特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

年末年始は『江戸っ子の意地』(笑)

 あけましておめでとうございます
 今年もどうぞ、よろしくお願いいたします。

 年越しは例年通り、家で静かに過ごしました。何もしなくて良い時間っていうのは本当に良いですね。あ~定年後の自由な生活が本当に待ち遠しいです。お休みなんてあっという間です。

 普段は生活に追われて(笑)テレビを見る時間なんか殆どないんですが、この時期はさすがにテレビをつける時間がある。

 ところが全く!つまらないものばかりです。録画して早回ししながら見た紅白も酷かった。結局 テレビ東京で朝から晩まで延々と流している『孤独のグルメ』が一番マシ、ということになります(笑)。

 唯一30日に放送されたNHK映像の世紀バタフライエフェクト』の年末特別版、「スクリーンの中の東京百年」は興味深かったです。無声映画時代から現在に至るまで映画に描かれた東京の姿から人々の歩みを振り返る、というものでした。

 
www.nhk.jp

 無声映画終戦直後の東京で撮られたミュージカル『東京五人男』、それに小津安二郎の『東京物語』を引用しながら、関東大震災東京大空襲と短期間の間に2度も焼け野原になった東京が、人々の努力で不死鳥のように蘇ったことが語られます。

 確かにそうです。まるで肉屋の豚=お上に立てつかない日本人ですが、そういうところは案外たくましい。ちょっと希望が持てました。

 高度成長の後、日本、東京は衰退期に入るわけですが、番組ではドイツの映画監督、ヴィム・ヴェンダースが80年代バブル期の無秩序な東京を描いた『東京画』、その40年後のコロナ期の東京に美を見出した『Perfect Days』などが引用されます。ボクには『Perfect Days』の役所広司笠智衆のように見えた。

 20年くらい前に故鶴見俊輔先生が『これからの日本の課題は如何に3流国、4流国になっていくかだ』と仰っていたように、少子高齢化が進むこれからの日本の活路は、衰退期だからこその美、物質的なものではない美や価値観を追求していくことと思いますが、どうなるでしょうか。

 行く年来る年が終わった直ぐ後、今年最初のニュースで報じられた統一教会の内部文書、『統一教会が自民議員290人以上を支援』、『高市の名前も32回も登場』を見て、新年早々酷い国だ、とは思いました。

 が、そんなことは今に始まったことではない(笑)。60年代から岸信介統一教会やCIAとくっついていたように、安倍晋三に至るまで戦後の日本はずっとそうだった

 今年は昨年より明るい年にしたいです。それくらいはできるんじゃないかと思うんです(笑)。


 と、いうことで、年末に出かけたイベントです。
 築地に近い東銀座の東劇で映画『Ciao!THE MOONRIDERS LIVE 2011 AT NAKANO SUNPLAZA(の、応援上映イベント)』


 映画館でムーンライダーズのライブの上映会及びトーク会が行われました。

 日本最古のロックバンド、ムーンライダーズは2011年に活動を停止しました。その時のライブです。
 その後 ドラマーのかしぶち哲郎氏の死をきっかけに14年に一時的に復活、16年に『活動停止の停止』ということで本格復活、今に至るまで活発な活動を続けてはいますが、一昨年キーボードの岡田徹氏が逝去しています。

 メンバーは皆 東京出身。昔は東京以外ではライブはやらないと公言していたし、『東京一は日本一』というベストアルバムがあるくらい、東京にこだわったバンドです。
 実際は、極端に先鋭的な音なので昔は地方では受け入れられにくかった、ということなんですが(笑)、ネット時代の今は地方回りもやっていますし、ライブには全国各地からファンが集結しています(笑)。

 この日のライブは実際に参加したし、
spyboy.hatenablog.com
 ブルーレイも持ってるんですが、劇場の大画面で見ると全然違います。細かいところまで判ると、実に充実した演奏だったことが判る。これが本当の『国宝』だとボクは思います。

