特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『7月参院選 投票に行こうよデモ』と、強力なアンチ・ヘイト映画『ズートピア』

この時期らしい、穏やかな良い天気が続いています。嬉しいな。 
先週 土曜日TBSの『報道特集』のヘイトスピーチ特集は見ていて、少し涙が出ました。クズ共のヘイトに対抗して多くの日本人が立ち上がっているのは嬉しかった。こういう人たちが居る限り、日本も捨てたもんじゃありません。
与党のヘイトスピーチ対策法が問題ありまくりなのは最初からわかっています。だけど、番組の中でも在日の中学生の子供がヘイトスピーチで泣いてたじゃないですか(怒)。TVを見ているボクですら申し訳なかったし、恥ずかしかった。目の前で子供が泣いてたら、どうしますか? 半歩でもいいからマシな方向へ踏み出すのがまともな人間でしょ。自分たちのセコい弁解を並べるしか能がない、法案に反対した社民や山本太郎は恥を知れ!と思いました。クズですよ、クズ。
ヘイトスピーチ対策法は共謀罪に繋がってると言い張る堤未果。こいつの言ってることは嘘だらけなのは知ってましたが、狂人だとは知りませんでした(笑)。ウソとデマで金儲けするの止めろ!と言いたいです。


                    
さて、お天気の良かった日曜日、新宿のデモへ行ってきました。
7月参院選 投票に行こうよデモ

                                  
全労連とかいう組合が稲葉修氏らを招いて講演などの若い人向けのイベントをやって、その後のデモをSEALDsが一緒にやったようです。参院選後に解散する彼らですから、もしかしたら今回が最後かもしれないみたいなので。
●抗議風景:新宿中央公園から新宿の中心部。ルミネ、伊勢丹、歌舞伎町まで。






                                
SEALDsらしい大学生くらいの子たちも大勢参加していたんですけど(こんなに大勢居たのかと思いました)(笑)、その他は労組が自分たちの組合の中から、数少ない若い人を集めたって感じ(笑)です。それはそれで、ちょっと新鮮な感じで、雰囲気は悪くなかったです。若いっていいなあ(笑)。SEALDsの第1フロートはサウンドカーで音楽を流しながらコールとスピーチを交互に織り交ぜてデモをする、いつものスタイルです。スピーチやコールは今までやったことがない子が多かった。それも良かったです。
伊勢丹前で手を振っている青い服の女性は共産党の国会議員の吉良ちゃんです。取り巻きもいなかったので、ちょっとびっくりした。彼女は個人で参加しているんです。その人が信じられるかどうかって、こういう普段の行動や振る舞いに現れる、とボクは思います。

『お騒がせします』と謙虚さを見せながら(笑)、『選挙に行きましょう』と訴えるコールは良かったと思います。人通りが多いところに差し掛かると沿道から『これがシールズか』という声が上がったり、写真を撮っている人がいます。手を振ってくれる人も大勢いるし、若干1名 なぜか耳をふさいでいる奴(笑)もいた。誰も大声なんか出してないんですけどね(笑)。普段のデモだと沿道の反応は正直、『この人たちは変わってる』という目で見られることが多いですが、やっぱりSEALDsなど若い子たちのポジティヴな訴えは好意的な眼で見られていると思います。『選挙に行こう!』って、誰が考えたって正しい、右だろうと左だろうと皆の最大公約数じゃないですか。『××反対』も必要な時はありますが、こういうポジティブな訴えを生み出していかなければいけない、と思います。

●夕陽を浴びて




                          
今日の参加者は4000人。組合が半分、SEALDsやその応援団のおっさん、おばはん(笑)が半分くらいと言う感じですかね。さわやかなお天気にふさわしい、ポジティブなデモでした。気持ちよかったです。


  

さてさて、新宿で映画『ズートピアズートピア|ブルーレイ・DVD・デジタル配信|ディズニー公式
余りの評判の良さに見に行ったんですが----。

草食動物と肉食動物が共存する架空の世界。動物たちは野蛮な食物連鎖を止め、ズートピアと呼ばれる都市で違う種の動物同士が互いに仲良く共存していた。ウサギのジュディは世の中をより良くするために警官になるのが夢だった。体の小さいウサギが警官になった例がないと言われるが、彼女は努力で警官になる夢をかなえる。ところが彼女が配属されたのは交通違反の切符切り。不満に思いながらも仕事をこなす彼女は詐欺師のキツネのニックと知り合う。折しもズートピアでは肉食動物が連続して失踪する事件が起きていた。ジュディとニックもそれに巻き込まれていく---

