特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『リトル・カトマンズ再訪(外国人に依存する日本)』、それに『0301再稼働反対!首相官邸前抗議』と『#0301辺野古埋めるな東京大抗議』

 米朝会談というと、ボクなんかは一瞬 桂米朝師匠が霊界で誰かと会談したのか、と思ってしまいます。その程度です、その程度(笑)。

 今週水曜 米朝会談を伝える夜7時のNHKニュースで、なぜか解説委員だか記者だかが画面に出てきて拉致被害がどうの、という解説を始めました。この会談で、そんなことを気にする人がいるのでしょうか(笑)。

 朝鮮半島の平和と非核化をまともに取り上げるでもなく、相変らずNHKのメインニュースは国民の眼を現実からそらせようとばかりしています。どころか、NHKまでフェイク・ニュースを流しているのかもしれない。NHKは拉致が話題になったと伝え、共同通信は話題にならず、と伝えています↓。

 北朝鮮はなかなか核を手放すことはしないでしょうし、手放すとしても、作業と検証には10年以上かかる。
 当面は現状維持しかありません戦争を起こさないようにしながら、徐々に体質が変わっていくのを待つしかない。仮に北朝鮮と韓国が統合でもされたら日本だって困る(笑)。
 それにしてもあまりにも意表を突かれた、それにバカすぎる放送でびっくりしました(笑)。国民もそういうレベルということなんでしょう。


 この前、友達とリトル・カトマンズこと、大久保へネパール料理を食べに行ってきました。前回は昼でしたが、今度は夜、どんな感じか見に行ったのです。
spyboy.hatenablog.com

●店が入っているビル自体がもう、ネパール、中国、韓国などが入り混じってます。

 料理の見栄えは良くありませんが、とにかく安い。せこいチェーン系の居酒屋のように業務用の冷凍品をチンしたものではなく、きちんと調理したものが食べ放題、飲み放題で4000円ちょっと、これが一番高いコースです(笑)。写真はごく一部だけですが、全然食べきれませんでした。
●焼いた鶏もマトンも良く判らないスパイス味(辛いけど美味しいです)

●モモ。ウィグルやチベット、モンゴルなど周辺の国で良くある、もっちりした餃子/肉饅頭の一種。カレーのスープに浮いているものは初めて見ました。

●1枚目はなんだかわからないネパール風のお好み焼き?2枚目はインド料理で言うところのサモサ。


●色々な乾燥野菜を刻んだカレーは日本の味噌汁を連想させます。ネパールのビールは日本のものより辛さを控えた、円やかな味でした。


●ディロ(そばがき)。カレーと一緒に食べます。

 前回行ったときは店員さんもお客さんもネパール人だらけでしたが、今回はお客さんは我々以外全員、日本人の女性(笑)。外国人や女性が多い店って大抵美味しいです。ダメなのは日本の男。食べ物だってうまい物は食べない、しかも決まり金時のものしか食べない、食卓の話題もつまんない(ボクも話題はダメですが)

 引き合いに出して恐縮ですが、以前 自由が丘のフレンチで小説家の阿川弘之夫妻ともう一組のカップルがボクの隣のテーブルにいたことがありました。阿川は料理を楽しむでもなく、2時間ずっと、お得意の海軍のことを話してました(笑)。しかもボクですら彼の著作で読んだ、誰でも知ってるような話(笑)。飯が不味くなりますよね。奥さん、嫌そうな顔してました。一応 文化人ですら、このざまです。文化がない(笑)。

井上成美 (新潮文庫)

井上成美 (新潮文庫)

 
 普段食べないような変わったものでも臆せず、安くて美味しいものを見つける女性の嗅覚?には感心します。
 これって食べ物だけじゃありません。たぶん、日本の男どもは生活習慣も判断も保守的なんです。保守的なのは悪いことではないけれど、新しい物、異なる文化を取り入れるということの大事さを忘れていないか。異なる文化を取り入れて自分を変化させることができないのは、環境変化がどんどん進む今のような時代には致命的です。
●この写真はネットから拾いました。大久保/新大久保の町はこんな感じ。