 亡くなったメンバー、ドラマーのかしぶち哲郎氏、キーボードの岡田徹氏が元気に動いているのは懐かしいと同時に、複雑な気分です。当時のメンバーは60歳くらい。平均年齢70を超えた今と比べるとすごく若く見えます。
 やっぱり60なんてまだまだ若い(笑)。

 2011年なんて最近のことのように思えます。が、時間はずいぶん経ったらしい。
 トークショーで『いつまで現物が見られるか判りません』と本人たちが言ってましたが、ボクより一回り以上 年長の人たちが今も新しいことをやり続けている姿には励まされます。歳をとれば『物忘れ』も救いになるらしい(笑)。

 今年は結成50周年でライブやレコーディングなど活発な活動が予定されていますが、ボクも彼らのように頑張らなくちゃ、と思いました。この爺さんたちが(笑)、ステージに立つと楽器を抱えて2時間近くも過激な演奏をするんです。
 応援上映と銘打っていましたが、観客が励まされるようなイベントでした(笑)。


 年末に、神田でおそばを食べてきました。
 神田というと『藪』、『まつや』と東京を代表する超有名店があります。それはそれで美味しいんですが、超有名店ならではの大行列が嫌なんです。

 ここは藪やまつやから、ちょっと離れた神田錦町の店です。明治開業、まだ150年くらいの店ですが、江戸三大老蕎麦屋の麻布永坂総本家更科堀井の唯一の分店。悪いけど、今や本店より美味しいです。

ライダーズのギタリスト、白井良明氏の行きつけでもあります。

 空襲から焼け残った建物です。ビルの谷間で地上げをずっと拒否してきた。土地を売ったり、ビルにすれば大儲けできるはずです。

 かって、この店で奉公をしていた漫才の内海桂子師匠の佇まいは、三味線の師匠だったボクの大叔母そっくりでした。
 後襟を下げた着物の着方がかっこいい。何よりも普段は温和だけど、いったん決めたら梃でも動かない芯の強さを感じるんです。江戸の女って、こんな感じだったんでしょうか。控えめだけど強い。

 この店は時々店主のtweetがバズるのでも有名?ですが、確かに頷けることばかりなんです。江戸の良いところを受け継いでいるというか、子供の頃 年寄りから、こういう話を聞いたよなーってことばかりです。

 こんな雰囲気を残してくれているだけでも嬉しいです。ボクが子供の頃の東京の家って、こんな感じでした。

 摺りガラスだけでなく椅子の模様も粋、というものです。それも何気なく、というのがポイントです。ポピュリズムを煽ってばかりの今の政治家やマスコミとは対極の精神。

 この日頼んだのは『牡蠣天のせいろ』。

 更科というほど白い蕎麦ではないし、麻布の堀井や他の更科とは異なる昆布が効いた独特の汁も面白いのですが、立派な牡蠣が5個も入っています。蕎麦だけでなく天だねの質が異様に高いのもこの店の特徴です。材料は料亭なみ、儲けはないだろう、というレベル。

 江戸っ子の意地ってこういうことだと、ボクは思っています。
 誰も見ていなくても、誰も誉めてくれなくても、自分のベストを尽くす。これですよ!

 味もさることながら、この店へ行くと気持ちよいんです。大げさに言うと大嫌いな自分を肯定できる。自分のルーツを思い出し、肯定できる。

 ボク自身は自分の根っことかルーツを意識することって殆どありません。  
 今まで 過去を懐かしいって思うこと自体、後ろ向きと思ってましたので、小学校から大学まで同窓会に行ったこともないし、最近は実家や親戚と接触する機会も殆どない。好きだった人も随分 亡くなってしまったし。万物は流転する。
 我ながら愛郷心や愛校心、愛社精神のかけらもない。ファシズムの温床にもなる集団への帰属意識って、どうしても信用できない
 だって愛国心はならず者の最後の隠れ場って言うじゃないですか(笑)。

 しかし、段々歳をとってくると、過去を拒否するだけでいいのか、とも思うようになりました。たまには(笑)受け入れられるものは受け入れてみようか、と。
 自分自身 今も変化の途中です(笑)。今年も変わり続けようと思います。