子供向け作品と侮るなかれ、完全に人種差別やヘイトのことを描いた映画でした。ウサギは身体が小さい草食動物としてバカにされています。警官にあこがれるジュディは周囲から『ウサギは人参でも育てていろ』と言われる始末。優しいお父さんやお母さんにすら、『挑戦なんかしなければ失敗もないんだよ』と言われます。キツネは肉食獣ですが、嘘つきでズル賢いとして動物界では蔑まれています。また草食動物と肉食動物、今は仲良く暮らしていますが、いつ肉食動物が本能をむき出しにするか、潜在的な恐怖があります。そして、その恐怖を利用しようとする奴がいます。これは重要な問題なんです。制作側はブッシュが自分の権力のために恐怖を利用してきたことを良くわかっている。勿論 今 台頭してきているトランプだってそうだし、欧州や日本の極右政治家も一緒ですよね。スケールはだいぶ違うけどデマを振りまいて危機感を煽って商売をしてる堤未果も同類。この映画は恐怖や違和感、自分に対する自信の無さと無知、それを利用する政治家など要因が何重にも重なって、我々の心の中で自ら差別を作り出していく過程を見事に描いています。

●ウサギのジュディとキツネのニック。元来キツネはウサギを捕食する天敵です

                                            
お話の最初は肉食動物たちの大量失踪事件の謎解きです。ジュディとニックの活躍で事件は解決するのですが、そのせいで肉食動物と草食動物の対立という、もっと大きな問題が起こります。草食動物の市長は『俺たちは90%だ』と言い張って、数の少ない肉食動物たちを阻害しようとします。恐怖で人々を支配しようとするんです。
アニメには珍しく、エンドロールの最初に脚本関連で何十人ものクレジットが出ます。これがこの映画を象徴しています。完璧な脚本の映画です。エンターテイメントとして二転三転しながら、丁寧に伏線を拾い、最後に2回転ひねりで?着地する。世の中に対する皮肉、それに差別やヘイトに対する強い憤りや憤りゆえに自分が犯しかねない罠まで描いているんです。

●やっと警察学校を卒業したジュディですが、同僚の警官はバッファロ―やサイなど大型の動物ばかりでした。

ボクは良くわかりませんが、アニメ表現は凄い〜と思わせるものばかりです。表現豊かで絵が細かいなあと感心してばかりです。登場人物の髪の毛がやたらと風にそよぎます。コンピューター恐るべし。ここまでやられたら、俳優さんは困るでしょうね。

あと脚色。リーマン・ブラザースをもじった、レミング・ブラザースなんか最高の皮肉だと思いました。皆 同じ服を着て、揃って地獄へまっしぐら、って奴です。同じディズニーアニメの『アナ雪』に対する皮肉やお役所仕事への当てつけもスゴイ。
                                  
声優もJKシモンズが脇にでてきたり、主題歌も歌うシャキーラのガゼル役とか渋い使い方をしています。怪しいヒッピー役にトミー・チョン(昔 チーチ&チョンというコンビで一世を風靡したマリファナ芸人)を起用したところなんか、個人的には最高でした。
●勿論 スクリーンには夢のような美しい景色が広がります。魔術を出し惜しみしないという感じです。

あらすじは詳しく書きませんでしたが、この映画、最高です。若い女の子の成長物語でもあり、主役と相棒のバディ・ムービーでもあり、差別やヘイトに対する超強力なアンチテーゼ映画になっています。このタイミングで封切られるということは、トランプをはじめとした現代のアメリカの世相は制作側は意識しているはずです。昨年見た『インサイド・ヘッド』も素晴らしかったですが、こんなエンターテイメントを作ってしまうんだから、宮崎駿の友達だとか言うジョン・ラセターって凄いな。ディズニーというと金権(笑)という印象しかないんですが、スティーヴ・ジョブスやジョン・ラセターピクサーに乗っ取られて以来(笑)、変わったのかもしれません。
クール・ジャパンだの、日本のアニメが優れている、とか良く言われていますけど、アメリカにこんなに完璧なアニメを作られたら、そんなことはとても言ってられないんじゃないでしょうか。これ、大人こそ見るべき作品です。泣きました。