この前、道を歩いていたら『一目惚れ』をしてしまいました。
普段から、このケーキ屋のガラス戸からショーケースにどんなケーキが残っているのか、夕方 確認するのが日課なのですが(笑)、
その日はこんなものが残っていました。’’ブドウのタルト’’、です。ルックスに惹かれて、ふらふらと店に入ってしまった(笑)。
上から見ると、皮まで食べられるブドウが6種類載っています。その上に更にクリーム(笑)。ブドウの下にもカスタードクリーム(笑)。ダイエットの為にケーキは滅多に食べないようにしていますが、これは一目惚れです。我慢できませんでした。
しっとりしたものも好きですが,サクサクのタルトって美味しいんですよね。バターの香りが香ばしくて。しかし冷静に考えれば粉と脂、それに砂糖(笑)。身体に悪いものは美味しいんだな、これが(笑)。
これでまた節制をしなくちゃなりません。食べては運動、運動してまた食べて、この世はまるで無限地獄みたい(笑)。
テニスというか、スポーツ自体 ボクは1ミリも興味ありません。だけど 大阪なおみ選手って人は今回 実にカッコよかったですね。
黒人の犠牲者の名前を記した7枚のマスクと7回の試合だけでなく、差別に対する抗議を表明しながら勝ち進む姿はまさにリアル・ヒーロー。これだけでも将来 映画にできると思います。単にテニスで勝っただけではなく、世の中に対して、彼女はそれだけのことをやった。
彼女の姿勢をサッと支持するナイキ・ジャパンもカッコいいです。昔はナイキ本社が児童労働で叩かれていた極悪イメージは今や払しょくされました。
それに引き換え、『スポーツに政治を持ち込むな』なんて言ってる奴の醜いこと、頭が悪いこと。スポーツも音楽も映画も政治に関係あるに決まってるじゃん。
雑誌ELLEに寄稿した彼女の文章を読んでも、BLMの件でいかに彼女が苦しみ、深く考えてきたかという事が判ります。まだ20代前半の女の子ですよ。
www.elle.com
こうやって、時代遅れのマヌケばかりの日本は沈没していく。これはしょうがない。アホばかりだから自業自得です。国民不在の総理大臣選びだけでなく、普段のこういうニュース一つとっても、日本の将来が良くわかります。
と、いうことで、日比谷で映画『オフィシャル・シークレット』
officialsecret-movie.com
2003年 イギリスの諜報機関GCHQで働くキャサリン・ガンはアメリカのNSA(国家安全保障局)からのメールを目にする。イラク侵攻を国連の安保理事会で可決するため、安保理事会の非常任理事国を盗聴することをイギリスに求めるものだった。激怒したキャサリンはNSAからのメールをマスコミにリークするが- - -
現役の諜報機関の職員が、イラク戦争の際の英米政府の陰謀を暴露した実話を元にしたお話。安全保障理事会の理事国を盗聴してまで、ブッシュとブレアは戦争を起こそうとしていた。
先日 朝日新聞に実在のキャサリン・ガン氏のインタビューがのりましたし、TBSラジオでもインタビューをやってました。映画の内容は、ほぼ事実どおりだそうです。
www.asahi.com
彼女のリークは、正直 ボク自身は記憶にないのですが、英米では大きな反響があったそうです。当時イギリスでは安保理事会の承認なしではイラクに開戦することは反対、という空気が濃厚だったそうです。イギリス軍ですら安保理事会の承認なしの開戦に反対だったそうです。その中でのリークでしたから、反響は大きかった。
結果として、ブレアが反対の声を押し切って開戦を推し進めた。彼はコソボへの介入もそうでしたが対外介入も辞さない、という信念の持ち主。今でもイラク戦争は正しかったと語っています。
www.sanyonews.jp
主人公のキャサリン・ガン氏は台湾生まれ、広島で2年間 英語教師を務めていました。当時 原爆資料館を訪問して、戦争は良くない、という信念は持っていたそうです。中国語が堪能な彼女は帰国後、GCHQで中国系のメールの盗聴を担当していました。
当時 イラクに大量破壊兵器があるとブッシュが言い張り軍隊を派遣、戦争の危機が迫っていました。
ある日 彼女のところにアメリカのNSAからのメールが転送されてきます。国連の安全保障理事会で開戦決議をするために、イギリスの諜報機関に非常任理事国を盗聴しろ、とアメリカが依頼してきている。彼女は目を疑います。そんなことが許されていいのか。
義憤にかられた彼女は友人の反戦運動家にメールを渡し、彼女は新聞『オブザーバー』誌にリークします。
この映画が良いのは、キャサリンがスーパーヒーローでもなんでもなく普通の女性として描かれているところです。演じるのはキーラ・ナイトレイですから、美貌とカリスマが炸裂しそうな感じですけど(笑)、見事にそれを押し殺している。
新聞にメールをリークするものの、そんなことをしてよかったのか?とやめようとしたり、GCHQにおびえたり、取り調べが始まっても白状するかどうか迷いに迷ったり、する。なんと言っても20代後半の女性が一人で国家を敵に回すんです。その怖さがこの映画ではきっちり描写される。
主人公の表情も中盤以降までずっと暗いんです。美人女優、キーラ・ナイトレイとは思えません。
彼女が覚悟を決めるまでの長い沈黙のシーンはドキドキします。しかし彼女が戦うことを決めると、表情がガラッと変わる。輝き始める。
公務員である自分が働いているのは国民のためである。政府のためではない。イギリスのためなら盗聴という仕事に携わるが、ブレアのためにそんな仕事をするのはごめんだ。そう主張する彼女に前半の迷いはありません。
まるで、まるで、どこかの国で起きているような話です!
