたことを知らずにタダ働きを強いられていた。その中の一人、お人よしで純朴な青年ラザロ(アドリアーノ・タルディオーロ)の下に、狂言誘拐の事件をでっち上げた領主の侯爵夫人(ニコレッタ・ブラスキ)の息子が押しかけてくる。


 カンヌ映画祭脚本賞を受賞した作品。北米公開時には巨匠マーティン・スコセッシが絶賛し、映画完成後にプロデューサーに名乗りを上げる異例のバックアップをしたことも話題になっています。確かにスコセッシが好きそうな作品です。遠藤周作原作のスコセッシの近作『沈黙』とかなりの部分が重なります。そう言うとこの作品の雰囲気はお分かりになるでしょうか。

 1980年ころイタリアでは、小作人制度が廃止されたことを知らせずに人里離れた農園で無知な農民をこき使っていた元貴族が居たそうです。その実話と聖書の『金持ちとラザロ』という寓話を結び付けた映画です。ちなみに『金持ちとラザロ』は富の再分配と来世の救いをテーマにした寓話だそうです。

 
 前半は農園での小作人たちの暮らしの描写です。人里から遠く離れた村には電球が一つしかない辺鄙な土地。荒れ地にタバコを育てる厳しい労働と美しいイタリアの自然。ここは楽園なのか、奴隷労働の地なのか、良く判らない。

 領主の侯爵夫人は人々を所有物として無給でこきつかう『小作人制度』が無くなったことを村人たちに知らせません。無知な農民たちを農園に隔離することが良いことだ、と思い込んでいる節すらある。
 
 
 全部で50人ほどの村人たちの中に祖母と暮らすラザロという少年が居ました。勤勉で人を疑うことを知らない、そして孤独なラザロは村人たちにいいようにこき使われます。
 侯爵夫人曰く『私は村人を搾取する。村人はラザロを搾取する。お互い様だわ

 
 搾取される村人たちですが、村での暮らしはワインすらも手作りの自給自足、ある意味 非常に豊かな暮らしを送っています。しかし村人たちは、その幸せを実感することはありません。

 やがて、侯爵夫人の息子が親に反抗して狂言誘拐事件をでっち上げ、ラザロのところに押しかけてきます。狂言誘拐事件をきっかけに侯爵夫人の悪事にはついに司直の手が入る。
 真実を知った村人たちは村を出て行きます。村と文明社会を隔てていた浅い川を歩いて渡る村人たちは、まるで楽園を追放される人間たちのようにも見える。一方 ラザロの姿はどこかに消えてしまう。
●侯爵夫人の息子(左)は狂言誘拐事件を起こし、身代金を手に入れようとします。


 その数十年後。自由になった村人たちは幸せになれたのでしょうか?村人たちは年老い、大都会で暮らしています。タバコ農園しか知らない競争社会の中でまともな職にもつけず、線路脇の廃屋でその日暮らしです。

 コソ泥や廃品回収で糊口をしのぎ、食べるものは道端で見つけられるようなファーストフードばかり。

 侯爵夫人が言っていた通り、純朴な村人たちが競争社会の中で自由になっても幸せにはなれなかった。一方 侯爵の一家も落ちぶれ、都会の安アパートに暮らしています。
●かってのパンク少年もこんなおっさんに変わり果てています(左)

 そんな彼らの前に再びラザロが現れます。ラザロだけは数十年前と同じ、青年のままの姿です。


 映画はフェリーニの名画『』を思い起こさせます。冨と貧困、世の中の矛盾、人々のエゴ。その中で一人だけ少年のままの姿のラザロは周囲の人間たちの言うことを疑うことを知りません。だからこそ、彼は人間社会からつまはじきにされる。人間たちの罪を抱え込んだかのような彼はまるで現代の殉教者のようにも見えてくる。

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●唯一 ラザロに親切にする村人(右、アルバ・ロルヴァケル)は監督の姉。最近は売れっ子で、昨年公開の『おとなの事情』、今年の『ザ・プレイス』と出ずっぱりです。今作でも透明感のあるルックスと清濁併せ持つ意志の強さを表現しています。

●左がアリーチェ・ロルヴァケル監督、右が村人を演じる姉のアルバ・ロルヴァケル


 前作の『夏を行く人々』同様、アリーチェ・ロルヴァケル監督の作品はボクとは相性が悪いとは思いました。が、『幸福なラザロ』は完成度は高いし、非常に考えさせられる映画ではあることは間違いありません。いかにもイタリア映画らしいフォーマットの中で、人間の存在とはどういうものかという疑問を突き付けてくる。ボク自身、日々の暮らしの中で自分自身の『罪』という気持ちを忘れてしまっている。それを思い出させてくれる映画です。

映画『幸福なラザロ』予告篇(4.19公開)