 店を出ても、大久保の街を歩いているのは女性と外国人ばかり。猥雑ですが活気があります。外国人と女性が居なければ立ち行かない今の日本を象徴している光景です。

 この表↓は以前 日経に出ていた産業別の外国人依存度の割合です。2017年の外国人比率が最も高いのは食料品製造で千人当たり80人、繊維工業で67人、車や船などの輸送用機器で60人と6~8%に達しているそうです。

www.nikkei.com

 コンビニなどサービス業の比率が高いのは想像できましたけど、製造業が多いと言うのはちょっと意外でした。中小企業だそうです。ただし地域別にはずいぶん差があるそうで、外国人依存度が特に高いのは製造業というより、例えば「広島の漁業」「茨城の農業」だそうです。
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www.nikkei.com

 例えば広島の漁業では6人に1人、17%が外国の人。茨城の農業では21人に1人、5%を占めています。彼らが居なくなったら大変です。GDPが5%も下がったら大騒ぎになりますよね。
 このこと一つとっても、日本は外国の人がいないと存続できないことが良く判ります。TPP反対とかバカじゃないか(笑)、と思います。最低でも今後50年くらいはさらに少子高齢化が進むのですから、日本の外国人依存度はますます強くなるでしょう。

 有史以来 日本という国は中国や朝鮮、東南アジア、そして西洋から様々な文化や文物を取り入れてやってきました。一見 日本独自のように思えるもの、天皇制だって中国の真似っこだし、平仮名だって、茶の湯だって、和食だって、海外の多大な影響を受けて成立しています。文化にしろ、食べ物にしろ、日本独自のものってあまり思い浮かびません。

 上野も新宿も渋谷も一歩 裏通りへ入れば猥雑ですが、大久保や新大久保のような街並みこそが日本の本来の姿かもしれません。
 逆に曲がり角に立っている日本が難局を乗り切るには今まで蔑ろにされていた外国の人、女性の人にどんどん活躍してもらうことがカギだと思います。男はおとなしく家事でもして、女性をサポートしていればいいんです(笑)。
●このままいけば日本は衰退の道しかないのですから。





ということで、今週も官邸前へ。#金曜官邸前抗議
朝方の東京は雨でしたが、午後は良いお天気でした。午後6時の気温は11度、参加者は1200人!
●抗議風景

●安倍も原発も要らない人は手を挙げろ!


 今週はもう一つ、官邸前抗議から続けて同じ場所で『#0301辺野古埋めるな東京大抗議』。主催は先週の銀座デモと同じ、個人有志です。

 住民投票で沖縄の人の民意が明確になっても、政府はそれを無視して辺野古の工事を続けています。安倍晋三は住民に寄り添うと言いながら、まともに話し合おうともしない。
 かっては成田でも、民意が無視されました(成田は村山トンちゃんが総理として地元と和解しましたが)。そして また同じことが起きている。明日は我が身です。沖縄の人が意思表示をしたのだから、本土に住んでいる者も意思表示しなければいけない、とボクは思います。じゃなければ、文字通り、愚民になっちゃうよ。

 今日の抗議は札幌でも名古屋でも行われています。



 時間になると反原連の抗議からスムーズにバトンタッチ(笑)。
コールはこれだけ!『安倍はやめろ』、『辺野古を埋めるな!』
 スピーチした共産党小池晃衆院議員が『今日は10時から本会議なので議員は皆 議員会館にいる』と言っちゃったもんだから、盛り上がっちゃって(笑)。
●抗議風景2

 これはTBSのキャスター氏(誰か知らない)。今日は若い人が大勢いるのにじーさんにインタビューしてる😺

 いつもの金曜日を遥かに超える熱気は写真でお分かりいただけると思います。参加者は3000人。言い訳かもしれないけど、東京でもこれだけの人が怒ってます!
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『#AbeOut0223 @銀座』と映画『バハールの涙』&『ナディアの誓い』

