特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

映画『ズートピア2』

 今週で今年の仕事も終わりです。早いですねえ。
 例年通りクリスマスも特に行きたいところもないし、食べたいものもないし。野菜など普段買う食料品があまり高くならずに、ただ、静かに過ぎて欲しい。

 ニュースでも年末の物価高が毎日報じられていますが、高市自らが円安誘導しているのですから、物価が上がるのは当然です。

 しかも、これからさらに上がる。高市就任以来10円以上下がった円安の影響はこれからが本番です。

 中国と揉めている時期にわざわざ核兵器発言をした官邸のバカもそうですが(これが元自衛隊の高官というのだから自衛隊もアホの集まりではないですか?)、日本を脅かすのは外国人でもなければ中国でもない、日本の脅威は自国の政治家とマスコミです。

 勿論、最大の脅威はバカな日本人自身です。

 特に中国製品ばかり使ってる癖に中国の悪口言って、自己満足にふけってるバカウヨでしょうけど、それだけじゃない気がします。

 もしかしたら日本人の75%は小学校からやり直すのが日本復活の早道かもしれません。日本語の読解力と道徳『嘘はついてはいけません』だけでいいんだけどな。


 と、いうことで、六本木で映画『ズートピア

 あらゆる種類の動物たちが平和に暮らす理想の楽園ズートピア。ウサギで初めて警察官になるという夢をかなえたジュディは、警察学校を卒業した元詐欺師の狐、ニックと再びバディを組むこととなった。二人は爬虫類がいない筈だったズートピアに突如現れた指名手配犯のヘビ、ゲイリーを捜索するため、潜入捜査を行うことになる。やがてジュディとニックはズートピアの誕生にまつわる暗い過去に迫っていく。

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 動物たちが高度な文明社会を築き、人間のように暮らす世界「ズートピア」を舞台に描き、第89回アカデミー賞で長編アニメーション賞を受賞した人気ディズニー・アニメーション「ズートピア」の続編。あれから9年も経ってるのか。

 監督・脚本は前作からジャレド・ブッシュとバイロン・ハワードという人が続投しています。

 前作は大ヒットしただけでなく、動物の姿を借りて様々な人種差別のバカらしさ、女性へのエンパワーメントなど多様性の素晴らしさを訴える強烈なメッセージ性に溢れた作品でした。超政治的なアニメです(笑)。

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 まるでトランプに喧嘩を売っているとしか思えないような映画、傑作と言っても良い。欠点がないのが欠点と言われてましたけど、まさにそんな作品。

 世の中が一層厳しくなった今、今回は更にそこを深堀りする作品になっています。今作は前作のテーマに加えて移民や原住民の権利、それに歴史修正主義も取り上げられています

 かってはズートピアに住んでいた爬虫類は今では追放され、別の地域に隔離されています。まるで今のトランプ政権がやっている移民狩りのようです。でも動物たちの理想郷、ズートピアは本当に哺乳類だけのものなのでしょうか。パレスチナへの違法入植を繰り返すイスラエルも連想します。

 (人)種の違いだけではなく、イデオロギーの違いとは何か、生まれの違いとは何か、登場人物(動物)たちのドラマを通じて、観客に対して問いが投げかけられます。結論を押し付けないところがいいんです。

 と、言っても、今作のエンタメ色は前作より濃くなっているかもしれません。ジュディとニックのアクションは最初から最後までノンストップ、キレキレで文字通り手に汗握ります。

 アイデアもすごいし、アニメの映像も実に美しい。もはや宮崎駿なんかより遥かに勝っています。

 中盤以降になると、お話はシリアスさが増してくると同時に脚本の妙が際立ってきます。え、こんな展開なの?という驚きが待っています。

 最後にクレジットを見たら監督の二人だけでなく、脚本担当に20~30人近くの名が挙がっています。前作もそうでしたが、ものすごく脚本に力を入れている。日本映画とはここが違う。
 高品質なお話、という言葉がふさわしい。

 ラテンの歌姫、シャキーラが歌う主題歌も素晴らしい。K-POPみたいなダンスミュージックに、アフリカっぽいリズム、ジャズ、ブルーグラスカリプソ、もちろんラテンが入り混じっていて、天才だと思いました。もちろん歌詞は英語だけでなく、スペイン語も混じっている。これもまた多様性です。


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 ハラハラドキドキ、楽しくて、多様性とエンパワーメントを訴える見事な作品です。前作にあったように女性の社会進出や肉食動物と草食動物の違いだけでなく、今作では哺乳類と爬虫類との違い、思想の違いも登場人物たちは乗り越えていきます

 誰にだって思い込みや偏見はあるし、意見や習慣の違いは疲れることも多い。多様性は良いことだけじゃなくて、大変なこともある。でも、そこを話し合って乗り越えることで見えてくるものもある。判りあうことは難しくても、違いがあることを認めることはできる。そうすることで人生はより楽しくなるし、世界はより素晴らしくなる。

 この映画は観客に正しさを押し付けない。だけど世界をより素晴らしいものにできることを教えてくれる。そこが凡百の社会派映画とは違うところです。

 既に世界的に大ヒットしているそうで、六本木の劇場も一杯でした。
 けれど、この映画にお客さんが入っている現象と高市や参政党のような排外主義が高まる現象が両立しているのが、ボクにはどうしても解せません。高市やトランプとは対極の立場にある映画だからです。
 前作も素晴らしかったけど、今作もそれに続く大傑作。今作も欠点がない(笑)。
 期待を裏切らない作品です。間違いありません。
 

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