特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

今がそのとき(2):どっちの判断が正しいのか?

4月14日に被爆による健康への影響と放射線防護基準の考え方』というペーパーを日本原子力学会勿論 原発を推進してきた人たち)が出した。日本原子力学会シンポジウム(6/16福島)事前申し込みフォーム

それによるとCRPの勧告では放射線に対して安全な基準は通常時で1ミリシーベルト/年、緊急時は10ミリシーベルト/年だそうだ。
さらに福島第一原発の事故を受けて、ICRPはなぜか基準を変更して、日本政府に『緊急時は20から100ミリシーベルト/年の範囲、生活を続ける際は1〜20ミリシーベルトの範囲で基準を設定し、1ミリシーベルトの目標に向けて進むことを推奨する』と、ある。ちなみにICRP=国際放射線防護委員会というのはWHOやIAEA、各国政府に対して放射線の防御基準に対する勧告を行っている、大もとの機関。



ところが今 日本の国はこんなことを言っている。子供たちに対して緊急時の基準を当てはめようというのだ。
http://mainichi.jp/select/weathernews/20110311/nuclear/news/20110414k0000m040112000c.html
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011041500243
原発周辺に住んでいる、一時的に避難を強いられている人たちに対しての『緊急時』の基準なら、わからないでもない。
だけど福島県全域の普通の生活をする人たち、しかも子供に対して、10ミリシーベルトとか20ミリシーベルトとか言っていうのはどういうことだろうか?


これは毎日新聞に出ていた3月14日〜21日の累積放射線量だ。

http://mainichi.jp/select/jiken/graph/genpatsu_zusetsu/37.html

これを見ると当初の爆発は本当に酷かったということが良くわかるのだが、福島市は1770マイクロシーベルトと、既に通常の安全基準である1ミリシーベルト(1000マイクロシーベルト)を超えている。



さらに下表が、4月になってからの累積線量。4月15日の毎日新聞

http://mainichi.jp/select/jiken/graph/genpatsu_zusetsu/1.html
上の表と単位が違うので判りにくいが、この期間の福島市の累積値は578マイクロシーベルト。二つの表の値を合わせると2000マイクロシーベルトと、福島市は既に通常時の基準の2倍になっている(更に水素爆発があった3月12日や13日のデータを加えたらどうなるんだろう)
え?



福島市の人たちに対して、何か警告は出されているのだろうか?それとも急に基準を変更したら、いいってこと?


これは、TVおとくいの『直ぐに健康に影響があるとかいう話ではない』が、10年か20年後に影響が出てくるだろう。他人事じゃないし、こんなこと言いたくないが、福島市の人口約30万人。将来 何%の人に影響が出るのだろうか(ちなみにWHOによるとチェルノブイリでは被爆した人のうち約1万人が癌・白血病を発症したかも、といわれている)


今後も放射能福島第一原発から放出され続ける。政府や自治体、データを持ってる役人、学者は国民の命をどう考えているのだろうか?30キロとか、何キロとかにこだわらず、累積線量が高い地域に住んでいる子供や妊娠している人くらいは避難させるべきじゃないのだろうか。


原発事故発生当初 アメリカ政府が出した、原発の周囲80キロ範囲内の避難指示が仮定に基づく話だった、と言って、ちょっと前 マスコミが叩いていた。
だが僕には万一のことを考えたら妥当な判断だったように思える。まだまだ大規模な爆発の怖れだって充分にあるのだし。


『事故から1ヶ月たっても まともな避難範囲・対象すら決められない日本の政府』、と『国民の安全を考えて余裕を持った指示を出したアメリカや独仏の政府』、どちらが自国民の安全を考えた判断をしたのだろうか?



今こそ、一人一人がよく考えるときだ、と ボクは思うのだが。