特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

(やっぱり)薔薇がなくちゃ生きていけない:ムーンライダーズ TOUR2011

近年 これほど恥ずかしい話はない、と思ったのが増税しか頭にない、松下整形政経塾出身の野田という総理大臣の『原発事故収束宣言』です。冷温停止ではなく『冷温停止状態』という造語まで作って自分たちの利権と権力を守りたいんでしょうか。今もフクシマ原発からはバンバン放射性物質が放出され、農産物や水産物がまともな検査すらおこなわれていない状態で世界中の誰がそんなバカバカしい戯言を相手にするんでしょうか。そんなことすら判らないのだから、この国の政治家や役人は完全にイカれてるんでしょう。


中野で『ムーンライダーズ TOUR2011
今年で35周年を迎えたムーンライダーズが無期限活動停止、というニュースはショックでした。フォークから始まって、テクノ・ニューウェイヴ、そして今はなんと言ってよいかわからない、アバンギャルドでひねくれた、それでいてシャイで、間違いなく常に新しいことをやり続けてきたバンドです。自慢じゃないがライダーズをカラオケで歌うとほぼ100%、周りから奇異の眼で見られます(笑)。かって原宿のカラオケバーで『物は壊れる、人は死ぬ』を歌って、賑やかだった店がしーんと静まり返ったのは我ながら良い思い出です。そういう音楽を、過半のメンバーが60歳を超えてもますます躍動感に溢れる演奏を繰り広げているバンドなんて、有り得ないとしかいいようがありません。
だからムーンライダーズが活動停止するなんてボクは夢にも思ってなかったし、今だに信じていません。まして、今は2011年、老いも若きも、これから世の中をなんとかしていかなければならないのに、活動停止なんて卑怯じゃないか、というのがニュースを聞いたときの率直な気持ちでした。だから会場に行くときも、席に座ってからも、ちょっと憂鬱だったんです、演奏が始まるまでは。

<セットリスト>
1.(たぶん)DAMM! MOONRIDERS
 客席のいろいろなところからメンバーがアコースティック楽器を持って登場。各所で各自が勝手に演奏を始める。会場の外でギターを弾くメンバーまでいた。曲はあまり聞こえないが場内は思い切り盛り上がる。『DAMM!MOONRIDERS』と連呼しながら、メンバーは舞台に上がっていく

2.鬼火
 アコギを持った鈴木慶一氏、フィドルを持ったくじら氏、アコーディオンを持った岡田徹氏の3人で演奏。

3.Who's gonna die first? 
ここからエレキセットでエンジン全開。パワフルでハードでロマンティック。凄いなあ。

4.Don’t trust anyone over 30
『Over 30』のところを『Over 60』、『Over 50』に替えて演奏。そらあ、メンバーも観客もそうだよなあ(笑)。

5.『Frou Frou』
6.涙は悲しさだけで、出来てるんじゃない


このあと、ニューアルバムから6曲続けて演奏。メンバーそれぞれがリードを取ります。

7.Mt.Kx
8.オカシな救済
9.ハロー マーニャ小母さん
 
 岡田徹氏がヴォコーダーで歌い始めるこの曲は、ニューアルバムの中でも名曲だと思う。流麗なメロディに載せて啓示が述べられる。『事実は一つで 真実はたくさんある』
PS.マーニャ小母さんとはキューリー夫人のことだそうだ

10.Masque-Rider
11.弱気な不良 Part2
12.ラスト・ファンファーレ


ここから数々の過去の名曲群が怒涛の炸裂。また盛り上がる。

13.ダイナマイトとクールガイ
14.ボクハナク

 再構築された名曲のボーカルを取る博文氏に代わって、慶一氏がベースを弾く。
15.トンピクレンッ子
 白井良明氏が客席を煽って、歌わせる、歌わせる。ボクはこの曲は大好き。『お風呂に入ると元気な子!』
16.Cool Dynamo,Right on
17.ヤッホーヤッホーナンマイダ

 ライダーズ流に冗談みたいに歌われる『戦争ハンターイ』がひときわ声高く聞こえました。
18.スカーレットの誓い 
 自分が、声が枯れるほどの大声で歌っているのに気がついて、迷惑かと思ってあたりを見回しました。だけど 周りもみんなそうだった(笑)。

<アンコール>
19.マスカット・ココナツ・バナナ・メロン 
 客席から女性を40人くらいを舞台に上げてにわか合唱隊を編成。かしぶち哲郎氏と女性陣が踊る、踊る。こういう大人のファン層がムーンライダーズならでは、なんだよなあ。

20.花咲く乙女よ穴を掘れ
 今度は男性を20人くらい舞台に上げて穴掘りポーズでダンスをさせる。

21.BEATITUDE
22.Kのトランク
23.蒸気でできたプレイグラウンド劇場で
 
 ニューアルバム最後の曲。『進歩したら、またお会いしましょう』と鈴木慶一氏。それを聞きたかったんだ。また、ライダーズやるってことですよね。しかし、60過ぎたロックミュージシャンがまだ先に行こうって言うんだからすごい。流石。

24.6つの来し方行く末
 アカペラで歌いながら、出てきたときと同じようにメンバーがそれぞれ客席を通って消えていきました。



まだまだ聴きたい曲も名曲もいくらでもある。3時間弱のコンサートはあっという間です。
メンバーが去った後 舞台に下りてきたスクリーンに、夜空に浮かぶ三日月が照らし出された。過去の曲の様々な歌詞が流星のように映し出されては消えていく。ライダーズの曲に、ボクは何年もの間、自分の人生の半分以上、勝手に感情を重ね合わせながら歳を取ってきた。何も訳がわからない、バカな高校生のときからだ。今 こうやってスクリーンを見ていると自分の積もり積もった過去の感情も洗い流されていく気がしました。
ライダーズを見るのは今日が最後かもしれないとの想いからか、客席からは異様なオーラが出ていたような気がします。だが、メンバーは活動停止のことは全く語らない。新曲と過去の名曲を交えた圧倒的に充実した演奏。いつもどおりの現在進行形のバンドのコンサートだった。全くムーンライダーズらしいです。サイコー。

だから お休みはちょっとだけで、また再開してくれるんだろう。『薔薇がなくちゃ生きていけない』んだから。