 沖縄の県民投票、心配していた投票率は50%を超え、有権者の4分の1以上どころか、4割近くが基地建設反対の意思を表明しました。基地建設反対への投票数は史上最多だった玉城知事の得票数を大きく上回りました。

 

 『どちらでもない』なんて選択肢を増やしたセコい罠は相手にされなかった、というわけです(笑)。
 日本政府は、投票結果は無視すると言っていますが、意思表示をすることが大事、と思います。陳舜臣氏の名著『阿片戦争』の受け売りですが、アヘン禁輸を求めてイギリスと戦った清の大臣、林則徐らは戦争に成ったら勝てるとは思っていませんでした。

 麻薬を押し付けられるのは拒否すると言う意思表示をしなければ中国人は今後数百年間立ち上がれないだろう、と考えたから、強硬なアヘン禁輸に踏み切ったのです。林則徐らが正しかったことは歴史が証明しています。

 ここで沖縄が意思表示を示したこともそれと同じです。仮に政府が工事を強行しても100年、200年の単位で考えれば、意思表示をしたということは沖縄の人たちにとって大きな歴史的財産になるでしょう。

 あとは本土の側がこれをどう受け止めるか。最低限 いったん工事を中止して話をすべきだと思うのですが、どうでしょうか。政府は短期的には投票結果を無視することはできるかもしれませんが、民意を無視すれば、本土にとって100年、200年単位の歴史的負債になる。

なによりも民意を無視すれば、日本政府は統治の正統性を失うことになります。これは政治学の基本のき、のお話しです。正統性を持たない政府を待ち受ける運命は洋の東西を問わず、決まっています。



 さて、土曜日は銀座へ安倍退陣を求めるデモ、#AbeOut0223 ヘ行ってきました。
 お天気は雨が心配されたんですが、見事に晴れた。紫外線は強かったけど見事に晴れた。晴れやかな日にふさわしく(?)、真っ黄色と茶色のリバーシブルのマフラーをして出かけました。なんと言っても銀座ですから(笑)。

 集合場所の日比谷公園は集合時間きっかりの12:00丁度に大勢の人が集まっていました。皆、手ぐすね引いているといったところでしょうか(笑)。

 今までの自民党前抗議や先月のデモ、そして今回のデモを呼びかけた『怒りの可視化』氏から、日比谷公園から東電前までは『原発やめろ!』、それ以降 銀座から京橋までは『安倍やめろ!』のコールで行きましょうとの話がありました。この日のデモは勿論、沖縄の県民投票に合わせて、です。

 集まっているのは金曜官邸前抗議に来ている人や若い人、中年の人、色々な人です。でも、組合だの市民運動など、うざい団体はいない(笑)。そして団体の旗、幟は禁止。『肉球新党』だけが例外です(笑)。

 予定時間きっかりの12:15には出発。スピーチもなし、時間通りの行動、というのも既存の団体のデモへのアンチでしょう。一般の市民はあいつらみたいな暇人じゃないですからね。

 皆が思い思いのプラカードを持ってきて、軽快なリズムに乗せて安倍晋三原発やめろ』安倍晋三はさっさとやめろ』というコールをする。明確です(笑)。ビル街に、銀座の目抜き通りに、『安倍はやめろ』の声が響き渡ります。

 

 これは嬉しかった↓。周りの人によると英語のプラカードを見て反応してくれたらしい。メッセージも明確ですから沿道の反応は概して良かったです。


 日比谷公園から東電、銀座四丁目を通って京橋まで、約1時間半のデモでした。


 参加者は600名、1月の新宿デモより150人増えました。列を見ていたら1000人くらいいるんじゃないかと思ったんですけどね。良い日柄の下、気持ちが良いお散歩でした。

twitter.com



ということで、新宿で映画『バハールの涙

bahar-movie.com

舞台は現代のシリア。ISに夫をが殺され、自身も性奴隷にされた女性が脱走、人質になっている息子を奪還するため銃を取るクルド人女性、報道記者の夫を戦場で失い、自身も片目を失ったフランス人戦場記者。二人の女性の姿を描いた作品