オブザーバー紙の葛藤も見ものです。オブザーバー紙は戦争賛成の立場でした。また、メールが偽という可能性もある。
それを記者たちが懸命に裏取りをして本当かどうか確認し、そして上層部を説得する。ここも面白かったなあ。
監督のギャヴィン・フッドという人は知らないなあと思っていたら、ドローンによる英米軍の非合法な暗殺作戦を描いた名作『アイ・イン・ザ・スカイ』の人でした。どうりでお話に無駄がなく、テンポが良い。
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オブザーバー紙のスクープは英米では大問題になります。安全保障理事会での採決どころではなくなります。しかし、ブッシュは国連の同意なしに戦争を始め、ブレアもそれに参加します。
結果として、キャサリンのリークは戦争を防ぐことは出来ませんでした。イラクでは罪もない大勢の人が死ぬことになります。
それだけではありません。戦争を防げなかった彼女は逆に拘束され、当局の取り調べを受けます。釈放後もマスコミからのバッシングを受ける。更に警察の監視下に置かれ、1年後に訴追されます。訴追までの期間を開けたのは精神的な嫌がらせです。
それだけではありません。彼女はカフェ勤務のクルド難民の男性と結婚していたのですが、彼は全く無関係なのに、身のみ着のままで違法に強制送還されそうになります。当初は戦うのを諦め、有罪を認めようと考えていたキャサリンですが、これは限度を超えています。
窮地に追い込まれたキャサリンに、レイフ・ファインズが演じる人権派弁護士の面々が手を差し伸べます。レイフ・ファインズの、断固として政府と戦うが笑顔を絶やさない大人の魅力がカッコいい(笑)。
キャサリンと弁護士は、彼女がメールをリークした当時 イギリス政府は国連決議なしの開戦は違法、と考えていた証拠を見つけることで、無罪への道を開こうとします。
実際 イギリスの法相は当初 国連決議なしの開戦は違法、と公言していました。ところが突然 開戦は合法、と態度を変えたのです。
結果として、キャサリンは勝訴します。当時の文書の開示請求を受けた政府はあっさり訴訟を取り下げたからです。
後日明らかになった公文書では、イギリスの法相が突如態度を変えたのはブッシュやラムズフェルドなど米政府総がかりの説得、そしてブレアのごり押しがあったことがわかっています。モリカケと一緒です。
しかしイギリスでは公文書の保管と開示という民主主義の基本が守られていたから、キャサリンは勝訴することができた。
どこかの国と比べたら、どうなんでしょうね!。安倍晋三の8年弱で失われたものが如何に大きかったか、この映画を見て改めて愕然としました。
と、いうことで、イギリスの話ではありますけど、日本はどうなんだろう、ということばかり気になる、非常にタイムリーな映画です。今の日本は偽の証拠で戦争を始めるイギリスと同じ状況ということが良く判りました。
娯楽作という面でも、キーラ・ナイトレイやレイフ・ファインズは目の保養だし、お話も脚色もかなり優れている。この監督、腕あります。
あまり期待しないで見に行ったのですが、かなり面白かった。拾いものというだけでなく、まさに今の日本で見るべき映画。お勧めです!
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