特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

映画『ブラック・ボックス・ダイアリーズ』

 あ~っという間に年末年始のお休みは終わってしまいました。
 今年は9日間も休みがあったのですが、それも一瞬のように感じました。空しい(笑)。

 今日から仕事です。夜明け前の出勤もいつもより寒く感じました(笑)。
 老後のためにはもう少し働かなくてはいけないんですが(泣)、自由に時間を使える定年が本当に待ち遠しいです。老後資金のために生きる人生の意味って何なのか、我ながら不思議です(笑)。


 
 普段はテレビも配信も見る時間がないんですが、今回のお休みではアマゾンプライムで新宿を舞台にした映画『ロスト・イン・トランスレーション』(見たのはこれで8回目くらい)と

 昨年公開されて絶賛されていた映画『トワイライト・ウォーリアーズ』(アクションものだったので劇場では見なかった)、

 それに今まで見逃していた『モダン・ラブ アムステルダム』を見る時間がありました。程度の差はあっても、どれも心に残るものがあって、何となく得した気分です。

 とにかく、今年は昨年より楽しい1年にしたい。ともすれば自分では悲観的な傾向があると思っているのですが、たまには気持ちだけでも前向きになってみよう、と思っています。

 だって世の中が変に勇ましいじゃないですか。危なくて仕方がありません。

 アメリカのベネズエラ侵攻にもびっくりです。

 確かにマドゥーロは極悪独裁者でしょうけどプーチンも同類だし、トランプも同じってことが露呈してしまいました。スティーヴン・キングのいう通りですよ。

 こいつをノーベル平和賞に推薦したバカがいるんですから、聞いて呆れます。

 『武力での現状変更を否定する』というのは日本にとっては重要な方針だと思いますが日本政府はアメリカには主張しないし、そもそも主張自体が通用しない世の中になりつつある。

 それでも主張しないより主張した方が良いかもしれませんが、現実の世界で聞き入れてもらえなければ仕方がない。

www.nikkei.com

 問題は『じゃあ、どうするのか』ってことです。この国の与党は『(本当に助けてくれるのか判らない)アメリカにべったりなだけ』、野党は『世の中にはトランプやプーチン、北の将軍様みたいな連中がいるのを理解しない』で、どちらも現実に目を向けない。思考停止というか、前途多難です。
 今年は明るい年にしたいって言ってるのに(泣)。 


 と、いうことで、新年最初の映画は、ある意味 現実に目を向けることをテーマにした、話題の作品です。
 品川で映画『ブラック・ボックス・ダイアリーズ

starsands.com

 ジャーナリストの伊藤詩織氏が自身の受けた性暴力について調査する姿を自ら記録したドキュメンタリー。
 世界各地の50以上の映画祭で上映され18の賞を受賞。英米の2025年アカデミー賞でも日本人監督として初めて長編ドキュメンタリー映画賞にノミネートされたのが話題になりました。

 2017年に伊藤監督が元TBSの記者からの性的暴行被害を訴えた記者会見の直後から、延べ8年かけて製作したものです。カメラで写したものだけでなく、スマートフォンに残していたものや裁判で使われた映像も使われています。

 海外で公開後 裁判で伊藤氏をサポートした弁護士らがタクシー運転手などの映像や音声が許諾なく使われている点を問題視したことも話題になりました。結果 伊藤氏は許諾を取らなかったことを謝罪。個人が特定できないように変更して日本公開されました。後述しますけど、この点はまだまだ、かなり不充分です。

 アカデミー賞にノミネートされてから1年弱、日本でもようやく公開されました。
 が、東京でもなぜか一館、一日一回しか上映されていません。ただ連日満員が続いており、これから各地で拡大公開も予定されています。

 迫真の映像ではあります。
 文字通りの密着映像です。伊藤氏は寄せられる様々な嫌がらせに耐えつつ、裁判を起こし、証言を集める。その一挙一動が描かれます。自宅前に張り込みされたり、部屋の盗聴を疑ったり、家を離れて身を隠したりもします。そんな最中の母親や妹との会話まで使われています。
 8年間、いや現在に至るまでかもしれませんが、我々が想像する以上に彼女の内心には葛藤、苦しさがあったことが判る。普通ではいられないです。

 日本ならでは、かもしれませんが、そんな彼女に嫌がらせをする奴が大勢出てくるのか、ボクは不思議でなりません。映画では、彼女に向って『恥を知れ』って嫌がらせメールを送ってきたり、面と向かって食って掛かる女性が出てくるんですが、何で恥なのか。アホの発想はボクには良く判らないけど、こういうバカが消えてなくならない限り日本は良くならないでしょう。

 当初は伊藤氏の訴えを『証拠がない』として相手にしていなかった検察官Aが次第に伊藤氏に耳を傾けるようになり、安倍晋三と昵懇だった元TBSの山口敬之への逮捕状を取るに至るも、警視庁刑事部長だった中村格の指示で逮捕を見送った件などの赤裸々な会話も使われています。

 ただ、映画では前述のタクシー運転手だけでなく、A氏やホテルのドアマンと伊藤氏との会話が度々使われています。ドアマンを除けば、A氏もタクシー運転手も自分の名前を出すことを認めてないんです。A氏などはむしろ、自分の名前を出してくれるな、と言っている。皆 職を失うかもしれないんですから。

 直接名前が出てくるわけじゃありませんが、調べれば容易に推測はできます。これをそのままドキュメンタリーとして使っていいのか、とは思いました。
 これでも伊藤氏は『ジャーナリスト』なんだろうか。ちょっと酷いと思うようなレベルです。

 結果として、彼女の裁判は刑事事件では嫌疑不十分で不起訴、民事では最高裁で勝訴判決が出ています。最高裁の判決が出たのは安倍が殺された日、というのは因縁を感じます。
 しかし賠償金額からして、彼女の労力と苦痛に見合うものではありません。それでも彼女はやらなくてはならなかった。

 
www.asahi.com

 面白いと言っては何ですが、良くできたドキュメンタリーではあります。当事者ならではの映像はやはり、迫力が違う。酷い話だし、必見のドキュメンタリーです。
 ただ、前述のように納得のいかないところもあります。この国の矛盾に向き合う映画でもありますけど、被害者だから何をやってもいいわけではない。上映後拍手をしている人もいましたけど、この作品を過度に持ち上げるのもおかしな話、です。作品の質というより、当事者性がこの映画の価値かも。
 かといって伊藤氏を責めるのも筋違いです。いつまで経っても変わらないこの国の権力構造に大きな問題がある、と思います。


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