 シリアの状況については正直どうしたらよいか、ボクには全くわかりません。
アサド、IS、反政府派、クルド人、と三つ巴、四つ巴なのに加えて、ロシア、イラン、トルコ、アメリカと絡まりあっている。ただ一つはっきりしているのはアサドやISなどは虐殺や拷問で住民を老幼男女問わず大勢殺しているということ(反政府派もそうかもしれません)。誰が正しいのかは判りませんが、人々を殺すことだけは間違っている。それくらいしか言えません。

 この映画はISと戦うクルド人女性部隊のリーダーをフランス人戦場記者の眼から描いた作品です。
●女性部隊のリーダー、バハール役のゴルシフテ・ファラハニ。世界で最も美しい顔100人に度々選ばれるなど程の美貌の持ち主です。

 
 実際にクルド人には女性の部隊がありますし、映画に出てくる最前線で取材を続ける隻眼の女性記者は、実在の人物、メリー・コルビンという記者(昨年PRIVATE WARという題名で彼女の生涯が映画化されました。たぶん日本で今年公開)とヘミングウェイの3番目の妻で従軍記者として1936年から活動したマーサ・ゲルホーンがモデルだそうです。
 スペイン内戦で共和国派の兵士の孫娘というエヴァ・ウッソン監督は自らクルド人自治区で証言を集め、戦場ジャーナリストも脚本に加え、フィクションではありますけど非常に緻密な考証を行った作品です。
●語り手役のフランス人戦場記者、マチルド。実在の有名記者、メリー・コルビンのイメージが強すぎるので隻眼にはしなくても良かったかも。

 映画はマチルドが取材のために、ISから拠点を奪還しようとしているクルド人部隊に加わるところから始まります。
 その中には女性たちだけの部隊も居ました。そのリーダーがバハール(ゴルシフテ・ファラハニ)。ISは女性に殺されると天国に行けないと信じており、女性たちの部隊を恐れています。
●マチルド(左後ろ)はバハール(右)たちを取材することにします。

 物語はバハールの過去と現在を行き来する形で語られます。
 超壮絶な話です。もともとヤシディ教徒のバハールはフランス留学もした弁護士でした。夫と幼い息子など家族と平和に暮らしていた村に突如 ISが襲ってきます。ISは男たちは殺し、子供は少年兵の訓練学校へ、女性は性奴隷として売り払います。過酷な状況の中でバハールの妹は自ら命を絶ちます。しかしバハールは息子と再会するために、苦しくとも生きることを選びます。
●弁護士時代のバハール

 バハールを演じるゴルシフテ・ファラハニと言う女優さんはイラン人。ジム・ジャーミッシュ監督の『パターソン』やパイレーツ・オブ・カリビアンに出ていたそうです。パターソンにこんな人出てたっけな?世界で最も美しい顔100人に度々選ばれるなど、非常に美しい人です。
 バハールの過去があまりにも過酷なので、これだけ美しい人が演じてなければ正視できないような話です。でも、これ、現実に起きたことです。クルド人だけでも7000人の女性がISにさらわれ、性奴隷として売り払われたそうです(怒)。
アメリカの支援を受けていると言っても、クルド人たちは大した装備は持っていません。軍服もヘルメットも軍靴もないまま戦っている。

 それでもあきらめずに生きようとする人がいるし、彼女たちを救おうと手弁当で救出活動をする人がいる。バハールは歯に隠したSIMカードを使って、盗んだスマホで外部に連絡、ISからの脱出に成功します。

 解放後 ISから故郷を取り戻すためにバハールは自ら銃をとります。そして、かって住んでいた村に近づきます。そこで捕虜から、村の小学校には子供たちが少年兵にするために押し込められている、という話を聞きます。もしかしたら息子がいるかもしれない。バハールたちは夜明けに強襲することを決意します。

 ISが何をやっていたかということはニュースでは読みますけど、フィクションと言えども映像で見せられると驚きしかありません。泥まみれになって演技する女優さんの姿には美人女優と言う言葉から連想される甘さは一切ありません。マジで許しがたい。ISは正にイスラムの恥。

 ちなみに昨年『ノーベル平和賞』を受賞したナディア・ムラドと言う人はこの映画が舞台とした地方のクルド人ヤズディ教徒、バハールと同じく性暴力の被害者になりましたが脱走、現在はその実態を世界に訴える活動を行なっています。この人のことは後半で触れます。
news.yahoo.co.jp
 
 クルド人部隊はアメリカの空爆や物資の支援を受けています。この映画の中でも、アメリカの空爆を待ってからクルド人部隊が攻勢に移る描写がありました。
 今 トランプのアホがシリアから米軍を撤退させるとか言い出しましたが、彼ら・彼女たちはどうするのでしょう?ISだけでなく、トルコ軍だってクルド人部隊を狙っている。これだけぐちゃぐちゃになっている以上、一番の優先事項はISの抹殺だし、次は戦闘の終結です。米軍の撤退はその2つを共に危うくします。現時点ではISには言葉は通じません。それが現実です。

 そんなことを考えながら画面を見ていたのですが、映画としては悪くありません。いつ死が襲ってくるかわからないリアルな戦場の緊迫感、女性たちに起きた悲惨な出来事、ISからの脱出に際してのサスペンス感。ちゃんとしたエンターテイメントにもなっています。リアルな描写に対して不謹慎ですが、彼女たちがISをぶち殺していくシーンでは正直 爽快感すらあります。こいつらは極悪非道すぎる。


 しかし、この映画の本質は女性映画です。バハールや他のクルド人女性だけではありません。戦場記者のマチルドも夫を戦地の取材で亡くし、自身も片目を失い、それでも幼い子供を残してPTSDに苦しみながら戦場で取材を続けています。逆説的ですが、彼女たちは戦争をやめるために戦っている。
 世界は理不尽な暴力にあふれている。その中でも彼女たちは生きていくことを選んだ。一人一人の力は微力ですが、何とかして生きていくことが世界を少しでもマシな方向に向けていく。この映画はそういうことを訴えているのだと思います。

 衝撃的な作品ですが、露骨な暴力描写は抑えられていて、むしろ描写は上品なくらいです。男たちもあてにはせず、家族や平和を取り戻すために自ら銃をとったバハールたちの姿には心を打たれます。この状況は見なければ理解できない。
 臆せず見てよかったと思いました。

命がけでISと戦ったクルド人女性武装部隊が歌う「バハールの涙」本編映像


これで、俄然 興味が湧いて、その後に見に行ったのがドキュメンタリー。渋谷で『ナディアの誓い
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unitedpeople.jp

 ノーベル平和賞を受賞したイラククルド人女性ナディア・ムラド氏の活動を取り上げたドキュメンタリー。
 彼女はイラク北部の村でヤジディ教徒として暮らしていましたが、ISの侵攻で、母親と6人の兄弟を殺されてしまいます。彼女はISに連行され性奴隷にされますが、イスラム教徒の助けで3か月後に脱出。ヤジディ教徒の団体のスポークス・パーソンとして、自らの体験を元にした少数民族弾圧と性暴力廃絶を訴える活動を続けています。

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 映画は彼女がカナダやドイツを回って支援を訴えたり、国連で演説したり難民キャンプでの活動を追ったものです。

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 映画では、冒頭 ナディアがカナダを訪れ、支援を求めるために国会での発言をするところが描かれます。それを仲立ちしたのが保守党の女性議員なのが面白い(こういうことに保守もリベラルもないんです)。
国会でのスピーチを立派にこなした彼女ですが、現地ラジオに出演したときは泣き出してしまう。辛い記憶がよみがえってくるからです。
クルド人団体の代表者と一緒にスピーチの周到な準備をするナディア。
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 カナダの国会前には広場が広がっていて、人々や動物が呑気に遊んでいます。その、当たり前だけど平和な光景が彼女にとっては新鮮な驚きだったそうです。
一方 クルド人たちはISから逃れても各地の難民キャンプで苦難の日々を送っています。
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 何より、ナディアがまだ22歳、というのが驚きです。あまりにも多くのことを背負いすぎている。各地の難民キャンプに収容されているヤジディ教徒たちも広告塔としての彼女に頼ってしまっている。22歳の女の子が親兄弟が目の前で殺されたり、レイプされたりした体験を人前で証言しなくてはならない。本人の精神的負担がどれほどのものがあるか、ボクには想像ができません。
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 彼女の支援者として弁護士で人権活動家のアマル・クルーニーが出てきます。ジョージ・クルーニーの奥さんです。アマル・クルーニーは弁護士として彼女を保護し、国連安全保障委員会でISに対して国際社会が介入するよう訴えるのをサポートしています。

●ナディア(右)とアマル・クルーニー(左)
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 この人を実際に見るのはほぼ初めてです。モデルのような超美人なのでびっくりしました。レバノン生まれでオックスフォード大卒だそうですが、アマルというのだからアラブ系なんでしょう。グッチのスーツを着こなし、ピンク色の丸いバッグを持った彼女は安全保障理事会には全くの場違いに見えます。
 が、彼女の発言は『国際社会がこんな蛮行を許してしまったことが恥ずかしい。これはここにいる我々自身の責任だ』と、かなり厳しい。でも、その通りです。知性と志と美貌が揃った、こんな人がいるんだなあと思いました。
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 映画では描かれませんが、最近 ナディアは支援団体の人と結婚をしたそうです。個人的な幸せが巡ってきたのは喜ばしい。しかし犠牲があまりにも大きすぎた。

 ニュースなどでISのことを知っても、実際に何が起きているのかは、正直 ボクは全く判ってませんでした。『バハールの涙』を見て始めて、その酷さが判りました。更に『ナディアの誓い』を見ると、その重さがずっしりと伝わってくる。これは全く酷い話です。同じ時代に生きていることが恥ずかしくなる。日本軍の従軍慰安婦も似たようなものだったのでしょう。バカウヨや安倍晋三が幾ら言い訳をしても『SEX SLAVE』という言葉で呼ばれている以上 世界中の人はISと日本軍は同類、と考えます。
 これは平凡な悪とかそういう次元ではない。絶対悪です。人間は『絶対悪』に落ちることもある。アイヒマンを『平凡な悪』と評したアーレントでも、そう言うはずです。


ノーベル平和賞受賞ナディア・ムラドの感涙ドキュメンタリー映画『ナディアの誓い ‐ On Her Shoulders』予告編

『老教授の嘆きと若者の食い気』と『0222再稼働反対!首相官邸前抗議』

 雨水が過ぎて寒さが緩んできたと思ったら、花粉が飛び始めました。眼がかゆい~。
 辛かった冬ももうちょっとの我慢です。まして昨年の今頃はバカ政治家どものせいで戦争のリスクすら感じていたんですから、遥かにマシというものです。
●原宿の街角で素敵な光景を見ました。買い物中の飼い主を待つ二匹のちょっと不安気な表情には愛おしさと同時に生来の賢さが感じられます。 
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 この前、以前から時々話を聞いていた経営学の教授先生に3、4年ぶりにお会いしました。今は名誉教授になって慶應を退職していますが、75歳を過ぎても大学院で元気に講義をやっています。ハーバードでは有名なマイケル・サンデル教授と一緒だったという人です。
 その老教授(こう言うと怒られますが)がこう言ってました。

 今の日本は大きな危機にある。このままでは日本は世界で一番良い物を一番安く提供する下請け国家になってしまう

 老教授の下には海外の学生もいるし、毎年 アメリカの大学で講義もしているそうですが、中国やアジアなどの新興国からの、日本人学生より積極的で優秀な学生がどんどん増えているそうです。ただ優秀なだけでなく、自分で起業したり、組織を変革しようとしたり、金儲けだけでなく世の中を変えようとも試みている。
 その一方 日本人は政府を筆頭に大企業も、過去の焼き直しや根性論ばかり唱えている。つまり 相変わらず 他人に言われたことやモノマネに励んでいる。高度成長時代なら他社追従や根性で数字は伸びたが、今は違う。『これでは彼らに勝てるはずがない』と言うのです。

 学生云々は別にして、このままでは日本は新興国に負けて下請け国家になってしまう、というのはかねがねボクも感じていたことなので、ちょっと嬉しかったと同時に、やっぱりそうなんだ~という思いも湧きました。

 先生曰く、日本が勝てないのは個人もさることながら、組織の中に異質なものが少ない、つまり異論を唱える人が少ないから、だそうです。だから新しいアイデアが出てこない

 それはそうなんですよね。厚労省の統計不正が典型ですが、組織の中で永年行われてきたことに対して異論を唱える人がいない。確かに波風を起こさない方が当面は楽なんですけど、あとでロクな結果を生まない。

 厚労省だけでなく、自動車メーカーの検査不正や耐震ゴムの偽装、オリンパス東芝粉飾決算なども同じです。
 組織の中に異論が出てこないのは共産党はもちろん、市民運動なんかでもそうです。例えば原発に反対している市民運動や集会で即時全廃以外の意見なんて滅多に聞いたことがない。こういう同調圧力の強さは、もはや日本的病(やまいと言ってよいのかもしれません。
 


 この前、姪っ子ちゃんの二十歳のお祝いでご飯を食べに行きました。彼女が『成人式なんかくだらない』というので、代わりにお寿司を食べに行ったんです。
●食い気が炸裂する女子大生。

 エラい!と褒めたのは単なる身内贔屓ですが、良く考えたらその日テーブルを囲んでいた姪っ子ちゃんのシングルマザーの母親(ボクの妹)も、ボクも、誰も成人式なんか行ってない(笑)。同級生の同調圧力着物屋の陰謀に騙されなかったんです(笑)。

 姪っ子ちゃんがそのまま、自分の頭で考えられる人生を送ってくれればいいんですが、早くも就職の圧力が襲ってきているようだし、呑気な子でも中々大変そうです。ホントはそういうときこそ、自分なりに価値観をはっきりさせ、何を選ぶか明確にしなければいけないんですけどね。

 ちなみにボクは『社会的に悪事を働いてない(武器、原発、自然破壊など悪徳商売に関わってない)』、『潰れにくそう』、『仕事が楽そう(笑)』という基準だけで就職先を探しました。企業規模、知名度、給料は全く興味なかった。
 クラスの同級生は高給や企業規模に惹かれて大半が金融機関へ行きましたけど、『バカじゃねえの』と思ってました。彼らもボクのことをそう思ってたでしょうけど(笑)、バブル崩壊に山一ショック、ITバブル崩壊にリーマンショックで、殆どの金融機関は原型をとどめていません(笑)。彼らは今 どれくらい会社に残っているんだろうか。

 今、多くの企業は、こういうこと↓を言ってます。ルールに従うというより、ルールを造ることが出来る、自分の頭で考えられる人間がいなければ生存競争に勝ち抜けないからです。
business.nikkei.com

 しかし、日本の社会も学校もむしろ、やんちゃな人間を排除しています。
例えば、これ。全国2位の大都市である横浜市は中学校に給食がありません。手作り弁当がどうのこうの言うバカ議員が大勢いる、遅れているというより反動的な自治体ですが、子供が昼食を食べる時間まで15分以内、と指定しているそうです。
www.asahi.com

 びっくりしました。これじゃあ、自分の頭で考えられるどころか、人間を人間として扱っていない。こんな教育を受けて育てば、子供を虐待する親が出てきても不思議ではありません。

 大人どもがよってたかって、子供のお昼ご飯にまで口を出して、子供から自分の頭で考える習慣を奪おうとしている。既存のルールや組織に疑問を持ったり、納得できなければ反抗したりして、新しい物を創りだす人間が育つわけがありません。自分が抑圧されているから、他人の揚げ足取りに励む、他人を抑圧しようとするのです。

 日本のように個人の精神的・知的自立をこれほどまで抑圧する社会は珍しいのではないでしょうか。昨年 中国に行ったとき、あちらのほうが人々は自由だ、と感じましたが、それは日本社会のこういうところからきているのでしょう。

 これをどうするかと言っても、気が付いた人が一人一人、自分の場で戦うしかない、と思います。しかし、このような同調圧力は日常生活にまで及んでいますから、抵抗するのは実に難儀なことです(笑)。
 もう慣れましたけど、たまにはボクも、疲れるなーとため息が出ることもあります。波風を立てるにしても自分のやり方が下手過ぎて反省ばかりだし、たまには自分も同調圧力に加担している時もあるだろうし。
 
 呑気にお寿司をぱくつく女子大生を見ながら、この子達は大変な時代を生きなければいけないなあ、と思いました。それも彼女たちの人生ではあるけれど、ちょっと申し訳ない。
●ちなみに銀座に本店があるこの寿司屋も既に香港資本の筈です。そういう時代です。

●明日は銀座で安倍辞めろデモ『AbeOut0223』。沖縄県民投票の前日です。この様子は月曜日のブログで。



ということで、今週も官邸前へ。 #金曜官邸前抗議
今日の午後6時の気温は10度、暖かい〜。 参加者は450人。
●抗議風景



 今週 日本原電の東海第二再稼働の意向を決めたというのにはムカつきました。

 しかし、こんなニュースもありました。フィナンシャル・タイムス(FT)から転載している日経のコラムです。内容が濃いので愛読しているのですが、今回は2月7日に民主党のオカシオコルテス議員らが米下院に出した環境対策法案「グリーン・ニューディール」のことが載っていました。
www.nikkei.com

グリーン・ニューディール』はこんな内容です。
「10年以内に米国の電力需要の100%をクリーンかつ再生可能で、CO2排出ゼロのエネルギー源で賄う」
「AIを活用した省エネで分散型の送電網を新たに構築するか、既存の送電網を刷新する」
「省エネを徹底すべく米国内のあらゆる既存建築物を改修し、新築では最大限のエネルギー効率を達成する」

 これらを巨額の政府投資と規制で実現しようとするものです。数兆ドルと巨額の予算がかかるため、実現性は?がついていますし、エネルギー業界を牛耳る世界最大の金持ち、超保守派のコーク兄弟や共和党は激しい抵抗を示すでしょう。

 しかし フィナンシャル・タイムズやロイターが言っているように、
jp.reuters.com

オガシオ・コルテスなどの影響力ある議員(日本の1年生議員とはえらい違いです)や、エリザベス・ウォーレンバーニー・サンダースなど民主党の大統領候補が賛成しており、何よりも下院は民主党が多数を持っているのですから、これからアメリカ社会全体を巻き込んだ大きな議論になることは間違いありません。

 こういう野心的な目標、新しいビジョンを掲げるということが、今の日本に欠けているものです。10年で実現させた月着陸は言うまでもなく、パソコン、スマホ、インターネット、再生エネ、EU(ヨーロッパ共同体)、これらはビジョンを唱えたときは誰もが『無理』と思いましたが、スティーヴ・ジョブスなど有名無名を問わず、新しいことへの挑戦を恐れない人たちが実現させた。日本が王者だったガラケーやデジカメ、カーナビがあっさりスマホに駆逐されてしまったように、新しいルール、パラダイムを作ったものが勝ちなんです。


 日本が原発なんて時代遅れのものにすがっていると、10年後 グリーン・ニューディールでも同じことが起きるでしょう。アベノミクス(だけではありませんが)積もり積もった借金も相まって、そんなことが起きたら日本の経済自体が壊滅しかねないと思います。
 老教授が言うように、今の日本は危機状態にあると思いますが、その危機はこれからますます深まっていくのかもしれません。

グリーン・ニューディール法案のホームページ。2/25にワシントンで大規模集会をやるそうです。
www.sunrisemovement.org